ゴルフオタクの皆さんに一つ質問をしたい。もしあなたがメーカーで、ウェッジを1モデルだけ造るとしたら、誰をターゲットにするだろうか?

きっとほとんどが、「ゴルファー全員」と答えるだろう。しかし、その答えは正解ではない。

 

どのメーカーも同じようなベーシックなアイアンを取り揃えている。上級者向けマッスルバックとキャビティーバック、2種類の中級者向けアイアン(スタンダードとプロ向け)、初級者用アイアン、そして超初級者用アイアンだ。

ところが、標準的なブレードタイプのウェッジのバリエーションはメーカーによって様々である。

昨年、クリーブランドはCBXウェッジを発売した。型破りなこのキャビディーバックウェッジは、ボリュームゾーンである中級者をターゲットにしたウェッジであった。

「中級者向けのキャビティーバックアイアンを使っているに、なぜウェッジは同じカテゴリーのものを使わないのだろう?」とクリーブランドは疑問に思っている。もちろんすべてのゴルファーに当てはまるわけではないが、中級者はマーケットで大多数を占める「分厚い層」だ。

今日のトピックはクリーブランドの新製品RTX-4の紹介だが、前作CBXがなければクリーブランドはこれほど積極的にRTX-3からRTX-4への改良に挑むことはしなかったはずだ。それどころか、クリーブランドはRTX-4を完全に「ツアーモード」に仕立て上げたという。

一切の妥協と言い訳のない、上級者向けのウェッジだ。

 

あらゆる状況のショットに対応

「ゴルファーによってショートゲームは十人十色であり、そのニーズも当然違う。ウェッジに多機能や、薄いソール、重いシャフト、よりコンパクトなヘッドを求める人もいれば、やさしさを求めるゴルファーもいる。彼らはショートゲームを複雑にしようとしているのではなく、簡単さを求めているのだ。」クリーブランド マーケティング部長ブライアン・シェルケ氏はMyGolfSpyの独占インタビューにこう答えている。

 

「あなたがウェッジを1モデルだけ造るとしたら、誰のために造るだろうか?ツアープロ用にして、アマチュアゴルファーは放っておくだろうか?」

 

CBXウェッジの登場は、上級者とツアープロをイメージしながらクリーブランドの主力ウェッジを洗練させる機会となった。シェルケ氏は「我々は、妥協する必要はない」という。

RTX-3は洗練されたウェッジであり、売上も上々、その後の人気も健在だ。しかし、クリーブランドのツアースタッフは満足していなかった。

「RTX-3には、我々が好むようなものはさほど採用しなかった。V-Soleは好みの二極化を招いたと思う。」(クリーブランド ブランドマネジャー ザック・オークリー氏)

 

一方、RTX-4は全く違うストーリーだ。昨年12月よりプロトタイプがツアーで使われ、テッド・ポッターがペブルビーチで優勝した時もバッグに入れていた。

RTX-4は、上級者やツアープロが求めるものに絞り込んで開発している。ウェッジオタクを驚かせるようなアグレッシブなミーリング、多彩なグラインドオプション、よりコンパクトなスタイルが特徴だ。

フェース

RTX-4は、クリーブランドのユニークなロテックス・フェース・ミーリングパターンを採用したウェッジとして4世代目となる。

クリーブランドはカッティング及びミーリングプロセスでのカッターの消耗について深く理解しており、それを生かして彼らのこれまでのウェッジ中で最もシャープな溝である「ツアー・ジップ・グルーブ」を完成させた。

「私たちはツアー・ジップ・グルーブを4世代に渡り改良してきた。使用を重ねるごとに刃(カッター)がどのように擦り切れるか、交換時期はいつか、USGAの規定内に収めるためにはどこまで削れるかを正確に把握している。」

「これらのカッターはとても小さく、精密に設計されている。そのカッターで初めて削る時は、規定に反しないよう慎重にならなくてならない。なぜかというと、それがどのように摩耗するかまったくわからないからだ。私たちはこれまで何千回もミーリングをしてきた溝のデータを取り、その仕上がりを正しく把握することで、より自信を持って挑むことができるようになった。」

