MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの品質と一貫性の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立てもらいたい。

今日取り上げるのはスリクソン「Q-Star Tour」だ。ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義方法、独自の『True Price』決定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページにて確認できる。

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いつも「Ball Lab」の調査結果を公開する時は、できるだけ先入観のないように努めている。数字は数字であり、それ自体が多くを語ってくれるからだ。

今回のスリクソン「Q-Star Tour」に関しては、現実を直視するのは勇気のいることだった。多くのゴルファーがこのボールを使っているのも、愛用しているのも知っている。前作の「Q-Star Tour」で唯一のアルバトロス取ったことがあり、私自身の愛着がないわけではない。

品質に対する認識とスリクソンの評判を考えると、私自身「Q-Star Tour」に大きな期待を寄せていた。

率直に言って、最初の測定が完了したとき数字を見てショックを受けた。それは良い意味ではなく。

そして、サンプル全体を再度測定した。結果は同じだったが、新しい直径測定器が届くやいなや、すべてのボールを3回も測定にかけた。

「BALL LAB」の測定プロセスを3回実行したのはスリクソン「Q-Star Tour」が初めてで、測定回数で言えば最多である。それでも、結果が変わるわけではない。



スリクソン「Q-STAR TOUR」について

スリクソン「Q-STAR TOUR」について

スリクソンは、「Q-Star Tour」を中~高打ち出しの低スピンボールと分類している。これは、「低スピンによるやさしさとドライバーの真っ直ぐな飛び」をセールスポイントに謳う低価格ウレタンボールカテゴリーではかなり一般的だ。それに「低スピン」は、ある程度低コンプレッションの結果である。

「Q-Star Tour」は、インドネシアにあるスリクソンの工場で製造され、世界中で販売されている(モデル名は地域によって異なる)。スリクソン「Q-Star Tour」の表示価格は32.99ドルだが、時々値引きのプロモーションも行う。


スリクソン「Q-STAR TOUR」-コンプレッション

スリクソン「Q-STAR TOUR」-コンプレッション

Ball Labでの計測の結果、スリクソン「Q-Star Tour」のコンプレッションは72で、ウレタン界の同コンプレッションボールには、ブリヂストン「Tour B RXS」、テーラーメイド「Tour Response」、キャロウェイ「Chrome Soft」が含まれる。


スリクソン「Q-STAR TOUR」-重量と直径サイズ

スリクソン「Q-STAR TOUR」-重量と直径サイズ

・サンプルの36%が、真円度の基準を満たしていなかった。

・USGAの重量制限(1,620オンス)を超えたサンプルボールはひとつもない。

「Q-Star Tour」のサイズは、ウレタンカテゴリーでは大きい方で、ツアーカテゴリーでは少し下回る。ここでの懸念は、真円度基準を満たさなかったボールが多く確認されたこと。

ゴルフボールは、ゆがみのない球形でなければならない。ゆがみがあると、ボールの飛びに一貫性がなくなりパッティンググリーン上でラインから外れる可能性が出る。


スリクソン「Q-STAR TOUR」-インスペクション(検査)

スリクソン「Q-STAR TOUR」-インスペクション(検査)


中心性と同心性

正直、スリクソンのウレタンボールの評価は少し難しい。マントルは、同社の超薄いカバーと見分けがつきにくいため、カバーの厚さに焦点を合わせるのが難しいが、中心性と同心性の問題を特定しやすくなる。

目視検査では、サンプルの25%を不良品とした。いずれの場合も、問題はマントルレイヤーの厚さが明らかに不一致だった。レイヤーの同心性に問題がある場合、薄い部分と厚い部分が180度離れていることがほとんどだ。

しかし「Q-Star Tour」の場合、薄いエリアと厚いエリアは90度ほどしか離れてないことが多く、ボールを見下ろすと、上下に厚いエリア、左右に薄いエリアといったように見える。まるで、ボールをつまんだような形だ。

パフォーマンスの問題を引き起こす可能性が低い軽い欠陥を含めると、サンプルの50%強に何らかの問題が見られた。 スリクソン,Q-STAR TOUR,ゴルフ,ボール

一方、コアの混合(色)は一貫して優れていた。フィラー(充填剤)としてよく使用される材料の破片が見られたが、これはボールの設計仕様の一部であり、一般的には心配する必要はない。


