私も多くのゴルフファンと同じようにタイガー・ウッズを見ながら大人になった。私にとってタイガー・ウッズはゴルフ界の「スーパーヒーロー」、いや、「神」だった。

タイガーの凄さは、ただ勝つだけじゃなく、ドラマを生み出すところにある。普通の選手なら絶体絶命の場面でも、彼は奇跡のショットを放つ。

その瞬間、「ゴルフってこんなにエキサイティングなスポーツだったんだ」と気づかされた人も多いはずだ。

彼を見ていると、ゴルフはただのスポーツ以上の何かだと感じる。挑戦と集中、そして奇跡を生み出す力。マイケル・ジョーダンと同様に、タイガー・ウッズはそれを私たちに教えてくれる存在だった。

今のタイガー・ウッズのプレーをみるのはちょっと複雑な気持ちだ。彼がケガの痛みを抱えながらトーナメントを回る姿を見るのは正直つらい。でも、全盛期のタイガーをみられたのは、かけがえの無い特別な体験だった。

あの頃のタイガーは、「今日は何をやってくれるんだろう?」って期待で胸が高鳴ったものだ。あの全盛期の輝きは、一生忘れることができない。

もちろん、2025年にもスコッティ・シェフラーのように圧倒的な力を見せ、大活躍しているプロもいる。彼は素晴らしいゴルファーで、キャリアが終わる頃には史上最高のゴルファーの一人として語られるかもしれない。

でもね、タイガー・ウッズの全盛期を見た人なら分かると思うけど、あのレベルの「支配感」は次元が違った。タイガーがティーグラウンドに立った瞬間の圧倒的な存在感が、タイガーを「唯一無二の存在」にしている。

タイガー・ウッズがゴルフ界にもたらしたある種のエネルギーは比類なきもの。ゴルフに興味がなかった人ですら、そのパフォーマンスで「タイガーやべえ!」って虜にしてしまった。

彼がプレーすると、ただのゴルフの試合が世界中を巻き込むイベントに変わる。クラブを振るだけなのに、「これ映画のクライマックス?」って感じさせる緊張感とドラマを生み出した。

タイガーがいると、ゴルフはただのスポーツじゃなくて、みんなが夢中になるエンターテインメントになっていたんだ。

タイガーが打ち立てた記録の中には、もう誰にも届かないものがある。そのうちのいくつかは、ゴルフ史上で最も「破るのが難しい記録」のひとつとして語り継がれるだろう。

タイガーの記録は、数字以上の意味がある。それはゴルフの可能性を押し広げた証拠であり、永遠に語り継がれる「レジェンドの証」。

はいはい、もう分かったから次にいって!と言われそうだけど…。

そうだ、2024年12月30日はタイガー・ウッズの誕生日だった!これもファンなら当然知ってたよね(笑)“ビッグキャット”がついに49歳になった。

そこで、彼のキャリアの中で「ありえないだろ!」と思わず叫びたくなる「驚愕の記録10選」を紹介しよう。


タイガー・ウッズがギャラリーに囲まれながらフェアウェイを歩き、キャディやカメラクルーが同行している様子。

10、3度の5連勝以上の連勝記録

タイガー・ウッズは、これまで5大会以上の連続優勝をなんと3回も達成している。

5連勝1回でも夢のような記録で一生語り草になる偉業なのに、それを彼は3回も成し遂げているなんて、もはや「連勝マスター」と呼ぶしかないよね。

ちなみに、PGAツアーで5連勝を一度でも達成したのは60年以上前。

これって、冷静に考えると本当にぶっ飛んだ記録だと思う。普通なら夢物語のレベルを、タイガーは当たり前みたいにやってのけたんだから。


9、PGA最優秀選手を11回受賞

ツアーの歴史上、年間最優秀選手賞を6回以上受賞した選手はタイガー・ウッズ以外にいない。タイガーはなんと、そのタイトルを11回も獲得している。6回でも伝説級なのに、彼はそれを「倍プラスおまけ」で持っていった(笑)

現役で全盛期真っ只中だと、スコッティ・シェフラーとローリー・マキロイがそれぞれ3回ずつ受賞しているくらい。この記録の差を埋めるには、彼らがこれから何十年も全盛期を続ける必要がありそうだ。

