「スター」と言えば、一般的には、高い地位を示すものや非常に特別なことにおいて注目を浴びることを意味する。

キャロウェイにとっての「スター」とは、軽量モデルにおけるキャロウェイ独自のテクノロジーに対して、その性能のためならコストを惜しまないゴルファーを魅了する特別なクラブシリーズを言う。

販売戦略で言えば、北米においてこのシリーズは、スタンダードの「EPIC FLASH」と競合せず、ゴルファーの中のコア層(大部分が販売サイクルのこの時点において、すでにクラブをアップグレードしている)の声に応えるスペックとなっているシリーズだ。

それだけに、キャロウェイでは「EPIC FLASH STAR」をかなり軽量化したこと以外は、その特徴である超高級素材と高性能のパフォーマンスの全てを受け継いだ他に類を見ないシリーズとしている。

各メーカーは発表する商品に対して自信を持っているものだし、「EPIC FLASH STAR」の登場により確かにゴルファーは新たな選択肢を得たわけだが、欠点がないとは言い切れないはずだ。

ここからは「EPIC FLASH STAR」シリーズの各クラブが、スタンダードの「EPIC FLASH」シリーズの各クラブと何が違うのか、スペック、デザイン、調整機能に絞り比較した。

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今回の「EPIC FLASH STAR」シリーズは、現行の「EPIC FLASH」同様に、キャロウェイの特徴的な全テクノロジー(FLASH フェース、カップフェース、JAILBREAKテクノロジー、ウレタン・マイクロスフィア、MIM’dタングステンウェイト、サスペンデッドエナジーコア、トライアクシャル・カーボンクラウン)を採用。

強いて言えば、「EPIC FLASH STAR」は(シャフト、グリップ、ホーゼルを)「EPIC FLASH」を軽くしたモデルで、ゴールドをアクセントに黒を基調にしたモデルとなっている。

 

EPIC FLASH STARドライバー

「EPIC FLASH STARドライバー」は、ロフトスペックが1つ追加され合計で3つのロフト設定となった。

しかし、レフティ用は10.5°のみ、12度と13.5度は右利き用のみである。「EPIC FLASH」と比べると約50g軽量で、前作の「EPIC STAR」に比べると、約20グラム軽量化されている。

もちろん、驚くべき数値だ。

しかし軽量化は、軽量シャフト(30グラム台のUST Mamiya ATTAS Speed)とグリップ(30グラムのGolf Pride JL00)を採用し、アジャスタブルホーゼルをやめたことで達成している。

「EPIC FLASH STARドライバー」のヘッド重量は、スタンダードの「EPIC FLASH」とほぼ同じ。

比較するために、「EPIC FLASH」のヘッドをアジャスタブルチップなしで計測したところ、191〜192グラムだった。

キャロウェイのスタンダードなオプティフィットアダプターは9グラムなので、合計ではおおよそ202グラムということになる。

「EPIC FLASH STARドライバー」のヘッド重量は、オプティフィットアダプターを搭載していないことで、製造上の公差はあるが196グラム前後となっている。

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超軽量と聞くと、それはクラブヘッドの重量を変更して実現したと思う方もいるだろうが、今回はそうではない。

ロフト、ライ角、フェース角を固定したことでクラブ全体は軽量化したものの、調整機能などのオプションがなくなったと言う人もいるだろうが、調整機能はスイングスピードが速いゴルファーに向けたものであり、このクラブのターゲット層に対しては響かないのだ。


 

EPIC FLASH STARフェアウェイウッド&ハイブリッド

ドライバー同様、「STAR」シリーズには、「EPIC FLASH」のフェアウェイウッドとハイブリッドに搭載されたテクノロジーが継承されている。

繰り返しとなるが、重量を抑えた主な要因は、固定されている(調整できない)ホーゼルと、40グラムのATTAS Speedシャフト(ハイブリッドには50グラムのATTAS Speedが装着可能)とGolf PrideのJL00かJ200グリップにある。