クリーブランドは、製造中のウェッジの溝を守るために極めてユニークで独自の方法を採用している。ミーリングを行った後、粘度のある保護剤のようなものでエッジ(溝を断面図で見た時の「角」)部分まで覆う。

これはサンドブラスト工程(砂を吹き付けて細かい傷をつけ、ツヤを消す)でエッジが摩耗するのを防いでくれる。全ての製造工程が完了したら保護剤を溶かして、美しい溝を復元するのだ。

他のメーカー同様、クリーブランドはゴルファーから得た生のデータを参考にする。

南カリフォルニアにいる2千人ものゴルファーで構成される「Launch Squad」といわれるチームが開発中のテストに呼ばれたが、ここでクリーブランドは、アマチュアゴルファーが100ヤード以内から打ったショットの約70%がラフまたはバンカーからのショットだという事実を突き止めた。

「ラフやバンカーからのショットでスピン量が最適になるように設計している。それがゴルファーに最もスピンを必要とする状況だからだ。ティーアップしたウェッジショットでは、スピンを生成する溝さえ必要ない。コントロールを失うのは、芝や土、がれきの上から打つ時だ。私達が目指すのは、あらゆるショットを安定させることであり、そこで役に立つのがラフからでもフェアウェイからのように打てる、クリーブランドのグルーブというわけだ。」

<表内説明>

ロボットテストはラフからのショットを想定し、60度ウェッジを使用してフルショットとロブショットで行った。テスト対象クラブは、クリーブランドRTX-4、キャロウェイMD4、タイトリストボーケイSM7。フェースのセンターに当たった10ショットを対象とし、スピン量はTrackmanで計測した。

クリーブランドはキャロウェイやボーケイと比較したテスト結果として、ラフからのロブショットではスピン量が50%多く、フルショットでも500rpmほど多かったと報告している。

 

多彩なソールグラインド

 ソールグラインドの種類は3種類なら上出来だが、4種類あればベターだと思うがどうだろうか。

「LOW」「MID」「FULL」(わずかに改良されているが)は前作までと同じだが、今回クリーブランドは4つ目のグラインドとして「XLOW」という超低バウンスグラインドを提供する。

さらにLOW(ドット1つ)とMID(2つ)には、ドットを付けることでソールグラインドを分類している。FULLとXLOWにはドットがない。ソールを見れば、グラインドの種類が刻印されているのですぐにわかるだろう。

「FULLソールは、我々が従来から採用してきた588ソールだ。グラインドは少なく、十分なアーチがつけられており、フルショットではミドルバウンスのように感じる。しかし、オープンフェースにするとリーディングエッジが地面から離れるため、砂の多いバンカーや、柔らかい芝、深いラフに最適である。」

MIDは、V-Soleに少し改良を加えたものだ。フルショット時のリーディングエッジのバウンスがわずかに小さく、トレーリングエッジはグリーン周りで少しオープンフェース気味に打つゴルファーに役立つ。

LOWバウンスとは、従来のCグラインドのことだ。フェースをしっかり開いてグリーン周りからあらゆるショットを打ちたいゴルファーに役立つトレーリングエッジやヒール/トゥが特徴だ。タイトなライや硬い芝でのショットに最適で、クリーブランドのツアープロに人気のグラインドである。

「MIDとFULLソールは同じバウンス角であるが、微妙な差がある。MIDはV-Soleだが、FULLは従来のソールに近い。どちらもフルショットではミッドバウンスウェッジのように打てるが、フェースを開いた場合V-Soleは地面に対して位置は低いままだが、FULLではバウンスが増すという違いがある。」

 

さて、興味深い「XLOW」はどうだろうか。

「これはクリーブランドのウェッジの中でバウンス角が最も小さく、58度と60度でしか展開していない。特にグリーン周りからのオープンフェースショットに自信があり、高くて柔らかなスピンショットを打てるゴルファー向きに設計されている。リーディングエッジは少しバウンスがあるが、フェースを開くと芝にしっかり近くなる。

これらはコーステストで証明された。フェースを寝かせたショットや厳しいピン位置へのデリケートなショットも、XLOWでは恐怖も緊張もなく怖いくらい簡単に打てたのだ。

 

