ゴルフクラブの世界で、「ユーティリティアイアン」はいつも少し影にいる存在だ。ドライバーのような華やかさも、アイアンセットのような整然さもない。

けれど、ティーからの一打、あるいは風を読んでピンを狙う二打目──そのわずかな場面でこそ、このクラブは本領を発揮する。

アベレージゴルファーの多くは、手に取ることすらないかもしれない。 それでも、MyGolfSpyがこれまでのテストで見つけてきた「最も優れたクラブ」のいくつかは、このカテゴリーから生まれてきた。

数字の羅列の中に、ふと感じる“意志”のようなもの。それを確かめるために、今年も数百ものショットを積み重ねた。

もし、これまでユーティリティアイアンを「自分には関係ない」と思っていたなら──今日、その考えが少しだけ変わるかもしれない。


MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』で使用されたテスト用アイアンと計測機器。芝の上に並ぶタイトリスト、スリクソン、PING、オルカなどの最新モデル。

MyGolfSpyは、ゴルフクラブを“独立した立場”から検証する第一人者だ。私たちが公開するすべてのテストには、10年以上にわたる経験と実績が息づいている。

誇張も、美辞麗句もいらない。あるのは、データと客観的テストが導き出した“結果”だけ。数字が語り、事実が証明する。それが、MyGolfSpyの変わらぬ姿勢だ。

今回の検証対象は、全7モデルの「ユーティリティアイアン」。テスト時間は60時間に及び、テスターたちは2,520本ものショットを重ねた。一球ごとにデータを蓄積しながら、「ユーティリティアイアン」というクラブが持つ本当の性能を明らかにした。

新しいクラブを探している人はもちろん、フィッティングの前にもう一つ確かな判断材料を求めている人にとっても、このテスト結果はきっと大きな手がかりになる。

「次の一本」に何を託すのか。その答えは、感覚ではなくデータの中にある。膨大なショットデータが示す“真実”を──今、解き明かそう。

では、『2025年ベストユーティリティアイアン』を見ていこう。


タイトリスト「U•505」ドライビングアイアン。MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』総合1位を獲得した高性能モデル。

🏆 2025年版 ベストユーティリティアイアン「総合部門」── すべてのスコア要素を貫く、確かな答え

優れた「ユーティリティアイアン」とは、結局のところ“打ちやすい”クラブのことだ。ただ、その“打ちやすさ”を言葉で語るのは簡単でも、実際に打てば違いはすぐにわかる。

上位モデルのショット軌跡は安定し、ボールは自然に浮き上がり、狙ったラインを外さない。データを重ねるほど、その性能差は明確になっていった。

もし価格を度外視して“純粋に性能だけ”で選ぶなら、今年のテストで特に注目すべき4本がある。

これが、2025年のベスト「ユーティリティアイアン」──すべての要素を総合して導き出された、真のトップモデルだ。


2025年ベスト「ユーティリティアイアン」

タイトリスト「U•505」

「総合」第1位 –タイトリスト「U•505」

PING「iDi」

第2位 – PING「iDi」

スリクソン「ZXiU」

第3位 –スリクソン「ZXiU」

 タイトリスト「U•505」

「飛距離」1位 – タイトリスト「U•505」

タイトリスト「U•505」

「正確性」1位 –タイトリスト「U•505」

タイトリスト「T250•U」

「寛容性」1位 – タイトリスト「T250•U」


「総合」第1位 タイトリスト「U•505」

総合スコア
8.8/10
飛距離
9.2
正確性
8.8
寛容性
8.3

こんなゴルファーにおすすめ

  • 「正確性」と「飛距離」その両方を手にしたい人:

    「正確性」と「飛距離」、その両方を手にした“寡黙な主役”。「ユーティリティアイアン」を試すべきかどうか――そう迷っている人もいるだろう。だが、タイトリスト「U•505」を一度打てば、その答えはすぐに見つかるはずだ。多くのゴルファーにとって、「ユーティリティアイアン」はティーショット専用のクラブ。しかし「U•505」は、その固定観念をあっさりと塗り替える。「正確性」と「飛距離」の両立──そのどちらもが、高い次元で成立しているのだ。ロフト角18度という数字からは想像できないほどの高い打ち出し。そして、理想的な落下角度が生み出すコントロール性能。ロングアイアンやハイブリッドの代わりとしても、その存在感は揺るがない。「正確性」と「飛距離」でトップに立ったということは、すなわち“総合力”で群を抜いているということ。キャディバッグに加えるかどうかは、あなた次第だ。ただし、その選択がスコアを変える可能性は高い。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「寛容性」を求める人:

    「ユーティリティアイアン」には、ひとつの“アキレス腱”がある。それが「寛容性」だ。どれほど性能が高くても、ミスヒットは正直に結果へ表れてしまう。タイトリスト「U•505」も例外ではない。テストデータでは、他モデルに比べ「寛容性」のスコアがやや低めに出た。これは、このクラブが“打ちやすさ”を意識したモデルとして設計されているだけに、少し意外な結果ともいえる。もし、このクラブの導入を考えているなら、ショットごとの安定性には注意してほしい。「U•505」は高性能であると同時に、精度を要求する“正直なクラブ”でもあるのだ。

最終評価

タイトリスト「U•505」は、2025年の『ユーティリティアイアンテスト』の頂点に立った。これまで、数々のベストクラブがこのカテゴリーから生まれてきたが、「U•505」はその流れをさらに前へ押し進めた存在だ。2025年のテストでは、「正確性」と「飛距離」でトップの座を獲得。そのバランスの取れたパフォーマンスは、まさに“完成された精度”と呼ぶにふさわしい。もし今、「ユーティリティアイアン」を検討しているなら、タイトリスト「U•505」は間違いなく試打すべき一本だ。モデルごとに進化を重ねてきたこのシリーズは、いまや完成形に限りなく近づいている。

テスターたちの声

“パフォーマンスが素晴らしくて反発が強い。大きい番手のクラブをこれに替えても良いかも。”

“今日のテストで好きになった。寛容性が高くてパフォーマンスも優れているし、初速も速くて打感も素晴らしいと思う。”

“これまでのタイトリスト「ユーティリティアイアン」の中でベスト。前作よりも打感が明らかに進化している。”

“まさに本格的な「ユーティリティアイアン」。今回の対象の中でも群を抜いていた。”

