新しいイーブンロール(Evnroll)「ZERO(ゼロ)」パターには、フェースの回転を抑える独自のホーゼルデザインが採用されている。これによりストローク中もフェースが常に正面の状態を保ち、安定した転がりを実現する。
「ZERO」パターは、ステンレススチールと航空機グレードのアルミニウムを組み合わせて造られている。これにより、強度と耐久性を確保しながら、余分な重量を抑えた設計になっている。
イーブンロールが発表した新シリーズ「ZERO」パター。名前こそ“ZERO”だが、このモデルにはゼロどころか数多くの革新要素が詰め込まれている。

「ZERO」シリーズには、2種類のマレットと、クラシカルな雰囲気をまとったブレードタイプがラインアップ。中でもマレットのひとつは、3色の「アルマイト仕上げ」から選べる遊び心ある仕様になっている。
最大の注目ポイントは、見た瞬間に度肝を抜かれるほど個性的なホーゼル。そして、なぜかヘッドカバーにはペンギンが描かれているというユニークさだ。これだけ要素が詰まっていると、とても「ZERO(ゼロ)」とは呼べない気もする。
名前をつけたのには理由がある。その理由のひとつは同社の独自テクノロジーに結びついているが、もうひとつの理由はまさに意外なものだった。
「ZERO(ゼロ)」 ミスヒット

「ZERO」パターに共通するのは、イーブンロールの特許技術『スイートフェイス(SweetFace)』テクノロジーだ。独自のフェースミーリングが搭載されており、ゴルファーに「ZERO」ミスヒットをもたらすとされている。
この『スイートフェイス』の溝パターンは、業界でもトップクラスの完成度を誇る。フェース全体で転がりの距離を均一にするだけでなく、打点のズレによる方向のバラつきまで補正してくれる。
実際には誰だってパットをミスする。しかし、この溝があればミスがそのまま“ナイスイン”に変わることも珍しくない。スコアカードに記されるのは、「ZERO」ミスヒット…そんな魔法のようなパターだ。
「ZERO(ゼロ)」フェースローテーション

イーブンロールファンにとって「ZERO」シリーズに『スイートフェイス(SweetFace)』テクノロジーが採用されているのは当然のことだろう。だが、一方で初めて目にする独特なホーゼルデザインには、多くのゴルファーが驚かされるはずだ。
もちろん、ゲーリン・ライフが誤ってプランバーネックを逆さに取り付けたわけではない。それが正しい形なのだ。
見慣れない形状かもしれないが、狙いそのものは現在のパターマーケットではおなじみだ。このネックの形状と位置によって、パターは「トゥアップ(フェースが上を向く状態)」のトゥハング(フェースの傾き度合)となり、ストローク中にフェースが開閉しない設計になっている。