数字上、タイガー・ウッズに追いつくことは不可能じゃないけど正直なところ、現実的にはかなり厳しいよね。


8、5打差以上をつけて四大メジャー全てで優勝

キャリアを通じて、四大メジャーすべてで勝つだけでもとんでもなく難しいこと。ゴルフの歴史の中でこれを達成したのは5人しかいない。

となると、「5打差以上」をつけて四大メジャー全てで優勝するなんて別次元の話だ。ゴルフ界の伝説ジャック・ニクラスですら成し遂げられなかった偉業だ。

タイガーだけがその領域に到達したという事実は、彼がどれだけ特別な存在かを物語っている。普通の勝利が「伝説」なら、タイガーの勝利は「神話」だよ。

ローリー・マキロイは全盛期に、全米オープンとPGA選手権でそれぞれ8打差で圧勝しているけど、もう10年以上もメジャーで勝っていないことを考えると、残りのメジャー2大会を大差で制するのは厳しそうだ。

タイガーの記録を追いかける道のりは、本当に果てしなく遠い。


7、9度のバードン・トロフィー獲得

「バードン・トロフィー」は、シーズンの平均スコアが最も低いPGAツアープロに贈られる賞だ。

このトロフィーを手にするということは、シーズンを通して一貫して最高レベルのプレーを見せ続けた証拠。言い換えれば、「毎回ベストな自分」で戦い抜いた選手に与えられる栄誉。

タイガー・ウッズはこの賞を9回受賞していて、その中でも2000年と2007年は平均スコアが「68」を切るという驚異的な記録を達成している。

ちなみにPGAツアー史上、68を切ったプロはタイガーだけで、今世紀で最もこの記録に近づいたのは、昨季のローリー・マキロイで平均スコアは68.67だった。

タイガーの驚異的な記録はまさに「触れることのできない領域」だと改めて実感できる。

バードン・トロフィーを最多獲得の2位は5回受賞しているビリー・キャスパーとリー・トレビノの5回ずつ。ローリー・マキロイはキャリアで4回受賞しているけど、5度目の受賞はかなり厳しいだろう。

というのもマキロイは2025年で36歳を迎える。全盛期の勢いを維持するのも難しくなってくる年齢だし、ツアー全体のレベルもどんどん上がっている。

タイガーの記録を追いかけるのは、まさに山を動かすくらいの挑戦だ。

ちなみに驚くなかれ、スコッティ・シェフラーはこのタイトルを手にしたことがない…少なくとも今のところだけどね。

彼の実力を考えれば、その瞬間が来るのは時間の問題かもしれないけど、タイガーの記録に近づくには、そこからさらに相当な積み重ねが必要になる。


6、シード権を獲ったことがないのに欧州ツアーで41勝

タイガー・ウッズはヨーロピアンツアー(現在のDPワールドツアー)のメンバーになったことはない。それにも関わらず41回も優勝している。これはツアー歴代3位に当たる。

メンバーでもないのにこの勝利数って、普通に考えてちょっと反則だよね。他の選手が一生かけても届かないような記録を、タイガーは「ついで」に積み上げたようなもの。

でもどうやってこの記録を達成したのか?その理由は、PGAツアーとヨーロピアンツアーがビッグイベントを共催しているから。

その結果、タイガーがPGAツアーで勝った試合がヨーロピアンツアーの勝利数にもカウントされることになったわけ。

ちょっとしたカラクリはるけどこの記録が色あせるなんてことはない。

この優勝回数にはタイガー・ウッズのメジャー15勝と世界ゴルフ選手権(WGC)18勝が含まれている。

またタイガーは、ヨーロピアンツアー単独イベントのジョニー・ウォーカー・クラシックで2勝、ドバイ・デザート・クラシックで2勝、そしてドイツ銀行で3勝をマークしている。

これを聞くと、「ついで」どころじゃないって気づくよね。タイガーはどこでプレーしても勝つし、それがアメリカだろうがヨーロッパだろうが関係ない。

彼にとっては「場所なんて関係なく、コースがあれば勝つだけさ」って感じなのかもしれない。

現役でこの記録に近いプロはおらず、ヨーロピアンツアーを主戦場にしているプロででさえ、その域には遠く及ばない。タイガーの記録は、現役どころか歴史全体を見ても、まさに「近づくことさえ難しい壁」といえる。


