クロムソフトの発売からわずか3年で、キャロウェイはタイトリストPro V1に次ぐ人気ボールブランドを確立した。マーケットシェアを着実に伸ばし、ボールカテゴリーでNo.2の座を獲得したのだ。特筆するほどのことでもないと思われるかもしれないが、これは重要ニュースだ。なぜなら、それまでのゴルフボール市場は、「タイトリストとその他大勢」という構図であったのに対し、今では「タイトリスト、キャロウェイとその他大勢」に変わったからだ。

キャロウェイにとってはすばらしいことだろう。だが、ボールマーケットが変化していることは見過ごせない。USGAの規制がボール分野のイノベーションを妨げているため、かつてはメジャーブランドが独占していたカテゴリーで、小規模ブランドや消費者直販型のブランドはもちろん、コストコまでもが徐々にシェアを伸ばしている。毎週のように小規模ブランドが台頭してくる中、高い価格設定のメジャーブランドはどのように消費者をつなぎとめるのか。

それは、「ボール業界を変えたボール」をさらに進化させればよい。

まずはキャロウェイの新クロムソフトとクロムソフトXに関して少しだけ説明しておこう。

 

4層構造

本題に入る前に、クロムソフトとクロムソフトXの4層構造について少し触れておきたい。多くのボールデザイナーは、ボールのレイヤー数が多いほどスピンの特性をうまく活かすことができるという。しかしキャロウェイは両モデルに4層構造を取り入れているが、層の数で差別化を図ろうとはしていない。

グラフェン

注目するべき点は、クロムソフトのアウターコアに、画期的な新素材グラフェン(シート状の結合炭素原子)を採用したことだ。グラフェンは、その柔軟性にもかかわらず、地球上で最も強い素材と言われている。そして強いだけでなく軽量でフレキシブルだ。まさにゴルフ用品にピッタリの素材だといえる。

これまでにAldila製の新SYNERGY(シナジー)シャフトにもこの素材が使われている。グラフェンがキャロウェイの言うとおりのすばらしい素材だとすれば、クラブのヘッドに使用される日も近いかもしれない。

大きく・軟らかく・速く

キャロウェイはグラフェン素材を使うことにより、インナーコアをより大きく柔らかくすることに成功した。アウターコアに挿入されたグラフェン素材は、インナーコアのヘルメットのような役割を果たす。さらにグラフェンは2つのコアレイヤーの圧縮差を増す効果もある。前モデルのクロムソフトに使用した素材では、割れるリスクを抑えながら同時にアウターコアを頑丈にすることはできなかった。

つまりキャロウェイは、クロムソフトの特徴であるソフトフィールを保持し、どんな場面でもより速いスピードを生み出すボールを開発したということだ。

注意しておくが、USGAはゴルフボールの飛距離に制限を設けている。したがってメーカーが他のブランドのボールより飛ぶと主張したとしても、それは制限内での比較結果であって、飛距離の限界を示すものではない。

ヘッドスピードの速いゴルファーがクロムソフトを使ってペナルティが生じることを考えれば、キャロウェイにはまだUSGAの制限を受ける程度の余裕があるということだ。テーラーメイドのTP5のように、明らかな飛距離の差を享受できるボールだ。もしキャロウェイの話が事実なら、ショートアイアンやウェッジショットの際に、スピンを犠牲にすることなく飛距離を伸ばせる。ソフトな打感のボールで、これらのメリットが得られるのだ。

余談だが、この画期的新素材「グラフェン」をボールに使用したのはキャロウェイが初めてである。数年前キャロウェイは、以前ナイキのボールデザイナーだったロック・イシイ氏を採用した。ロック氏は真のイノベーションを追い求め、ボール素材の常識に果敢に挑むことで定評があった。グラフェンのパフォーマンスが期待に応えてくれるかは、いまのところまだ分からないが、グラフェンのような画期的な素材の開発こそ、キャロウェイがロック氏に期待していたことだった。

薄くてソフトなカバー 

クロムソフトの特徴は何といってもソフトカバーである。打感という大きな問題のなかにおいて、この部分の改良は見過ごされやすい。これはもったいない話だ。薄くソフトなカバーは、グリーン周りでのスピンを高めるだけでなく、耐久性も増すからだ。

