「スコアを落としている原因のクラブは?」と聞かれれば、多くのゴルファーが即答するだろう。

隣のフェアウェイまで飛んでいくドライバーや、グリーンを横切る60度ウェッジ。きっとそう答えるはずだ。

しかし、冷静にデータを見れば、少し違った景色が浮かび上がる。

今回、「Shot Scope」の協力でハンディキャップ別の「ストロークス・ゲインド」データを分析した。

その結果は意外性に満ちているわけではないが、数字が物語るのは紛れもない現実だ。

つまり、ゴルファーの腕前を問わず「どこで最もスコアを失っているのか」がはっきりと浮かび上がってくるのだ。


ハンディキャップ25の現実

25ハンディキャップのゴルファーにとって、もっともスコアを落としているのは意外にも5番アイアンだ。

スクラッチゴルファーと比べれば、1スイングあたり平均–0.373打もの差を生んでしまう。これは1打あたりのペナルティとしては非常に大きい。

ロングアイアンは、十分なヘッドスピード、芯をとらえる再現性、そしてブレない弾道コントロールが求められる。

しかし、これらは高ハンディキャップ層にとって最も苦手とする部分でもある。

その点、パターやギャップウェッジは効率的で、1打あたりのロスも小さい。むしろスコアをまとめるための頼れる存在として機能しているのだ。


ハンディキャップ25のクラブ別成績:平均ストローク差(vs スクラッチ)

25ハンディキャップのゴルファーにおけるクラブ別ストロークゲイン差。5番アイアンで最もスコアを失い、パターとギャップウェッジが救う役割を果たす。

最大のロス要因(Costs the Most)・最も効率が良い(Saves the Most)・その次に良い(Next Best)


ハンディキャップ20の現実

ハンディキャップが20になっても、スコアを落とす最大の要因はやはり5番アイアンだ。

1スイングごとに–0.328打のロスを抱え、ハンディ25ほどではないにせよ依然として高リスクな存在。

多くのゴルファーにとって、このクラブをハイブリッドや高ロフトのフェアウェイウッドに入れ替えることが、スコア改善への近道となるだろう。

一方、パターは相変わらず最も効率的な武器で、ギャップウェッジもその後を追う安定感を見せている。


ハンディキャップ20のクラブ別成績:平均ストローク差(vs スクラッチ)

20ハンディキャップのゴルファーにおけるクラブごとのストロークゲイン差。5番アイアンが最大の損失要因、パターとギャップウェッジが次点でスコアを改善。

最大のロス要因(Costs the Most)・最も効率が良い(Saves the Most)・その次に良い(Next Best)


キャロウェイ「CB12」ウェッジのクラブヘッドをクローズアップした画像。高精度な設計と洗練されたバックフェースデザインが特徴的。

ハンディキャップ15の現実

ミドルハンディ層に入っても、状況変わらない。5番アイアンは依然としてスコアの落とし穴で、平均–0.276打を奪っている。

確かにショット精度は向上するが、ロングアイアンの要求する正確さを安定して満たすのは難しい。

対照的に、パターとギャップウェッジは相変わらずスコアを支える存在として光っている


ハンディキャップ15のクラブ別成績:平均ストローク差(vs スクラッチ)

15ハンディキャップにおけるクラブ別ストロークゲイン差を示した表。5番アイアンで最も損失が大きく、パターとギャップウェッジがスコアを救う傾向。

最大のロス要因(Costs the Most)・最も効率が良い(Saves the Most)・その次に良い(Next Best)


ハンディキャップ10の現実

「一番スコアを落としているクラブは?」と聞かれれば、やはり答えは5番アイアンだ。

平均–0.205打。ショットは安定してきても、ロングアイアンのわずかなミスが大きなロスにつながってしまう。

ただし、このステージでは新しい変化も見えてくる。

「最も効率が良いクラブ」の枠に、パターと並んでドライバーが加わったのだ。

ボール初速、インパクトの精度、方向性が整い、ティーショットがスコアを支える武器へと成長している。


ハンディキャップ10のクラブ別成績:平均ストローク差(vs スクラッチ)

10ハンディキャップのゴルファーのクラブ別ストロークゲイン分析表。5番アイアンが最も損失を与え、パターとドライバーが比較的スコアを助ける結果。

最大のロス要因(Costs the Most)・最も効率が良い(Saves the Most)・その次に良い(Next Best)


PXG「Secret Weapon Mini Driver」を手に持ち、フェース部分を強調した画像。短尺設計による操作性と飛距離性能をイメージさせる。

ハンディキャップ5の現実

ハンディキャップ5クラスになっても、鬼門はやはり5番アイアン。

平均–0.136打とロスは小さくなったものの、まだ「スコアを伸ばす武器」とは言えない。上級者ほど扱いはうまいが、それでも数字はマイナスを示している。

一方で、このステージの強みは別のクラブに現れる。最も効率が良いのは変わらずパター。

そして、新たに3番ウッドが“スコアを支えるクラブ”として存在感を発揮している。


ハンディキャップ5のクラブ別成績:平均ストローク差(vs スクラッチ)

5ハンディキャップのゴルファーにおけるクラブ別のストロークゲイン差を示す表。5番アイアンが最もコストが高く、パターが最もスコアを救うクラブとして記録されている。

最大のロス要因(Costs the Most)・最も効率が良い(Saves the Most)・その次に良い(Next Best)


スクラッチの現実

アマチュアゴルファー最高峰のスクラッチゴルファーでさえ、5番アイアンには苦戦している。

平均–0.062打と差は小さいものの、「誰が打ってもロングアイアンはやさしくない」という現実を物語っている。

ただし、このレベルで大きく変わるのがロングゲームの位置づけだ。

ドライバーがプラスの「ストロークス・ゲインド」を記録し、初めて“リスク”ではなく“スコアを稼ぐ武器”として機能するようになる。


スクラッチゴルファーのクラブ別成績:平均ストローク差(vs スクラッチ)

スクラッチゴルファーのクラブ別ストロークゲイン表。5番アイアンはわずかにマイナスだが、ドライバーでプラスを記録し、3番ウッドはややマイナス。

最大のロス要因(Costs the Most)・最も効率が良い(Saves the Most)・その次に良い(Next Best)


結論:どのレベルでも変わらぬ真実

ハンディキャップに関係なく、5番アイアンは常に“最大のロス要因”だった。腕が上がるほど差は縮まるが、スクラッチでさえプラスにはできないのが現実だ。

その一方で、パターはほぼすべての層で圧倒的な効率を誇り、さらに上級者になるほどドライバーと3番ウッドが“スコアを稼ぐ武器”として存在感を増していく。


最後のひと言:

もし本気でスコアを伸ばしたいなら、答えはシンプルだ。

5番アイアンはキャディバッグから外して、ハイブリッドか高ロフトのフェアウェイウッドに置き換えよう。

それだけで余計なロスを減らし、もっと楽にプレーできる。