5、メジャー4連勝を達成

ボビー・ジョーンズが1930年に年間グランドスラムを達成しているが、当時のメジャーは今と違っていた(当時マスターズはまだ存在しておらず、ジョーンズの「グランドスラム」は全米オープン、全米アマチュア、全英アマチュア、全英オープンだった)。

一方、タイガー・ウッズは2000年に全米、全英、全米プロで優勝し、2001年にマスターズを制していわゆる「タイガースラム」を達成した。

連続で4つのメジャーを勝つという、これまた信じられない偉業。どちらも異なる形の偉業だけど、どちらもゴルフ史に永遠に刻まれる伝説。

その後、2015年にジョーダン・スピースがかなり良いところまで行ったが、結局それも叶わなかった。それ以降、メジャータイトルはどちらかといえば多くの選手が分け合う傾向にある。

近年では毎回違う選手が優勝することが多くて、それも面白いんだけど、タイガーみたいに一人の選手が完全に支配する時代を経験した身としては、「次も絶対タイガーだ!」っていう予想と期待がちょっと懐かしく思えてくるね。

2024年にザンダー・シャウフェレがメジャーを2つ制覇したけど、これは2018年以来の快挙だった。メジャー2勝だけでも相当難しいのに、ましてや4勝など考えられない。

現代のゴルフでは、競技のレベルが全体的に上がり、どの選手も高い実力を持っているから、誰かが他の選手を圧倒的に突き放すのは非常に難しい。

だから当時と今のゴルフは区別して考えないといけないのかもしれないけどね…。


4、142試合連続予選通過

タイガー・ウッズが成し遂げた「142試合連続予選通過」の半分でも達成したというゴルファーが21世紀にいないということを考えると、この記録を破ることはないだろう。

2005年に達成したこの記録は、長い間「手の届かない記録」の代表格として語り継がれている。

予選通過をこれだけ続けるには、常にトップレベルのプレーを維持するだけでなく、精神的なタフさや並外れた安定感が求められる。

改めてこれはとんでもないことだ。トッププロが年間に出場するのはせいぜい20試合程度。私は計算が得意じゃないけど、これって7シーズンまるまる予選落ちがゼロだったってことになる。

予選を通過するのが当たり前に見えるけど、1試合ごとに天候、コースの難易度、体調、メンタル…あらゆる要素が絡む中でミスが許されない。

この記録を積み上げたタイガーは、まさに「常に世界トップレベルのゴルファー」で居続けたってことだ。

今後プロゴルフの世界では予選落ちがない大会が増えていくかも知れないけど、(願わくば)メジャー大会だけはこれからも予選がある形を守り続けてほしい。

予選通過があるからこそ、緊張感が増して、本当に実力のある選手だけが週末の舞台に立てる。

タイガーの「142試合連続予選通過」がどれだけ異次元だったか、このシステムが残り続ける限り、さらに際立つ伝説として語り継がれるだろう。

この記録のすごいところは、たった1ラウンド、例えば全米オープンの木曜日にスコア「78」を叩いたりしたら、それで一瞬にして終わってしまうってことなんだよね。

ゴルフって、ちょっとの調子の崩れや悪い風向き、1ホールのミスですべてが台無しになるスポーツ。それを142試合も途切れさせなかったっていうのは、タイガーがどれだけ安定感と集中力の塊だったかを物語っている。

タイガー・ウッズは1998年から2005年まで、その「たった1ラウンドの悪夢」を完全に回避し続けたというのは、まさに驚愕の記録。もう人間離れしているとしか思えない。

この期間に何百ものプレッシャーのかかるティーショットやパットを決め続けた彼は、まさにゴルフ界の「鉄人」だった。


3、683週に及ぶ世界ランクNo.1

タイガー・ウッズは、世界ランキングで通算683週(13年以上)もトップの座を守り続けたが、この記録で2位のグレッグ・ノーマンは“わずか”331週(約6年半)しかトップに立っていない。

普通なら331週間でも十分すぎる伝説だけど、タイガーはその倍以上。これだけ長期間トップを守り続けるなんて、ゴルフ界どころか全スポーツを見てもほとんど前例がないレベル。