 

360 HEX エアロダイナミクス

キャロウェイの特徴的なHEXディンプル(非常にクールだ)は、新クロムソフトにも引き続き採用されている。目立った変化といえば、新しい成形プロセスの導入で、カバーに継ぎ目がなくなり、より安定したエアロダイナミクスパフォーマンスをもたらすようになった点だ。

 

打ちやすさが向上 

ゴルフボールに対しても「打ちやすさ」の議論がされるようになってきた。ほとんどのメーカーは、外側のレイヤーに重量を配置することで、高いMOI(慣性モーメント)が期待できると強調する。ゴルフクラブの設計と同じ理屈である。重心位置から重量を遠ざければ、より安定が得られる。すなわち風に強いボールということだ。

しかしキャロウェイの解釈は少し違う。キャロウェイの説明によると、硬めのボールと比べて、軟らかいボールはつぶれやすいのが特徴なので、たとえオフセンターのショットでも、ボールがつぶれることで飛距離が伸びるという。

 

ゴルフボールのナンバー 

これは技術的な話ではないが、ゴルフボールに印字されたプレーヤー番号のフォントが大きくなった。外見上の些細な変化だが、全モデルとの差別化を図り、目立たせる工夫がされている。

クロムソフト VS クロムソフトX

オリジナルモデルのリリース後、わずか1年での新クロムソフトXの発表には驚きだが、クロムソフトにグラフェン素材を応用できたことで、クロムソフトXのタイムラインに拍車がかかったのだろう。

最初に述べたとおり、両モデルとも4層構造を特徴としている。前モデルと比較して、どのクラブに対しても飛距離を伸ばし、さらに低弾道かつグリーン周りでのコントロール性に優れていると、キャロウェイは繰り返し主張する。

キャロウェイのほとんどのツアープロがこのクロムソフトXを使う予定だが、クロムソフトとクロムソフトXの差は以前のモデルからの変更に比べて小さいとキャロウェイは認めている。両モデルともにソフトで、ミドルアイアンでは明らかに飛距離を伸ばし、グリーン周りでのスピンを増加する。

多くのゴルファーにとって、「打感」はボールを決める際の重要なポイントだ。新クロムソフトXは他のXボールよりもソフトな打感だが、クロムソフトよりは少し硬い感じだ。両方とも試して、気に入った方を選んで欲しい。

価格の上昇

キャロウェイの元祖クロムソフトは、Pro V1や同じカテゴリーの他のボールより低い価格で、あらゆる種類のインパクトをもたらす、初のツアーレベルのボールとして注目された。キャロウェイのセールスポイントは、打感と価格だといえる。打感は主観的なものなので数値化が難しいが、価格は比較しやすいポイントだ。クロムソフトの価格は上昇している。

新モデルの小売価格は44.99ドルで、前モデルの39.99ドルから5ドル値上げしている。キャロウェイゴルフ マーケティング部VPであるハリー・アーネット氏によると、新しく導入された複雑な製造工程が価格に反映されているが、値上げ分の価値はあるという。「間違いなくNo.1のゴルフボールだ」とコメントしている。

クロムソフトとクロムソフトXには、ホワイトに加え、イエローとトラビスがある。トラビスには、ホワイト/レッド、イエロー/ブラックがあり、シーズンをとおして他色が追加される予定だ。

2018キャロウェイクロムソフトとクロムソフトXは、小売価格1ダース44.99ドルにて2月16日より販売予定だ。

スーパーホットシリーズ

キャロウェイはクロムソフトに加えて、「スーパーホット」シリーズを発売する。スーパーホットは低価格で飛距離に重きを置いた商品だが、グリーン周りのコントロール性も維持している。

今回はスーパーホットシリーズにボールド文字が加わった。ボルビック(Volvik)やウィルソンのボールに似て蛍光マットな表面が特徴だ。最近では定番の白や黄色以外を好むゴルファーが増え、蛍光色の人気が高まっている。そのトレンドにキャロウェイが注目したのは当然の成り行きだ。

スーパーホットゴルフボールは、ホワイト、マットイエロー、レッド、オレンジの4色が発売される。

小売価格は15個入り29.99ドルて2月16日より発売予定。

 

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