コブラは、3Dプリント技術を実際の市販パターに継続的に投入している数少ないメーカーの一つである。
今回紹介する「3DP TOUR」シリーズは、その技術をベースにした最新モデルだ。
現在、3Dプリント技術を継続的に市販モデルへ投入しているパターメーカーは限られている。その中でコブラは、試作ではなく実際に販売する製品として3Dプリントを活用している数少ないブランドの一つである。
3Dプリントを採用することで、従来の製造方法では実現が難しかった内部構造や重量配分が可能になる。結果として、設計の自由度を大きく広げることができる。
実際、コブラのパターは従来の構造では成立しない設計を前提として作られている。
昨年の「LIMIT3D」シリーズは、その可能性を示したモデルだった。ただし数量限定で価格も高く、一般的な選択肢とは言いにくい存在だった。
今回の「3DP TOUR」シリーズは、その3Dプリント技術を継承しながら、通常ラインとして展開される点が大きな違いである。
さらに価格も前作より大きく抑えられており、より現実的な選択肢として位置付けられるモデルとなっている。
なぜ3Dプリントなのか

コブラ「3DP TOUR」パターの内部構造(3Dプリントラティスによる軽量化と外周重量設計)
パターに3Dプリントを使う理由は何か。
より正確には、「なぜ多くのメーカーが採用していないのか」と考えた方が分かりやすい。
3Dプリントの最大の特徴は、従来の鍛造や鋳造では実現できない構造を設計できる点にある。
コブラはこの特性を活用し、ヘッド内部の構造と重量配分を大きく変えている。

コブラ「3DP TOUR」パターの3Dプリント内部構造(中央部を軽量化するラティス設計)
「3DP TOUR」シリーズでは、ヘッド中央に3Dプリントされたナイロン素材を配置している。
このナイロンは金属よりも軽く、中央部分の重量を抑える役割を持つ。
その結果、余剰重量をヘッド外周に配分することが可能になる。

コブラ「3DP TOUR」パターの分解構造(3Dプリントラティスと複合素材による重量配分設計)
この設計の狙いは明確だ。外周に重量を集中させることで、MOI(慣性モーメント)を高めることにある。
MOI(慣性モーメント)が高いパターは、インパクト時のヘッドのブレが小さくなり、打点がずれても距離の落ち込みが少なくなる。
結果として、ショートしにくく、距離の再現性を安定させやすい。

コブラ「3DP TOUR」パターの複合構造(3Dプリントラティスとカーボン素材による軽量設計)
さらにヘッドは、「304ステンレススチール」に加え、カーボンファイバーやタングステンといった複数素材を組み合わせて構成されている。
こうした複合構造により、各部位の役割を明確に分けながら、重量配分を最適化している。
3Dプリントは単なる製造技術ではなく、ヘッド構造そのものを設計するための手段として機能している。
DLTフェース:構造が変わっても狙いは同じ

コブラ「3DP TOUR」パターのミルドフェース(DLT設計による転がり補正機能)
3Dプリントによる重量配分がこのモデルの中核だが、それだけではない。
コブラ「3DP TOUR」パターにも、MIMシリーズと同様にLA GOLFの「ディセンディング・ロフト・テクノロジー(DLT)」が採用されている。
一方でフェース構造は大きく異なる。「3DP TOUR」では、フェースは「304ステンレススチール」のフルミルド仕様(単一の金属から削り出されたフェース構造)となっている。
MIMシリーズでは「ポリマーインサート」(軽量素材を用いて余剰重量を外周に再配分する設計)によってMOIを高めていたが、「3DP TOUR」では3Dプリント構造によってすでに十分な慣性モーメントが確保されている。そのためインサートは採用されていない。

コブラ「MIM」と「3DP TOUR」パターのフェース比較(インサートとミルド構造の違い)
構造は異なるが、DLTフェースの役割は共通している。
フェースは4つのロフトに分かれており、上部が4度、そこから段階的に減少し、最下部は1度となっている。

コブラ「3DP TOUR」パターのアドレスイメージ(ボールに対する見え方と距離感の印象)
この設計は、ストロークによって変化するロフトのばらつきを補正することを目的としている。
例えばロフトが増えすぎるとボールは跳ねやすくなり、逆にロフトが立つと初速が出にくくなる。
DLTフェースはこうした打点やストロークによるロフトの変化を抑え、ボールの初速と順回転のばらつきを安定させる。
結果として、距離感のズレを抑えやすく、再現性の高い転がりを得やすい設計となっている。
モデル展開:形状と仕様の選択肢
コブラ「3DP TOUR」パターシリーズは、ブレード型1モデルとマレット型3モデルで構成されている。
マレットモデルはすべてカウンターバランス仕様にも対応しており、ストロークの安定性を重視するセッティングが選択可能だ。
また「Agera」モデルでは、ネック形状の異なる2タイプが用意されている。
形状と仕様のバリエーションを持たせることで、ストロークタイプや好みに応じた選択がしやすい構成となっている。

コブラ「3DP TOUR」パターのアドレスビュー(アライメントをサポートするトップ形状)
なお、一部モデルは実機写真を使用し、未入手モデルについてはメーカー提供の画像を掲載している。
Agera/Agera CB
3DP TOUR Agera RS/Agera RS CB
Agera RS 30
3DP TOUR Grandsport 35
Supernova/Supernova CB
Supernova 30
まとめ:設計から見える特徴とポジション

コブラ「3DP TOUR」Ageraシリーズ(サイズ違いによるヘッド形状と安定性の違い)
コブラ「3DP TOUR」パターシリーズは、3Dプリントによる内部構造設計と、DLTフェースによるロフト補正を組み合わせたモデルである。
ヘッド形状は独自性が高く、従来のパターとは異なる外観を持つ点も特徴の一つだ。
視覚的な好みは分かれる可能性があるが、中央部分の構造はアライメントの目安として機能する設計となっている。
価格は379ドルに設定されている。
現在のミルドパター市場と比較すると、この価格帯は相対的に抑えられており、3Dプリント構造を採用したモデルとしては現実的な水準と言える。
また、前作の「LIMIT3D」シリーズと比べても大きく価格が下がっており、限定モデルから通常ラインへの移行が明確になっている。

コブラ「3DP TOUR」Supernovaのトップビュー(アライメントを補助するヘッド形状とライン設計)
設計面では、3Dプリントによる重量配分の最適化によって安定性を高め、DLTフェースによって転がりの再現性を補正する構成となっている。
これらの設計から、ストロークのばらつきを抑え、距離の再現性を安定させたいゴルファーにとって、有効な選択肢となる可能性がある。

コブラ「3DP TOUR」パターの形状比較(構造設計による安定性と操作性の違い)
コブラ「3DP TOUR」パターは、2026年4月4日より発売予定だ。
詳細は『コブラゴルフ公式サイト』で確認できる。




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