90年代後半だったと思うが、リンジー・ローハンが出演した学園コメディーにこんな話があった。意地悪だが人気者の2人の少女がプロムクイーンの座を争っている。一方で、目立たない科学好きなオタク少女が、人知れずイメージチェンジを図ろうとしている。プロムの当日、意地悪な2人の少女がバトルを繰り広げるなか、イメージチェンジに成功して美しくなったオタク少女がプロムクイーンに選ばれるという話だ。

この話をゴルフに結びつけるのは少々無理があるかもしれないが、キャロウェイのRogueとテーラーメイドのM3/M4が意地悪な少女たち、ミズノの新作ドライバーがオタク少女と思っていただければ、今日の話は分かりやすいと思う。

私事で恐縮だが、私の娘たちが10代のころの記憶が鮮明によみがえってきた。

 

ミズノはウッドやドライバーに関しては見過ごされがちだ。2017年のMyGolfspy の Most Wanted Driver テストでJPX-900は平均的な評価だったが、テストで優勝したスリクソンZ565との飛距離の差はわずか1.7ヤードだった。

ミズノは昨年11月のST180のリリースを皮切りに、2018年に向けてウッドのラインナップを見直している。今日のGT180ドライバーとフェアウェイウッドのリリースで、ラインナップの見直しは完了する予定だ。

ドライバーラインナップの見直し

大手ブランドは、ウッドやアイアンに結び付けてブランディングする傾向にある。多くの場合は、上級者用と初心者用のドライバーだ。ところがテーラーメイドのM1 / M2 (R1 / RBZ が始まりかもしれない)は従来のやり方を打ち破っていた。

初級、上級といったカテゴリー分けではなく、移動可能なウェイト付きの「最大限の調節機能」と、ボールスピードテクノロジーに特化した「最小限の調節機能」に分類したのである。

最も調節機能が優れたドライバー?

1年半前にミズノのJPX-900ドライバーがリリースされた時に、「ゴルフ業界で最も調節機能が優れたドライバー」として紹介した。GT180も同レベルの調節機能を備えているが、ちょっとした工夫が追加された。(フェースではないが)

GT180には、センタートラックに沿ってスライドできる2つの可動式のウェイト(8g)がある。(2つとも前方、前方と後方に1つずつ、2つとも後方、あるいはその中間など、どの位置にもウェイトを固定することができる。)ドロー・フェードのバイアスに合わせ、ヒール・トゥにもスロットを備えている。

基本的にはJPX-900と同じ設定だが、1つだけ違う点がある。JPX-900のウェイトは、プラスティックコーティングのため物理的に大きくなっていたが、GT180のウェイトはすべて金属性のため小さくて高密度だ。

「以前は1か所に1つのウェイトしか付けられなかったので、もしヒールにウェイトを付けたら、もう1つはトゥかセンターに付けるしかなかったが、今は2つのウェイトをどの箇所にも配置できる。つまり最大8gだったのが16gまで付けることが可能になり、調節機能のレベルがはるかに高まった。」とボシャル氏は語る。

ミズノの2018年のラインナップも、この流れを汲んでいる。ST180(STはSpeed Tech の略)は、ボールスピードの最速化を目的とした調節機能のないモデル、一方GT180(GTはGravity Techの略)は、JPX-900の後継モデルであり、重力にこだわりのあるゴルファー向けの調節機能の高いドライバーである。寛容で、高い打ち出し、高スピンが特徴のJPX EZは取りやめとなった。

「私たちはハンディキャップではなく、プレーヤーのタイプに注目している。GTは自分で細かく調節するのが好きなゴルファー向けだ。ウェイト調節機能を最大限にすることに焦点をあててデザインされている。」とミズノゴルフ クラブエンジニアのクリス・ボシャル氏は述べている。

