ここ1年半の間、フジクラの主な話題は「ATMOS」であった。ツアースペックが4モデルになり、ATMOSはPGAツアーで常に30以上のドライバーに装着されるシャフトになった。ツアーで、最新かつ最高に優れたシャフトが支持されるというトレンドには目を見張るものがある。

ATMOSが順調に走り続ける中、フジクラはPROシリーズの次世代モデルである「PRO 2.0」をリリースした。

初代PROモデルは、大手メーカーのラインナップに採用されている。ツアーでも多用されており、アフターサービス市場でも順調な売れ行きを見せた。PROは素晴らしいデザインだが、ENSO(シャフト挙動解析システム)の本質が散りばめられており、PROの基盤を構築すれば、より改良できると確信したようだ。

 理想のローディング(しなり)

シャフトメーカーが打出しやスピンの話をするのは珍しくないが、PROのパフォーマンスの特長はシャフトの「しなり」だ。フジクラではENSOシステムにより、理想のしなりは最大約3.5インチ(9センチ弱)であると判断した。スイングスピードが31.3m/s程度のアマチュアゴルファーは、通常1.6~2.2インチ(4~5.5センチ)のしなりをもたらす。

しなりを理想の3.5インチに近づけるために、PROとPRO 2.0はより柔らかく使いやすい手元部分を採用することで、エネルギーを最大限に活かしてヘッドスピードを上げる設計になっている。

分かりやすく説明すると、PRO 2.0はシャフトの中央と先端部分が硬く、手元部分は柔らかい作りとなっている。オリジナルPROと同じ素材だが、PRO 2.0はローディング(しなり)部分をよりソフトにし拡張したのだ。中央と先端部分を硬くして、トルクを下げたことで安定性が増すという。

ツアースペック版は、フレックスが明らかに硬くなっており、分類上は柔らかめではあるが力強くアグレッシブなスイングのゴルファーに適している。

Cool Clubs S3システムの分類では、PROとPRO 2.0のどちらも低~中程度とされているが、フジクラによればPRO 2.0は初代PROより低スピンであり、ツアースペックはさらに低いスピン量が特徴だという。

注目度は低いがPRO 2.0のもう1つのセールスポイントは、スイングウェイトが軽くなった点だ。カウンターバランスの話ではないが、重量配分によりフィッターや自分でクラブを調整するゴルファーは、クラブが重く感じるリスクを抑えながら、ヘッド周りの重量をフレキシブルに移動することができる。

フジクラはPRO 2.0を「楽にパワーが得られるシャフト」と表現している。つまりローディング(しなり)に苦労しないということだ。ヘッドとボールのスピードを上げるだけでなく、疲労を軽減してくれる。16~18番ホールあたりで疲れ始めた頃、楽にしなりのパワーが得られるのはありがたい。

 

フジクラ PRO 2.0 : COOL CLUBS S3による比較

S3テクノロジーズは、業界で最も高度なシャフトテスト技術を駆使している。S3シャフト・シミュレーション・システムは、2013年に開発された全自動のシャフト計測器で、直線性、安定性、EI(剛性分布)、CPM分析、トルクなどを計測する。

通常これらのスペックはシャフトメーカーから入手可能だが、業界の基準が一定でないために正確な比較が難しい。S3テクノロジーズは、社内のすべての商品をシャフト・シミュレーション・システムでテストすることで、この問題を解決すると同時に、シャフト業界の品質と性能を独自かつ深く理解することにつながっている。

S3は標準化、定量化された情報を提供するだけでなく、テスト対象のシャフトが市場で売られている似たスペックのシャフトとどのように比較されているかを分かりやすく提示する。 

今回の比較では、PRO 2.0とPRO 2.0ツアースペック、初代PROモデルのS3データを比較対象とした。

フジクラ PRO 2.0 打ち出しの特徴

60グラムのカテゴリーでは、PRO 2.0両方のシャフトがCool Clubs S3 Databaseの低~中程度の打ち出し角に分類されている。両モデルとも、前モデルよりはわずかに高い打ち出し角となっている。

 

フジクラ PRO 2.0 剛性分布

次のチャートは、PRO 2.0と初代PROモデルのバット(手元)、ミドル(中央)、チップ(先端)部分の剛性を比較したものである。測定値は60~70グラムのフレックスSに基づいている。

 

各シャフトメーカーによってゾーンの定義に多少の差があるため、S3の測定値とメーカー表示が合致しないことはよくある。フジクラの説明では手元部分が柔らかいとなっているが、PRO 2.0は中央と先端部分(S3の定義上の)も初代モデルより柔らかくなっている。ここには表示されていないが頻度分析をしたところ、同等の重量とフレックスのシャフトにおいて、初代モデルの方がPRO 2.0よりも1/2フレックスほど硬いとされている。

 

