2025年、輝きを放った選手がいる一方で、思わぬ苦境に立たされたツアースターもいた。

「ザ・ツアーチャンピオンシップ」も終わり、トミー・フリートウッドの“勝てない日々”もひと区切りついた。

いま振り返るのは、シーズンを通じて苦戦を強いられた8人のトッププレーヤーだ。

忘れてはいけないのは、“不振”も立場次第ということ。トップ選手にとっての不本意な一年が、別のゴルファーにとっては自己ベストになることだってあるのだ。

とはいえ、2025年の彼らは明らかに物足りなかった。自分自身を含めた期待に届かず、勝利ゼロ、メジャーでの優勝争いもなし。トップ10に顔を出すことすら数えるほどしかなかった。

本人たちに尋ねれば、おそらく誰もが口をそろえるだろう…「2025年は失望のシーズンだった」と。

ここで取り上げるのはPGAツアーの選手に限った話だ。

「LIV」で期待外れに終わり、ゴルフファンの記憶から薄れつつある選手については、別の記事を参照してほしい。

選手ごとに掲載している「Data Golf」のチャートには、過去数年の「総合順位」と「世界ランキング(OWGR)」が並んでいる。

「Data Golf」では「LIV」を含めたプロの試合すべてを反映するのに対し、「OWGR」は」「LIV」イベントをポイント対象外としているのが大きな違いだ。


8. ザンダー・シャウフェレ | ケガに泣いた2025年、復活への期待

ザンダー・シャウフェレ 選手プロフィールとランキング推移グラフ メジャー制覇とオリンピック金メダルの実績 2025年

2025年はケガに苦しみ、本来の力を発揮できなかったシャウフェレ。

しかし前年2024年は圧巻のシーズンを過ごしているだけに、悲観する理由はない。むしろ来季の復活に期待がかかる。

とはいえ、シャウフェレに対する期待値は並ではない。シーズンを世界ランク2位でスタートし、ここ数年ずっと抜群の安定感を誇ってきただけに、求められるハードルも必然的に高くなる。

2025年を「Data Golf」8位で終えたシャウフェレ。これは明らかな後退であり、2022年以来もっとも低い評価だ。

シーズンを通してトップ5入りがゼロというのも、彼を知るファンにとっては信じられない事実だろう。

シャウフェレなら、来季にはきっと巻き返してくるはずだ。


7. ジョーダン・スピース | 復調も勝利なく“スター性”に陰り

ジョーダン・スピースのキャリアプロフィール。2015年マスターズと全米オープン、2017年全英オープン優勝を含む実績とランキング推移グラフ。

スピースのチャートには復調の兆しがはっきりと表れている。2024年には100位圏外に沈んでいたが、2025年はトップ30まで急浮上した。

これだけ見れば前進だ。

しかし現実は厳しい。スピースは、今や“そのレベルの選手”に落ち着いてしまった感もある。

ツアーカードを余裕で守れる実力はあるが、「ストローク・ゲインド」の全カテゴリーでわずかに平均を上回る程度…。

今のスピースは、“かつでトップスターだった男(a.k.a TOP STAR)”となりつつある。

最後の勝利からすでに4年が経とうとしており、メジャーでは11大会連続でトップ10なし。今季のトップ10入りはわずか4回で、その半分は下部格付けの大会だった。

スピースをこのリストに入れたのは、単に勝てなかったからではない。メジャーで一度も優勝争いに顔を出せなかった事実こそが、“かつてのスター”にとっては明らかな失速を意味する。