専門家の視点

タイトリスト「U•505」は、数値上の「正確性」と「飛距離」だけでなく、ショットごとの再現性と操作感のバランスが極めて高い。弾道は高く、打ち出しから落下角度までの流れが滑らかで、ロングアイアンの難しさを感じさせない安定感がある。一方で、「寛容性」に関しては平均的な評価にとどまる。それは裏を返せば、“芯でとらえたときの精度が異常に高い”ということでもある。このモデルを扱い切るには、一定のショット技術が求められるだろう。総じて、「U•505」は“競技志向者(上級者)”が求める理想形に限りなく近い。プレーヤーの技術を正確に映し出し、結果に誤魔化しを許さない。それゆえに、このクラブで放つ一打は、どこか“自分自身の精度”を試されているようにも感じるのだ。


第2位 PING「iDi」

総合スコア
8.6/10
飛距離
9
正確性
8.3
寛容性
8.7

こんなゴルファーにおすすめ

  • 実績のあるモデルを求めている人:

    “勝者の系譜”に名を連ねる、確かな実力者。今年は、PINGの最新「ユーティリティアイアン」──「iDi」の年ではなかった。だが、このカテゴリーでPINGが積み重ねてきた信頼と実績は、いまも揺るぎない。PING「iDi」は、タイトルこそ逃したものの、その「パフォーマンス」に一切の妥協はない。「飛距離」が欲しいゴルファーには十分な伸びを提供し、「寛容性」においても、ショットの安定性でトップクラスの評価を得た。テスト全体を通して見ても、その安定感と再現性は特筆すべきもの。クラブとしての完成度は高く、“試す価値のあるモデル”であることに疑いの余地はない。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「正確性」を求めている人

    「正確性」の壁を、あと一歩で越えられなかった。最終的に、PING「iDi」がトップの座を逃した要因は「正確性」にある。MyGolfSpyの評価基準の中で、「正確性」は最も重みづけされた指標のひとつ。このスコアが平均を下回れば、いかに他の要素が優れていても頂点には届かない。PING「iDi」がやや不安定な結果を示した理由のひとつとして、調整機能が搭載されていない点が考えられる。つまり、自分に合わないライ角やシャフト長のままでは、「パフォーマンス」を最大限に引き出せない可能性があるのだ。もしこの「ユーティリティアイアン」を検討しているなら、購入前に必ずフィッティングを受けてほしい。ライ角とクラブ長さの最適化が、「正確性」を引き上げる鍵となる。

最終評価

PINGの「ユーティリティアイアン」には、積み上げてきた確かな実績がある。だからこそ「iDi」には、過去のテストで“最高のクラブ”と評されたモデルの後継として、大きな期待が寄せられていた。その期待に対し、PING「iDi」は惜しくも一歩届かなかった。とはいえ、それでも“優れた”「ユーティリティアイアン」であることは疑いようがない。結果は総合2位。「飛距離」と「寛容性」では際立った強さを見せたが、「正確性」においてはわずかに他モデルに及ばなかった。前作と異なり、調整機能を搭載していないことが、「正確性」で平均以下の「パフォーマンス」となった要因の一つかもしれない。それでも、PING「iDi」は高い完成度と安定感を持ち、試す価値のある「ユーティリティアイアン」であることは間違いない。派手ではないが、信頼に足る。そんな言葉が、このクラブには似合う。

テスターたちの声

“ハイブリッドのように打てて易しい。ミスヒットもミスと感じないほどだ。見た目もハイブリッドっぽい。”

“見た目がハイブリッドっぽいことを除けば、パフォーマンスは秀逸。クロスオーバーのような安定感がありながら、デザイン面ではやや劣る印象だ。”

“なんで他者が参入するのかな?PINGが最高なのに。”

“これまで試した中で、打ち出し、ボール初速、飛距離すべてでベストだった。”

専門家の視点

「正確性」のスコアが平均以下のクラブが、総合評価で高く評価されることは滅多にない。だが、PING「iDi」はその常識を覆した。「飛距離」と「寛容性」を高い次元で両立し、カテゴリーの中でも際立った「パフォーマンス」を見せた。確かに「iCrossover」と比べると、完成度の差は感じられるかもしれない。しかし、それに惑わされる必要はない。PING「iDi」は、“実力で評価されるべきモデル”だ。調整機能を持たない点は、長期的には不利に働く可能性もある。それでもなお、このクラブは「ユーティリティアイアン」の中で強く推薦できる一本だ。使いこなすほどに、その設計の意図とPINGらしい誠実さが伝わってくる。


第3位 スリクソン「ZXiU」

総合スコア
8.6/10
飛距離
9
正確性
8.3
寛容性
8.7

こんなゴルファーにおすすめ

  • バランスの取れたパフォーマンスを求めている人:

    スリクソン「ZXiU」は、上位2モデルのような派手さはないが、全体の調和が取れた完成度の高い「ユーティリティアイアン」だ。テストでは、「正確性」と「飛距離」という最も重視される2つの評価項目で、いずれも上位に入り、総合3位という安定した結果を残した。一撃のインパクトよりも、積み上げていく信頼性。スリクソンらしい堅実さが、このモデルの魅力だ。適切なロフト設定を選べば、ロングアイアンやハイブリッドの代替としても十分に機能する。扱いやすく、結果がブレにくい──そんな“確かさ”を求めるゴルファーには、ぜひ一度手にしてほしい一本だ。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「寛容性」を求めている人:

    スリクソン「ZXiU」は、「寛容性」での評価が平均を下回った。このカテゴリーでは、「ボール初速」「キャリーの飛距離」「スピン量」、そして「ショット範囲(左右のばらつき)」といったデータの安定性が鍵を握る。そのばらつきが小さいほど、ミスを許し、安定した結果を生み出せるクラブといえる。「ZXiU」は全体として安定感のあるモデルだが、この分野では上位2モデルに一歩及ばなかった。とはいえ、それは“やさしさよりも精度を優先する設計”の裏返しでもある。自分のショットを正確に把握し、クラブとともに技術を磨きたいゴルファーには、むしろ最適な一本だ。

最終評価

スリクソンのアイアンが優れているのは、もはや疑う余地がない。では、その精度と完成度は「ユーティリティアイアン」にも受け継がれているのか──答えは、もちろんYesだ。スリクソンは過去にも「ユーティリティアイアン」部門でトップを獲得している。そして今回の「ZXiU」も、「正確性」と「飛距離」というテストで最も重視される2つの指標で優れた結果を残し、総合3位にランクイン。そのパフォーマンスは、派手ではない。だが、使い続けるほどに信頼が積み重なる。「ZXiU」は、データが証明する“堅実な強さ”を体現した一本だ。

テスターたちの声

“通常のスリクソンアイアンと似て優れており、特に方向性と飛距離も抜群に安定している。”

“PINGと並ぶ良さ。凄く良いね。”

“打感がなめらかで、再現性が高い。構えた瞬間から安心感がある。”

“打感とパフォーマンスが秀逸。「ユーティリティアイアン」の形をしたスリクソンアイアンという感じ。圧倒的な安定感がある。”