フジクラ PRO 2.0 バランスポイント

次のチャートは、PRO 2.0と初代モデルのバランスポイントを比較したものだ。測定値は60~70グラムのフレックスSに基づいている。

S3データによると、標準モデルのバランスポイントはわずかな上昇だったのに対し、ツアースペックでは顕著な変化があった。

私たちの、シャフトパフォーマンスのGolf Geeks Storyから思い出されるように、高いバランスポイントはスイングウェイトに大きなインパクトを与えることなく、ヘッドウェイトを上げることを可能にする。飛距離を伸ばしたいゴルファーにとっては(精度を犠牲にすることが多いが)高いバランスポイントによって、より飛ぶドライバーを構築することができる。

 

フジクラ PRO 2.0 推奨スウィングスピード

下のチャートはPRO 2.0とPRO 2.0ツアースペックのラインナップにおける、スイングスピードの推奨値を示している。

※横軸の単位は「時速マイル」。70MPH(時速マイル)は31.3m/s(秒速メートル)、同様に80MPH(35.8m/s) 、90MPH(40.2m/s) 、100MPH(44.7m/s) 、

110MPH(49.2m/s) 、120MPH(53.6m/s) 、130MPH(58.1m/s) 、140MPH(62.6m/s) 、150MPH(67.0m/s)。

 

前述のとおり、新しいPRO 2.0モデルは初代モデルよりフレックスが1/2程度硬くなっている。ツアースペックモデルは標準モデルよりさらに1/2フレックスほど硬くなっている。チャートからもわかるとおり、PRO 2.0 TS 6(S)は、44.7~53.6m/sのスイングスピードのゴルファーに最適である。

標準モデルの(S)は、スイングスピードが40.2~44.7m/sのゴルファーに適している。.

これらの推奨スイングスピードは、シャフトの硬さや軟らかさの要因となる長さや先端部分といった要因を含む、S3の構築とフィッティング機能全般に基づいて割り出されている。

分かりやすくするために、このスイングスピードの範囲をもう少し絞りこんでみよう。フィッティングの観点からすると、ベストな領域は最低スイングスピードから25%以上の範囲である。一般的にはテンポの速いプレーヤーには、フレックスS(Stiff)が合うが、スイングが穏やかなプレーヤーには柔らかいフレックスが適している。

Cool Clubs フィッティングチームからのアドバイス

フジクラの新PRO 2.0デザインは、しなりの領域で非常にスムーズにエネルギーを移動し、インパクト時のヘッドスピードを向上させる。同時にねじれの剛性も増し、ショットコントロールの精度が向上し、スピン量を低下する。

PRO 2.0シリーズのシャフトは、50、60、70グラムの3種類の重量がある。フレックスのレンジはR2からX。ツアースペックの重量は60、70、80グラムの3種類で、フレックスはSとXの選択肢がある。それでは、60グラムのSフレックスに焦点をあててみよう。

スイングスピードが42.5~46.9m/sで中程度のテンポのプレーヤーにはPRO 2.0 6S が適しているだろう。スイングスピードが46.9~51.4m/sで早いテンポのプレーヤーにはPRO 2.0ツアースペック6Sが最適だ。

打ち出し角がニュートラルから中程度のカテゴリーの他社製品と比べて、PRO 2.0の打ち出しは少し高めとなっている。初代PROシリーズと比べると、手元部分がわずかに柔らかい感触で、中央部分はやや硬めだ。これらの特徴により打ち出し角が高くなり、突き抜けるような弾道と安定したショットが可能となる。

あらゆるレベルのゴルファー向けであり、低く設定されたしなり部分がインパクト時にクラブヘッドをスクエアポジションに戻す作用がある。

これらの情報は、3,200以上のシャフトを比較したCool Clubs S3シャフトエクスプローラーにより、PRO 2.0フレックス6SとPRO 2.0TSシャフトを測定した結果に基づいている。

PRO 2.0 (6-S) 類似シャフト

三菱 TENSEI(テンセイ)CK ORANGE 70R

・PRO2.0より重めかつ柔らかめで、打ち出し角は中程度だがPRO 2.0よりは高め。

UST マミヤ VTS Silver 6-S

・PRO 2.0より軽めで、フレックスは1/2弱硬い。バット部分(グリップ側)は硬め。

・PRO 2.0と同程度の打ち出し角、および中間とチップ部分のEI(剛性分布)。

 

PRO 2.0 ツアースペック(6-S) 類似シャフト

アルディラ NV 65S

・PRO 2.0 TSよりわずかに高い打ち出し(低中~中程度)

グラファイトデザイン MAD 65 PRO-S

・バット部分(グリップ側)が柔らかい点以外は大きな差はない。

販売価格

フジクラPRO 2.0の希望小売価格は225ドル。PRO 2.0のツアースペックは250ドル。

以前の記事でも触れたが、これはシャフトを評価する新しい方法である。今後のS3によるレビューのためにも、良かった点、悪かった点などコメントをお寄せいただきたい。またレビューを希望するシャフトがあれば、ぜひ知らせて欲しい。

Shares 0