現実を突きつけるなら、ジョーダン・スピースはもうスターではない。


6. ウィル・ザラトリス | 手術と離脱の連続、潜在能力はまだ健在

ウィル・ザラトリスのPGAツアープロフィール。2022年セントジュード選手権優勝、メジャー準優勝多数を含む実績とランキング推移グラフ。

2021〜2022年にメジャーで旋風を巻き起こしたザラトリス。しかし背中の故障がキャリアを大きく狂わせているのは痛ましい。

過去2年は不調が続き、2025年はトップ10入りすら一度もなし。

「Data Golf」の順位も年初の66位から99位まで転落し、存在感はすっかり薄れてしまった。

ザラトリスの評価は“保留”だ。今年の春に椎間板ヘルニアを2カ所手術し、PGAチャンピオンシップを最後にツアーから姿を消している。

唯一の登場は映画『Happy Gilmore 2』でキャディ役を務めたときくらいだ。

それでも潜在能力は折り紙付き。あとは一日も早く健康を取り戻し、本来の姿を見せてほしい。


5. ウィンダム・クラーク | メジャー覇者から急降下、光は一瞬の輝きか

ウィンダム・クラークのキャリア実績。2023年全米オープン優勝とランキング推移を示すプロフィール。

2023年の全米オープンを制し、わずか15か月前には世界10位まで駆け上がったクラーク。

しかし現在は49位に後退し、あのメジャータイトルは“未来の証”ではなく“一瞬の輝き”だったのでは、と疑問符がつき始めている。

2023年のライダーカップ、2024年の「プレジデンツカップ」には名を連ねたものの、今年のライダーカップにはまったく手が届かず。

唯一のハイライトは全英オープンの4位タイだったが、それ以上に“リーダーボードを荒らす”より“ロッカールームを壊す”ことで話題をさらった一年だった。


4. サヒス・ティーガラ | 人気者も大失速、ランキング200位台へ転落

サヒス・シーガラ 選手プロフィールとランキング推移グラフ PGAツアー優勝実績と最新ランキング 2025年

実績だけを見れば“スター”と呼ぶにはやや物足りないが、2024年には好シーズンを過ごし、「プレジデンツカップ」米国代表にも選出。

ツアー随一の人気者でもある。

しかし2025年は完全に暗転。ランキングは「Data Golf」で37位から202位へと大暴落し、トップ20入りもわずか2試合。

新しい時代のプロゴルフで生き残るには、早急な立て直しが不可欠だ。


3. コリン・モリカワ | アイアン巧者も“安定止まり”のシーズン

コリン・モリカワのキャリアプロフィール。2020年全米プロ、2021年全英オープン優勝を含む実績とランキング推移グラフ。

モリカワのキャリアは、まるでジョーダン・スピースをなぞるかのようだ。序盤に輝かしい成功を収めたものの、その後は「堅実だが突出しないプロ」へと落ち着きつつある。

28歳となった彼は2023年10月以降、勝利から遠ざかっている。「Data Golf」でも年初の5位から26位へと下降。

直近14試合でのトップ10入りは、「ロケットモーゲージ・クラシック」の8位タイただ一度にとどまった。

飛距離不足がスターとしての伸びしろを制限しているのは明らかだ。ただしアイアンの精度はツアー屈指で、その分“最低限の成績”は高水準を維持。

それでも、多くのファンが望んだのは“安定”ではなく、さらなる飛躍だった。


2. トニー・フィナウ | 世界124位へ急落、かつてのトップ5から大失速

トニー・フィナウのPGAツアープロフィール。6勝を含むキャリア成績、ライダーカップとプレジデンツカップ出場歴、ランキング推移グラフ。

かつては“忘れられない存在”だったフィナウだが、今では逆の意味で記憶から消えかけている。

2021〜2023年に5勝を挙げ、一時は世界トップ5に君臨した実力者。しかし2025年を迎える頃にはトップ20ギリギリ、そして今や世界124位まで急落してしまった。

直近26試合でトップ10入りはわずか1回。得意だったショット力もパッティングも揃って低調で、全方位的に失敗のシーズンとなった。


1. マックス・ホーマ | 環境変化に揺れた15か月、勝利遠のく悪夢の時間

マックス・ホーマのPGAツアー実績とランキング推移グラフ。6勝を含むキャリア成績、DPワールドツアー優勝、ライダーカップ出場歴を掲載。

ここ数年で急成長し、2019〜2023年に6勝、さらに2023年ライダーカップでも主役級の活躍を見せたマックス・ホーマ。

しかし2024年夏を境に歯車が狂い始め、この15か月は悪夢のような日々となっている。

原因のひとつは変化の連続だ。2023年10月にスイングコーチを変更し、2024年1月にはタイトリストからコブラゴルフへ移籍。

そして4月には長年コンビを組んできたキャディ、ジョー・グライナーと袂を分かった。大きな環境の変化が、ホーマの安定感を揺さぶっている。

ホーマは2024年の「Data Golf」を世界8位でスタートしたが、現在は149位まで転落。かつての勢いは見る影もない。

それでも彼の復活を期待したい。ホーマがリーダーボードに顔を出してこそ、ツアーはより熱を帯びる。

さて、あなたはこの“苦戦リスト”に納得するだろうか?ぜひコメントで意見を聞かせてほしい。

トップ写真キャプション:2023年10月以降、勝利から遠ざかるコリン・モリカワ(GETTY IMAGES/Jeff Robinson)