PXGに関する話題は、その価格から始まることがほとんどだ。ドライバーが850ドル、アイアンがそれぞれ400ドルという価格設定を考えれば、当然だろう。フェアウェイウッドとユーティリティーも同様で、ミルドウェッジは650ドルもする。

プレーの助けになるクラブを手に入れるために、金銭的な助けが必要というのは何とも皮肉だ。

PXGのクラブが高いことは誰でも知っているが、前置きとして言っておこう。

新しいPXG GEN2ドライバーの店頭価格は、575ドルだ。

頭の「1」が抜けていると思ったかもしれないが、そうではない。

間違いなく575ドルだ。私は10年近くドライバーの価格をウォッチしてきたが、これほど予想外(1,000ドルくらいだと思っていた)だったのは今回が初めてだ。

ツアーエッジEXSの時よりも、はるかに大きな読み違いをしていた。もしあなたが本当にPXGを欲しいと思っているなら、追加で25~75ドルを払ってもいいと思うほどの値下がりだ。

PXGの創設者でCEOのボブ・パーソンズ氏は言う。

「PXGの購入者の多くは価格を気にしない。彼らは私にクレジットカードを預け、プライベートジェットで移動する。彼らに価格は関係ない。850ドルだろうが575ドルだろうが買ってくれる。だが価格を気にする人にとっては、この違いは大きいだろう。」

確かにそのとおりだ。

PXG 0811 X GEN2/XF GEN2ドライバー

では、なぜ急に価格を下げたのか。それにはいくつかの理由がある。

GEN2メタルウッドの価格を下げた理由をボブ・パーソンズ氏に尋ねたところ、ビジネスコストを挙げた。

最初のPXGラインが発売されてから約3年半が経過し、ゴルフ用品事業への参入当初にかかった費用はすでに償却されている。さらに生産量が増えて製造コストが削減されたので、その分を消費者に還元するべきだと思ったという。

「PXGの価格設定は妥当だったと思う。なぜならば、それほど費用がかかっていたからだ。生産量が少なかったうえに、手を抜くこともしなかった。品質は価格に見合っていた。」(パーソンズ氏)

パーソンズ氏によれば、新しい価格モデルでも利益を見込めるという。「それでもなお、PXGの価格は業界No.1であることをお忘れなく。」と笑って話していた。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

今後も「価格」はPXGの話題であり続けるだろう。PXGはブランドとカルチャーに誇りを持ち続けるとパーソンズ氏は言う。

「私にとって最も大切なのは、正しい仕事をすることだ。」(パーソンズ氏)

PXGのエンジニア、ブラッド・シュワイガートとマイク・ニコレットは、値下げは大胆な決断だと思っている。

小売価格が他の主流ブランドと近い水準になり、キャロウェイ、テーラーメイド、ピンなどと肩を並べることになった。

比較されるのは価格だけではない。パフォーマンスに関しても、PXG製品、特にGEN2は業界をリードし、トップに立つことができると彼らは考えている。

PXGは、GEN 2ドライバーに関しては価格ではなく「パフォーマンス重視のストーリー」を作り上げたいのだ。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

 

ボブ・パーソンズは業界全体を見据えていたか

ここからは私の見解だ。これまでPXGはリリースのたびに価格を上げてきた。

PXGが市場に参入して以来、業界全体の小売価格が上昇したことは否定できない。

「相関関係があるだけでは因果関係があるとは断定できない」という言葉があるが、PXG効果であることを示す証拠は揃っている。

ボブ・パーソンズ氏は業界全体を見据えていたのだろうか。主流ブランドのドライバーの価格が上昇したことにより、550ドル近辺での競争が可能になった。

そこでPXGは価格を下げてマーケットを揺るがすつもりなのか。そもそも、これは最初から計画されていたことなのだろうか。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

いずれにせよ、私は彼らがKO勝ちするとは思っていない。PXGは販売方法を妥協することはない。

ディックス、ゴルフギャラクシー、スーパーストアなどの大型店舗での販売はしていない。

GEN1とPXG for Heroesプログラムに該当するもの以外に既製品の取り扱いはなく、すべては100%カスタムオーダーでPXGのディーラーネットワークを通じて販売されている。

PXGのビジネスモデルでシェアを大幅に拡大するのは難しい。とはいえ「大幅」というのは相対的な表現だ。

これが「PXG効果」の全容だ。PXGを未知の領域に導く可能性があるのは、2つの新しいドライバーだ。私たちが発表したCG(重心)とMOI(慣性モーメント)チャートは、それを表している。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

 

