ゴルフクラブのパテント(特許)に関して昨日面白い情報が入ったので、シェアしたいと思う。

 

複数方向にウェイトを移動できる、内部ウェイト調節機能(Interior Weight Adjustable)搭載のヘッド。これが、スリクソンの構想だ。

少なくとも2014年以来、最も新しい特許申請となる。スリクソンが実際にこれを世に出すつもりなのか、それ以前に設計自体が実現可能かどうかさえも定かではない。しかしヘッドの調節機能においては、ここしばらくユニークな技術が出てきていないことを考えると、掘り下げてみる価値はあると思う。

イメージ図から分かるように、ヘッド内部の支柱に装着されたウェイトがあり、それにつなげられた「ボール・イン・ソケットジョイント」を使い、重心位置をコントロールすることができる。おそらく、小さなスクリューポートのようなものを利用して調整することになるのだろう。

SRIXON’S DRIVER HEAD

ポイントは、ウェイトを「前後」「左右」「上下」のどの方向にも動かせることにある。理論上は、それらを自由に組み合わせることができる。「究極の3次元調節機能」と思ってもらえば、わかりやすいだろう。

見えない内部ウェイトの微妙な位置をどうやって調節するのか?そんな疑問が浮かんでくるはずだが、スリクソンはその答えを用意している。

そのヘッドには、ウェイトに結合された、あるいはウェイト内に配置されたセンサーがあり、ヘッド内部のウェイトの位置を知らせる電気信号が伝わるような仕組みになっているのかもしれない。

ここ数年の間、ヘッド内のパッティングセンサーの話題が浮上していたが、これまで実際に使えるものは出てこなかった。これは内蔵型のヘッド計測器そのものではないが、現在のテクノロジーがどこに向かおうとしているかのヒントにはなる。

 

実現可能な挑戦

この設計を具現化するのは、間違いなく大きな挑戦となる。イメージ図から多くの可動パーツがあるのがわかるが、これまでのヘッド開発から考えると「耐久性」が問題になることは間違いない。

使う素材によってはその問題を解消することもできるだろうが、このヘッドを十分に機能させるには相当数のパーツが必要になる。それには莫大なコストがかかるため、設計の有効性が一部制限されるかもしれない。

同じくイメージ図では重量の大部分がヘッドの中央に配置されているが、実はこれは設計者が理想とするポジションではない。重量を外周部分に分散させにくくなるし、ヘッドの中心付近でウェイトを動かしてもさほど効果が出ないからだ。どんな可動式ウェイトでも、その効果はつまるところウェイトの重さと移動させる距離によるのだ。ただし、ある程度の効果を出すには、しかるべき重さのウェイトを広い範囲で動かす必要がある。

 

最後に、内部パーツは打音の問題を生む。ヘッド内部に様々なパーツを取りつけつつ、打音の良さを保つのは容易ではない。さらにそれらのパーツが可動式となれば、問題はさらに深刻になる。

それ以前に、消費者がこのような構造を理解できるだろうか?

SRIXON’S DRIVER HEAD

 

 

果たして、このクラブは世に出るだろうか?

このような特許申請は、ゴルフ業界に溢れている。何年か前に商品化されたものもあれば、実現には至らなかったが面白いアイディアもある。現時点では、このスリクソンの斬新なアイディアがどこへ向かうのかは分からない。ただ、内部ウェイト調節機能付きドライバーが市場に登場するのは、時間の問題だ。

今後も目が離せない。