STとGTがミズノの戦略でどのような役割をはたすのか、また北米市場でどのように評価されるのかは後程お話しするとして、まずはGT180の外観と機能を見てみよう。

GT180は、フェースアングルの調節機能も備えている。アドレス時にソールが地面についた状態で、オープン、ニュートラル、クローズとフェースを調節できる。これもJPX-900と同じ機能だが、小型化と軽量化を実現した。

「パフォーマンスには変化がない。ただ、性能は良くてもアドレス時のルックスが悪いドライバーにはがっかりだ。ステーシー・ルイスのようなプレーヤーでも、ボールを置いてスタンスを取った時に迷いが出る。

気にする必要はないのかもしれないが、事実である。フェースアングルの調節機能は、このような迷いを払拭するのに役立つ。」

ツイストフェース?

テーラーメイドは盛んに「ツイストフェース」の効果を吹聴しているが、ミズノにとっては決して目新しい技術ではない。

「私たちは、フェースのトゥとヒールサイドに膨らみを持たせることで、ミスヒットを矯正してきた。フェースの中心から離れた部分で発生するギア効果に反作用して、適切な量のサイドスピンを与え、ボールをセンターに戻す。これは私たちが特にアピールしてきた設計要素ではなく、時間の経過とともに得た技術の1つである。」とミズノ研究開発部ディレクター、デビッド・ルーエリン氏は述べている。

まるで、ツイストフェースのようではないか。

調節機能を除けば、GT180とST180のヘッドは非常に似ている。クラウン内部をワッフルパターンにすることで、強度を保ちながら薄くすることに成功し、5gの軽量化を実現した。また、より魅力的なフェースにするために、一般的に使用されている6‐4チタンより強度が10%高い、高級チタン合金Forged SP700を使用している。

「私たちはこの素材にずっと注目していたが、製品化する際の最大の障害はコストだった。」

もちろん高価な素材が優れているとは限らないが、ボシャル氏によれば、SPはSuper Plasticity (超柔軟性)の略で、インパクト時に素材が圧縮されると6‐4やTi811チタンよりも強い反発力を発揮し、その結果ボールスピードを上げるという。

SP700のフェースは、USGAが定めるCT(特性時間)制限である257マイクロ秒に適合しながら、0.83COR(反発係数)の制限を超えるほど高性能だという。

「このチタンは、0.83CORのルールを回避しながらCT(特性時間)制限に準拠するのに有利な素材とでも言うべきか。他のチタンよりも、CORとCTの関係性が高いからだ。」

SP700は、目新しい素材ではない。タイトリストのC16コンセプトのドライバーや、Tour Edge XJ1ドライバーにも採用されている。他のメーカーは、主にツアー向けクラブにこの素材を使っている。ボシャル氏は、「テーラーメイドのツアーウッドにもSP700を使ったものがあったが、市販のモデルでは6‐4や他のチタンを使っている。コストは度外視して、ボールスピードを追求する状況下で使われてきた。」と語った。

ミズノは、GTとSTのシャフトを豊富に取りそろえている。オリジナルシャフトは三菱 Kuro Kage TiNi Dual Core だが、小売販売用に「シャフトパック」を用意しており、追加料金なしで交換可能だ。シャフトパックには、さまざまなフレックスとウェイトのKuro Kage、Tensei ホワイト、オレンジ、ブルーが含まれる。軽量のオプションには三菱 Basara(43g)がある。

GT180フェアウェイメタルも、JPX-900の調節機能が引き継がれている。ソール部分に、前後にスライドするウェイトを搭載している。1770マレージングスティールフェースを採用しているが、ボールスピードを上げるためにフェースをわずかに薄くした。

GT180ドライバーのロフト角は9.5度を基本とし、上下2度で調節が可能である。フェアウェイウッドは15度の3番と3TS(ツアースプーン)と呼ばれるロフトの大きい3番が発売される。

両方とも右利き用のみ。STシリーズはより幅広い展開となっており、限定のHLドライバーや、3番と5番ウッドも右利き用、左利き用がある。ミズノは両モデルとも上級者向けだとしているが、ハンディキャップの高いプレーヤーにはSTラインが向いているかもしれない。

