「ONOFF」。電気スイッチのメーカーではなく、15年前に創立された日本のゴルフブランドである。アジア市場では、ブランディングがいかに効果的かを裏付けている。

オノフは、オンとオフ(コース内外)の両方で、「プレミアムライフスタイル」を求めるゴルファーにゴルフ用品を提供することを目指しており、それが社名の由来となっている。

そしてゴルフは、社会が市民に期待すること、つまり「善良で道徳的であること」を反映するというのがオノフのモットーでもある。

オノフの親会社であるグローブライド(旧ダイワ精工株式会社)は、釣り具で有名な世界的トップメーカーである。

グローブライドの売り上げのうち73.6%は日本市場によるものであり、そのうち84%は釣り具関連の商品に由来している。ゴルフ用品の売り上げは全体のわずか6.6%しかなく、その売り上げをオノフと、子会社であるフォーティーンで分け合っている。

 

日本のゴルフブランドは、理論上はほとんどがニッチと言えそうだ。オノフは、特にニッチな企業という見方もできる。日本のブランド全般を把握している人でさえ、日本市場でのオノフの立ち位置を理解できていないかもしれない。

オノフの置かれている状況は、PRGR(プロギア)など他の日本のブランドと大差はない。大企業の中で、ほんの一部の売り上げに貢献しているに過ぎない。

つまり、オノフとフォーティーンが親会社に与える影響は限定的である。日本と韓国の市場は競争が激化していることから、これは悪いことではないとも言える。ゴルフブランドが北米での認知度を高めるために、新たな熱意を持って取り組む理由の1つになるからである。

オノフの専門スタッフは少数であるが、日本と韓国では安定した支持を得ている。ブランドアンバサダーの片山晋呉と李知姫(イ・チヒ)は、アジアのゴルフ界では知らない人はいないものの、海外への影響力には欠ける。

44歳の片山プロが最後に賞金を獲得したのは、2013年のブリティッシュオープン(またはオープンチャンピオンシップ)のPGAツアーである。

一方、李プロは日本のLPGAツアーで過去22勝をあげているが、2001年以降は賞金を獲得していない。消費者は、プロ選手とブランドイメージを結び付ける傾向にある。若い世代や海外のファンを惹きつけるためには、オノフには改新が必要だろう。

クラブの生産地

日本のゴルフメーカーに関心があるゴルファーには、クラブの生産地が重要だ。日本のブランド名であれば、実際に日本製だと思いがちだ。だが早合点は禁物である。

「Made in Japan」の記述がはっきりと確認できない限り、疑う余地がある。事実、昨年私が日本の有名のメーカーからプレミアムフォージドアイアンを取り寄せた際に、シャフトには「Made in China」のラベルが貼られていた。

生産者がより複雑な素材とデザイン(ミウラゴルフのGenesisのような)を模索するにつれ、製造過程の一部を中国や台湾に外注するケースが増えている。その結果、開発、組み立て、最終検品までのどこかの過程で、日本国外での工程が組み込まれることは今後も増えるのではないか。

だがオノフのクラブは完全に日本製であり、常に改良を重ねながら、職人技や製造工程に至るまで日本の「ものづくり」の哲学を受け継いでいる。

 

 

ラインナップ

キャロウェイやテーラーメードのような世界的大手メーカーと、日本メーカーの大きな違いは、世界的メーカーが飽和状態といえるほど選択肢を増やすことで成功を収めているのに対し、日本のニッチブランドは、ある程度のオプション数でゴルファーのニーズを満すことに満足している点である。「質」対「量」の議論だけではない。

アメリカの消費者の特徴は、847あるテレビチャンネルや64種類のデオドラント、数多いファーストフード店などから見られるように、数多くの選択肢を与えられることに満足感を見出すのである。

ラインナップに関しては、オノフには3つの異なる商品ラインがある。レディース向け、初心者向け(飛距離を伸ばしたいゴルファー)そしてプロや上級のアマチュア向けである。

LADY:名称どおり、LADYは女性用にデザインされたラインで、軽量、フレキシブル(しなやか)なシャフト、女性らしい配色が特徴だ。LADYはあらゆるレベルの女性ゴルファー向けだが、上級プレーヤー(性別にかかわらず)にはAKAやKUROのラインのほうが、より適切なクラブを見つけられそうだ。

オノフのマーケティング資料によれば、LADYラインは、「快適かつフレキシブル」と説明しているが、これは時に、幅広いゴルファーに向けたマーケティングの難しさ強調しているようなメッセージだ。

AKA:このラインは「ゴルフはゲームであり、楽しむためのものだ」ということを思い出させてくれる。高い打ち出しと飛距離を伸ばすテクノロジー、そして寛容性の高さを重視することを意味する。

AKAラインの目玉は「パワートレンチ」で、これはインパクト時のフェースのフレックスを最大化してボールスピードを上げるテクノロジーである。最新のAKAラインは2016年に発売されており、テクノロジー自体は古いものではないが、最先端技術と呼ぶには少々無理がある。

ルックスに関していえば、AKAラインは幅広のソール、集めのトップライン、後方のキャビティーカットが特徴の典型的な初級~中級向けのクラブである。

KURO :KUROラインは上級者のニーズに応えるため、ツアープロの要望も満たしながら、あらゆる機能が要求される。私は、コースとForesight GC2-HMT 計測器の両方でKUROを試す機会があった。