そう、その名の通りだ。イーブンロールがこのパターを「ZERO(ゼロ)」と名付けた大きな理由は、ストローク中にフェースが一切回転しない(ゼロローテーション)からだ。
回転しないことで、フェースは常にストロークの軌道に対してスクエアを保つ。つまりフェースは常に進行方向を向き、インパクトの瞬間には確実にボールにスクエアで当たる設計になっている。
フェースがスクエアで当たれば、ボールは狙ったラインに沿って転がり出し、カップインの確率も高まる。
フェースローテーションの話には後ほど戻るとして、ここで「ZERO」パターのモデルラインナップを見ていこう。
イーブンロール「ZERO Z2s(ゼロ・ゼット2エス)」
「ZERO Z2s」は、イーブンロールの代表作として高い評価を受けてきた「ER2」に最も近いモデルだ。。
基本的なシルエットは「ER2」を踏襲しながら、ヒールからトゥまでの長さはやや短く、前後方向に幅を広げた形状となっている。いわばワイドボディのブレードで、ブレードとマレットの境界を少し曖昧にするデザインだ。多くのゴルファーにとって、このモデルは「ZERO」シリーズを試す入口になるだろう。アドレス時に逆向きのホーゼルは一見すると奇抜に見えるが、全体の印象は「ER2」を使い慣れたプレーヤーにとって馴染みやすいはずだ。
また、『スイートフェイス』がステンレススチールのボディに直接ミルド加工(削り出し加工)されているため、打感は従来のイーブンロールパターと同じくソフトで心地よい。
特に「ネオクラシック以前」のEvnrollモデルを使用してきたプレーヤーには違和感がないだろう。果たしてこの新しい「ZERO設計」が、『Most Wanted ブレード』の称号を得た「ER2」をさらに進化させることができるのか…その実力に注目したい。
イーブンロール「ZERO Z5s(ゼロ・ゼット5エス)」
ステンレススチール製の「ZERO Z5s」は、見た目としてはイーブンロール「EV5.3」マレットに、ほんの少しだけブレードパターの要素を加えたような印象だ。
全体のシルエットはマレット型だが、ヘッド前方にはバンパー形状やセンターアライメントの要素が取り入れられており、これはむしろイーブンロールのブレードモデルに近い特徴といえる。
「ZERO Z5s」は、どことなくToulon(トゥーロン)「Alcatraz H1(アルカトラズ・エイチワン)」を思わせる。ただし大きな違いは、もちろん独自の「ZEROネック」にある。
このモデルの強みのひとつが、中央に配置されたアライメントシステムだ。トップライン上の2つのドットで簡単にボール中央へ構えられ、さらにキャビティのサイトラインとウィングの平行エッジがターゲットラインを明確に導いてくれる。
「Z5s」は複数の角度やラインが組み合わされたデザインだが、不思議とそれらが調和し、ひとつの統一感あるビジュアルを生み出している。
イーブンロール「ZERO Z1 Black(ゼロ・ゼットワン・ブラック)」
「ZERO Z1」のデザインは、多くの点で従来モデル「ERZ」マレットを踏襲しつつ、新たに再解釈されたものだ。両者はどちらも航空機グレードのアルミニウムを採用し、4つの突起や中央のホールといった特徴を持つ。
しかし、そこからデザインの方向性は大きく分かれる。
2023年の「ERZ」ではMOI(慣性モーメント)を高めるために四隅すべてにウエイトが配置されていた。一方「ZERO Z1」では、ウエイトは前方の角に集められ、後方の多くの素材がソール側から取り除かれている。
もし独自のホーゼルがなかったなら、この大胆な重量配分の変化こそが最大の特徴といえただろう。だが、「Z1」のホーゼルは伝統的なものではない。前方に寄せられたウエイトとホーゼルの形状・配置が連動し、ストローク中のフェース回転を完全に排除している。他のZEROシリーズ同様、フェースはストローク中ずっと前方を向いたままだ。
イーブンロール「ZERO Z1 Red(ゼロ・ゼットワン・レッド)」
「ZERO Z1」には、レッドとブルーのカラーバリエーションも用意されている。レッド仕上げは非常に鮮やかだが、直射日光下でもまぶしさを感じさせない。光の当たり方によっては、赤からラズベリー寄りの色合いへと変化して見えるのも特徴だ。
さらに、このレッドモデルには、同色のイーブンロール「Neoパターグリップ(レッド仕様)」が装着されている。
イーブンロール「ZERO Z1 Blue(ゼロ・ゼットワン・ブルー)」
ブルー仕上げの「ZERO Z1」マレットは、ひと目で惹きつけられる存在感を放つ。レッド同様、ブルーも光沢がありながらギラつきのない上品な輝きで、反射の強いクロームシャフトと比べてもはるかに落ち着いた印象だ。
3種類の仕上げの中では最も華やかに見えるが、それは決してネガティブな意味ではない。実際、筆者がコースに持ち込んだのもこのブルーモデルだった。
ただし残念ながら、ブルーとレッドの両バージョンは現時点では左利き用が用意されていない。
イーブンロール「ZERO 38 Tour Spec(ゼロ・サーティエイト・ツアースペック)」
「ZERO 38 Tour Spec」は、既に登場している38インチ仕様の「Tour Spec」パターと同様、カウンターバランス設計を採用した38インチ長のモデルだ。
カウンターバランスによるもともとの安定性に加えて、フェース後方に差し込まれた“リバースホーゼル構造”によって、ストローク中もフェースが回転しない“ゼロローテーション”の安定感を実現している。まさに安定性を突き詰めた仕様といえる。さらに太めのグリップによって、手の余計な動きをしっかり抑えられる。もし「ZERO 38 Tour Spec」をストローク中に不意にブレさせてしまうなら、それは前腕の筋力が常人離れして強いという証拠だ。