専門家の視点

「ZXiU」は、“スリクソンらしさ”が凝縮されたユーティリティアイアンだ。派手な飛びや寛容性で勝負するタイプではないが、「正確性」と「飛距離」という最重要指標で高い安定性を示した。その実力は、過去にこのカテゴリーでトップを獲得したブランドの系譜をしっかりと受け継いでいる。構えた瞬間に伝わる安心感、そして打ち出した方向と距離のブレが極めて小さい点が印象的だ。テスターからも「通常のスリクソンアイアンと同じように、方向性と飛距離が非常に安定している」との声が多く、“狙った位置に落とす精度”を重視するゴルファーに強く響く一本といえる。一方で、「寛容性」では平均を下回った結果となったが、それは“精度を追求した設計”の裏返しでもある。つまり、ミスをクラブに頼るより、自身のスイングを信頼し、繊細な操作感で攻めたいゴルファーに向けたクラブだ。全体として、「ZXiU」は職人肌のゴルファーに応えるユーティリティアイアン。派手さよりも確実性、誇張よりも実直さ──その性格はまさにスリクソンの哲学そのものだ。



🏆 2025年版 ベストユーティリティアイアン「総合部門」 TOP4

MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』総合ランキング。タイトリスト「U•505」がトップ、PING「iDi」、スリクソン「ZXiU」が続く。

2025年ユーティリティアイアン「飛距離部門」“一打の伸び”が、スコアを変える

「飛び」は、誰にとっても魅力的な要素だ。特にティーショットで「ユーティリティアイアン」を使うゴルファーにとって、「飛距離」はこのクラブの最大のセールスポイントと言っていい。今回テストしたモデルの中には、その期待に応えるモデルもあれば、そうでないものもあった。

我々にとって「飛距離」はすべてではない──だが、それが“購入を決める要素”のひとつであることは間違いない。

数字が示すのは、単なる距離ではなく、打点の精度や設計の完成度そのもの。そのわずかな差が、フェアウェイを狙えるかどうかを分ける。

以下が「飛距離」でベストな「ユーティリティアイアン」だ。


「飛距離」第1位 タイトリスト「U•505」

総合スコア
8.8/10
飛距離
9.2
正確性
8.8
寛容性
8.3

こんなゴルファーにおすすめ

  • 「正確性」と「飛距離」その両方を手にしたい人:

    「正確性」と「飛距離」、その両方を手にした“寡黙な主役”。「ユーティリティアイアン」を試すべきかどうか――そう迷っている人もいるだろう。だが、タイトリスト「U•505」を一度打てば、その答えはすぐに見つかるはずだ。多くのゴルファーにとって、「ユーティリティアイアン」はティーショット専用のクラブ。しかし「U•505」は、その固定観念をあっさりと塗り替える。「正確性」と「飛距離」の両立──そのどちらもが、高い次元で成立しているのだ。ロフト角18度という数字からは想像できないほどの高い打ち出し。そして、理想的な落下角度が生み出すコントロール性能。ロングアイアンやハイブリッドの代わりとしても、その存在感は揺るがない。「正確性」と「飛距離」でトップに立ったということは、すなわち“総合力”で群を抜いているということ。キャディバッグに加えるかどうかは、あなた次第だ。ただし、その選択がスコアを変える可能性は高い。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「寛容性」を求める人:

    「ユーティリティアイアン」には、ひとつの“アキレス腱”がある。それが「寛容性」だ。どれほど性能が高くても、ミスヒットは正直に結果へ表れてしまう。タイトリスト「U•505」も例外ではない。テストデータでは、他モデルに比べ「寛容性」のスコアがやや低めに出た。これは、このクラブが“打ちやすさ”を意識したモデルとして設計されているだけに、少し意外な結果ともいえる。もし、このクラブの導入を考えているなら、ショットごとの安定性には注意してほしい。「U•505」は高性能であると同時に、精度を要求する“正直なクラブ”でもあるのだ。

最終評価

タイトリスト「U•505」は、2025年の『ユーティリティアイアンテスト』の頂点に立った。これまで、数々のベストクラブがこのカテゴリーから生まれてきたが、「U•505」はその流れをさらに前へ押し進めた存在だ。2025年のテストでは、「正確性」と「飛距離」でトップの座を獲得。そのバランスの取れたパフォーマンスは、まさに“完成された精度”と呼ぶにふさわしい。もし今、「ユーティリティアイアン」を検討しているなら、タイトリスト「U•505」は間違いなく試打すべき一本だ。モデルごとに進化を重ねてきたこのシリーズは、いまや完成形に限りなく近づいている。

テスターたちの声

“パフォーマンスが素晴らしくて反発が強い。大きい番手のクラブをこれに替えても良いかも。”

“今日のテストで好きになった。寛容性が高くてパフォーマンスも優れているし、初速も速くて打感も素晴らしいと思う。”

“これまでのタイトリスト「ユーティリティアイアン」の中でベスト。前作よりも打感が明らかに進化している。”

“まさに本格的な「ユーティリティアイアン」。今回の対象の中でも群を抜いていた。”

専門家の視点

タイトリスト「U•505」は、数値上の「正確性」と「飛距離」だけでなく、ショットごとの再現性と操作感のバランスが極めて高い。弾道は高く、打ち出しから落下角度までの流れが滑らかで、ロングアイアンの難しさを感じさせない安定感がある。一方で、「寛容性」に関しては平均的な評価にとどまる。それは裏を返せば、“芯でとらえたときの精度が異常に高い”ということでもある。このモデルを扱い切るには、一定のショット技術が求められるだろう。総じて、「U•505」は“競技志向者(上級者)”が求める理想形に限りなく近い。プレーヤーの技術を正確に映し出し、結果に誤魔化しを許さない。それゆえに、このクラブで放つ一打は、どこか“自分自身の精度”を試されているようにも感じるのだ。


「飛距離」第2位 PING「iDi」

総合スコア
8.6/10
飛距離
9
正確性
8.3
寛容性
8.7

こんなゴルファーにおすすめ

  • 実績のあるモデルを求めている人:

    “勝者の系譜”に名を連ねる、確かな実力者。今年は、PINGの最新「ユーティリティアイアン」──「iDi」の年ではなかった。だが、このカテゴリーでPINGが積み重ねてきた信頼と実績は、いまも揺るぎない。PING「iDi」は、タイトルこそ逃したものの、その「パフォーマンス」に一切の妥協はない。「飛距離」が欲しいゴルファーには十分な伸びを提供し、「寛容性」においても、ショットの安定性でトップクラスの評価を得た。テスト全体を通して見ても、その安定感と再現性は特筆すべきもの。クラブとしての完成度は高く、“試す価値のあるモデル”であることに疑いの余地はない。

このアイアンが合わないゴルファーは?

