ご存知の通り、日々色々な商品がツイッターやインスタグラムで賑わっているが、そういった商品は、時にプロアスリートやセレブ、そしてインフルエンサー的な人たちによって宣伝されていることがある。そういう商品はすべて話題性に見合った“広告通り”の効果はあるのだろうか?深掘りしてみよう。



最近の話題商品

「GPS(位置情報)」デバイス分野で最もよく知られる「ガーミン」が、つい最近「パーソナル弾道測定器」のカテゴリーに参入した。その最初の商品が、「Approach R10(アプローチR10)」で599.99ドルという“手頃”な価格。

「Foresight(フォーサイト)」や「Trackman(トラックマン)」、「Flightscope(フライトスコープ)」などのデバイスよりもはるかにグレードは下回るが、注目株の高性能な弾道測定器「Rapsodo MLM(ラプソードMLM)」との価格差は、たった100ドル(高い)というから驚きだ。


商品エキスパート

今回「APPROACH R10」の商品テストは、MyGolfSpyのハリーが担当した。ハリーは、ここMyGolfSpyで多くの商品テストを担当している。グローブや距離計測器、バッグ、ボールなどを調査する以外はプロとしてプレーしているが、ここではソフトグッズの商品テストのディレクターという肩書きだ。


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「Approach R10」広告上のスペック

最近、「パーソナル弾道測定器」のカテゴリーが爆発的に増えた。一番価格の安いもので200ドル、一般向けの高額商品はだいたい600ドルほど。ガーミン「Approach R10」も高価格帯に位置している。

私達のようなアベレージゴルファーは、手頃な価格でより正確性に優れ、そして多機能な商品を求めている。難しい要求に聞こえるかもしれないが、畑違いのメーカーが新たなカテゴリーに進出したと聞けば、私たちのような新しいもの好きは財布の紐を緩めたくなる。

だが果たして、ガーミン「Approach R10」は「弾道測定器」で新たなスタンダードとなるだろうか?

「Approach R10」は、測定項目が非常に豊富で、「精度」にも優れているという。スペックは、「トラックマン」との比較で「± 0.447〜1.341m/s」、キャリーの差は「± 1〜5ヤード」と記載されている。

「Approach R10」は、視覚的に嬉しいアプリと付加機能が含まれており、例えばホームコースでバーチャルラウンドをしたり、他のゴルファーと対戦したり、自分のスイングの記録などを同時に行うことができる優れ者だ。

ただし、付加機能のいくつかは有料。やはりここは無料というわけにはいかない。

価格は別として、ガーミンの場合「Rapsodo(ラプソード)」よりもはるかに多くのデータを計測できるが、当然ながら「フォーサイト」や「トラックマン」ほど多くないことをお忘れなく。

何事も「そこそこ」が一番かもしれない。





まとめると・・・

・ゴルファーは手頃な価格でより高性能な商品を求めている

・「GPS」の分野で世界的に知られる「ガーミン」の初の「弾道測定器」に大きな期待が寄せられている

・「Approach R10」は屋内外の両方で使用可能

・家でスイングを記録したり、多くのデータ保存が可能。また、42,000以上もある仮想コースでのバーチャルラウンドができる。(※バーチャルラウンドは、有料サブスクリプションへの加入が必要)


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スペックを検証

これまで私たちは「パーソナル弾道測定器」の「精度」に関して幾度となく話をしてきた。通常、フォーサイトの「GCクワッド」弾道測定器と比較する。「精度」に関しては最高クラスの弾道測定器だが、600ドルのモデルを18,000ドルのデバイスと一緒にはできない。

考慮した結果、「GCクワッド」を使いつつも、主に「Rapsodo MLM」のデータと「Approach R10」とを比較検証した。「Rapsodo MLM」は、500ドル程度の商品の中で私達がもっとも優秀だと思う商品だ。

次回の『パーソナル弾道測定器のバイヤーズガイド』には必ず「Approach R10」を含める予定だが、予備テストから重要なポイントを以下にまとめた。

「Approach R10」は、一般ゴルファー向け「弾道測定器」の中では十分なスペック。ドップラーレーダー式(ボールの弾道をレーダーが追尾する方式)の他のモデルと同じように、うまく計測できる項目とそうでない項目がある

・一般的に高速のドライバースイングは正確にとらえにくく、スピン量は「数千(rpm)ほどの誤差」が出る可能性がある。この手のデバイスでは、「スピン量」と「曲がりの度合」の測定値にはムラが出やすい

・アイアンとウェッジでは、時々起こる明らかな異常値を除いて、実際の飛距離と比べて1~2ヤード以内の誤差に収まっている。これは素晴らしい!