0811 GEN2 テクノロジー

GEN2ドライバーには2つのモデルがある。ラインナップの中でそれぞれ明確な役割があるが、テクノロジーに関しては重複する点が多い。

重量特性はモデルによって異なるが、どちらもPXG独自のスクリューウェイトを搭載している。

競合他社と同様に、PXGはドライバーの空力特性を向上させるために多くの時間を費やし、要点を説明するために必要なCFD(計算流体力学)チャートを作成した。

他社製品と比較してドライバーはタービュレータなどがないものの、0811 GEN2ドライバーの空力特性は十分なレベルだといえる。

「重要なのは必ずしも空力特性ではなく、構造だ。実際クラウンが強化されたことで、より多くのスピードとエネルギーがボールに伝わるようになった。」(ブラッド・シュワイガート氏)

申し訳ないが、私がこのストーリーをどう解釈して何を書くかは、私に決めさせて欲しい。

ただ、今回の「ストーリー」のポイントが構造だということは理解した。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

ゴルフ用品業界では、時々「奇妙な偶然」が起こる。2019年は「クラウン機能の向上」の年になるかもしれない。

0811 GEN2ドライバーは、コブラのF9 SPEEDBACK(および後日お伝えする予定の別のドライバー)と類似点がある。

PXGが「Hot Rod Technology」(ホットロッドテクノロジー)と呼ぶ、隆起したマルチレベルの可変厚クラウンが特徴だ。

デザイン自体はアメリカのマッスルカーのパフォーマンスとスタイルに発想を得ている。ボブ・パーソンズ氏の好みからすると、「ダッジ」のマッスルカーではないかと思う。

Hot Rod Technologyは、GEN2の代表的な特徴だ。アドレス時の見栄えの良さを考慮して設計されているが、実際のパフォーマンスにも役立つ。

リブ構造がクラウンを固くして、衝撃時の変形によるエネルギーロスを減らし、一貫したボールスピードを実現する。

この設計は、クラウンの隆起部分がアラインメントを補助し、アドレス時にボールを正しい位置にセットするのに役立つ。ビリー・ホースケルはそれを確証しているが、実際に機能するかどうかはさまざまな意見があるだろう。

PXGのファンは、可動ソールウェイトの数が減ったことに気づくだろう。Xモデルには9つのウェイトがあるが、XFには5つしかない。ウェイトの重量自体は、以前のモデルよりも重くなっている。

より重いタングステンはそれぞれ4.1gで、ブラックチタンはわずか0.8g未満。ウェイトの数を減らすことでそれぞれの相関の設定も減るが、フィッターと消費者双方にとって、シンプルにセッティングできるよう最も一般的なウェイトのみを残している。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

ウェイトの数を減らせば、それをサポートする構造も減らすことができる。それだけでなく、チタンボディー構造を劇的に薄くしたことで重量特性が改善され、PXGはパフォーマンスを飛躍的に向上させることに成功した。

もう少し詳しく説明しよう。

構造が薄くなれば振動が発生し、ひいては望ましくない打音や打感を生み出す可能性がある。

この問題を軽減して、より快適なインパクトを実現するために、PXGはソールプレートの内側に固定されたハニカムTPE構造を採用している。この新ドライバーの打感は独特だが、決して不快なものではない。

キャロウェイやテーラーメイドとは違い、今回PXGはフェーステクノロジーの話はしていない。

PXGが前回ドライバーをリリースした後、USGAはCTのテスト方法を変更した。

具体的には、中心部分だけでなくフェース全体でCTをチェックするようになったのだ。以前はテスト範囲が狭かったため、メーカーはフェースの中心から外れた部分でCTの制限を超えることができた。

だが、そんな時代は終わってしまった。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

一部のメーカーは違った解釈をするかもしれないが、現実問題としてほとんどのメーカーが規制に準拠することを余儀なくされている。

ボールスピードを上げるためには他の方法もある。

シュワイガート氏によれば、PXGはGEN2ドライバーで独自の技術を開発しており、他のメーカーと同様に、新しいガイドラインに準拠しながらフェース全体でできる限りボールスピードを向上するための対策を練っているという。

追記しておくが、両方のヘッドの目標重量は206gで、平均より少し重い(ちなみにキャロウェイは約195g)。

余剰重量はMOIの向上に役立つが、PXGによれば、206g(以前のモデルからわずかに減少している)が採用されたのは、フィッターがさまざまなシャフトでベストなスイングウェイトを見出せるようにするためだという。

全体的な話はこのくらいにして、0811 GEN2シリーズの個々のモデルを詳しく見てみよう。

 