GT180ドライバーの小売価格は499.99ドル、フェアウェイウッドは299.99ドルで本日より出荷開始。来週から店頭で販売開始予定だ。

 

ミズノ最大の改革

昨年ミズノは、自社製品の評価を試みた。ミズノのブランドにふさわしいものと、そぐわないものを見定めるためだ。その結果、EZモデルを排除した。

「EZは失敗に終わった。すべてのゴルファーに合わせた商品を作るのは無理だと悟るきっかけとなった。会議でクラブ製作の話になるたびに、できるだけ多くのゴルファーにアピールすることを優先した結果、結局のところ誰にもアピールしない中途半端なクラブになってしまった。平均的なゴルファーのための平均的なクラブを作るのではなく、もっと対象を絞り、『これぞ私のクラブだ』と思わせるようなクラブを作るべきなのだ。誰も「平均的なゴルファー」になりたいと思っていないのだから。」とボシャル氏は言う。

「ゴルファーがミズノに求めるものは何だろうかと自問し続けた結果、超初心者向けのプロダクトではないという答えにたどり着いた。私たちは方向性を定め、焦点を絞ったのだ。すべてのゴルファーに合わせた商品を作るのは不可能だと悟った。」

それゆえ、ミズノはSTが初級向け、GTが上級向けとは考えていないし、ウッドとアイアンを結びつけたいとは思っていない。

「ミズノは幅広いレベルのプレーヤーに向けた2つのドライバーを作りたかった。特に最初は上級プレーヤーを優先した。十分なMOIを得るために、すわりは大きめだが、質量を前方に配置することで低スピンを実現した。ロフトを増やし、ソフトなテーパーシャフトを使用することで、スピンを操作して打ち出しを上げることは簡単に操作できる。しかし、すでに高くなりすぎている場合には下げることは難しい。」(ミズノゴルフ クリス・ボシャル氏)

ミズノの改革は、GT180とST180、CLKハイブリッド、S18とT7ウェッジと2つのアイアン(JPX-900 と MP18)に託されることになった。

昨年11月にお伝えしたとおり、2017年のミズノのアメリカ市場(北米、中米、南米を含む)でのビジネスは厳しいものだった。ミズノゴルフの水野明人社長は、何らかの対策を講じると公約している。

直近の四半期レポートによれば、アメリカ市場全体のセールスは下落(ブラジルとフットウェアの不振が影響)しているものの、ゴルフクラブの売り上げはわずかに上昇している。ゴルフ市場全体の回復と、満足のいくカスタムフィッティングビジネスを主な上昇の理由としてあげている。

「焦点を絞った戦略に方向転換して以来、JPX-900は勢いづいている。この調子で2年目に突入したら、MP18はどうするか様子を見ようと思っている。」

ボシャル氏によれば、JPX-900アイアンのラインはミズノの売り上げの80%を占めているという。ベストセラーはJPX-900 Hot Metalで、皮肉なことに初級者向けとキャストアインはミズノの弱点として知られている。

ボシャル氏はミズノのウッドに関して、2015年にJPX850が発売されて以来、忘れ去られたマニア向けクラブの売れ行きも向上していると述べている。市場シェアも1%近くに達している。数字自体は多いとは言えないが、ほんの数年前までは0.25%だったことを考えると、大幅な増加だ。JPX850の発売以来、ミズノはウッドの研究開発により多くの時間と労力と資金を費やしているという。

それでもやはりアイアンがミズノのビジネスの主力であり、焦点を絞った戦略がビジネスの好転をもたらすと確信している。

「アイアンのセットを8つから6つに減らした。今後は5つまで減らすことはあっても、増やすつもりはない。数が多すぎるメーカーへの不満を、小売業者から聞かされているからだ。シンプルなのが一番なのだろう。」

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