クリーブランド「CBX ZIPCORE」ウェッジ – 主要ポイント

・クリーブランドが同社の中級者向け「CBX」ウェッジに「ZipCore(ジップコア)」テクノロジーを搭載

・「ZipCore」は「MOI(慣性モーメント)」をさらに向上させ、より易しいウェッジを実現する

・スチールシャフトモデルは149.99ドル、カーボンシャフトは159.99ドルで12月17日に発売


クリーブランドの新しい「CBX ZipCore」ウェッジには、かなり巧妙な策略がある。新作は、2年前にデビューした前作の「CBX 2」と劇的に異なる一方、非常に似通った部分があるのだ。

あなたが中級者向けウェッジの全体趣旨をどう感じようが、これはかなり凄いこと。


「CBX」シリーズは、強いて言うなら、ボールを打つ技術が完璧とは言えないゴルファーのために、ウェッジ市場を見直したクリーブランドの努力の結果と言えるだろう。大型で寛容性がありキャビディバックのアイアンを使っている人に向けた、大型で寛容性があるキャビディバックのウェッジだ。

ブルックス・ケプカ用ではなく、ゴルフをする私たちの大半に向けたものなのだ。

クリーブランドの「CBX ZipCore」は、そのネーミングの通り同社独自の『ZipCoreテクノロジー』を搭載し、同社曰く「CBX」の特徴である「寛容性」の向上を維持している。では、このウェッジは皆さんが探していたものなのだろうか?この記事にネタが詰まっているので、ご覧いただきたい。


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クリーブランド「CBX ZIPCORE」ウェッジ:幅広い層に向けた易しさ

まず初めに、もしあなたが「ホグワーツ・ウェッジ工房学校」を卒業してフィル・ミケルソン級のショートゲームスキルがあるなら、「CBX ZipCore」の対象でないため、この記事は読み飛ばして欲しい。

「この『CBX ZipCore』ウェッジはアマチュア向けに作った」と語るのはクリーブランドのR&Dバイスプレジデント、ジェフ・ブランスキー氏。「ソールはより易しく、ヘッドはより安定しており、スイートスポットはアマチュアゴルファーのインパクト部分により近くなっている。さらにクラブ全体が軽量化している」。

キャビティバッグ・ウェッジという発想は決して新しくもないが、クリーブランドは2017年にオリジナルの「CBX」を発表し、その水準を高めた。

スタンダードなブレードタイプのウェッジから設計を起こすのではなく、クリーブランドは、対象ゴルファーが使っている「キャビティバックの中級者向けアイアン」と同じような「寛容性」があるウェッジを作るためにゼロから着手したのだ。





クリーブランド「CBX 2」は、2021年のMyGolfSpy『Most Wantedウェッジテスト』に含まれなかった(商品入れ替え時期だったので珍しくはない)が、レギュラー販売中だった「CBX」モデルは含まれていた(結果はいまいち)。

「CBX 2」は2019年にトップ10入りし、オリジナルの「CBX」は2018年にピッチング(ストロークス・ゲインドで2位)とチップショット(同5位)で優秀な成績を収めた。だが妙なことに、そのデザインのせいか、フルショットでの成績は下位グループだった。

そこで2021年、クリーブランドは『ZipCore』と『UltiZip(アルティジップ)』を搭載したというわけだ。


重心位置を変える「ZipCore」

クリーブランドは昨年、「RTX ZipCore」ウェッジで『ZipCore』を発表。非常に興味深いテクノロジーにしては、平凡だけど覚えやすいネーミングだ。『ZipCore』は、融点が非常に高いケイ酸アルミニウム化合物で、比重はスチールのおよそ4分の1。クリーブランドは、これをホーゼルのコアに採用し、その周辺部を鋳造した。


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軽量化されたコアにより、約16gがホーゼルから削られ、重心をよりフェースのセンターに近づけることが可能。その上、新作の「CBX ZipCore」は、ヒール近くが「中空キャビティ構造」で、トゥ部分に重量が追加されており、一般ゴルファーの打点に近い部分に重心とスイートスポットを近づけている。

「我々は、アマチュアゴルファーの数千ショットを具現化する高性能シミュレーションテクニックを開発した」とブランスキー氏。「このツールを使えば、膨大な数の重量分布の可能性をテストすることができる。最終的に、スイートスポットをフェースのセンターから1mm以内にキープしながらも、トゥ・ヒールのMOIを(「CBX 2」より)10%向上させ、上下のMOIを25%もアップさせた」。

これが私たちにどのような意味があるのか?トゥ・ヒールの「MOI(慣性モーメント)」が大きくなると、100ヤードのショットでスイートスポットを少し外したくらいなら、右手前のバンカーではなく、右手前のフリンジまで到達するということだ。


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上下のMOI向上は、特にフェースの上部に当てるミスをするゴルファーに有効。飛距離コントロールと同様にスピンコントロールも可能になり、そして弾道も一定する。


インサート、溝、グラインド

初代「CBX」ウェッジは、「中空キャビティ」が特徴だった。「CBX 2」では、キャビティにウレタン素材の『ジェルバック』という『TPUインサート』を追加採用。そしてこの『ジェルバック』は「CBX ZipCore」でも搭載しており、クリーブランドではそれを「振動警察」と呼んでいるので、ショートゲームでのフィーリングを台無しにすることはないだろう。

