テーラーメイド「MG5」ウェッジがついに登場。『Most Wanted(性能テスト)』受賞歴を誇る「ミルドグラインド(MILLED GRIND)」シリーズは、これまで隠れた実力派としてゴルファーに愛されてきた。

すでに高い評価を得ているモデルだけに、大幅な改良はないと思われたが、今回はシリーズ史上でも屈指のアップデートが加えられている。


フル鍛造

テーラーメイド「MG5」ウェッジ 鍛造工程 赤熱したヘッドを成形する瞬間の写真

ゴルファーが鍛造特有のソフトな打感を好むことは周知の事実だ。しかし、市場で人気の高いウェッジの多くが鍛造ではないことを惜しむ声も少なくない。

その点、「MG5」ウェッジは軟らかい「カーボンスチール」のフル鍛造製法を採用していると聞けば、きっとワクワクするはずだ。

テーラーメイドによれば、このソフトな打感をもたらすだけでなく、鋳造よりも部品ごとの精度と一貫性が高いのも「鍛造」の利点だという。

もちろん、「MG5」にはフェースやソール、溝、ホーゼルに至るまで精密な『ミーリング加工』が施されており、テーラーメイドは従来から一貫性向上のために多くの工夫を凝らしてきた。


洗練された形状

テーラーメイド「MG5」ウェッジ 60度モデル バンカーショットを構えるゴルファーの写真 2025年最新

「MG5」では、形状にさりげない改良が加えられている。

『リーディングエッジ』の曲線をより滑らかにし、トップラインのつながりを調整することで、全体がより左右対称に見えるデザインになったという。

見た目の好みは人それぞれだが、従来の「MG」シリーズは構えたときにやや違和感があっただけに、この変化でアドレス時の印象がより魅力的になることを期待している。


『ソウミルド・グルーブ』で限界に迫るスピン性能

テーラーメイド「MG5」ウェッジ フェース溝のクローズアップ 高精度グルーブによるスピン性能 2025年最新モデル

テーラーメイドが新たに採用したのは、その名も『ソウミルド・グルーブ』。

壁面をより急角度にし、エッジ半径を鋭く、さらに製造公差を極限まで高めることで、USGAルールの上限に迫る形状を実現したという。

説明としては定番かもしれないが、その狙いはシンプル。より高いスピン性能を生み出すことだ。


テーラーメイド「MG5」ウェッジ 芝の上でボールを前に構えるアプローチショットのシーン 水滴がついたヘッド 2025年最新モデル

注目すべきは、テーラーメイドが新たに採用したのが『スピン・トレッド・テクノロジー』。

これは溝と溝の間に新たに刻まれた溝が、タイヤの「トレッド」のように水分を逃がし、摩擦を高めることで、濡れた状況でもスピン維持性能を向上させるという。

テーラーメイドのデータによれば、水分が付着した状態でも、前モデルに比べてスピン量を13%多く維持できる。

これまでの『Most Wantedウェッジテスト』では、水分が付着するとスピン量が大幅に低下する例を数多く見てきた。だからこそ、この課題に正面から取り組むメーカーの姿勢はうれしい限りだ。


多彩なグラインドオプション

ウェッジ選びで意外と見落とされがちなのが、ソールの「グラインド」。ロフトやバウンス角だけでは、自分に合う一本は見つからない。

だからこそ、ゴルファーのタイプや好みに合わせた多彩なグラインドが必要になる。テーラーメイドがその選択肢をさらに広げているのは、非常に心強い。


テーラーメイド「MG5」ウェッジ 6種類のソールグラインド(LB・SC・SB・SX・HB・TW)を比較したラインナップ表 2025年モデル

「SBグラインド」– 迷ったときの万能タイプ

「どのグラインドにすべきか迷ったらSBグラインド」と言えるほど、幅広いスイングやコース条件に対応できる万能モデル。ソールには4方向の『キャンバー』が施されており、芝の上をスムーズに滑ってくれる。特にハーフスイング以下の小さいショットやバンカーショットで、その効果を発揮する。


「SCグラインド」– プロが好む万能型Cグラインド

クラシックな「Cグラインド」をテーラーメイド流に仕上げたのが、この「SCグラインド」。ミッドバウンス仕様で、ソール中央に『高さ』を持たせつつ、ヒール、トゥ、トレーリングエッジを削り落とし高低差を持たせている。より多用途に使える「SBグラインド」といった位置づけで、同社契約プロからの支持も高い。


