PXGの新作4モデルが、USGAの『適合クラブリスト』に加わった。

「Black Ops」の発売からすでに2年近く。そろそろ次の動きがあると噂されていたが、この秋に新モデルが登場するのはむしろ自然な流れだろう。

ただし──一度に4つもの新しいドライバーがリスト入りするとは、多くの人が予想していなかったはずだ。

USGAのリスト公開に合わせて写真も出ているが、例によって細部を読み取るには物足りない。

それでも新たに登場する「Lightning(ライトニング)」ドライバーからは、気になるポイントがいくつも見えてきた。

さっそくチェックしてみよう。


PXG「Lightning Max 10K」| シリーズ最強のやさしさを備えた高MOIドライバー

PXG「Lightning MAX 10K」ドライバーのクラウン部分。黒を基調としたヘッドに調整可能なウエイトを搭載し、高慣性モーメントによる安定性を追求した最新モデル。

「Max 10K」という呼び名は、いまや各メーカーが“シリーズで最もやさしいモデル”を示す定番ワードになった。

その流れを受けて登場する「Lightning Max 10K」は、従来のBlack OpsやXFシリーズのポジションを引き継ぐ、PXGの最新“高寛容性モデル”と見て間違いない。

USGAの適合リストに具体的なMOI値は示されていないが、「10K」とある以上、PINGやテーラーメイド、コブラゴルフ、Tour Edgeといった他社の“10Kモデル”と同等の領域にあると見てよさそうだ。

さらに「Lightning Max 10K」には、近年のPXGらしく3つのウエイト構成が採用されている。

これによりゴルファーは、やさしさを最大化するか、もしくはドローバイアスをかけるかといった調整が可能になると考えられる。

注目すべきはウエイト配置だ。これまでのPXGは前方ウエイトを極端に外周部へ振る設計が多かったが、「Lightning」3モデルでは、前方ウエイトが従来よりも中央寄りに配置されている。

もっとも「10K」の名を冠していることから考えても、MOI性能に大きな犠牲があるわけではないだろうと推測される。

USGAの登録には、ロフト角8度・9度・10.5度・12度のラインナップが確認できた。

中でも「Max MOI」ヘッドに8度というロフトがあるのは異例だ。これは、極端なバックウエイト設計によって打ち出し角やスピンが増えすぎるケースがあるため、その対策と考えられる。

ロフトを8度に設定することで、ヘッドスピードの速いゴルファーや、インパクトで動的ロフトを増やしがちなプレーヤーでも、「Max MOI」ヘッドを適正な弾道で使えるようになるのだ。


PXG「Lightning MAX Lite」 | 軽量設計でやさしさを追求したモデル

PXG「Lightning MAX Lite」ドライバーのクラウン部分。黒を基調としたデザインで、軽量設計により振り抜きやすく、高慣性モーメント性能を備えたモデル。

可変式ウエイトを省いたモデルとして登場する「Lite」。その名の通り、軽量化をコンセプトにしたモデルだ。

「Lightning MAX Lite」はシリーズ共通のテクノロジーをベースにしながら、より軽量に仕上げられた設計になる見込み。

想定されるユーザーは、ヘッドスピードが遅めのゴルファーや、スピン量の確保に苦戦しているプレーヤーだ。

「Lightning Max Lite」には後方にウエイトポートが設けられているが、これは弾道調整ではなくスイングバランス調整専用のものとなる。

ロフト展開は10.5度と11.5度。軽量設計と合わせて、やさしさを重視するゴルファー向けの仕様となっている。


PXG「Lightning Tour Mid」 ─ ミッドスピン設計の注目モデル

PXG「Lightning Tour-1」ドライバーのクラウン部分。黒を基調に2つの調整ウエイトを搭載し、操作性と低スピン性能を求める競技志向ゴルファー向けのモデル。

「Tour Mid」と名付けられた時点で、ミッドスピン設計を意識したモデルであることは想像に難くない。

PXGがLightningシリーズのネーミングをシンプルに貫いている点は評価できるだろう(複雑だった「0811」の頃を思えば大きな進化だ)。

ただ──15歳の子を持つ親としては、「Mid(ミドルスクール=12-14歳が通う、15歳はハイスクールの学年)」という響きにちょっと苦笑いしてしまう。

ネーミングに迷ったら、まずは10代の反応をチェックするのが賢明かもしれない。

とはいえ、このモデルがもし平凡な性能に終わってしまったら──「Tour Mid」というネーミングは、さすがに“直球すぎた”というオチになりかねない。

まあ、一応その可能性は頭の片隅に置いておいてほしい。

もちろん、これはまだ予測というには早すぎる段階だ。ただ、期待が大きい分だけ、肩透かしを食らったときの“ガッカリ感”も大きくなるだろう。

スペックとしては、PXG「Lightning Tour Mid」が8度・9.5度・10.5度でリスト入りしている。


PXG「Lightning Tour」| ツアー仕様の低スピンドライバー

PXG「Lightning Tour-2」ドライバーのクラウン部分。黒を基調に2つの調整ウエイトを搭載し、中弾道で低スピンの弾道を生み出す競技志向ゴルファー向けのモデル。

これまでに見てきたのは「Max 10K」「Lite」「Tour Mid」。

残るは「Lightning Tour」だ。名前からしても、このモデルがシリーズ中もっともスピンを抑えた仕様であることは間違いないだろう。

それにしても──「Max」と「Lite」はそのまま使いながら、「LS(ロースピン)」だけは避けたのか? PXGらしいひねりといえばそうだが…。

PXGはこれまで、極端にロースピンに振ったドライバーは作らない傾向にある。その意味では「Lightning Tour」も妥当な落としどころと言えるだろう。

過去の流れから見ても、ツアー向けの前重心設計と、実用的なMOIとのバランスを狙ったモデルになりそうだ。

実際、ここ数世代のPXGは、最もやさしいモデルでもスピン量をきちんと抑え、一方でロースピン仕様を過度にシビアにしない──そんな絶妙な調整を続けてきた。

(もっとも、それを言うなら「Mid」じゃないの? というツッコミもあるけれど。)

「Lightning Tour」のロフト展開は8度・9.5度・10.5度。ツアー仕様らしく、低めのロフト設定が中心となっている。


価格と発売情報

正直、この見出しを書きながら「ちょっと煽りすぎかな」と思ってしまった。

実際のところ、PXG「Lightning」ドライバーの発売時期は現時点では不明で、価格についても確かな情報はなく、推測の域を出ないのが現実だ。

もちろん現時点では推測に過ぎないが、発売時期は来年2026年1月頃と見るのが妥当だろう。

価格帯はおそらく600〜650ドル前後。このレンジはPXGに限らず、今後USGAリストに登場する他メーカーの新ドライバーにも当てはまりそうだ。

正式な情報が入り次第、改めてお伝えする。