「投影面積は(『CBX 2』に比べて)やや大きくなっている」とブランスキー氏。「そのため、キャビティ部分を大きくすることができ、より多くの重量を動かすことができるので、重心とMOIを改善することができる」。


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「CBX ZipCore」はクリーブランド名物の水滴を弾く丸みを帯びた『ローテックスフェースミーリング』と同社の『UltiZip(アルティジップ)グルーブ(溝)」が特徴だ。

この溝は、「RTX ZipCore」ウェッジにも採用されている溝のテクノロジーと同じもので、溝は前作よりも11%鋭く、7.3%深く、そして7.4%それぞれが狭い間隔で設定されている。つまり、溝は各フェースで2本増えるということだ。

一方、あなたがウェッジのグラインドの選択肢に拘るようなら、「CBX ZipCore」はそれほどあなた向きではない。前作のように「CBX ZipCore」は、使用場面の異なる3つのロフトグループに、3タイプのベーシックなグラインドをラインナップしている。

フルショットで最も使用される44度から52度のウェッジは、フルスイングとフェースをスクエアにして打つために「Vソール」を採用。

54度と56度の「Sソール」は、バンカーショットや、ラフやフェアウェイでフェースを開いて打つショットに向いている。ロブウェッジの58度と60度は「Cソール」で、さらにフェースを開いて打つ時に有効だ。


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これだとオプションは少ないようにも聞こえるが、クリーブランドでは、典型的な「CBX」ユーザーはグラインドについて考えることはなく、恐らくそんなユーザーのレパートリーにタイトなライからのフロップショット(ロブショット)はないと確信しているのだろう。


ピッチングウェッジの問題

ピッチングウェッジは、セッティングにマッチしたものを見限って、よりウェッジっぽいものにすべきだろうか?以前も議論してきた問題だが、クリーブランドは44度の「CBX ZipCore」をラインナップに加えることで、これを全面的に支持する立場を打ち出している。

「『ZipCore』テクノロジーにより、セットに付属したウェッジに比べより高MOIを実現している」とブランスキー氏。「また、スピン性能は『CBX ZipCore』とセット付属のウェッジでは雲泥の差だ。特にラフからのショットではね」。


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この点でも、「CBX ZipCore」は中級者向けアイアンを使うゴルファーを対象にしている。こうしたセットのピッチングウェッジは、ロフトが40度から44度で、スピンやショットの多彩性よりも飛距離を重視したデザインになっているが、果たして対象ゴルファーはピッチングウェッジによりウェッジらしさを求めているのだろうか?

これは未解決な問題であり、そんな問いを投げかけているのはクリーブランドが初めてではないが、「CBX ZipCore」は魅力的な選択肢となっている。

番手間ギャップについてだが、「CBX ZipCore」シリーズは、あなたのピッチングウェッジのロフトがどうあれ、4度刻みとなっている。

「番手間ギャップが大きいと、精度の高いハーフショットの打ち方を覚えなけいといけない」とブランスキー氏。「これは(番手間ギャップを小さくすることにより)ミドルハンディキャッパーからハイハンディキャッパーが避けることができる課題だ」。


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そして、『Most Wantedテスト』に代わるものはないが、シーズン終盤の数ラウンドからいくつか分かったことがある。まず、ミスショットに対する「ZipCore」の効果は顕著であるということ。

「CBX」の全体的な「寛容性」は伝えられた通りだし、こうしたミスショットによる飛距離ロスは最小限だ。しかし、ウェッジに多用性を求めるのなら、「CBX ZipCore」はそこまでとは言えない。一方で、改めてとなるが、対象ゴルファーに対しては十分な多用性があると言える。

ただフロップショット(ロブショット)が打ちたいなら、まぁその…という感じだ。


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クリーブランド「CBX ZIPCORE」ウェッジ:スペック、価格、発売時期

クリーブランド「CBX ZipCore」ウェッジは男女モデルがラインナップ。男性用のロフトは44度から60度まで2度刻みであり、44度、46度、48度は右打ち用のみとなっている。残りは右打ち用、左打ち用を揃えている。


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レディースモデルは右打ち用が48度から60度まで。左打ち用は52度、56度、60度のみとなっている。

純正のスチールシャフトは「ダイナミックゴールド 115 Spinner Tour Issue(ダイナミックゴールド 115スピナー ツアー イシュー)」。トゥルーテンパーによれば、スタンダードの「DG115」よりもチップ部がアクティブなためよりスピンが改善するという。

純正カーボンシャフトは84gの「Project X Catalyst 80 Spinner(プロジェクトXカタリスト80スピナー」。純正グリップはゴルフプライドの「Tour Velvet 360(ツアーベルベット360)」が装着されている。

一方、レディースモデルはクリーブランドの「Actionultralite(アクションウルトラライト) 50」(59g)を装着。グリップはアンダーサイズのゴルフプライド「Tour Wrap Microsuede(ツアーラップ マイクロスエード)」(41g)となっている。


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クリーブランドのカスタムプログラムは、引き続き最もお得だ。わずか10ドルでクラブヘッドの3箇所(クリーブランドのロゴ、ロフト/バウンス部分、CBXのロゴ)にカラーカスタマイズが可能また、最大5文字まで刻印もできる。

新作のクリーブランド「CBX ZipCore」はスチールシャフトモデルが149.99ドル、カーボンシャフトは159.99ドル。米国ではの発売は12月17日だ。