タイガーのランキング記録は...なんともはや「次元が違う」という一言に尽きるよね。

現在同ランクトップのスコッティ・シェフラーが、タイガー・ウッズの記録を超えるには、39歳になっている2035年まで毎週1位を守らなければならない。

つまり、シェフラーがこれからの12年間、ずっと世界一のゴルファーであり続ける必要があるってこと。現代ゴルフの競争の激しさを考えると、それはほぼ不可能に近い。

その間に故障、他の選手の調子、ランキングのシステム変更などこの記録を潰す要因は山ほどある。

つまり、「ミスの余地」はゼロ。この記録に追いつく可能性はほぼゼロってこと。それほどタイガー・ウッズは長きに渡り圧倒的な存在だったわけだ。

数ヶ月トップを維持するだけでも偉業とされるのに、タイガーは13年以上も「当たり前」のように君臨していた。


2、15打差でメジャーに勝利

2000年全米オープンのタイガー・ウッズの15打差優勝は、間違いなくゴルフ史上最高のプレーだろう。この時のタイガーのスコアは通算12アンダーで、2位は通算3オーバーにするのが精一杯だった。

普通、メジャー大会って数打差の接戦になることが多いけど、タイガーはその舞台で他の選手を完全に置き去りにした。

まるで一人だけ違うコースでプレーしているみたいだった。この15打差という記録は、今でも「ゴルフの伝説」として語り継がれている。

しかも、タイガーはこの大会でトリプルボギー1つ叩いている。それでも15打差で圧勝したんだから、支配力のレベルが違いすぎる。

現在は、競技レベルやテクノロジーがともに均衡化しているだけに、ここまで圧倒的な状況になるのはもう不可能だろう。

ちなみに、これ以降のメジャーで一番差がついたのは8打差だったが、それすら10年以上前の話。今は時代が違うというわけだ。競技のレベルが全体的に向上し、選手たちの実力が拮抗している現代では、大差での勝利はほとんど不可能に近い。

タイガーが2000年に達成した15打差という記録は、単に歴史的な数字というだけでなく、その時代が許した奇跡的な瞬間でもあるんだろうね。それが再現される日は、たぶんもう二度と来ないだろう。


1、PGAツアー通算82勝

タイガー・ウッズのツアー通算勝利数はサム・スニードに並ぶ82勝だが、スニードの優勝は36ホールのペア戦など微妙なものも含まれている。

例えば、36ホールの2人1組のチーム戦とか、今の基準では「それってツアー勝利にカウントしていいの?」って思うような大会も含まれている。

一方、タイガーの82勝は全て現代ゴルフの厳しい基準に基づいて達成されたものだから、その価値は揺るぎない。

スニードの時代の勝利ももちろん偉大だけど、タイガーの記録は競技レベルや大会の規模を考えると、また別格の重みがあると言えるよね。

現代のゴルフでは、このツアー82勝に迫る選手は出てこないだろう。全盛期にいる現役プロの中で最も近いのはローリー・マキロイだが、それでもこの半分にすら到達していないほどだ。

タイガーが達成した82勝という記録は、単なる数字以上の意味を持つ。「かつてゴルフ界にこんな選手がいた」という、未来のゴルファーたちへの伝説として語り継がれていくんだろうね。

タイガー・ウッズの82勝は正真正銘のツアーV。スコッティ・シェフラーがこの記録に追いつくには、今後10年間、毎年7勝する必要があり、39歳になるまでほぼ完璧なゴルフを維持しなきゃいけない。

タイガーの82勝という記録は、単なる偉業を超えて、永遠に破られない「神話」になっている。

今更ながら82勝は異次元ってことだ。

以上が「手に届かないタイガーの『ありえへん記録10選』だが、いかがだっただろうか?

タイガーの記録はどれも「こんなの本当に可能だったの?」って思わせるレベルばかりだし、その中でも今回挙げた10個はまさに「二度と誰にも破られない」記録の代表格だと思う。

もしこのリストにさらに何かを加えるとしたら、どんなタイガーの記録を入れる?彼のキャリアにはまだまだ驚くべき数字が眠っているかもしれないね!

トップ画像:2000年ゴルフワールドカップでギャラリーを引き連れるタイガー・ウッズ。(GETTY IMAGES/サイモン・ブルーティ)