  • 「正確性」を求めている人:

    「正確性」の壁を、あと一歩で越えられなかった。最終的に、PING「iDi」がトップの座を逃した要因は「正確性」にある。MyGolfSpyの評価基準の中で、「正確性」は最も重みづけされた指標のひとつ。このスコアが平均を下回れば、いかに他の要素が優れていても頂点には届かない。PING「iDi」がやや不安定な結果を示した理由のひとつとして、調整機能が搭載されていない点が考えられる。つまり、自分に合わないライ角やシャフト長のままでは、「パフォーマンス」を最大限に引き出せない可能性があるのだ。もしこの「ユーティリティアイアン」を検討しているなら、購入前に必ずフィッティングを受けてほしい。ライ角とクラブ長さの最適化が、「正確性」を引き上げる鍵となる。

最終評価

PINGの「ユーティリティアイアン」には、積み上げてきた確かな実績がある。だからこそ「iDi」には、過去のテストで“最高のクラブ”と評されたモデルの後継として、大きな期待が寄せられていた。その期待に対し、PING「iDi」は惜しくも一歩届かなかった。とはいえ、それでも“優れた”「ユーティリティアイアン」であることは疑いようがない。結果は総合2位。「飛距離」と「寛容性」では際立った強さを見せたが、「正確性」においてはわずかに他モデルに及ばなかった。前作と異なり、調整機能を搭載していないことが、「正確性」で平均以下の「パフォーマンス」となった要因の一つかもしれない。それでも、PING「iDi」は高い完成度と安定感を持ち、試す価値のある「ユーティリティアイアン」であることは間違いない。派手ではないが、信頼に足る。そんな言葉が、このクラブには似合う。

テスターたちの声

“ハイブリッドのように打てて易しい。ミスヒットもミスと感じないほどだ。見た目もハイブリッドっぽい。”

“見た目がハイブリッドっぽいことを除けば、パフォーマンスは秀逸。クロスオーバーのような安定感がありながら、デザイン面ではやや劣る印象だ。”

“なんで他者が参入するのかな?PINGが最高なのに。”

“これまで試した中で、打ち出し、ボール初速、飛距離すべてでベストだった。”

専門家の視点

「正確性」のスコアが平均以下のクラブが、総合評価で高く評価されることは滅多にない。だが、PING「iDi」はその常識を覆した。「飛距離」と「寛容性」を高い次元で両立し、カテゴリーの中でも際立った「パフォーマンス」を見せた。確かに「iCrossover」と比べると、完成度の差は感じられるかもしれない。しかし、それに惑わされる必要はない。PING「iDi」は、“実力で評価されるべきモデル”だ。調整機能を持たない点は、長期的には不利に働く可能性もある。それでもなお、このクラブは「ユーティリティアイアン」の中で強く推薦できる一本だ。使いこなすほどに、その設計の意図とPINGらしい誠実さが伝わってくる。



👉2025年最も飛ぶ「ユーティリティアイアン」TOP4

MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』飛距離部門ランキング。1位タイトリスト「U•505」、2位PING「iDi」。

最も「正確性」に優れたユーティリティアイアン ─ データが示す“まっすぐ飛ぶ一本”

ゴルフにおいて、「正確性」は何よりも大切だ。それが欠ければ、ティーショットのたびにコースの“知らなかった景色”を歩くことになる。だからこそ、MyGolfSpyでは3つの主要スコアカテゴリーの中で「正確性」を最も重視している。

今回の『ユーティリティアイアンテスト』でも、その評価軸はドライバーやミニドライバーと同じだ。──どのクラブが、もっともまっすぐボールを運ぶのか。

ただし最終的な判断は、「ストロークス・ゲインド」という一つの数字に集約される。データは冷徹だが、そこに映る弾道にはプレーヤーの呼吸がある。フェースの角度、打ち出しの一瞬、風のわずかな抵抗。そのすべてが、ショットの“真っ直ぐさ”を決める。

以下が「正確性」で最も優れた「ユーティリティアイアン」だ。


「正確性」第1位 タイトリスト「U•505」

総合スコア
8.8/10
飛距離
9.2
正確性
8.8
寛容性
8.3

こんなゴルファーにおすすめ

  • 「正確性」と「飛距離」その両方を手にしたい人:

    「正確性」と「飛距離」、その両方を手にした“寡黙な主役”。「ユーティリティアイアン」を試すべきかどうか――そう迷っている人もいるだろう。だが、タイトリスト「U•505」を一度打てば、その答えはすぐに見つかるはずだ。多くのゴルファーにとって、「ユーティリティアイアン」はティーショット専用のクラブ。しかし「U•505」は、その固定観念をあっさりと塗り替える。「正確性」と「飛距離」の両立──そのどちらもが、高い次元で成立しているのだ。ロフト角18度という数字からは想像できないほどの高い打ち出し。そして、理想的な落下角度が生み出すコントロール性能。ロングアイアンやハイブリッドの代わりとしても、その存在感は揺るがない。「正確性」と「飛距離」でトップに立ったということは、すなわち“総合力”で群を抜いているということ。キャディバッグに加えるかどうかは、あなた次第だ。ただし、その選択がスコアを変える可能性は高い。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「寛容性」を求める人:

    「ユーティリティアイアン」には、ひとつの“アキレス腱”がある。それが「寛容性」だ。どれほど性能が高くても、ミスヒットは正直に結果へ表れてしまう。タイトリスト「U•505」も例外ではない。テストデータでは、他モデルに比べ「寛容性」のスコアがやや低めに出た。これは、このクラブが“打ちやすさ”を意識したモデルとして設計されているだけに、少し意外な結果ともいえる。もし、このクラブの導入を考えているなら、ショットごとの安定性には注意してほしい。「U•505」は高性能であると同時に、精度を要求する“正直なクラブ”でもあるのだ。

最終評価

タイトリスト「U•505」は、2025年の『ユーティリティアイアンテスト』の頂点に立った。これまで、数々のベストクラブがこのカテゴリーから生まれてきたが、「U•505」はその流れをさらに前へ押し進めた存在だ。2025年のテストでは、「正確性」と「飛距離」でトップの座を獲得。そのバランスの取れたパフォーマンスは、まさに“完成された精度”と呼ぶにふさわしい。もし今、「ユーティリティアイアン」を検討しているなら、タイトリスト「U•505」は間違いなく試打すべき一本だ。モデルごとに進化を重ねてきたこのシリーズは、いまや完成形に限りなく近づいている。

テスターたちの声

“パフォーマンスが素晴らしくて反発が強い。大きい番手のクラブをこれに替えても良いかも。”

“今日のテストで好きになった。寛容性が高くてパフォーマンスも優れているし、初速も速くて打感も素晴らしいと思う。”