「SXグラインド」– 幅広ソールで安定感抜群

「MG5」シリーズの中で最もソール幅が広い「SXグラインド」は、ニュートラルから鋭角(スティープ)なダウンスイング、そして中程度〜柔らかめの芝質にマッチする。ワイドソールならではの安定感で、バンカーショットにはすこぶる強い。さらにトレーリングエッジをわずかに削ることで、ほんのりと万能性も加えている。


「HBグラインド」 – 柔らかい芝質や鋭角スイングに強い多用途ハイバウンス

柔らかい芝質や鋭角なダウンスイングに対応する、テーラーメイド流の多用途型ハイバウンスが「HBグラインド」。ヒールを削り、トレーリングエッジを先細り形状にすることで、トゥ側では高めのバウンスを確保しつつ、一般的なハイバウンスよりも万能性を高めている。


「LBグラインド」 – 硬い芝質やシャロースイング向けのローバウンス

シリーズで最もバウンスが低い「LBグラインド」は、硬い芝質や浅い(シャローな)入射角のスイングに最適。ヒールとトゥに加え、リーディングエッジとトレーリングエッジも削ることで、フェースを開いても地面に刺さりづらく、多彩なアプローチを打ち分けたいゴルファーに高い万能性を発揮する。


「TWグラインド」 – タイガー仕様を今のスタイルに最適化

タイガー・ウッズの求めるウェッジ像が変わったことで、「TWグラインド」もアップデート。新設計のリーディングエッジ、トレーリングエッジの削り加工、そしてヒールのバウンス増加によって、タイガーの現スタイルに合わせた仕様に仕上がっている。


価格と発売情報

テーラーメイド「P790」アイアンと「MG5」ウェッジ ゴルフクラブセット 2025年最新モデル

日本仕様:テーラーメイド「MG5」ウェッジの詳細はこちら!


※下記はアメリカ仕様のスペック

「MG5」ウェッジのほとんどは199ドルで販売される。「TWグラインド」だけは理由は不明だが219.99ドル…。

どうやらタイガー仕様は割高らしい。仕上げは、すべてのロフト角・バウンス角・グラインドの組み合わせで「サテン・クローム」が用意され、一部の組み合わせでは「チャコール」も選べる。

標準シャフトはスチールの『True Temper Dynamic Gold Tour Issue 115(トゥルー・テンパー・ダイナミック・ゴールド・ツアー・イシュー115)』とカーボンの『UST Recoil DART(ユーエスティー・リコイル・ダート)』。

グリップはテーラーメイド標準の『Golf Pride Z-Grip Plus 2(ゴルフプライド・ゼットグリップ・プラス2)』が装着される。


カスタムオプション – 自分だけの「MG5」を作れる「MyMG5」

テーラーメイド「MG5」ウェッジ 製造工程 数字部分へ塗料を入れるクラフト作業の様子

「MG5」の発売に合わせて、テーラーメイドはウェッジのカスタマイズプラットフォーム(現在は「MyMG5」)を継続展開する。

このシステムでは、5種類のレイアウトから選び、最大12文字までの刻印、15種類のペイントフィルカラーが選択可能。

さらに50種類以上のカスタムロゴ、カラーグリップ、そして4種類の仕上げ(ツアーRAW、エイジドカッパー、クローム、チャコール)から選べる。


大学ロゴ刻印もOK – スクールカラーをウェッジに

「MG5」ウェッジは、テーラーメイドの大学プログラムにも対応。18校の中から選んだ大学のロゴをウェッジに刻印できる。

対象はアラバマ、クレムソン、コネチカット(UCONN)、フロリダ、ジョージア、カンザス、ルイジアナ州立(LSU)、マイアミ、ミシガン、ノースカロライナ、オレゴン、テキサス、デューク、ケンタッキー、オーバーン、ペンシルベニア州立、テネシー、オハイオ州立。

どうやら、ウェッジにも母校愛を刻む時代が来たらしい。(アメリカのみ)


テーラーメイド「MG5」ウェッジ 60度モデル 水滴がついたフェースのクローズアップ 2025年最新

まとめ – 魅力満載、でも左利きはちょっと寂しい

テクノロジー強化、見た目の進化、そして充実した新グラインドラインナップ。「MG5」ウェッジには魅力がたっぷり詰まっている。

もともとテーラーメイドのウェッジは評価が高かったが、今回のアップデートでさらに完成度が増した。

惜しいのは、左利き用の選択肢が少ないこと。特にフル鍛造は金型コストがかさむため、その影響もあって左利き用は限られたロフトに「SC」と「SB」グラインドのみ。多くの魅力が右利き限定というのは、ややもったいない。

次回に期待したいところだ。

テーラーメイド「MG5」ウェッジは現在発売中。