0811 X GEN2

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

見た目はどちらもおよそ460 ccだが、Xのほうが少しコンパクトだ。ユーザーの観点で言うと、フロントが高くバックが低くなっている。

Xモデルの主な変更点は、可動ウェイトの数が10個から9個に減ったことだ。

ダウングレードのように思えるかもしれないが、個々のウェイトが以前より大きく重くなったことで重心を効率よく移動できる。

また、バックウェイトがさらに後方へ、フロントウェイトがさらに前方へ移動し、ヒール部分に重量を追加することもできるようになった(ドローバイアス)。3つのウェイトを前後へ動かすことで、重心を4mm移動できる。

タングステンウェイトを前方に配置するとボールスピードが速くなり、打ち出しが低くなり、スピン量が低下する(ウェイト1個の交換で約200rpm変わる)。

ウェイトを後方に動かすと、より高いMOI、より高い打ち上げ、そしてより高いスピンが得られる。だが、新しいXの特徴が高スピンだと勘違いしてはいけない。

PXG 0811X GEN2は、2019年モデルの中で最も低スピンのドライバーになると思う。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

PXGによると、タングステンウェイトを前方に配置した状態で、0811X GEN2の重心は中立軸より0.160インチ下に位置する。

私たちのCGチャートではミリメートルで表示しているが、言い換えればニュートラルより約4mm下ということで、これまでのドライバーの中で最も低い。

ただし、これらの数値はCADの予測値に基づいており、実際に測定されたものではない(測定値に関しては現在計測作業中)。

しかし許容範囲を含めても、GEN2 Xは私たちが今まで見た中で最も重心位置が低いドライバーの一つといえる。

寛容性は期待できないが、それはGEN2 Xの目的ではない。PXGは、MOIを約4,400に固定している。G400 MAXと間違われることはないだろうが、2017年モデルの平均的な範囲の下限に収まっている。

違う観点で説明を追加すると、キャロウェイ ROGUE SZ(前重心)は2017年モデル中で、中立軸の下に重心がある唯一のドライバーだった。

それは約0.2mmで、MOIは約4,250だった。この数字が正しければ、0811X GEN2はMOIを約150ポイント上げながら、重心を3.5mm以上下げたことになる。

要するに、もしGEN2 XがPXGの示した数字の範囲に入っていれば、重量特性の観点では特別なことだ。まさにマッスルカーである。

高スピンや高いMOIが必要な人には、ウェイトを後方に配置するセッティングに注目してほしい。CADの予測では重心が約マイナス1.5mm(これまでのチャートの中で最も低い数値の一つだ)となっており、MOIは4,800程度まで上がる。

XはPXGがずっと追求してきた低スピンドライバー、というのが私の最初の印象だった。

レアケースかもしれないが、一部のスピン量の多いゴルファーには、ウェイトを後方に配置したり、ストロングロフトのヘッドを買ったり、スピン量が上がるシャフトを使ったりする必要があるかもしれない。

 

0811 XF GEN2

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

Xが低スピンが特徴だが、XFは高MOIが特徴だ。Xと同様、報告されている重量特性はX(TREME)という名前にふさわしい。Xと比べて、XFの重心は12.7mm(1/2インチ)深くなっている。

ゴルフクラブのエンジニアリングの世界では、この違いはかなり大きい。価格の面では私の予想は間違っていたが、XF GEN2の高MOIをある程度予想できたことでプライドは保たれた。

Xと同様に、PXGのエンジニアは可能な限りウェイトを後方へ移動した。

サイズもUSGAの最大許容範囲内にぎりぎりに収まるまで拡大したが、最も印象的なのは、アドレス時のルックスにまったく違和感がないことだ。

あなたが現在使用しているものより大きく見える可能性はあるが、それでもドライバーのあるべき姿がきちんと保たれている。

ブラッド・シュワイガート氏は「初期の試作品はもう少し極端な形だったが、規制範囲内に収まるよう変更を加えた」、マイク・ニコレット氏は「極端な形を避けながら、完成することができた」とコメントしている。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

では、PXGは何を成し遂げたのかを探ってみよう。

PXGはXFのヒール/トゥのMOIをUSGAの上限である5,900まで押し上げ、総MOI(トップ/ボトムのMOIを含む)を10,000以上にまで高めた。これは業界初のことで、ピンのG400 MAXでさえ成しえていない。

しかし、すべての設計にはその代償が存在する。MOIを押し上げた結果、寛容性が増して打ち出しは高くなったが、同時にスピン量も増える。しかし、ここで注目すべきはそのスピンが許容範囲であることだ。