“これまでのタイトリスト「ユーティリティアイアン」の中でベスト。前作よりも打感が明らかに進化している。”

“まさに本格的な「ユーティリティアイアン」。今回の対象の中でも群を抜いていた。”

専門家の視点

タイトリスト「U•505」は、数値上の「正確性」と「飛距離」だけでなく、ショットごとの再現性と操作感のバランスが極めて高い。弾道は高く、打ち出しから落下角度までの流れが滑らかで、ロングアイアンの難しさを感じさせない安定感がある。一方で、「寛容性」に関しては平均的な評価にとどまる。それは裏を返せば、“芯でとらえたときの精度が異常に高い”ということでもある。このモデルを扱い切るには、一定のショット技術が求められるだろう。総じて、「U•505」は“競技志向者(上級者)”が求める理想形に限りなく近い。プレーヤーの技術を正確に映し出し、結果に誤魔化しを許さない。それゆえに、このクラブで放つ一打は、どこか“自分自身の精度”を試されているようにも感じるのだ。


「正確性」第2位 タイトリスト「T250•U」

総合スコア
8.5/10
飛距離
8.2
正確性
8.6
寛容性
8.8

こんなゴルファーにおすすめ

  • ティーショットで安定感を求めている人:

    「ユーティリティアイアン」は、主にティーショットで使う代替クラブだが、その中でタイトリスト「T250•U」は、「正確性」と「寛容性」の両面で優れた結果を残した。この2つの要素が噛み合うとき、クラブは一本の“信頼”へと変わる。一打ごとの再現性が高く、狙った弾道を描き続けられる。そしてもう一つ注目すべきは、その「打ち出しの高さ」。「T250•U」は適度な高さを生み、グリーンを狙うショットでも十分な操作性を発揮する。「ユーティリティアイアン」は用途が広いクラブだ。その中で「T250•U」は、ティーショットの安定感とグリーンを攻める繊細さ、そのどちらも兼ね備えた一本。信頼できる弾道を求めるゴルファーにとって、このクラブはまさに“間違いのない選択肢”になるだろう。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「飛距離」を求めている人:

    タイトリスト「T250•U」は、今年のテストで最も「飛距離」に優れたモデルではなかった。データを見る限り、このクラブは「スピン量」がやや多めに出る傾向があり、その分「トータル飛距離」では上位2モデルに比べて約6〜7ヤードほど短い結果となった。ただし、数字だけが真実ではない。もしあなたがもともと十分に飛ばせるタイプのゴルファーなら、この差はほとんど意味を持たない。「T250•U」が持つ「正確性」と「安定性」は、そのわずかな距離の差を補って余りある。飛ばすか、狙うか。その選択に正解はない。けれど、「T250•U」は後者──“確実に狙える”という信頼で、存在を示す一本だ。

最終評価

タイトリスト「T250•U」は、伝統的な「ユーティリティアイアン」の設計思想を受け継ぐ一本だ。構えたときの薄いトップラインと端正なフォルムには、タイトリストらしい精度と品の良さがある。性能面では、「正確性」と「寛容性」で高く評価された。今回のテストでは、「正確性」部門で第2位、「寛容性」部門では第1位を記録。一方で「飛距離」は他モデルにわずかに劣るが、その差を感じさせないほど安定した弾道を描く。ティーショットでの信頼性は群を抜いている。打点がわずかにズレても、弾道は大きく乱れず、狙いを外さない。一打ごとに積み重ねるような確かさが、このクラブの真価だ。派手さはないが、着実に結果を出す。余計な主張をしないそのバランス感こそ、長く使える理由になる。もしあなたが、洗練された形状と確かな結果を重んじるタイプなら──「T250•U」は、心強い相棒になるはずだ。

テスターたちの声

“すべての要素を満たしているモデルだ。シャフトだけは、自分に合わせて変えたいかもしれない。”

“芯でとらえたときの打感は最高。ただし、ミスには容赦がない。”

“見た目も打感も良く、操作性が高い。フェースの反発も心地いい。”

“まさに“純粋なユーティリティアイアン”。造形の美しさ、性能ともに秀逸だ。ただし、ボールストライカーでなければ、このクラブの真価を引き出すのは難しいだろう。”

専門家の視点

「ユーティリティアイアン」に“正確性”と“一貫性”を求めるなら、タイトリスト「T250•U」は間違いなく有力な選択肢のひとつだ。このクラブは、他のモデルとは異なり、より“アイアンらしい”形状を持っている。輪郭はシャープで、構えたときのラインが美しい。見た目の洗練さとは裏腹に、飛距離性能ではカテゴリー内で控えめな結果となった。最終的に重要なのは、“どんなゴルフをしたいか”だ。“まっすぐ狙える信頼”を重視するか、“あと数ヤードの伸び”を選ぶか。その判断を委ねるに値するだけの確かな実力が、この「T250•U」にはある。



👉2025年最も「正確性」に優れたユーティリティアイアン TOP4

MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』正確性部門ランキング。1位タイトリスト「U•505」、2位スリクソン「ZXiU」。

2025年最も「寛容性」に優れたユーティリティアイアン ─ “ミスを許す強さ”がスコアを救う

「寛容性」という言葉は、ゴルフ業界で頻繁に使われるが、その意味が明確に定義されることはほとんどない。しかし、ゴルファーなら誰しも、安定して結果を出せる「ユーティリティアイアン」を求めているはずだ。理想的なクラブとは、ショットごとにフェースから一貫した結果を導き出せるもの。

「ボール初速のばらつきが小さいか」「キャリーの飛距離の差が最小限か」「ショット範囲(左右のばらつき)が抑えられているか」、そして「スピン量が安定しているか」。

私たちは、こうした具体的な数値をもとに「寛容性」を測定し、各「ユーティリティアイアンテスト」でその精度を分析している。

以下が「寛容性」でベストな「ユーティリティアイアン」だ。


「寛容性」第1位 タイトリスト「T250•U」

総合スコア
8.5/10
飛距離
8.2
正確性
8.6
寛容性
8.8

こんなゴルファーにおすすめ

  • ティーショットで安定感を求めている人:

    「ユーティリティアイアン」は、主にティーショットで使う代替クラブだが、その中でタイトリスト「T250•U」は、「正確性」と「寛容性」の両面で優れた結果を残した。この2つの要素が噛み合うとき、クラブは一本の“信頼”へと変わる。一打ごとの再現性が高く、狙った弾道を描き続けられる。そしてもう一つ注目すべきは、その「打ち出しの高さ」。「T250•U」は適度な高さを生み、グリーンを狙うショットでも十分な操作性を発揮する。「ユーティリティアイアン」は用途が広いクラブだ。その中で「T250•U」は、ティーショットの安定感とグリーンを攻める繊細さ、そのどちらも兼ね備えた一本。信頼できる弾道を求めるゴルファーにとって、このクラブはまさに“間違いのない選択肢”になるだろう。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「飛距離」を求めている人:

