メモリアルデー(アメリカ合衆国の戦没将兵追悼記念日、5月の最終月曜日)と軍隊に敬意を表し、ベティナルディ・ゴルフはミリタリーをテーマにした2作目のパター「BB56アルマゲドン」限定シリーズをリリースする。

前作と同様に、アルマゲドンパターはミリタリーモチーフを特徴としているが、今回のパターには史上最高の金属が使われている。

1年ほど前ボブ・ベティナルディ氏と彼のチームは、ミリタリーをテーマにしたBB1アルマゲドン限定版パター(BB1 Armageddon Limited Edition )を発表した。

そのパターは色彩をはじめ、軍用兵器からインスパイアされたデザインが特色だった。初の「Uパッチ」ヘッドカバーと組み合わせ、他にないユニークなパターが出来上がった。

今回のアルマゲドンパターは、前作をはるかに超えるクオリティだ。BB56は今年のMost Wanted マレットパターテストで3位になっており、ベティナルディブランド特有の精密な造りであるが、今回のパターが卓越しているのは「素材」である。

金属に関して言及するのは初めてではないが、ぜひお伝えしておきたい。このパターに使われる金属はレベルが違う。

BB56 アルマゲドン スペック:

・素材:ハイグレード(ミリタリー)Kaiser 6061アルミニウム

・インサート:ステンレス・スチールトップライン(303 Stainless Steel Topline)

・フェースミリング:フローティング・フィットフェース(Floating Fit-Face)

・重量:350グラム

・仕上げ:ステルス・デザート・サンド TPT (Stealth Desert Sand TPT)

・ライ角:70度

・ロフト角:2度

・グリップ: ベティナルディラムキンDeep Etched Cord Orangeグリップ

・製造数:125本

・希望小売価格:500ドル

・発売日:2018年5月24日

使用金属について

金属に詳しいゴルファーであれば、カイザー(Kaiser)6061アルミニウムと一般的な6061アルミニウムに明らかな違いはない、と異議申し立てをしたいかもしれない。

その言い分にも一理ある。専門知識は尊重するが、BB56アルマゲドンパターの金属が一般的なアルミニウムだというのは大きな間違いである。

そこで、専門家であるライアン・フィンチ氏に説明を求めた。

「この素材は、私の父の職場にあったものだ。そこでは、軍用車両ドアの装甲をカットしていた。通常は切り落とされた不要部分はスクラップにされるのだが、父はオーナーの許可を得て持ち帰ってきた。父は装甲を作る仕事に誇りを持っていたが、私が軍事派遣されたとき家族は辛い思いをしただろう。私たちは10年もの間、その素材で何か新しいものを作れないかと試行錯誤した。」

フィンチ氏の父親は、軍事派遣された息子の身を守るであろう装甲を製造する会社で働いていた。そして職場から持ち帰った金属が、後にBB56アルマゲドンパターの素材となったのである。

何と感動的な話だろう。私は胸を打たれて言葉を失った。私がパターについて感銘を受けることはまずないのだが、フィンチ氏からのメールを読んで、思わず立ちすくんでしまった。

ではなぜパターだったのか、そしてなぜベティナルディなのか。その理由をフィンチ氏に説明してもらった。

「私は、帰還後に父とゴルフを始めた。当初は、父と一緒にビールを飲む言い訳程度のものだった。しかしプレーするうちに、ゴルフに魅了されていった。その頃、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が現れはじめていた私にとって、ゴルフはいいセラピーになった。私がベティナルディ氏にコンタクトしたのは、父がベティナルディ氏の大ファンで、会社としても理想的だと思ったからだ。世界的な知名度はあるが大企業でもない。」

「目新しいプロジェクトをするには、丁度いい規模だ。メールにもちゃんと返信してくれた。ベティナルディは軍を支持しており、働くには申し分ない会社だ。会社というよりも、家族に近いかもしれない。その一員として働くことを、父も私も誇りに思っている。」

ここまで聞いて、ますます感動して言葉を失った。言葉を失うと記事が書けないのではないかと思われそうだが、本当のことだから仕方ない。このパターができるまでのいきさつに、驚きと感銘を隠しきれない。

 

アルマゲドン VS オリジナルBB56

BB56アルマゲドンのユニークさは、素材だけではない。オリジナルBB56とは、違うデザイン的要素も含まれている。

 

カラー構成

BB1アルマゲドンと同様、BB56アルマゲドンもこれまでにない仕上げが特徴だ。ステルス・デザート・サンド仕上げは、BB1アルマゲドンのフラット・ダーク・アース仕上げに比べて明るい色調で、アースカラーの要素が少ない。

軍用車両の写真を見ると、ステルス・デザート・サンド仕上げがよくマッチしている。彼らの狙いどおりの仕上がりだ。

 

設計を変更

色調の変更に加えて、他にも特筆すべきいくつかの設計の変更がある。

まずはオリジナルBB56のフライミルフェースが「フローティング F.I.T フェース(Floating F.I.T Face)」に替わった。F.I.Tフェースのミーリング(削り出し)プロセスによって、パターの打感をソフトにした。

アドレス時に、サイドキャビティーのミーリング(削り出し)のパターンが変更されたことに気づくだろう。

オリジナルBB56には小さめで数多くのリッジ(うね)がある一方、BB56アルマゲドンは、サイドに5本ずつリッジが施されている。BB56アルマゲドンの底部分には、オリジナルにあったような溝がない。そしてサイトラインは鮮やかなオレンジ色だ。

 

MOLLE (モール) デザイン ヘッドカバー

ベティナルディのアルマゲドンには、独自のヘッドカバーが付属する。

今回は「Uパッチ・ベルクロ(uPatch Velcro)」ではなく、軍事装備に使われる「MOLLE(モール)ウェビングシステム」のようなデザインのヘッドカバーである。一般人にはモールシステムは馴染みがないが、ウィキペディアにはこう書かれている。

「MOLLE(モール)とは、「MO:モジュラー、L:ライトウェイト、L:ロードキャリーイング、E:エクイップメント」(Modular Light Load-carrying Equipment)の略である。

モールシステムは、さまざまな種類のポーチや付属品を取り付け可能にするために、ベストやバックパックなどの表面に、耐久性の高いナイロン製のストラップ(PALS=ポーチ・アタッチメント・ラダー・システム)が縫い付けられたものである。」

このヘッドカバーはミリタリーのテーマに沿っているだけでなく、物を固定する箇所が設けられている。グリーンフォークやティーを入れることもできるし、小さなポーチを取り付けることもできるのだ。

 

即完売!?

製造数がわずか125本の限定販売なので、すぐに完売しそうだ。もし購入を検討しているのなら、急いでベティナルディの代理店に連絡したほうがいい。500ドルと聞いて興味を失った人もいるだろうが、限定販売のパターにしては高くはないと思う。

900ドルのBB56カスタムパターが、ベティナルディのホームページ「The Hive」で瞬時に完売になることを考えると、すばらしい金属で作られたBB56アルマゲドンは500ドル以上で売られても不思議ではない。

昨年に引き続き、ベティナルディ氏は退役軍人やその家族をサポートする「Warriors for Freedom Foundation」という基金に収益の一部を寄付する予定だ。

BB56アルマゲドンには、実証されたパフォーマンス、軍事車両に使われたる金属素材、父子のストーリーなどが詰まっているだけでなく、社会貢献にも役立つのだ。

ベティナルディゴルフは称賛に値する。