CADの予測では重心は中立軸上にあり、0811 XF GEN2は市場でトップ3に入る低重心ドライバーということになる。非常に高いMOIにもかかわらず、だ。

私が行った最初のテストではスピンが比較的多いと感じたが、それでも多すぎるという感じではなかった。私は普段からハイスピン気味だが、十分満足のいく結果だった。

業界で広く受け入れられているわけではないが、MOIが高くなるとヘッドスピードが遅くなるという説がある。

その理由は、主にヘッドの重さと大きさだ。だとすると、その他すべての要素が等しく、空力特性を犠牲にすることなく高いMOIを達成できたとしたら、ヘッドスピードに影響は出ないはずだ。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

 

必要不可欠なパフォーマンスの比較

 ほとんどすべての新製品の宣伝材料と言えば、「パフォーマンス比較」だ。

テストの結果、以前の0811 Xと比較してボールスピードが0.45~0.9m/s上昇し、スピン量は300~400rpm減少し、飛距離は7~10ヤード伸び、分散は26%減少したいう。

XFは、前モデルよりボールスピードが0.45m/上昇し、スピン量は変わらないが、飛距離が3~6ヤード伸び、分散は34%も減った。この分散の改善が、MOIの「ストーリー」を最も良く表している。

とても興味深い結果だが、これだけではない。

0811 X GEN2は、最も似通った競合製品よりボールスピードが0.9m/s速かった。

主要5ブランド(キャロウェイ、テーラーメイド、ピン、タイトリスト、コブラを含むその他のグループ)から2018年に発売された中で最低のスピン量であり、飛距離は5~16ヤード伸びている。

これは、非常に大胆な主張と言わざるを得ない。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

GEN2 XFのMOIは限界に近いことに加えて、競合他社の製品よりボールスピードが0.5m/s速いことが分かった。

テストは、長さ45インチのPXG標準シャフトを使って実施された。シャフトが長いほどボールスピードが上がってスピンが増える傾向にあるが、もっと重大なのは分散が広がってインパクトの安定性が下がることだ。

要するに、PXGは彼らのドライバーが市場で最高だと確信しており、その自信が今回の値下げの大きな理由だと思う。彼らは、話題が価格に集中するのを避けたいのだ。

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

 

未来を予測する

 これらすべてを踏まえて、冒頭の質問に戻ろう。

PXGがメタルウッドの価格を引き下げるのはなぜだろう。さまざまな要因があるが、基本的には、アクセシビリティ(入手のしやすさ)という言葉にまとめることができる。価格を下げれば、製品がより手に入りやすくなる。

では、どのぐらい手に入りやすくなるのだろう。

ブラッド・シュワイガート氏は、PXGをNo.1ドライバーにすることが目標だと語った(その後で販売方法がNo.1ではないことを認めたのだが)。

市場シェアの目標について、はっきりした数字は分かっていない。

主要5ブランドが市場の90%を支配していると書いたが、残りの10%のどれだけをPXGが占めることができると思うかシュワイガート氏に尋ねてみたところ、「10%を超えることは望んでいない」という答えが返ってきた。

マイク・ニコレット氏は「90%にも食い込みたいと思っている」と付け加えた。

ボブ・パーソンズ氏と彼のチームは、より低い価格設定で著しい成長と市場への浸透が可能になると信じている。

それでもなおPXGのメタルウッドは高い。入手しやすくなればPXGの話題が増し、宣伝通りのパフォーマンスが得られれば、ゴルファーはPXGをメタルウッドのトップブランドとして認識するだろう。

パーソンズ氏にはビジョンがある。それは大きな、完全にパフォーマンス主導のビジョンだ。だが今のところは、ゴルファーが彼の新しいドライバーでプレーすることに興奮してくれれば、彼はハッピーなのだろう。

「私たちの成功とは、PXGのアイアンと同じようにメタルウッドが認識されることだ。そして、必ずそうなると信じている。」(パーソンズ氏)

PXG 0811 X GEN2 XF GEN2 ドライバー

PXG 0811 X GEN2ドライバーのロフトは、9度、10.5度、12度。 0811 XF GEN2ドライバーは、9度、10.5度、12度、14度だ。

PXGは一般的な意味での「標準シャフト」を用意していないが、エキゾチックなものも含めてラインナップは25種以上ある。

注目すべきシャフトには、Project X EvenFlowシリーズ(新しい1100 Whiteを含む)、Fujikura Pro 2.0、およびTensei CK Blue and Orangeシリーズがある。CK Proモデルは、150ドルの追加料金で注文できる。

小売価格は575ドルで、2019年1月15日に発売される。

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