    タイトリスト「T250•U」は、今年のテストで最も「飛距離」に優れたモデルではなかった。データを見る限り、このクラブは「スピン量」がやや多めに出る傾向があり、その分「トータル飛距離」では上位2モデルに比べて約6〜7ヤードほど短い結果となった。ただし、数字だけが真実ではない。もしあなたがもともと十分に飛ばせるタイプのゴルファーなら、この差はほとんど意味を持たない。「T250•U」が持つ「正確性」と「安定性」は、そのわずかな距離の差を補って余りある。飛ばすか、狙うか。その選択に正解はない。けれど、「T250•U」は後者──“確実に狙える”という信頼で、存在を示す一本だ。

最終評価

タイトリスト「T250•U」は、伝統的な「ユーティリティアイアン」の設計思想を受け継ぐ一本だ。構えたときの薄いトップラインと端正なフォルムには、タイトリストらしい精度と品の良さがある。性能面では、「正確性」と「寛容性」で高く評価された。今回のテストでは、「正確性」部門で第2位、「寛容性」部門では第1位を記録。一方で「飛距離」は他モデルにわずかに劣るが、その差を感じさせないほど安定した弾道を描く。ティーショットでの信頼性は群を抜いている。打点がわずかにズレても、弾道は大きく乱れず、狙いを外さない。一打ごとに積み重ねるような確かさが、このクラブの真価だ。派手さはないが、着実に結果を出す。余計な主張をしないそのバランス感こそ、長く使える理由になる。もしあなたが、洗練された形状と確かな結果を重んじるタイプなら──「T250•U」は、心強い相棒になるはずだ。

テスターたちの声

“すべての要素を満たしているモデルだ。シャフトだけは、自分に合わせて変えたいかもしれない。”

“芯でとらえたときの打感は最高。ただし、ミスには容赦がない。”

“見た目も打感も良く、操作性が高い。フェースの反発も心地いい。”

“まさに“純粋なユーティリティアイアン”。造形の美しさ、性能ともに秀逸だ。 ただし、ボールストライカーでなければ、このクラブの真価を引き出すのは難しいだろう。 ”

専門家の視点

「ユーティリティアイアン」に“正確性”と“一貫性”を求めるなら、タイトリスト「T250•U」は間違いなく有力な選択肢のひとつだ。このクラブは、他のモデルとは異なり、より“アイアンらしい”形状を持っている。輪郭はシャープで、構えたときのラインが美しい。見た目の洗練さとは裏腹に、飛距離性能ではカテゴリー内で控えめな結果となった。最終的に重要なのは、“どんなゴルフをしたいか”だ。“まっすぐ狙える信頼”を重視するか、“あと数ヤードの伸び”を選ぶか。その判断を委ねるに値するだけの確かな実力が、この「T250•U」にはある。


「寛容性」第2位 PING「iDi」

総合スコア
8.6/10
飛距離
9
正確性
8.3
寛容性
8.7

こんなゴルファーにおすすめ

  • 実績のあるモデルを求めている人:

    “勝者の系譜”に名を連ねる、確かな実力者。今年は、PINGの最新「ユーティリティアイアン」──「iDi」の年ではなかった。だが、このカテゴリーでPINGが積み重ねてきた信頼と実績は、いまも揺るぎない。PING「iDi」は、タイトルこそ逃したものの、その「パフォーマンス」に一切の妥協はない。「飛距離」が欲しいゴルファーには十分な伸びを提供し、「寛容性」においても、ショットの安定性でトップクラスの評価を得た。テスト全体を通して見ても、その安定感と再現性は特筆すべきもの。クラブとしての完成度は高く、“試す価値のあるモデル”であることに疑いの余地はない。

こんなゴルファーにはおすすめしない

  • 「正確性」を求めている人:

    「正確性」の壁を、あと一歩で越えられなかった。最終的に、PING「iDi」がトップの座を逃した要因は「正確性」にある。MyGolfSpyの評価基準の中で、「正確性」は最も重みづけされた指標のひとつ。このスコアが平均を下回れば、いかに他の要素が優れていても頂点には届かない。PING「iDi」がやや不安定な結果を示した理由のひとつとして、調整機能が搭載されていない点が考えられる。つまり、自分に合わないライ角やシャフト長のままでは、「パフォーマンス」を最大限に引き出せない可能性があるのだ。もしこの「ユーティリティアイアン」を検討しているなら、購入前に必ずフィッティングを受けてほしい。ライ角とクラブ長さの最適化が、「正確性」を引き上げる鍵となる。

最終評価

PINGの「ユーティリティアイアン」には、積み上げてきた確かな実績がある。だからこそ「iDi」には、過去のテストで“最高のクラブ”と評されたモデルの後継として、大きな期待が寄せられていた。その期待に対し、PING「iDi」は惜しくも一歩届かなかった。とはいえ、それでも“優れた”「ユーティリティアイアン」であることは疑いようがない。結果は総合2位。「飛距離」と「寛容性」では際立った強さを見せたが、「正確性」においてはわずかに他モデルに及ばなかった。前作と異なり、調整機能を搭載していないことが、「正確性」で平均以下の「パフォーマンス」となった要因の一つかもしれない。それでも、PING「iDi」は高い完成度と安定感を持ち、試す価値のある「ユーティリティアイアン」であることは間違いない。派手ではないが、信頼に足る。そんな言葉が、このクラブには似合う。

テスターたちの声

“ハイブリッドのように打てて易しい。ミスヒットもミスと感じないほどだ。見た目もハイブリッドっぽい。”

“見た目がハイブリッドっぽいことを除けば、パフォーマンスは秀逸。クロスオーバーのような安定感がありながら、デザイン面ではやや劣る印象だ。”

“なんで他者が参入するのかな?PINGが最高なのに。”

“これまで試した中で、打ち出し、ボール初速、飛距離すべてでベストだった。”

専門家の視点

「正確性」のスコアが平均以下のクラブが、総合評価で高く評価されることは滅多にない。だが、PING「iDi」はその常識を覆した。「飛距離」と「寛容性」を高い次元で両立し、カテゴリーの中でも際立った「パフォーマンス」を見せた。確かに「iCrossover」と比べると、完成度の差は感じられるかもしれない。しかし、それに惑わされる必要はない。PING「iDi」は、“実力で評価されるべきモデル”だ。調整機能を持たない点は、長期的には不利に働く可能性もある。それでもなお、このクラブは「ユーティリティアイアン」の中で強く推薦できる一本だ。使いこなすほどに、その設計の意図とPINGらしい誠実さが伝わってくる。