オノフは、KUROラインの哲学を「自動から手動への移行」と表現している。すべてのクラブは、ブランドアンバサダーでツアープロである片山晋呉氏と共同開発された。

「アイアンに重要なのは、飛距離ではなく精度とコントロールである」というのが片山プロの哲学だ。MyGolfSpyのMost Wantedアイアンテストのトレンドでもあるが、飛距離を重視したアイアンは設計もセールスも容易だろうが、低ハンディキャップのプレーヤーのニーズに応えるとは限らない。

 

 

KUROアイアン(165ドル)は、プレミアムフォージド(S20C カーボンスチール)のキャビティバックとして設計されており、他の日本メーカーのアイアンよりもわずかに寛容性が増している。

片山プロによれば、スクエアでストレートなトップラインは、アラインメントをターゲットするのに優れており、自信を持たせてくれるという。

キャビティーのセンターに質量をおくことで、しっかりとした感触が増し、わずかに厚いソールが打ち出しを高めてくれる。ダブルニッケル仕上げは独特の外観で、グルーブ(溝)の間に追加で施されたミーリング(削り出し)は、あらゆるライに対応しスピンを安定させる。

片山プロは、同じキャビティバックデザインのピッチングウェッジでは、グリーン周りの多様なショットに対応できないと感じたため、代わりに巧みな形状とソールグラインドの46度のマッスルバックウェッジを採用した。

パフォーマンスに関しては、ライン全体をとおして安定しており、明確な弱点はない。私が使用するミズノMP18シリーズのボールスピード(6番アイアンで53.6~54.5m/s)には、KUROアイアンはよくマッチする。

Nippon Modus 125 Sシャフトは、私のスイングには完璧にマッチするとは言えないが、打ち出し、スピン、キャリーは許容範囲内であった。

厚めで粗削りな形状のトップラインは評価が分かれるだろう。個人的にはアドレス時のルックスは丸みを帯びたほうが好みではあるが、不快なほどではない。オノフは真のマッスルバックアイアンを販売していないが、ピッチングウェッジに変更を加えて、あらゆる上級プレーヤーのニーズに沿ったアイアンセットを提供している点は評価に値する。

 

打感は主観的なものではあるが、S20C フォージドヘッドにダブルニッケル仕上げを施し、Nippon Modusシャフトを組み合わせることで、純粋かつしっかりとしたインパクトを実現している。

クラブ全体ではタイトな感触を保ちながらも、はっきりとした手応えを感じる。これは、Nippon Modusシャフトのソフトな接合部分によるものと思われる。

クラブの打感において、シャフトとグリップ(ボールも含まれる)の役割についてある程度の知識が必要だ。打音は打感を生み出す。大手メーカーはインパクト音を作りだすことが可能で、一般ゴルファーはキャストアイアンよりフォージドアイアンを好む傾向にあるが、実際には両者の違いがはっきりとは分からないという意見もある。

クラブの一要素(この場合はヘッド)に焦点を当てると、そこだけが称賛や批判の対象になりがちだが、実際には、クラブは包括的なユニットとして機能を果たすのである。

日本メーカーのメタルウッドは、注目されないわけではない。キャロウェイのローグ、ツアーエッジCBXなど、固定ホーゼルの高性能フェアウェイメタルにトレンドがシフトしているため、消費者は調節機能を採用していない日本メーカーのクラブにも注目するべきだ。

KUROラインのメタルウッドが大手メーカーに追随する可能性もあるが、KUROのドライバーは650ドルで、プレミアム価格となっている。ルックスや、打音、打感など分かりやすい付加価値がない限り、アメリカの消費者は馴染みのないブランドの商品に高額を支払うことはない。

日本メーカーのメタルウッドによく見られるように、プロファイルは明らかに丸みを帯びており、クラウンはあえてベーシックにデザインされている。

唯一違う点は、5年程前のアダムのスピードラインドライバーを彷彿させるカーブスロットがドライバートップに見られる点だ。

LABOSPEC(ラボスペック)は、1度限り数量限定でカスタムリリースされるスペシャルラインだ。オノフのようなニッチなブランドはロフトの低いツアースペックのユーティリティーウッド、キャビティバックウェッジ、AKAとKUROの両ラインの利点を集めたアイアンセットなどをフルにリリースすることは珍しい。

オノフはこのスペシャルリリースに期待をかけているが、売り切れ次第販売終了となる。

ONOFFの魅力

オノフは典型的な日本メーカーといえる。どれか1つの要素がすばらしく卓越しているわけではないが、日本製の高品質と細部へのこだわりが感じられる。

ミウラやEponほどの名声はなく、日本の大手メーカーほどの生産量もない。しかし消費者に本当に必要な選択肢は何なのかを問題提起してくれるブランドだ。

オノフと他のブランドとの差は微細かもしれないが、意味があると思う。国際的な親会社の財務支援もあり、決められたタイムラインで新製品をリリースしなくてはならないというプレッシャーはないだろう。

オノフは他の大手メーカーのように積極的に売り込むとは思わないが、KUROのアイアンは比較的魅力的な価格であることを考えれば、日本のメーカーに関心があるゴルファーが、オノフを見過ごすのはもったいないことである。

オノフは、単に多くの日本のメーカーの1つに過ぎないのか、あるいは特別な何かがあるのだろうか。

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