加えて小さなトリビアとして、イーブンロール「ZERO Z1」シリーズの全モデルは、パターでボールを拾い上げられる仕様になっている。
イーブンロール「ZERO」モデルのプレーテスト

新しいパターを手に入れたら、私がよくやるのは練習グリーンではなく、いきなりコースに投入して使ってみることだ。最初のパットが、文字通りそのパターで打つ最初の一打になる。
スコアを狙うには効率的な方法ではないが、練習グリーンでの試打とは違い、プレッシャーのかかる実戦でどう機能するかを確認できるのが面白いところだ。
今回は新たに3本のパターをバッグに入れ、それぞれでまったく異なるパッティング体験をすることになった。

最初にコースで使ったのは「ZERO Z1 Blue(ゼロ・ゼットワン・ブルー)」だった。正直に言えば、あの鮮やかで夢のようなブルーのヘッドカラーに惹かれて手に取った。ときに“輝くもの”には目を奪われてしまう。
ミルド加工(削り出し加工)のアルミニウム製「Z1」は、インパクト時の打感が「生まれたての子猫いっぱいに包まれた」ようにソフト。個人的にミルドアルミのマレットが大好きなのだが、この「Z1」も期待を裏切らなかった。

構えたときは、ヘッド中央のホールと2本の長いラインという組み合わせにやや戸惑った。一般的なアライメントとは違うからだ。
だが実際に使ってみると、オデッセイ「2-Ball」に近い感覚で、パターのホールをボールに重ね合わせ、長いラインでターゲットを導ける。少し慣れれば、非常に有効な仕組みだと感じた。「Z1」では、距離感のコントロールがやや難しいと感じた。打球はラインに乗っているものの、ショートすることが多かったのだ。もう少し練習を重ねるか、あるいはウエイトを交換すれば解決できるかもしれない。
一方、「Z2s」と「Z5s」はコース上で非常によく似たフィーリングを見せた。アルミニウムからステンレススチールに素材が変わったことで距離感が安定し、「Z1」よりもしっかりとボールに“勢い”を与えてくれる感覚があった。

「ZERO」のホーゼルも、最初は気になる存在だったが、数回パットするうちに違和感はまったくなくなった。
シャフトの角度自体は一般的なパターと同じなので、たとえヘッドへの差し込み方が独特でも、実際に使ってみると普通のパターを使っている感覚に近い。ラウンドを重ねた結果、個人的なベストは「Z5s」だった。おそらく、この夏にトゥーロン「Alcatraz(アルカトラズ)」を使い込んできたことが影響しているのだろう。形状が似ている分、すぐに馴染めたのだと思う。

「Z2s」はイーブンロールにとってヒットモデルになる可能性が高い。人気の「ER2」に似たルックスを持ちながら、さらに「正確性」を高めるテクノロジーが搭載されている。これはまさに“売れる方程式”といえるだろう。
繰り返しになるが、一見奇抜に見えるホーゼル形状も、実際にボールを転がしてみればすぐに違和感がなくなる。最初こそ見慣れないが、数球打つうちにまったく気にならない存在へと変わっていくのだ。
ペンギンの謎?