👉2025年最も「寛容性」に優れたユーティリティアイアン TOP4

MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』寛容性部門ランキング。1位タイトリスト「T250・U」、2位PING「iDi」。

ドライビングアイアン/ユーティリティアイアンの選び方


MyGolfSpyの使命は、宣伝やイメージに惑わされず、“本当に性能で選ぶ”ための指針を示すことにある。クラブ選びで最も大切なのは「性能」。

ただし、ドライビングアイアンやユーティリティアイアンを購入するときには、それだけでは語れない要素もある。どんなクラブが自分に合うのか――ここからその答えを探っていこう。


カスタムフィッティングの重要性


もしこのページを見ているなら、あなたは“クラブ好き”か、あるいは理想のドライビングアイアン/ユーティリティアイアンを探している最中だろう。

そんなゴルファーにこそ試してほしいのがカスタムフィッティング。

打感や構えたときの印象といった感覚的な部分だけでなく、「スピン量」「打ち出し角」などの細かな数値を自分のスイングに合わせて最適化できる。

とくに候補が複数あって迷っているなら、フィッティングこそが最短ルートだ。データが導く一本──その答えは、あなたのスイングデータの中にある。


価格について


クラブ選びにおいて「価格」は避けて通れないポイントだ。多くのドライビングアイアンは250〜300ドル前後でラインナップされているが、ブランドや仕様によって差がある。

たとえば「Sub 70」は、スチールシャフト仕様なら約130ドルとコストパフォーマンスに優れ、さらに40ドルを追加すればカーボンシャフト仕様にもアップグレードできる。

つまり、170ドル前後で実用的な一本を手にすることができるというわけだ。一方で、最近は関税の影響により販売店ごとの価格差も広がっている。

「PING iDi」などは、「PGA Tour Superstore」と「Golf Galaxy」で異なる価格設定が確認されている。


PING「iDi」ドライビングアイアン。MyGolfSpy 2025年『Most Wanted ドライビングアイアンテスト』に使用された高MOI設計の最新モデル。

ドライビングアイアンの中でも特に人気モデルは、値下がりまで時間がかかる傾向がある。 もし「これだ」と思う一本があるなら、MyGolfSpyのクーポン・セール情報ページ(アメリカのMyGolfSpyのみ)をチェックしておこう。最新の割引情報やキャンペーンを活用すれば、憧れのモデルをよりお得に手に入れられるはずだ。


シャフト選びがスコアを左右する!


クラブ性能を最大限に引き出すには、シャフト選びが欠かせない。最適なシャフトは「打ち出し角」や「正確性」を大きく左右し、弾道そのものを変える要素でもある。

素材は主に「カーボン」と「スチール」。カーボンは軽量でヘッドスピードを上げやすく、スチールは安定感と操作性に優れる。また、シャフトの硬さ(フレックス)はヘッドスピードに直結し、弾道の高さや打ち出し方向にも影響を与える。

ポイントは、自分のスイングをいかに安定して再現できるか。その再現性を高めてくれる一本こそ、あなたにとっての“ベストシャフト”だ。


 

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なぜ「ユーティリティアイアン」を選ぶのか?


「ユーティリティアイアン」は、誰にでも扱いやすいクラブではない。だが、ドライバーとアイアンの中間を埋める“戦略的な一本”として、上級者のキャディーバッグでは存在感を放っている。

もともと「競技志向者(上級者)」向けに設計されたモデルが多いが、「中ヘッドスピード」帯のゴルファーでも使いこなせる場合がある。ただし、「低ヘッドスピード部門」のゴルファーにとっては、ミスの許容度が低く、難易度の高いクラブといえるだろう。


タイトリスト「T250・U」ドライビングアイアン。『Most Wanted 2025』で「寛容性」部門の上位にランクインした操作性と安定性を兼ね備えたモデル。

ハイブリッドやフェアウェイウッドよりも「ユーティリティアイアン」に魅力を感じるゴルファーは少なくない。理由は明快だ。ティーショットでもグリーンを狙う場面でも、より正確に狙いを定めやすく、“コントロールできる感覚”が強いからだ。

とくに、ハイブリッドやフェアウェイウッドでは番手間の「距離のつながり」が取りづらいゴルファーにとって、ユーティリティアイアンはキャディーバッグの中でその“空白”を埋める存在となる。

扱い方次第で、攻めにも守りにも使える万能クラブ。それはまるでミニドライバーのようだが、シャフトは短く、より精密なコントロールを重視している。

ただし──忘れてはいけないのは、「寛容性」が低いという事実だ。ミスショットには容赦なく結果が現れる。安定して打てるかどうか、自分の技量を冷静に見極めること。そして、必ずフィッティングを受けて選ぶこと。

それが、ユーティリティアイアンを武器に変えるための第一歩だ。


「ユーティリティアイアン」のテスト方法


2025年版『ユーティリティアイアンテスト』には、合計60時間のテスト時間が費やされ、7モデルのユーティリティアイアンが検証された。MyGolfSpyのテストプログラムは、次の3つの要素に基づいて実施されている。


  • 「フォーサイトGCクワッド」 – 世界中のフィッターやツアープロが信頼を寄せる弾道計測器。“ゴールドスタンダード(=業界基準に近い最高水準)”と呼ばれる正確性で、すべてのショットを1打も漏らさず計測する。今回のテストでは、合計2,520ショットのデータが「GCクワッド」によって記録された。
  • 「Titleist Pro V1」ゴルフボール – テスト精度を支える“見えない主役”。『Most Wantedテスト』では、すべてのショットに「Titleist Pro V1」を使用している。クラブごとの性能だけを正確に比較するため、ボールという変数を完全に統一。その安定した品質と信頼性こそ、MyGolfSpyが長年「Pro V1」を採用し続けている理由だ。
  • ザ インドアゴルフ店の「SIGPROプレミアム」インパクトスクリーン – テストを支える“縁の下の力持ち”。すべての検証は、バージニア州ヨークタウンのMyGolfSpy本社インドア施設で実施している。数千発のショットが連日打ち込まれるテストでは、スクリーンにかかる負荷は想像以上。だからこそ、私たちは耐久性と品質の両方を兼ね備えた『SIGPROプレミアム』を採用している。その強度と再現性は、いつも私たちの期待を超えてくる。

2025年ベストユーティリティアイアン「採点方法」と「評価基準」


MyGolfSpyのテストは、ただクラブを打って終わりではない。目的はひとつ──「いま市場で本当に優れたユーティリティアイアンはどれか」を、ゴルファーに正確なデータで伝えることだ。

