155ヤード先のピンに向かって、7番アイアンで放った完璧なショット。フェースの芯でボールをとらえた瞬間の、あの心地よい手応え。

理想的な弾道で打ち出されたボールは、グリーンにやわらかく着弾し、ピンそば90cmでピタリと止まる──まさに、すべてのゴルファーが追い求める一打だ。

だが、そのわずか2スイング後。状況はまったく同じ。ライもクラブも狙いも変わらない。それでも今度は、クラブがボールの手前のターフにダフり、ショットは110ヤード先にかろうじて届いた程度。

いったいなぜ、同じ番手・同じような状況でここまで結果が変わってしまうのか?

その原因は「スイング自体」ではない。スイングの最下点(=インパクト時のクラブの最も低い位置)が、ボールのどこにあるかが決定的な違いを生むのだ。


プロは「打ち込もう」としていない ─ 最下点の真実

「ボールに打ち込め」「ディボットを取れ」「ターフに押しつけろ」──誰もが聞いたことのあるアドバイスだ。でも、それを“どうやって”実現するかを知らなければ、ただの掛け声に過ぎない。

そこで多くのゴルファーがやってしまうのが、「クラブを無理に上から入れようとする動き」だ。上半身をターゲット方向に突っ込んで、「前に出ればダウンブローになる」と勘違いする。

または、ダフリを恐れて体重を後ろに残したまま、ボールをすくい上げようとする。

だが、実はこの「前に出る動き」が、スイングの最下点を後ろにズラしてしまう原因になる。

不思議に思えるかもしれないが、体は本能的に“やりすぎ”を防ごうとする。胸や頭を前に突っ込めば、クラブが鋭角に地面へ突き刺さると察知し、無意識に腕を引き上げて守ろうとする。

その結果、クラブはボールの手前で地面に入り、ミスショットに繋がる。

プロはこの動きをしない。

彼らは「力で打ち込む」のでも「下から持ち上げる」のでもなく、「安定した軸で体を回転させること」と「どこに圧力をかけるか」を理解している。

この2つが整えば、最下点は自然と前方(飛球線方向)に位置し、クリーンなインパクトが生まれる。


「なぜかダフる」の答えはここにある ─ 最下点を操る2つの鍵

ゴルフスイングは、「支点」と「動点」の連携で成り立っている。

この支点となるのが、頭と胸の中心(=上半身の軸)。そして動かすべきは、下半身の動きと体重移動だ。

この2つが正しく機能すれば、クラブのスイング軌道は自然とボールの“先”で最下点を迎える。無理に打ち込もうとしなくても、結果としてクリーンなコンタクトが生まれるのだ。

だが多くのゴルファーは、この「頭と最下点の関係性」に気づいていない。実は、スイングの最下点は、インパクト時の“頭の位置”とほぼリンクしている。

重要なのは、アドレスでの頭の位置ではない。インパクトの瞬間、どこに頭があるかだ。

たとえば、ダウンスイング中に頭が7〜8センチ前に動いてしまったとする──その時点で、最下点も同じぶん後ろへズレている。

ゴルフは物理だ。どれだけ感覚でごまかそうとしても、動作の結果は正直に現れる。


夕暮れのフェアウェイで、アイアンのフェース後方にゴルフボールがセットされた構えのシーン。芝生の上でショット直前の構図を捉えた写真。

誤解しないでほしい。

「頭を微動だにさせるな」と言いたいわけではない。スイング中に頭がわずかに左右へ動くのは自然なことで、1〜2センチのズレなら問題ない。

問題なのは、ダウンスイング中に頭が何インチも前方へ流れてしまう“前方ドリフト(=頭が目標方向に流れてしまう動き)”。

これこそが、スイングの最下点をボールの後方にズラし、打点がブレる原因だ。

だから、世界のトップボールストライカーは「腰を力強く前に出しながらも、頭はしっかり残している」。

体重移動でリードサイド(=ターゲット側の足・体側)に85%以上の圧力がかかっていても、頭の位置はぶれない──この組み合わせが、ボールより前に最下点を作る秘訣だ。

さらに重要なのが、「トレイルショルダー(=後ろ側の肩)の通る軌道」。

インパクトでこの肩が下に落ちて、リードショルダー(=前側の肩)の下を回るように動くと、背骨の前傾角が保たれ、ダウンブローが自然に生まれる。

逆に、後ろの肩が前に突き出してしまうと、体が起き上がり、ミスショットが増える。トップするか、手を返してダフるか──どちらも避けたい結果だ。

そして最後に伝えたいのは、「腕はほぼ乗客だ」ということ。クラブを無理に打ち込もうとせず、体の回転と圧力の移動に任せよう。

クラブは、正しい動きができれば、自動的に理想の場所に戻ってくる。


最下点のズレを見抜く!セルフ診断チェック法

自分の最下点をチェックするなら、このテストが効果的だ。


最下点を見抜く「ディボットテスト」──ライン1本でわかるスイング:

準備するのは、スプレー塗料かフットパウダースプレー(地面に白い線が描ければOK)。芝の上やマットにまっすぐなラインを引き、その上にボールをセットして、いつも通り数球打ってみよう。

チェックするのは、「ディボット(=クラブが地面に当たって削れた跡)がどこから始まっているか」。


・ラインの手前からディボットが始まっていたら、最下点が後ろすぎるサイン。

 その場合は、「頭が目標方向に流れすぎていないか」または「リードサイド(=前足側)への体重移動が弱くないか」を確認してほしい。


・ディボットがまったく取れていないなら?

 おそらく「体が後ろに残っている」か「ボールをすくい上げようとしている」可能性が高い。


どちらも打点が安定しない大きな要因だ。まずはこの簡単なチェックから始めてみよう。


スマホ1台でできる!スイングの最下点を見抜く「動画チェック法」:

スマートフォンを自分の正面、約4.5メートル離れた位置にセットしよう。

正面アングルでスイングを撮影して、アドレス時とインパクト時の「頭の位置」を比較する。

5球ほど打って確認してみてほしい。もしインパクトで頭がターゲット方向に動いていたら──それがミスの原因だ。

わずか2〜3センチの頭のズレでも、スイングの最下点は数センチも後方にズレてしまう。その結果、ダフリや打点のばらつきにつながる。

まずは動画で「頭が前に出ていないか?」をチェックしてみよう。見直すべきポイントは、意外とシンプルなところにある。


体が起きてるかも?“肩の高さ”で見抜くインパクトの崩れ:

このチェックは少し意識が必要だが、効果は抜群だ。

スイング中、インパクトの瞬間でピタッと動きを止めてみよう。その状態で、自分の肩の位置を感じ取ってみてほしい。


・もし後ろ側の肩が前側の肩よりも低い位置にあれば、それが理想的な“前傾の傾き”だ。

・逆に、肩が水平だったり、後ろ側の肩のほうが高くなっていたら要注意。


それはインパクトで体が起き上がっているサインであり、最下点の位置が安定せず、ミスにつながりやすくなる。

この「肩の傾きチェック」は、体が正しく使えているかどうかを見抜く絶好の感覚テストだ。


タイトリスト U•505 ドライビングアイアンをアドレスした視点で撮影した写真。人工芝の上にボールや計測機材が並ぶテスト環境。

ミスを減らす!芯で打てる自分に変わる練習法

最下点を体で覚えるなら、このドリルが近道だ。まずはピッチングウェッジを使って25球の練習。

最初の10球はボールを使わず、地面にティーを刺してそこに向かってスイングする。

ティーを打とうとしなくていい。いつも通りのスイングで、ディボット(=クラブが地面を削った跡)がどこから始まっているかを確認しよう。


・ティーの前からディボットが出ていれば合格。

・ティーの手前から削れていれば、最下点が後ろすぎるサイン。


その位置が安定して前方になるまで、何度でも繰り返す。感覚がつかめたら、次はボールをセット。やるべきことは変わらない。


・体重はリード足(前足)へしっかり移動。

・頭はセンター、または少し後ろに残す意識。

・後ろ側の肩は下に落とし、前の肩の下をくぐるように回す。


クラブを助けにいく必要はない。力で押し込もうとせず、体の回転に任せてクラブを“落とすだけ”でいい。

そして、芯に当たったときはすぐにわかる。

乾いた「パシッ」という音、分厚い打感──それがコンプレッション(=ボールをフェースで強く押し込むインパクトの質)。

つまり、最下点をコントロールできた証だ。

「うまく当たるといいな」と願うスイングではなく、「どうすれば芯に当たるか」を理解したスイングへ。

その一歩が、この練習から始まる。


🔗関連記事

たった3つで「ヘッドスピード」と「飛距離」が伸びる!ハリントン直伝の実践メソッド

スイングを変えずに飛距離を抑える!ゴルフショット距離コントロールの実戦術

ショット上手の奥義は“テンポ” |飛距離も安定性も鍵は「3:1」の黄金リズム