フェアウェイウッドには、キャロウェイ独自のJAILBREAKとカップフェーステクノロジーを採用。

これまでにない初速を実現した他、T2Cカーボンクラウンにより重量をヘッドの下部と後方に再配分したことで、打ち出し角がアップし寛容性/慣性モーメントが向上している。

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一方、ハイブリッドには、JAILBREAKテクノロジー、極薄455カーペンタースチールフェース、MIM’dタングステンウェイトが搭載されており、周辺に重量が配分され打ち出し角もアップする。

「EPIC FLASH STARフェアウェイウッド」は3番、5番ウッドで右利き用と左利き用があり、7番、9番、11番は右利き用のみラインナップしている。

「EPIC FLASH STARハイブリッド」も3H~6Hまでは右利き用と左利き用をラインナップ。7Hと8Hは右利き用のみだ。



 

EPIC FORGED STARアイアン

「EPIC FORGED STARアイアン」は、「EPIC FORGEDアイアン」に比べてさらなるストロングロフト(PWで38度)設定で、レディース/HLモデルではスイングスピードの遅い方にフィットするロフト角に設定されている。

標準モデルは5番アイアン(22度)からSW(55度)、レディース/HLモデルは6番アイアン(26度)からAW(48度)のセット。さらに、ロフト54度のSWもラインナップしている。

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しかし、最も特筆すべきは「EPIC FORGED STARアイアン」には、キャロウェイが「インフィニット・ブラック」と呼ぶカラーリングを採用していることだ。

以前からDLC仕上げやDBM仕上げよりも耐久性がないとされているPVD仕上げとなっているが、キャロウェイによれば、徹底的なベーキング処理により耐久性がアップしているそうだ。

留意しておきたいのは、どんなアイアンでもウェッジでも、ブラック仕上げだと劣化していくということ。

フィニッシュによっては他の仕上げよりも耐久性はなく、市場に高品質なブラック仕上げが揃っていることを考えると、なぜ1本325ドルもするクラブにそうした仕上げを採用しなかったのか疑問が残る。

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何れにしても、極端なストロングロフトにしたからこそ、(インパクト時のロフト角)の方が(ソールに刻印されている数字)よりもはるかに大切ということが間違いないと分かった。

実質的に、メーカー次第でロフト22度のクラブを5番、7番、2番などと好きなようにつけることができるが、使えるクラブの本数は決まっているし、ストロングロフト化すれば結果として多くのウェッジを入れなければならないという事実は残る。

別の言い方をすれば、何も関係ないのはドライバーだけ。飛距離アップしても良いのはドライバーということだ。

他の12本のクラブは、番手間の飛距離差を合わせる必要があり、ロフト45度のAWでもロフト45度のPWでも、結局のところ、重要なのは番手間のギャップをカバーできるセッティングにすることにある。

価格(ドライバーが699ドル、FWが399ドル、ハイブリッドが325ドル、アイアンが325ドル/本)に大きな差がなければ、今回の「STAR」シリーズは、キャロウェイのラインアップにとって妥当な追加モデルにも見える。

超軽量モデルは、シニア層やスイングスピードが遅くボールを上げることに苦労しているゴルファーにはメリットがある。

しかし、話が少し複雑になっているのは、「STAR」シリーズが、異なる市場をターゲットにした日本向けクラブ(日本市場に特化した特性を持つクラブ)を発売する米国メーカーの一般的な例になっているからだ。

キャロウェイはこの点を、前作の「ERIC STAR」シリーズは、もともと日本向けクラブ主導でリリースしたとマーケティング資料で言及している。

「EPIC FLASH STAR」シリーズは、スイングスピードが遅く、高価で華美なゴルフクラブを好む日本市場には完全に理にかなったモデルだ。

とは言え、キャロウェイはこの新シリーズが北米でも同様の属性のゴルファーにも受け入れられることを期待しており、軽量シャフトとグリップ(そしてアジャスタブル機能なし)が、提示価格に十分に見合ったものであるか疑問に感じる可能性は高いだろう。

これはごもっともな話だし、最終的に市場が判断することだが、みんなの意見も聞いてみたい。