そのために、私たちは60時間に及ぶテストで得られたデータを一打ずつ丁寧に解析し、感覚や広告に左右されない“純粋な性能”を浮き彫りにしている。

評価の中心となるのが、「MGSスコア」。これは10点満点で算出される総合評価で、次の3つの要素から構成されている。


・「飛距離」

・「正確性」

・「寛容性」


そして、この中で最も重視されるのが「正確性」だ。いくら飛んでも、狙った方向に打てなければスコアにはつながらない──それがMyGolfSpyの評価基準の根幹にある考え方だ。


「飛距離」:“攻めの可能性”を広げる指標


ゴルファーがクラブに求める性能の中で、「飛距離」は常に上位に挙げられる。とくに「ユーティリティアイアン」では、狙った距離をしっかり打ち分けられるかが重要なポイントだ。

MyGolfSpyでは、この飛距離性能を2つのデータで検証している。


・キャリーの飛距離

・トータルの飛距離


「正確性」:スコアを変える“決定的要素”


「ユーティリティアイアン」において、最も重要な性能が「正確性」だ。ティーショットでフェアウェイを外さないこと。そして、狙ったターゲットの近くに確実にボールを運ぶこと。それがスコアメイクの第一条件であり、「正確性」はまさにゲームを変える要素といえる。


・ストロークス・ゲインド


「寛容性」:安定した結果を生み出す“信頼の指標”


私たちは「寛容性」を、“どれだけ一貫した結果を生み出せるか”として定義している。つまり、「ユーティリティアイアン」が打点のブレに対してどれほど安定したショット結果を保てるかを示す指標だ。

「寛容性」カテゴリーでは、以下の4つのデータを分析している。


・キャリーの距離 – 所定の「ユーティリティアイアン」で打ったショットのうち、最も飛んだショットと最も飛ばなかったショットのキャリーの飛距離差を示す指標。

・ボール初速 – 所定の「ユーティリティアイアン」で打ったショットのうち、最も速かったボール初速と最も遅かったボール初速の差を示す指標。

・スピン量 – 所定の「ユーティリティアイアン」で打ったショットのうち、最も多かったバックスピン量と最も少なかったバックスピン量の差を示す指標。

・ショットエリア – ショットエリアは、ショット範囲(左右のばらつき)と表現しており、一連のショットが楕円状にどれだけ広がっているかを表す指標(単位は平方ヤード)。ショットのまとまり具合、つまり方向性の安定性を測る指標。


 

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2025年 ベストユーティリティアイアン|結果一覧

モデル
総合スコア
正確性スコア
飛距離スコア
寛容性スコア
Titleist「U•505」
8.8
8.8
9.2
8.3
PING「iDi」
8.6
8.3
9.0
8.7
Srixon「ZXiU」
8.6
8.6
8.6
8.4
Titleist「T250•U」
8.5
8.6
8.2
8.8
Orka「RS1-U」
8.4
8.5
8.4
8.2
Sub 70「699 v3 Utility」
8.4
8.4
8.3
8.6
Sub 70「699 Pro v3 Utility」
8.2
8.2
7.9
8.5

MyGolfSpyスコア算出方法

スコアは、弾道測定器で得られたデータをもとにした「効率値」から導き出される。この効率値は、特定の異常値を除外して平均化した、より純粋で信頼性の高いデータだ。

スコアの構成は、「正確性」を50%、「飛距離」を35%、そして「寛容性」を15%。つまり、MyGolfSpyのスコアは“どれだけ遠くに飛ぶか”だけでは決まらない。正確に、安定して、再現できるクラブこそが高評価を得る──それが私たちのテスト哲学だ。

「正確性」こそが、ユーティリティアイアンの本質。今回の『ユーティリティアイアンテスト』で、私たちが最も重視したのは「正確性」だ。なぜなら、このクラブは単なる“飛ばすクラブ”ではないからだ。ティーショットで使えばフェアウェイを狙う武器に。戦略的なポジショニングにも、グリーンを狙うアプローチにも使える。──まさに万能クラブ。だからこそ、「どこに飛ばすか」を正確にコントロールできることが何より重要になる。

そして、どんなに高性能でも、「正確性」を欠けばその価値は半減する。データが示しているのは、“狙った方向にまっすぐ飛ぶ”ことこそが最大の武器だということだ。

なお、最終スコアのごく一部には、フィッティング適合性や極端な外れ値の補正といった、データ外の要素も加味している。細部まで徹底した精度管理が、MyGolfSpyのテストを“信頼できる結果”にしている。


スリクソン「ZXiU」ドライビングアイアン。『Most Wanted』2025年版テストで「正確性」と「飛距離」の両部門で上位を獲得したモデル。

2025年「ユーティリティアイアン」– データ

以下の表では、今回のテストに参加した各「ユーティリティアイアン」の平均データを掲載している。

「ボール初速」「キャリーの飛距離」「トータル飛距離」「スピン量」「落下角度」など、主要なパフォーマンス指標をハイライトして表示。

ここで紹介する数値は、すべて生データによる平均値だ。前述したで説明した「効率値」を反映したスコアとは異なり、純粋に計測値の平均を示すものである。

テーブルを見る際は、この点を念頭に置いてほしい。──MyGolfSpyが重視しているのは、データの“透明性”と“信頼性”。

数字のひとつひとつが、その裏にあるリアルなテストの証拠だ。


2025年 ベスト「ユーティリティアイアン」データ一覧

モデル名 ボール初速
(m/s)
キャリーの飛距離
(yd)
トータル飛距離
(yd)
バックスピン
(rpm)
打ち出し角
(°)
最高到達点
(m)
落下角度
(°)
左右のブレ
(yd)
ショット範囲
(平方ヤード)
Orka「RS1-U」 61.89 216.95 232.45 2,792 10.04 6.65 32.09 2.66 3,584
PING「iDi」 62.79 223.54 237.44 2,936 10.97 7.76 35.41 3.54 3,671
Srixon「ZXiU」 62.19 221.14 234.44 3,101 11.62 8.22 37.14 2.00 3,296
Sub 70「699 Pro v3 Utility」 61.43 215.44 229.44 3,033 10.72 7.28 34.60 0.02 3,233
Sub 70「699 v3 Utility」 61.66 216.05 231.92 2,810 10.05 6.65 32.21 -1.75 3,399
Titleist「T250•U」 61.87 218.33 231.05 3,219 11.83 8.38 37.77 0.04 3,032
Titleist「U•505」 62.55 223.53 237.25 3,004 11.86 8.40 37.11 1.04 3,451
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※ 数値は平均。単位換算:ボール初速=mph×0.44704(m/s)、最高到達点=ft×0.3048(m)。その他は原データの単位(yd, rpm, °)を表記。

2025年「ユーティリティアイアンテスト」Q&A


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