タイトリストがアイアンで「3D」という言葉を使うたびに、私たちはつい冗談を交わしてきた。だが、テーラーメイドはその上をいく。
新たに「Qi4D」ドライバーを登場させ、話題をさらう構えだ。“4D”が何を意味するのかは、まだ誰にもわからない。ひょっとすると、2026年モデルの開発陣は“4次元チェス”でもしているのかもしれない。現時点でわかっているのは、USGAが公開した写真と簡単な記載のみ。 つまり、今のところは「詳細不明の新ドライバー」というわけだ。
控えめに進化したテーラーメイド「Qi4D」のデザイン
USGAが公開するのは白黒の写真のみ。しかも写っているのはソール部分だけだ。そのため、デザイン全体の印象を語るには、まだ情報が乏しい。
ただ、今年の「Qi35」で見られた『クロミウム・カーボンデザイン』と比べると、テーラーメイドは「Qi4D」でトーンをやや抑えてきたように見える。
写真を見るかぎり、ソールにはカーボンの織り目がかすかに残る程度。重心位置を示唆するような緑のアクセントも姿を消している。
もちろん、ドライバーは毎年どこかで見た目を変える必要がある。カラーで見れば完成度の高いデザインなのだろうが、今回は、やや控えめにまとめすぎた印象もある。
テーラーメイド「Qi4D」は3モデル構成 ── LS・スタンダード・Maxを確認
USGA(およびR&A)の適合リストには、現時点で3モデルが確認されている。ラインアップとしてはおなじみの構成だ。
登録されているのは「Qi4D LS」、「Qi4D(コアモデル)」、そして「Qi4D Max」の3モデル。基本構成は前作から継続している。
一方で、「Qi4D Lite」はまだリストに見当たらない。もっとも、テーラーメイドがシリーズ全体を順次更新する形で進めているとすれば、軽量モデルが追加されるのは発売直前になるだろう。
ツアー非使用のモデルは、USGAリストへの掲載が後ろ倒しになるのが通例だ。テーラーメイド「Qi4D LS」── 前後2点ウエイト構造に刷新
「Qi4D」シリーズでまず目を引くのは、「LS」モデルのウエイト構造だ。従来の3点式から、前後2点式のシンプルな配置へと変更されている。
この設計が弾道をよりニュートラルに保つためなのか、それとも内部にわずかなバイアスを加えたものなのか──その真意はまだわからない。
とはいえ、テーラーメイドの説明ではきっと、「フィッティングの柔軟性は維持しつつ、構造をよりシンプルにした」という物語が語られるはずだ。
テーラーメイド「Qi4D」スタンダード ──「R7」を思わせる4点ウエイト構造
「LS」で削られた要素の一部は、「Qi4D」スタンダードモデルに引き継がれている。写真だけでは分かりづらいが、よく見るとヒントがある。
このモデルでは、前後に4つのウエイトポートを備えた構造を採用。かつての「R7 Quad」を思い出す設計だ。
もっとも、後方の2つのウエイトがこれほど近い位置にあると、弾道への影響はわずかかもしれない。
それでも、私自身が「R7 Quad Mini」でウエイトを入れ替えた経験から言えば、“思い通りの弾道で飛ぶ”という結果こそが、最も重要なのかもしれない。いずれにしても、この4点式構造はフィッターにとって、弾道調整の自由度を大きく広げる仕組みとなりそうだ。
2026年版のテーラーメイドドライバーにおける、確かな“進化の要素”である。
テーラーメイド「Qi4D Max」──“10K”表記が見当たらない理由に注目
「Qi4D Max」で注目すべきは、USGAの記載に“ないもの”だ。
そこには「10,000 MOI」や「10K」といった表記がなく、“寛容性の頂点”を示すような説明も見当たらない。もちろん、それが「寛容性」を抑えたことを意味するわけではない。
だが、クラブヘッドにあらゆる数値やキーワードを詰め込みがちなこの業界において、“MOI(慣性モーメント)”の文字が見当たらないのは、むしろ印象的だ。テーラーメイドは「寛容性」をあえて控えめにしたのか。
それとも、私たちがすでに「Max=10K」と思い込むようになった結果、もはや表記の必要がなくなったのか──。その答えは、まもなく明らかになるだろう。
なお、USGAの情報によると「Qi4D Max」には、「LS」モデルと似た前後2点ウエイト構造が採用されている。
テーラーメイド『カーボンフェース』── 次世代モデルでも継続採用
テーラーメイドの『カーボンフェース』を巡る評価は、いまも割れている。正直なところ、「好き」と言う声を聞いたことはほとんどない。
一方で、「あれが理由でテーラーメイドは選ばない」と話すゴルファーは少なくない。とはいえ、USGAの情報によると、テーラーメイドは次のサイクルでもこの技術を継続するようだ。
実際、フェース接着の品質は年々改善され、かつて見られたフェース剥がれの問題は、いまやほぼ解消されている。それでも、重量削減とMOI向上以外の明確な性能メリットを見つけるのは難しい。
いまや「10Kドライバー」は市場に溢れており、カーボンフェースでなくても同じレベルの慣性モーメントは実現できている。むしろ、MOI(慣性モーメント)を追い求めるあまり、他の性能バランスを損ねているようにも見える。
──つまり、カーボンの追求は“理論上の進化”であっても、“実際の飛び”や“結果”に直結する進化とは言い難い。
テーラーメイド「Qi4D」ドライバーの価格予想
価格情報はまだ明らかになっていない。ただ、2026年モデルに関しては──値上げはほぼ確実だ。
2025年までは、一部の例外を除き価格が据え置かれていた。その裏で、各メーカーは関税によるコスト増を自社で吸収していたという。
ある大手ブランドは、その負担額が約5,000万ドル(およそ75億円)に達したとも言われている。上場企業が大半を占める業界で、それを再び繰り返すことは難しい。
つまり、価格は上がる。問題は“どこまで上がるか”だ。
$700を超えることはなさそうだが、$699.99と$700のわずかな差をどう演出するか──そんな“微妙な調整”の領域に入っている。
現時点での見立てでは、「スタンダード/Max/Lite」が$649前後、「LS」が$699.99程度。もちろん、あくまで予想の範囲を出ないが。
あなたはこの「Qi4D」シリーズをどう見る?
詳しい情報は、そう遠くないうちに明らかになるだろう。
それまでの間、あなたはこの「Qi4D」シリーズをどう見る?テーラーメイドの新ラインアップに、心が少し動いたなら──きっとその直感は、間違っていない。



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