ヘッド形状と打感のバランス

アドレスでRTX-4を見下ろすと、RTX-3と比較して見た目が良くなっているのが分かるだろう。ただしその違いは極端ではなく、気付くレベルである。まず、ヘッド自体がRTX-3よりコンパクトで、明らかにオフセットが少ない。これらはツアープロを意識した改良なのだろう。

「トップブレードの長さは短く、高さは低く、オフセットは少ない。よりコンパクトな造りのため、スリクソン5、7、9シリーズから移行するには最適だ。」

低ロフト角では、かなりコンパクトなヘッド、より真っ直ぐなリーディングエッジが特徴だが、高ロフト角ではRTX-3よりは小さいものの、より丸みを帯びたリーディングエッジと比較的大きいヘッドを特徴としている。

さらにクリーブランドはフィール・バランス・テクノロジーを進化させ、まずRTX-3に、その後CBXウェッジに採用した。

「ウェッジにはかなり大きく、長く、重いホーゼルが付きものだ。それによってヒール側に重量が寄る。経験上、重心位置は8ミリ程度ヒール側に移動する。そのため、たとえフェースの中心で打ったとしても、ヘッドは回転してしまいミスヒット時のような動きになってしまう。」(クリーブランド シニアウェッジデザインエンジニア パトリック・リップ氏)

フィール・バランス・テクノロジーはホーゼルを短くし、ホーゼル内を削ることによって重心位置を中心に近づける。この重量調整方法は、現在キャロウェイやボーケイほか各メーカーのウェッジ製造においてトレンドになっている。

RTX-4ではバックフェースのフランジ(出っぱり)によって、重心はさらに中心に移動している。

「各ソールグラインドに、異なる重量配分が存在するのには明確な理由がある。例えばヒール部分の重量を減らせば、それをどこか別の場所に収めなければならない。クリーブランドには各ロフト、各グラインドにそれぞれ専用のバックフランジがあるため、望む場所に重量を配分することができるのだ。

「RTX-4はツアー寄りのブレードウェッジだが、重心位置はCBXウェッジよりフェースの中心に近い。」(パトリック・リップ氏)

クリーブランドはキャスト(鋳造)ウェッジのメーカーだ。RTX-4も例外ではなく、8620カーボンスチールで鋳造される。クリーブランドが流行のフォージドウェッジの乗っかることはないだろう。

「柔らかい素材で作られおり、特に重心が適切な場所にあるので打感が素晴らしい。マーケティング目的以外にフォージドウェッジにはメリットはない。」

 

スペック・価格・販売状況

RTX-4の仕上げは、ツアーロウ仕上げ(Tour Raw)、ツアーサテン仕上げ(Tour Satin)、ブラックサテン仕上げ(Black Satin)の3種類。これらには、長持ちさせるためのPVD加工が施されている。

前述とおり、グラインドオプションは56-58-60度のFULLグラインド、46 ~60度(2度刻み)のMIDグラインド、56~64度(2度刻み)のLOWグラインド、58度と60度のXLOWグラインドの4種類。

※表内用語:LOFT(ロフト角)、GRIND(グラインド)、BOUNCE(バウンス角)、LIE(ライ角)、LENGTH(クラブ長)、SW(スイングウェイト)、TOUR SATIN(ツアーサテン仕上げ)、BLACK SATIN(ブラックサテン仕上げ)、TOUR RAW(ツアーロウ仕上げ)、RH(右利き用)、LH(左利き用)

 

クリーブランドは、RTX-4にはTour issue DG400とゴルフプライドTour Velvetグリップを勧めている。追加料金なしのシャフトオプションには、KBS610、KBS Tour、Dynamic Gold 115、Nippon Modus3 105などがある。

グラファイトシャフトのオプションはないが(クリーブランドによると、上級者はグラファイトを使用しないという)、$10追加すればRecoilシャフトに変更できる。

RTX-4はRTX-3より$10高い$139.99で販売されるが、キャロウェイやタイトリスト、ピン、ミズノなどの最新ブランドに比べればまだ安い方だ(コブラ、ウィルソン、ホーガンはさらに安いが)。

8月13日よりRTX-4のプレオーダーが開始。正式な発売は9月14日の予定だ。

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