“ 私たちは、40年以上にわたってアクシネットとともに歩み、素晴らしいリーダーシップ発揮したWALLY UIHLEINに感謝している。彼が会長の顧問として役員会に残ると聞いてとても嬉しい。アクシネットは、戦略立案、企業買収、販売促進、用品規制問題などの分野における彼の幅広い知識と経験を生かして今後も収益を上げていく。”(アクシネット会長 GENE YOON)

 

長年アクシネットで社長兼CEOを務めた Wally Uihleinは取締役会に対し、2018年1月1日をもって引退する意向を伝えた。押さえておきたいポイントは以下の通りだ。

 

・Uihleinは1976年にタイトリストの親会社でキャリアをスタートし、1995年から上級管理職を務めている。

・彼は取締役会に残り、会長の顧問となる。

・現在のCOO、David Maherが次期社長に就任予定。

・次期社長Maherは1991年にアクシネットに入社、2016年より現職(COO)。

 

ゴルフボールブランドとして有名なタイトリストは、明確にアスリートゴルファーに焦点を当て、「製品第一主義」という不変のアイデンティティーを確立している。Wally Uihleinの息がかかったアクシネットのブランド群を言葉で表すとすれば、「原理原則主義」「一貫性」あたりだろうか。

 

変わるゴルフ業界

Uihlein氏の退職は、ここ数年のゴルフ用品業界で3番目に注目すべきリーダーシップの変化を告げるものとなった。

Chip Brewerがキャロウェイの暫定CEO、Tony Thornleyから経営を引き継いだ時、彼は会社の文化と、用品業界内の権力バランスを急速に変えるビジネスプランを実行した。

テーラーメイドは、Mark Kingのアディダス(北アメリカ)配属以来、二度にわたるCEOの変更に耐えてきた。Ben SharpeのCEOとしての任期は、現CEOのDavid Abeles就任の6ヵ月前に終わっている。過去2年間に渡って、テーラーメイドはウッド・アイアンの両部門で首位の座を奪われている(小売売上高ベース)。混乱を引き継いだAbelesのもとにはほとんど何も残っていないが、会社がアディダス傘下からKPSの所有へと移るに連れてこの衝突が収束していく兆しがある。

2回、いや3回にわたるリーダーシップの重大な変化、そして大きく異なる2つの結果。 新しいリーダーシップの下で、アクシネットから何を期待できるだろうか。

トップの交代はほとんどの場合組織体制の変更も伴うが、今回の状況はキャロウェイ、テーラーメイドの時とは違う。タイトリストのアイデンティティーは社長が交代してもしっかりと守られるだろう。ただし、この先も挑戦することはないと言っているわけではない。私たちは変化するボール市場がアクシネットの収益にどう影響するかについて議論したが、恐らく会社の公有化が何を意味するのかを理解し始めたに過ぎないのだろう。

とは言え、私は急激な変化を望んでいるわけではない。 ブランドメッセージの配信方法の最新化やコアゴルファーの囲い込みは、競合他社の場合派手に行われるが、アクシネットでは静かに続いている。これはアクシネットのアイデンティティーの一部でもあり、 タイトリストファンが感じるブランドの魅力でもあるのだ。 これらはオーバーホールではなく、アップグレードのための努力なのだ。

BrewerやAbelesとは違って、Maherはまったく新しい航路を開拓する必要はない。 時には嵐の中で舵を取らなければならないかも知れないが、それ以外は今の航路を進んで行けばいいのだ。

アクシネットの辞書に偶然という言葉はない。アクシネットのアイデンティティーは会社と顧客にしっかりと根付いた状態で、今回のCEO交代が何か月にもわたって計画されてきたことはほぼ間違いないが、業界のこれまでのCEO交代と今回とでは緊急性や必要性が異なる。

これにより、Uihleinの業界への貢献やアクシネットブランドの成功は誇張される可能性はあるものの、このCEO交代はスムーズかつ平穏に進むだろう。

 

長期的戦略の意味合いを考えれば、いろいろ詮索するのはまだ早すぎるだろう。