昨年5月、コブラゴルフは世界初となる「3Dプリント」アイアンの市販モデルを発売した。価格は3,000ドルと高額にもかかわらず、この限定モデルは即完売。
この反響にコブラゴルフは勢いづき、8月にシリアルナンバーなしの追加セットを販売し、これも好調な売れ行きを見せた。そして、2025年に入り、コブラゴルフは「3Dプリント」アイアンを新しい名称「3Dプリントツアー(3DP TOUR)」として再々発売。こちらは、コブラゴルフの特徴ともいえるクラシックな王冠ロゴをあしらった新デザインを採用している。

なぜ「3Dプリント」なのか?
「3Dプリント」アイアンのメリットについては、以前記事で詳しく取り上げたので、詳細を知りたい人はぜひもう一度チェックしてほしい。ここでは、その内容を簡単におさらいしよう。
シンプルに言うと、ゴルフクラブを3Dプリントする最大のメリットは、鍛造、鋳造、さらにはミーリングといった従来型の製造技術では実現できない複雑な形状を作り出せることだ。
理論上、3Dプリント技術は大幅なパフォーマンス向上の可能性を秘めている。
もちろん、これはあくまで理論上の話だ。実際に今後どうなるかは経過を見守る必要はあるけどね。
具体的には、3Dプリント技術により、コブラゴルフは複雑な格子状構造が可能になった。
この構造になったことで、何度も繰り返されるボールとのインパクトの衝撃に耐えるために必要な強度を維持しながら、大幅な軽量化を実現している。
コブラゴルフ「3Dプリント」アイアンの断面を見ると、内部の格子状構造と59gのタングステンウエイトが確認できる。
また、3Dプリント技術を採用することで、コブラゴルフの開発陣は従来の製法に比べてヘッド重量を33%も削減することに成功。
これにより、余剰重量を周辺部に効果的に再配分することも可能になった。「その話、どこかで聞いたことがある」って?確かに、これはほぼ全てのアイアンネタで語られる決まり文句だ。
でも、コブラゴルフが他社と違うのは、アイアンのヘッドサイズを大きくすることなく、驚異的な重量配分ができている点なんだ。具体的には、ヒールとトウにそれぞれ50グラムずつ、合計100gにも及ぶ大量のタングステンを戦略的に配置している。結果として、低重心と多くのスコア改善型(初・中級者向け)アイアンを凌駕する高MOIを実現した他、コブラゴルフの「KING TOUR」アイアンよりもややこぶりでトップラインが薄いデザインにすることも可能になった。
高打ち出しと高い寛容性を備えたコンパクトヘッドは、まさにアイアン設計における「究極」と言えるわけで、コブラゴルフ「3Dプリントツアー」ほど、この理想に近づいたモデルは他にないと言えるだろう。

今後の展開
今回のモデルは、実際のところ競技志向者向け(上級者)アイアンといえるコブラゴルフ「3Dプリント」の第3世代だ。
となるとここで気になるのは、コブラゴルフが今後3Dプリント技術を他のカテゴリーにも展開するかどうかということ。小ぶりな競技志向者モデルで高い寛容性を実現したコブラゴルフが、大きめのスコア改善型(初・中級者向け)デザインでどこまで性能が引き上げられるのか?これを想像するだけでもワクワクする。

「コブラゴルフはまだ3Dプリント技術の可能性をまだほんの一部しか活用していない」というのが個人的な見立て。
私の理解では、コブラゴルフが保有する3Dプリントの関連特許は非常に幅広く、この分野でほぼ競争相手に邪魔されることなく自由に開発を進められる立場にあるようだ。もしこれが事実であれば、3Dプリント技術はコブラゴルフにとって市場で十分に注目を集める大きな差別化要因になるかもしれない。
この技術がもたらす革新性こそが、同社の評価をさらに高める鍵になるはずだ。 そして、これは時が経てばわかるだろう。コブラゴルフ「3Dプリントツアー」アイアン – スペック・価格・発売時期
ロフト角:4I(21.5°)、5I (24°)、6I (27°)、7I( 31°)、8I( 35°)、9I (40°)、PW (45°)、GW(50°)
ライ角:4I(60.5°)、5I( 61°)、6I( 61.5°)、7I(62°)、8I(62.5°)、9I(63°)、PW(63.5°)、 GW(63.5°)
シャフト:日本シャフト社製 「N.S.MODUS3 TOUR105 R / S」
価格:6本SET(5I-PW) ¥376,200(税込) / 単品(4I,GW) ¥62,700(税込)
2025年4月4日(金)発売。
詳細は「コブラゴルフホームページ」まで。※下記はアメリカのスペック

コブラゴルフ「3Dプリントツアー」アイアンは、右打ち用と左打ち用がラインナップされており、小売価格は2,450ドル(#4-PW)。また、3番アイアンとGWも用意されている。
純正シャフトはKBS「$-Taper(110g)」。純正グリップはラムキン「クロスライン」で、他のシャフトやグリップもカスタムオーダーで対応可能だ。
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