一般的に「ショートアイアン」といえば8番と9番を指すが、多くのゴルファーがピッチングウェッジをフルショット用クラブとして使っているため、ここではピッチングウェッジも含めて紹介する。

なお、ウェッジ単体のより詳しい飛距離データを知りたい場合は、別記事の「ウェッジ飛距離チャート」をチェックしてほしい。

ショートアイアンに求められるのは、「飛距離」よりも「正確性」。スコアメイクの鍵を握るクラブだ。

だが、いつも狙った距離に届かないのであれば、溝が摩耗していたり、自分に合わないクラブを使っている可能性がある。


テーラーメイド「P・790 Black Phantom」アイアンがゴルフボールの後ろに構えられたクローズアップ。黒の艶仕上げが光を反射し、力強さと美しさを兼ね備えたデザインが際立つ。

今回は「Shot Scope」が、ハンディキャップ別の最新データをもとに、ミスヒットを除いた“しっかり当たったショット”の平均飛距離を公開している。

その結果がこちらだ。


ハンディキャップ25前後の場合

このレベルでは、ショートアイアンは主にアプローチに使われることが多い。スイングのばらつきや溝の摩耗により、飛距離が安定せず、距離感に苦労するケースも少なくない。

特に9番アイアンとピッチングウェッジの間で、明確な番手間ギャップが出にくいのも特徴だ。


低ヘッドスピード部門ゴルファー向け8番・9番アイアン、PWの平均飛距離(122yd、108yd、90yd)

※「P-avg Distance (yds)」は、各クラブのプレーヤー平均飛距離(ヤード)を示す項目


ハンディキャップ20の場合

このレベルになると、ショートアイアン間で一定の飛距離差(番手間ギャップ)が見えてくるはずだ。もしそうでないなら、シャフトの硬さやロフト角の不一致が原因かもしれない。

スピン量や打ち出し角を確認するためにも、弾道測定器の活用がおすすめ。とくにスピン量が少ない場合は、キャリーの飛距離をしっかり出せていない可能性が高い。


スコア改善型(初・中級者向け)ゴルファーの平均飛距離データ(8番:138yd、9番:129yd、PW:108yd)

ハンディキャップ15の場合

安定性が増してくるこのレベルでは、ショートアイアンの番手間ギャップもしっかり揃ってくる。

ただし、飛距離だけでなく弾道の安定性もチェックしておきたい。高さや打ち出しがバラついていると、グリーンを狙う精度に影響するからだ。

また、今こそ「コントロールショット」を意識し始めるタイミングでもある。たとえば9番アイアンやピッチングウェッジで10ヤード抑えたショットが打てれば、140ヤード以内の攻め方が一気に広がる。


飛距離コントロール重視ゴルファー向けの8番・9番アイアン、PWの平均飛距離(146yd、136yd、121yd)

ハンディキャップ10の場合

このレベルになると、コンタクトの精度が上がり、弾道のコントロールも安定してくる。

だからこそ一度、弾道測定器を使ってショートアイアンとウェッジの番手間ギャップをチェックしてみるのがおすすめだ。

また、持ち球の傾向を把握したり、必要な場面で低い弾道を打てるかどうかを確認するにも最適なタイミング。

より戦略的なプレーを目指すなら、こうしたスキルの可視化が大きな武器になる。


バランス重視プレイヤー向けの8番・9番アイアン、PWの平均飛距離データ(150yd、140yd、127yd)

ハンディキャップ5の場合

このレベルのゴルファーになると、ショートアイアンで弾道の高さや左右の打ち分けを自在に操ることが増えてくる。

スピン量や打ち出し角の管理も優れており、安定した飛距離とブレの少ない着弾範囲を実現しているのが特徴だ。

ただし、注意すべきなのは、今回のデータではアイアンのロフト角の違いが考慮されていない点。

そのため、同じ5ハンディキャップでも、中にはロフトがやや寝たアイアンを使っているプレーヤーもおり、高ハンディキャップ層とはスペック自体が異なる場合もある。


中ヘッドスピードのゴルファーにおける8番・9番アイアン、PWの平均飛距離データ(153yd、139yd、126yd)

スクラッチゴルファーの場合

スクラッチプレーヤーは、全体的に最も安定した飛距離を記録しているゴルファー層だ。

ミスヒットが少ないため、「P-avg(パフォーマンス平均)」の数値が実際の平均値とほぼ一致しており、ショット精度の高さが際立っている。

ただし、どれだけ正確に打てても、芝の状態やライの違いによって結果は変わる。

高い再現性を持つプレーヤーほど、さまざまなコンディション下でのショートアイアンの挙動をしっかり確認しておくことが、さらに上を目指す鍵となる。


高ヘッドスピード部門における8番・9番アイアン、PWの平均飛距離(166yd、155yd、141yd)

まとめ:飛距離データは、上達へのヒントになる

このショートアイアンの飛距離チャートは、あくまで出発点。

もし自分の飛距離が平均とかけ離れていたり、番手間の飛距離差が曖昧だったりするなら、クラブセッティングや番手構成の見直しを検討するタイミングかもしれない。

簡単な弾道測定器でのチェックや、練習場での飛距離テストだけでも、調整のヒントは得られる。

ショートアイアンに自信が持てれば、スコアメイクは確実に楽になる。