・「打ち出し角」の精度が優れているのは「Rapsodo」だが、「Approach R10」との数値は互いに近く、両者とも時々異常値が出る程度

・お手頃な「パーソナル弾道測定器」のほとんどは、許容範囲内の精度で「ボール初速」を計測することができる。「Approach R10」のボール初速は、「Rapsodo MLM」と一致している

・他の小型レーダーデバイスと同じように、ある条件でのショットの場面で「R10」は正しく識別するのに苦労する(典型的な例については以下の通り)

・「R10」は屋内よりも屋外の方がうまく機能し、信頼性が高い。これは、私たちがテストしたすべてのドップラーレーダー式の小型弾道測定器に当てはまる

・「GCクワッド」と同じレベルを期待すべきではないが、スピン量はドライバーでは数百rpm、アイアンやウェッジでは数千rpmと大幅にずれているため、ほとんど信用できないと言っても過言ではない



ガーミン「Approach R10」の付加機能

「Approach R10」がどこでも持ち運び可能で、屋内外でのセットアップや操作が簡単。バーチャルラウンドの画像はマリオカートに少し似ている気がするが、それも楽しみのひとつだ。

私が大好きなのは、全世界のプレーヤーと対戦できること。「R10」には、世界中のどこにいてもトーナメントに参加して他のプレーヤーと競い合うことができる。ゴルフ自慢ができるなんて嬉しい限りだ。

また、「R10」は夏の日差しにも強いことがわかった。35度以上の暑さ日のテストでも、「R10」はオーバーヒートせず、シャットダウンもしなかった。その点「Rapsodo MLM」は暑さに弱かった。

ガーミン「Approach R10」は、一部の測定項目の精度を改善する余地があるが、より多くのデータを計測できるため、自分のプレーをより深掘りし、改善すべき問題を見つけるのに役立つ。

私の場合は、計測した様々な数値の意味を理解し、それらが自分のゲームに与える影響を理解することで、大幅にゴルフを改善することができた。

それだけでは不十分なら、42,000のコースが自宅でプレーできると聞けばどうだろう?アップグレードして毎週のトーナメントに参加すれば、「R10」ひとつでかなりのことを実現できる。


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ガーミン「Approach R10」に足りないもの

「R10」には多くの優れた機能が搭載されているが、私は特にインパクト時に自分のクラブヘッドがどのように動いているのかを知りたい。もちろん、「クラブパス(ターゲットラインに対するインパクト時のクラブ軌道を示す角度)」や「フェース角」などについても表示されるが、私はそれらのデータについては半信半疑なところがある。

その理由は、「R10」は「ドップラーレーダー」の小型版だが、可能な限り正確なデータを計測するために、少なくとも16フィート(5.33ヤード)を必要とする。

十分なスペースがある場合は、誤差はわずかだ。これが「小型レーダーデバイス購入の条件」となる。正しい設定と正しいクラブ選択をしていない場合、知識に基づいた推測しか得られない。

「± 1.34m/sと± 5ヤード以内の誤差なら構わない。」と言いたいだろう。

もちろん、私もそう思う。

ここが問題。これらの誤差は、決して「パーソナル弾道測定器」の位置が少しズレているというような問題ではなく、「ボール初速」と「飛距離」の測定値は、真っ直ぐなショットでは信頼できるが、ボールが曲がり始めたときの数値は、必ずしも正確に捉えられたデータとは限らないという意味だ。

時には飛距離が長くなり、時には短くなる。さらにはボール初速までズレることがある。ドローがフェード、フェードはドローになったりもする。それらがいつ起こるかはわからない。

だが、「お手頃な弾道測定器用のテクノロジー」であることを考えれば、それを受け入れるしかない。

私の目標は、この600ドルの弾道測定器を使って測定データを分析し、それをコースに活かすこと。そう考えると、細かい測定値の「正確性」はどうでも良いかもしれない。


「Approach R10」は広告通り?

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最終結論

「R10」が“広告通りの性能”かどうかスコアを付けるとしたら、「中程度」といえる。

もし、すべてのショットに正確なデータを期待するなら、おそらくがっかりするだろう。

適度に安定した「ボール初速」と「飛距離」の測定基準に長けていて、「シミュレーション」や「バーチャルラウンド機能」に興味があるならガーミン「Approach R10」は500ドルから600ドルの範囲で最も手堅い商品だと言える。

私にとっては、世界中のゴルファーと対戦できるだけでも価値がある。

最後に私の結論は、より「正確な弾道とスピンデータ」、そしてより「高精度で包括的なデータセット」を求めるゴルファーには、もっと高額な弾道測定器をお勧めする。

だが、基本的な測定値で十分というゴルファーには、他の商品と比べて楽しく、またリーズナブルな価格の「ApproachR10」で十分かもしれない。