狭いパー4のティーショットで“置きにいく”か、ロングパー5で2オンを狙うか──。

フェアウェイウッドの「飛距離」がスコアメイクに直結する場面は、実は想像以上に多い。

2025年の『フェアウェイウッドテスト』では、その“飛ばせる力”に明確な差が表れたモデルがはっきりと浮かび上がった。

中でも、PING「G440 MAX」は、単なる飛距離性能だけでなく、実戦での使いやすさを含めた総合力で2025年のトップ評価を獲得している。

純粋なトータル飛距離だけを見れば、最長クラスのモデルに比べて約7ヤード劣る。

しかし、打点のブレに強く、キャリーとランのバランスが安定している点は高く評価された。

実戦では、“どこに落として、どう転がすか”を具体的にイメージしやすい──そんな完成度の高さが光る1本だ。


テーラーメイド「Qi35」フェアウェイウッドのヘッド形状。芝生上で構えたアドレス時の見た目とフェースデザインが分かる

このあと紹介するのは、すべてのフェアウェイウッドについて計測した、

• 平均キャリーの飛距離

• 平均トータル飛距離

• MGS(MyGolfSpy)トータルスコア

フェアウェイウッド選びの基準となるデータだ。あなたのヘッドスピード帯や狙い方に合う1本が、ここから見えてくるはず──。


2025年 フェアウェイウッド「トータル飛距離」ランキング

順位 モデル名 平均キャリーの飛距離
(yd)
平均トータル飛距離
(yd)
MGS総合スコア
1テーラーメイド「Qi35」213.53227.088.8
2キャロウェイ「Elyte」211.43225.458.6
3コブラゴルフ「DS-Adapt LS」209.13223.438.7
4スリクソン「ZXi」209.57223.068.8
5PING「G440 LST」208.63221.118.8
6ウイルソン「DYNAPWR Carbon」207.13220.738.5
7PING「G440 MAX」207.27220.248.9
8ウイルソン「DYNAPWR Max」206.30219.558.4
9テーラーメイド「Qi35 Tour」206.70218.928.6
10ベン・ホーガン「PTX」204.49218.258.5
11キャロウェイ「Elyte X」205.67218.098.2
12コブラゴルフ「DS-Adapt X」205.53217.308.5
13キャロウェイ「Elyte ♦♦♦」204.37216.918.3
14テーラーメイド「Qi35 Max」204.47216.518.7
15ツアーエッジ「Exotics C725」204.14215.878.1
16テーラーメイド「Qi35 Max Lite」203.39215.488.6
17コブラゴルフ「DS-Adapt Max D」202.79213.678.5
18タイトリスト「GT1」202.12213.538.4
19Sub 70「959x」200.36212.188.1
20ツアーエッジ「Exotics E725」199.27210.968.3
21クリーブランド「Halo XL Lite」197.63209.198.2

1. “最長飛距離”と“ベストモデル”は一致しない──本当に選ぶべき1本とは?

テーラーメイド「Qi35」は、平均227.08ヤードという驚異的なトータル飛距離を記録し、今回の“飛距離キング”に輝いた。

キャロウェイ「ELYTE」を約2ヤード、PING「G440 MAX」を約7ヤード上回る数値だ。

ただし、勝負は“飛距離だけ”では終わらない。

PING「G440 MAX」は「寛容性」「正確性」「安定性」で他を圧倒し、MGSスコアは全体トップの8.9。

ラウンド全体でスコアを作るための要素を、最も高いレベルでバランス良く備えている。

テーラーメイド「Qi35」で“ひと伸び”を狙うのも魅力だが、ミスの幅を抑えながら結果を安定させたいなら、PING「G440 MAX」のほうが確実にフェアウェイをキープしやすい。

飛距離を取るか、スコアを取るか──。

あなたのプレースタイルが、選ぶべき1本を決める。


2.上位5モデルの差は“たった4ヤード”──トップクラスはほぼ横一線

トータル飛距離では、テーラーメイド「Qi35」、キャロウェイ「ELYTE」、コブラゴルフ「DS-Adapt LS」の3モデルが、わずかに先行する結果となった。ただし、その差は決定的なものではない。

実際、上位5モデルのトータル飛距離差は“たった4ヤード”。飛距離性能だけを見れば、このトップグループはほぼ横一線で、実戦では明確な差を感じにくいレベルにある。


その差を具体的な数値で見てみよう。

• キャロウェイ「ELYTE」:225.45

• コブラゴルフ「DS-Adapt LS」:223.43

• スリクソン「ZXi」:223.06

• PING「G440 LST」:221.11


2025年のフェアウェイウッドは、上位モデルであればどれも「ボール初速」や「キャリーの飛距離」において、十分に実戦で戦える水準に達している。

だからこそ、最終的な成果を左右するのは“あなたに合った打ち出し角とスピン量”──いわゆる理想の弾道設計だ。

ほんの1〜2ヤードの伸びを追うよりも、

• しっかり高さが出るか

• スピンが適正か

• 狙った落下角度で止まるか

こうした要素が整ったフェアウェイウッドのほうが、実戦では圧倒的に結果につながる。

飛距離そのものではなく、“最適な弾道”を見つけること──それこそが、2025年のクラブ選びにおける最大のカギになる。


3. 低スピン・中打ち出しのヘッドが飛距離トップを独占

最長飛距離を記録したモデルは、どれもほぼ同じ弾道パターンを描いていた。

打ち出し角:12〜13度

スピン量:おおむね3,200rpm未満

弾道:前に伸びる低スピン系で、ランも明確に出るタイプ

この組み合わせは、キャリーとランのバランスが良く、総合的な飛距離が最大化しやすい。


まとめ

最長飛距離を叩き出すモデルが、あなたのゴルフにとって“最適な1本”とは限らない──これが、今回のテストで改めて浮き彫りになった結論だ。

たしかにテーラーメイド「Qi35」は、トータル飛距離で頭ひとつ抜けた存在だ。

一方で、PING「G440 MAX」は、

• 寛容性

• ショットの安定感

• 方向のブレの少なさ

この3つを非常に高いレベルで備え、幅広いゴルファーが“使いこなせる”完成度を示していた。

もし「とにかく1ヤードでも遠くへ」というタイプなら、トップ4〜5モデルはいずれも魅力的な選択肢になる。

しかし、飛距離を確保しつつ“大きなミスを最小限に抑えたい”なら、PING「G440 MAX」は今なお基準となる1本だ。

フェアウェイウッドに何を求めるのか──。

その答えによって、選ぶべきモデルは大きく変わる。

今回のデータは、その現実をはっきりと示している。