先週日曜の「ザ・アメリカン・エキスプレス」で再び勝利したスコッティ・シェフラーは、控えめに言っても驚異的なゴルフを続けている。 これほど安定して勝ち続ける姿は、タイガー・ウッズ以来と言っていい。

だが、ここで結論を急ぐのは早い。
シェフラーはタイガーではない──少なくとも、数字が示す限りは。


シェフラーが“異常”なペースで勝っているのは事実

シェフラーがPGAツアー通算20勝に到達したことで、比較は一気に加速した。

彼は、史上2番目の若さ、そして2番目のスピードでこの数字に到達している。

興味深いことに、最初の70試合では一度も勝てなかったが、その後の81試合で20勝を挙げている。

これは、勝率にして約25%。常識では考えにくい数字だ。

世界ランキング1位の独占ぶりも際立っている。

現在、シェフラー(1位)とローリー・マキロイ(2位)のOWGR(男子世界ゴルフランキング/大会成績をポイント化した世界共通の指標)平均ポイント差は、マキロイと世界677位のカン・キョンナムとの差と同じだ。

さらにシェフラーは、142週連続で世界1位を維持している。
少なくとも今後数カ月、この座を失うことは数学的に不可能だ。

29歳にして、史上屈指のゴルファーになる軌道に乗っているのは間違いない。


だが、タイガーの記録は“別次元”だ

ここで、Data Golfがまとめたキャリア勝利数の比較グラフを見てほしい。
紫がタイガー、赤がシェフラーだ。


プロゴルファー2名のキャリア勝利数を時系列で比較した折れ線グラフ

驚くべきことに、151試合終了時点で、タイガーはすでに38勝を挙げていた。
これは出場試合の25%以上だ。

一方、シェフラーはスロースタートの影響もあり、勝率は約13%にとどまっている。
差は小さくない。

では、試合数を倍の302試合にしてみよう。
タイガーはこの時点で78勝。勝率25.8%だ。

同じ地点に立つには、シェフラーは今後151試合で58勝が必要になる。
これは約7シーズン分、つまり 1シーズン8勝ペースだ。

現状の勢いを考えれば不可能ではない。
だが、それを長期間維持し、しかもケガを避ける必要がある。

メジャーと世界1位の記録
30歳になる前に、タイガーはメジャー10勝。
シェフラーは現在4勝で、今年6月に30歳を迎える。

世界1位の連続記録も同様だ。
シェフラーは142週。
タイガーの記録は281週連続(別に264週連続もある)。
まだ半分だ。

ストロークスゲインドで見ても…

ストロークスゲインドは、1ラウンドあたり、どれだけフィールドに差をつけたかを示す指標だ。


プロゴルファー2名のキャリアにおけるストロークスゲインド累計を示す比較グラフ

キャリア勝利数の差に比べれば、こちらはまだ近い。
だが、それでもタイガーがシェフラーを大きく上回っている。

151試合終了時点で、
タイガーは1ラウンドあたり +2.78打。
シェフラーは +2.17打 だ。

同じ領域にはいる。
だが、差はまだはっきりと残っている。


それでも、前提として押さえておきたい点がある

タイガーの偉大さが、シェフラーとはまったく異なる次元にあることは事実だ。
ただし、それを踏まえた上で、いくつか考慮すべき視点がある。

ひとつは「時代」だ。
ウッズが支配した時代は、クラブやボールの性能が今ほど洗練されておらず、突出した存在がフィールドとの差を広げやすい環境でもあった。

一方、現代のツアーではクラブやボール性能の進化によって実力差は縮まりやすい。

その中で、シェフラーがこれほど安定して差をつけている事実は、軽視できない。

もうひとつは「継続性」だ。
ウッズは約15年にわたって圧倒的なパフォーマンスを維持したが、怪我によって、その勢いは突然断ち切られた。

仮にシェフラーが、45歳まで現在よりやや穏やかなペースで、それでも高い水準を保ち続けたとしよう。

今後15年のキャリアを想定した場合、タイガーの通算82勝に届くために必要な勝利数は、年間およそ4勝だ。

さらに、15シーズンのうち約4分の3でメジャーを1勝ずつ挙げれば、メジャー勝利数でもウッズに並ぶ計算になる。

シェフラーが、かつてのタイガーのように、短期間で時代を支配する存在になる可能性は高くない。

それでも、到達し得るキャリアのスケールという意味では、決して非現実的な話ではない。

そう考えると、今のシェフラーが積み上げているもの自体が、すでに特別だと言える。

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シェフラーがタイガーの記録に並ぶまでには、まだ越えるべき壁がある。