インパクトでフェースが開いていることがスライス(ボールが大きく左から右へ曲がるミス)の原因だと分かっているなら、それは良いスタートだ。
だが、たいていの場合、つまずくのはその次だ。
フェースがスイング中にどのように回転するのかを学ぶ代わりに、フェースをスクエアに保つ、あるいは閉じた状態をできるだけ長く維持しようとしてスライスを直そうとする。
理屈としては正しく聞こえる。
しかし、フェースをスクエアに保とうとすることは、スライスをより直しにくくしてしまう、最もよくある間違いのひとつだ。
※この考え方は、Athletic Motion Golf(AMG)が行ったトッププレーヤーの3D動作解析によっても検証されている。 実際のスイングでは、フェースは意図的に固定されるものではなく、動きの中で回転していることが確認されている。
📌補足:Athletic Motion Golf(AMG)
ツアープロやトップ選手のスイングを、3D計測データを用いて分析する専門チーム。
👉誤解:フェースをスクエアに保てばスライスは直る
この考え方は長年語られてきたが、Athletic Motion Golf(アスレチックモーションゴルフ)の分析が示しているのは、 トッププレーヤーのスイングが、そもそもこの前提に基づいていないという事実だ。
AMGは分析のひとつで、世界でも屈指の正確性を誇るボールストライカー3名を対象に、ダウンスイング中におけるフェースの向きとスイング軌道(ヘッドの進行方向)の関係を追跡した。
その結果は、3人すべてに共通していた。
- スイング中、フェースをスイング軌道に対してスクエア(フェース面が目標方向を向いた状態)に保っている選手はいなかった
- ダウンスイングの早い段階では、フェースはスイング軌道に対して開いていた
- フェースの向きとスイング軌道の関係は、スイング中ずっと変化していた
- フェースがスクエアに近づくのは、インパクト直前のほんの一瞬だけだった
つまり、どれほど正確なショットを打つトップレベルの選手であっても、ダウンスイング中にフェースをスクエアな位置に「保ち続けている」わけではない。
👉なぜこのアドバイスが、スライスを悪化させるのか
「フェースをスクエアに保て」と聞くと、多くのゴルファーは、フェースをその向きのまま固定しようとする。
だが、スイングの早い段階からフェースをスクエアに固定してしまうと、次のような問題を招きやすい。
- フェースの回転が不足する
- 手や腕に余計な力が入りやすくなる
- リリース(クラブが振り抜かれる動き)が不自然になり、早すぎたり遅れたりする
フェースが自然に回転する仕組みを理解しないまま、無理に止めようとすると、スイングはうまく機能しない。
スライスがそのまま残ることもあれば、インパクト直後にプッシュアウト(ボールが目標より右に真っすぐ出るミス)や、弱いフェード(ボールが左から右にゆるく曲がる弾道)になり、そこに引っかけのフック(ボールが左に出て、さらに左へ強く曲がるミス)が混ざることもある。
スイング中ずっとフェースの回転を止め続けることはできない。
👉正しく機能しているスイングでは何が起きているのか
スイングが正しく機能しているとき、クラブフェースは常に回転している。
このフェースの回転があるからこそ、インパクトでスクエア(フェース面が目標方向を向いた状態)に近づくことができる。
👉バックスイングで起きていること
バックスイングでは、クラブフェースを無理にスクエアに保つ必要はない。
クラブが円を描いて動き、手首が自然に折れることで、フェースは自然に開いていく。
この自然なフェースの動きには、明確な意味がある。
- スイングに十分な幅が生まれる
- 切り返しに向けてスピードをためやすくなる
- インパクトでフェースを操作せずに戻しやすくなる
逆に、フェースが開くのを早い段階から抑え込もうとすると、スイング全体の動きが小さくなり、ダウンスイング以降でタイミングが合わなくなりやすい。
👉ダウンスイングで起きていること
ダウンスイングに入ると、クラブフェースは決して同じ向きのまま保たれているわけではない。
フェースはスイング軌道に対して一度開き、そこから自然に閉じていく。
そしてフェースがスクエアに近づくのは、インパクト直前のほんの一瞬だけだ。
この「閉じる」動きは、体の回転が止まらずに続き、クラブが自然にリリースされることで生まれる。
フェースを意識的に固定したり、向きを保とうとした結果ではない。
スクエアとは、正しい動きの積み重ねによって生じる「結果」であり、
スイング中ずっと維持しようとする「形」ではない。
これは、トップレベルのプレーヤーに共通する事実だ。
👉まずは試してみよう
スライスを直そうとするなら、目標はフェースをスクエアやクローズ(フェース面が目標方向より左を向いた状態)に保つことではない。
本当に目指すべきなのは、スイングの中でフェースがどのように自然に回転しているのかを理解することだ。
そのための入り口として有効なのが、ゆっくりしたハーフスイング。
この段階で意識するのは、次の3点だけでいい。
- バックスイングでフェースが自然に開く動きを止めない
- 体の回転を止めず、スイング全体を通して回し続ける
- フェースを保とう、固定しようとしない
フェースを意識的に操作しなくても、弾道の曲がりが小さくなってきたなら、それは正しい方向に進んでいるサインだ。
まずは腰から腰までの振り幅で、フェースが回転する感覚をつかもう。
その感覚が安定してきたら、少しずつ振り幅を大きくしていけばいい。
最後に
フェースの回転を止めようとするのではなく、
その回転がどのように起きているのかを理解すること。
それによって、スライスを「なぜ起きるのか分かった」で終わらせず、
「実際に直せる理解」へと変えることができる。




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