カバー

カバーは全体的にきれいで、欠陥は確認されなかった。


総合的な考察

スリクソン「Q-Star Tour」のカバーは非常に薄く、同カテゴリーでは最も薄い。


一貫性

このセクションでは、「Q-Star Tour」の「一貫性』について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。

スリクソン「Q-STAR TOUR」- 一貫性


重量の一貫性

・スリクソン「Q-Star Tour」全体の(重量の)一貫性は平均以上と優良。

・最大と最小重量の差は極めて小さい。


直径サイズの一貫性

・他のボールと比較して、直径サイズの一貫性は平均範囲内。

・すべてのボールが真円度を満たしていたわけではないが、ボール同士の平均直径サイズはかなり一定していた。


コンプレッションの一貫性

「Q-Star Tour」のコンプレッションの一貫性は詳しい説明が必要なため、グラフに(*)マークを付けた。サンプルボールの平均コンプレッションのみを比較すると、これまでにテストした中で非常に一貫性に優れていた。

とはいえ、クラブテストでは平均250(ヤード)を算出する方法はたくさんあると言われているが、これと同じように、全体で平均コンプレッション値72を出す方法も決してひとつではない。

最高のボールというのは、いわゆる『In-ball Compression Range(略してIBCR)』と呼ぶ「1個のボール内でのコンプレッション値の差」が非常に小さく抑えられている。『IBCR』とは、各ゴルフボールで測定する「3箇所のコンプレッション値の範囲」を表すものだ。

例えば、ある高品質ボールの3箇所(シーム2箇所、ポール1箇所)の平均コンプレッションが90で、それぞれのコンプレッション値が89、90、91と出るケースがある。

その点を比較すると、「Q-Star Tour」の3箇所のコンプレッション値の差は比較的大きい。

例えば、あるボールのコンプレッション値は72、67.5、75と計測された。値の範囲は、7.5にも及ぶ。しかも、7.5差が確認されたボールは複数あった。最悪のケースでは、コンプレッション差が9.5にも及ぶこともあった。

これらすべてを考慮すると、「平均IBCR値」は、最良値と最低値の中間になるはずだ。これまでの最良のボールの「平均IBCR範囲」はわずか1.07だったのに対し、最悪のボールの「平均IBCR範囲」は5.10と広く、まさしくこれが「Q-Star Tour」だった。

同様に、『IBCR』の中央標準偏差値を見ると、最良ボールは0.44で平均は0.87と算出された。「Q-Star Tour」は、2.3と他のブランドボールよりも大幅に差があることも分かっている。

最終結果として、「Q-Star Tour」の「コンプレッションの一貫性」は平均を上回っているが、個々のボールの3カ所の(コンプレッションの)一貫性を見る限り、他のどのボールよりも大幅に劣っていることが分かる。

誇張したいのではなく、何故『IBCR』に基づいてテストすると42%もの数が不良品となるのか、その理由を詳しく説明する必要があると感じたため加えさせてもらった。

   

TRUE PRICE -ボールの真の価格-

『True Price』は、ゴルフボールの品質を独自に数値化した指標だ。これは、優良ボール1ダース(12個)を得るのに必要な金額を表す。

『Ture Price』は常に小売価格以上の金額になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。

   

スリクソン「Q-STAR TOUR」-まとめ

詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義方法、『True Price』の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照ください。

スリクソン「Q-STAR TOUR」-まとめ


良かった点

スリクソン「Q-Star Tour」の重量の一貫性は優れている(平均以上)。


悪かった点

サンプルボールの58%にコンプレッションの問題、真円度の欠如、またはレイヤーの不整合が確認されたため、すでに販売済みのスリクソン「Q-Star Tour」の品質が標準に達していないことを示す証拠が次々に出る形となった。同時に、スリクソンの基準にも達していないのではないかと疑わざるを得ない。


TRUE PRICE-ボールの真の価格-

スリクソン「Q-Star Tour」の『TRUE PRICE』は79.18ドル。これは、小売価格を140パーセント上回っている。


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