ようやく、その時が来た。

タイトリストが、ついにゴルフボールにライン(ストライプ)を入れてきた。

数年前から、タイトリストのボールに『AIM(エイム)』というアライメント機能が段階的に取り入れられてきたが、ついにその機能がボール全体、少なくともほぼ全周に施される形になった。

正確に言うと、デザイン上いくつかラインが切れている部分がある(だから正確には『AIM 320』くらいかもしれない)けど、そこはあまり深掘りしなくていいだろう。

重要なのは、タイトリストがついにアライメント機能に本腰を入れ始めたということだ。


新たな『AIM 360』モデル

タイトリスト「Tour Soft」ボールに搭載された『AIM 360』テクノロジー。中央に青いラインが特徴的。

新たに加わった360度マーキングは、「AVX」と「Tour Soft」シリーズの『AIM 360』モデル限定で展開される。

他社のラインアライメント機能ほど太く大きくはないものの、『AIM 360』はタイトリストがこれまでにボールへ採用してきた中で最も大きなアライメント機能となる。

とはいえ、これまでのタイトリスト基準からすれば、そのハードルは決して高いとはいえないが、伝統的に保守的なタイトリストのゴルフボールにとっては大きな進歩だ。

この新しい『AIM 360』は、タイトリストが展開する『Alignment Integrated Marking』シリーズに加わり、現在3つの異なるオプションが揃った。


『AIM 360』:ボールほぼ全周に渡る新しいライン

『Performance Alignment』:両側に矢印型が配置された105度のライン

『Enhanced Alignment』:標準モデルよりも65%長いサイドスタンプ


ゴルフボールのアライメント機能は効果があるのか?

タイトリストAVXボールのパッケージ。『AIM 360』テクノロジー搭載モデル。

ビジュアル的な好みとパフォーマンス向上の境界線は、いつだって微妙なものだ。正直なところ、ゴルフボールにラインやストライプ、模様が入っているだけで「テクノロジー」と呼ぶのはちょっと大げさかもしれない。

ただ、もし「テクノロジー」を「スコア向上に役立つもの」と定義するなら、ゴルフボールにラインが入っているのも立派なテクノロジーと言えるだろう。

その効果を測るために、タイトリストはアライメント機能の異なるボールで、ターゲットへのセットアップ精度をテストした。

『AIM 360』、『Performance Alignment』、『Enhanced Alignment』、そして標準的な「Pro V1」サイドスタンプを比較した。

テスターは、パッティング時と同じようにターゲットに対してボールをセットアップ。タイトリストはその精度を計測し、ターゲットラインに対してどれだけ正確にボールをセットアップできたかを確認した。


タイトリスト「Tour Soft」ボールに搭載された『AIM 360』テクノロジーをアップで撮影。青いラインが中央に。

その結果は? 各『AIM』モデルを使った場合、標準のサイドスタンプに比べて最大35%もセットアップ精度が向上した。これは大きな進歩だ。

もちろん、こうしたアライメントテクノロジーを使ったからといって、すべてのパットが入る保証はない。

誰しも経験しているように、ボールを置いてから転がり終わるまでにトラブルはつきものだが、ターゲットラインへのセットアップ精度を上げること自体は大きな武器になる。

狙ったラインにボールを乗せる確率が高まれば、パッティングで大きな変数を1つ減らせることになる。

他の57個の変数をどう管理するかは、また別の話だ。

基本をおさえたところで、タイトリストの3種類の『AIM』モデルをさらに詳しく見ていこう。


『Performance Alignment』

タイトリスト「Pro V1」ボールに搭載された『Enhanced Alignment』テクノロジーのサイドスタンプ。

「Pro V1」、「Pro V1x」、「Pro V1x Left Dash」ユーザー向けに、『Performance Alignment』テクノロジーは、パッケージから取り出してすぐに使える“ツアー実績のある”マーキングを採用している。