マレット型のヘッドカバーの裏側には、ペンギンのデザインが入っている。正直に言えば、なぜパターカバーにペンギンなのか、まったく見当がつかなかった。
ペンギンは好きだが、このデザインとのつながりはわからない…そんな印象だ。
イーブンロールがヘッドカバーにペンギンを加えた理由は、ペンギンが目的地まで最も簡単なルートを歩く習性を持っているからだ。先頭が歩き出すと、他のペンギンがそれに従って一直線に進む。
つまり、ストローク中に常にフェースが正面を向き続ける「ZERO」パターを象徴している。さらに、ペンギンは世界に18種存在しており、この数字はゴルフの18ホールともつながっている。
とはいえ、細かい理由は抜きにしても、ペンギンのデザインが加わることでヘッドカバーに遊び心が生まれているのは間違いない。
イーブンロール「ZERO(ゼロ)」パターの総括

次のシーズンのパター市場を賑わすキーワードは、トルクバランス/ゼロローテーション/フェースフォワードといった新しい方向性かもしれない。
数週間前にはPXGが「Allan(アラン)」を投入し、そして今、Evnrollが同じ目標にフォーカスした「ZERO」シリーズを一挙に送り出してきた。もちろん、フェースの回転をなくすという設計思想自体は新しいものではない。過去にもゼロローテーションやトルクバランスを狙ったパターは登場している。
PING「Kushin 4(クッシン・フォー)」はトゥアップ設計で、オデッセイは「BackStryke(バックストライク)」や「Toe Up(トゥアップ)」で挑戦してきた。そして近年、この設計を一気に精密なレベルへと引き上げたのがL.A.B. Golfの『Lie Angle Balanced(ライ・アングル・バランスト)』。
このモデルがツアープロやアマチュアに浸透したことが、現在の“ゼロローテーション人気”を後押ししている。
ビジネスの観点から見れば、ゴルフ界で最も注目を集めているトレンドに乗ろうとするのは当然の流れだ。今回のイーブンロール「ZERO(ゼロ)」シリーズは、いわば“スピンしないデザイン”に対するEvnroll流のアプローチといえる。
初期テストの結果からも、この新しいラインナップは十分に競争力を発揮するだろう。
2025年 新モデルの詳細は公式サイト「イーブンロール ジャパン」で確認できる。
FAQ: イーブンロール「ZERO(ゼロ)」パターシリーズ
Q: これからみんなL.A.B. Golfの真似をするの?
A: 今年は同じようなデザインのパターが多く登場するはずだ。このコンセプト自体はL.A.B. Golfより前から存在していたが、彼らが市場の注目を集めるきっかけを作ったのは間違いない。
消費者にとって選択肢が増えるのは良いことだ。もちろん、その選択肢が本当に良いものであれば。 たとえば「Coke(コカ・コーラ)」が「Pepsi(ペプシ)」よりも10年以上早く市場に出たことを知っていただろうか?レシピは違えど、どちらもコーラ系飲料だ。ある人はコークを好み、別の人はペプシを好む。しかし、両社とも消費者の支持を得て十分に成功している。Q: パターの素材はインパクトの打感に本当に影響するの?
A: 間違いなく影響する。ステンレススチール製ヘッドとアルミニウム製ヘッドを打ち比べれば、アルミの方がはるかにソフトに感じられるのは一目瞭然だ。
ただし、この“ソフトさの好み”はゴルファーによって大きく異なる。私自身は打感がやや硬いパターの方が距離感をコントロールしやすい。一方で、硬すぎると感じる人にとっては、そのフィーリングが不快に思えるかもしれない。Q: ソールのウエイトを交換したら、“ゼロローテーション設計”は崩れてしまう?
A: 私も距離感を調整するために「Z1」のウエイトを替えようと考えたとき、同じ疑問を持った。しかし答えは「NO」。スイングバランスの好みに合わせてウエイトを交換しても、フェースは常に前方を向いたままになる。
Q: この設計がそんなに優れているなら、イーブンロールは従来の「Neo Classics」など他のパターを作らなくなるの?
A: もちろんそんなことはない。イーブンロールも「ZERO」パターが優れた設計だとわかっているが、全員がこのタイプを好むわけではないと理解している。だから今後も他のモデルはラインナップに残り、ゴルファーが自分に合ったパターを選べるようになる。
ただし、もし「ZERO」シリーズが大ヒットすれば、将来的にさらに多くのZEROモデルが登場するだろう。個人的には「EV12」のホワイトモデルに「ZERO設計」を採用したパターをぜひ見てみたい。
Leave a Comment