105度のラインには、両側に矢印型がプリントされており、標準の「Pro V1」や「Pro V1x」のサイドスタンプの反対側に特別にデザインされている。これは、2025年モデルの「Pro V1」サイドスタンプと比べて65%長い。

『Performance Alignment』は、PGAツアープレーヤーがよくボールに追加する“長いまっすぐなライン”を模したものだ。

これはなかなか興味深い試みだ。

カラーはブラック、レッド、ブルー、そして新たに加わったピンクの4色展開となっている。


『Enhanced Alignment』

タイトリスト「Pro V1」ボール複数個の『Enhanced Alignment』テクノロジー搭載モデル。ゴルフコースの芝生の上。

『Enhanced Alignment』テクノロジーは、「Pro V1」、「Pro V1x」、「Pro V1x Left Dash」モデルでも展開されており、2025年モデルの「Pro V1」サイドスタンプと比較して65%長いアライメントサイドスタンプを特徴としている。

『Performance Alignment』テクノロジーよりも控えめな仕様ながら、目標へのアライメントを補助する視覚的なガイド機能をしっかりと備えている。


『AIM 360』

タイトリストAVXボールに搭載された『AIM 360』テクノロジー。緑の芝生の上で撮影。

タイトリストのラインアップにおいて、最も新しく、かつ最も包括的なアライメントテクノロジーである『AIM 360』テクノロジーは、ボールのほぼ全周を覆うマーキングを備えている。

現在のところ、「AVX」と「Tour Soft」のみで展開されており、タイトリストとしては初めての本格的なストライプ仕様となる。

「Pro V1」や「Pro V1x」、「Left Dash」にも(あるいはもっと幅広い仕様でも)この機能を搭載してほしいところだが、まずは一歩前進といったところだろう。


『AIM』テクノロジーを超えたカスタムオプション

標準の『AIM』テクノロジーだけでなく、タイトリストはさらに多彩なカスタマイズオプションも用意している。

タイトリスト公式サイト(Titleist.com)のカスタムオーダーでは、「Pro V1」の4番目のポール(サイドスタンプの反対側)に40種類以上のアライメントデザインを選べる仕様も展開されている。

また、「Pro V1」と「Pro V1x」では、プレーナンバーを「00」から「99」までカスタムオーダー可能。テキストやオリジナルロゴの名入れも、タイトリスト公式サイトや地元のゴルフショップで対応している。


タイトリスト「Pro V1」ボールの『Enhanced Alignment』テクノロジーを上から撮影。

結論

タイトリストが『AIM 360』テクノロジーを導入したことは、ビジュアルアライメント機能を少しずつ取り入れ始めたという点で大きな一歩だ。

他社ほど派手さはないものの、プレミアムモデルの「Pro V1」シリーズにはまだ搭載されていないながらも、こうしたテクノロジーを求めるゴルファーが多い(もしくは少なくとも欲している)という事実を、タイトリストがしっかりと認識した証といえる。

タイトリストにもっと明確なアライメント機能を求めて、自分でラインを描くしかなかったゴルファーにとって、『AIM 360』テクノロジーは嬉しい選択肢となるだろう。

そして、このテクノロジーが十分に支持されれば、将来的に「Pro V1」シリーズでも同様の機能が搭載されるかもしれない。

本当に。これを実現するためには、誰に電話をかければいいんだろう?

少なくとも、タイトリストが慎重ながらも着実に前進しているのは確かだ。


価格と発売状況

タイトリストは、アライメント機能を搭載したモデルに追加料金を設定していない。どのアライメントテクノロジーを選んでも、「Tour Soft」は1ダース40ドル、「AVX」は50ドル、「Pro V1」シリーズは55ドルとなっている。

現在、Titleist.comおよび世界中のプロショップで発売中だ。

「AVX エイム360° 」「 TOUR SOFT エイム360° 」ゴルフボールが数量限定で発売!

発売日:2025年6月6日(金)

詳細はタイトリストホームページより。