ウェッジの飛距離を把握することは、ゴルファーにとって最も重要なデータのひとつだ。

今回は、ショットスコープ社の協力により、ハンディキャップ別の平均キャリーの飛距離データを紹介する。

もちろん、実際の飛距離はヘッドスピードやインパクト位置(芯に当たっているかどうか)、打ち出し条件などによって左右されるが、2025年に向けて自分のウェッジ飛距離を正確に把握したいと考えるゴルファーにとって、まずは参考となる基準になるはずだ。


ピッチングウェッジの飛距離

ピッチングウェッジの平均キャリーの飛距離は、およそ90〜140ヤードとされている。

この飛距離を確認するうえで重要なのは、モデルによってロフト角が大きく異なる場合があるという点だ。

たとえば、タイトリスト「620 CB」のピッチングウェッジはロフト角47度だが、「T200」のピッチングウェッジは43度となっている。

もし番手ごとの飛距離に予想外のギャップがあると感じたら、まずは自身のウェッジのロフト角を確認してみよう。


ハンディキャップ別にキャリーの平均飛距離を示す表。0ハンディキャップでは141ヤード、25ハンディキャップでは90ヤード。

ギャップウェッジの飛距離

ギャップウェッジは、ピッチングウェッジとサンドウェッジの飛距離差を埋める役割を持つクラブだ。

ロフト角はおおよそ50度で、平均キャリーの飛距離は約79〜126ヤードとなっている。

一般的に、ピッチングウェッジとギャップウェッジの飛距離差は15ヤード前後になるゴルファーが多い。


ハンディキャップ0~25のゴルファーにおけるキャリーの平均飛距離を示す表。0ハンディは126ヤード、25ハンディは79ヤード。

サンドウェッジの飛距離

サンドウェッジのロフト角は、平均しておよそ54度。バンカーショットやグリーンサイドのアプローチ、そして約80〜105ヤード前後からのショットで活躍するクラブだ。

この番手になると、「競技志向者(上級者向け)」と「スコア改善型(初・中級者向け)」ゴルファーとの飛距離差は縮まる傾向にある。

このエリアでは、「トータル飛距離」よりも「正確性」や「コントロール性能」のほうが重視されるようになる。

だからこそ、5ハンディキャップのゴルファーの飛距離が、飛距離重視の「スコア改善型(初・中級者向け)」クラブを使う10ハンディキャップのゴルファーより短いというケースも出てくるのだ。


ハンディキャップ別にキャリーの平均飛距離をまとめた表。0ハンディは105ヤード、25ハンディは80ヤード。

ロブウェッジの飛距離

ロブウェッジは、キャディーバッグの中で最もロフト角が大きいクラブ。一般的に「60度ウェッジ」と呼ばれることもあり、高スピンでソフトに落とすショットに適したクラブだ。

ロブウェッジの目的は「飛距離」ではない。

たとえば、性能重視のウェッジを使う5ハンディキャップのゴルファーは、10~20ハンディキャップのゴルファーよりも飛距離が短くなる傾向があるが、それは「正確性」や「スピン量」を優先しているからに他ならない。

ロブウェッジの飛距離を知るのは大切だが、「どれだけ飛ばせるか」にこだわりすぎる必要はない。

というのも、ロブウェッジのフルスイングは、あまり必要性の高いショットとは言えないからだ。


ハンディキャップ別にキャリーの平均飛距離を示す表。0ハンディキャップで86ヤード、25ハンディキャップで49ヤード。

ウェッジの飛距離を正確に把握するには?

自分のウェッジ飛距離を正確に知るには、フィッティングスタジオや携帯型の計測器などを使って、各ウェッジの「キャリーの飛距離」と「トータル飛距離」を、フルショット・スリークォーター・ハーフスイングごとに記録しよう。

たとえば「50度のギャップウェッジで、振り幅を7割ほどに抑えたスイングだとキャリーの飛距離はちょうど98ヤード」といった情報を記録しておけば、コース上で距離をコントロールし、最適なクラブを選ぶための“羅針盤”となってくれる。


ベティナルディ「HLX 6.0」ウェッジの54度(10C)と58度(14R)ソールを並べた写真。精密なミーリングと美しい仕上げが際立つ

ウェッジの距離コントロールを高めるためのポイント

ウェッジで大切なのは、最大飛距離ではなく「狙った距離をしっかり打ち分ける力」だ。以下に、ウェッジの距離感を磨くためのヒントを紹介しよう。


ボール位置とスタンス幅

フルスイングでは、ボールを両足の中央にセットするのが基本。

振り幅を抑えたスイングでは、スタンスを少し狭く構えると、自然にコンパクトな動きがしやすくなる。


カラフルなガイドライン付きアライメントマットの上で、ゴルファーが正しい構えを確認しながらパター練習をしている様子。

スライドではなく回転を意識

前脚にしっかり体重を乗せて、その軸を中心に体を回転させるようなイメージを持とう。

体が横に流れすぎると、ダフリやトップの原因になる。ウェッジショットでは、リード側(左足側)に多めに体重をかける感覚を持つと、再現性が高くなりやすい。


ハンドファーストをキープ

フルスイングのウェッジショットでは、インパクト時に手元がボールと揃うか、わずかに前に出るよう(ハンドファースト)に構えよう。

クラブのロフトをしっかり使って高さを出しつつ、手元が先行することでしっかりボールをとらえることができる。


溝をきれいに、ボールは“良質”を使う

毎ショット前にフェース面を拭こう。スピン量をもっと増やしたいなら、高スピン性能で知られる「ウレタンカバー」のボールを使うのも効果的。ウェッジのスピン性能を最大限に引き出すコツだ。


ゴルフボールが強いバックスピンでグリーンに止まり、芝に明確な落下痕を残している様子

ウェッジの飛距離に違和感があるときは?

もし「ウェッジの飛距離チャート」を見て、自分の数値に違和感を覚えたなら、その裏には、いくつかの原因が考えられる。


・ フェースの溝が摩耗していて、ボールが高く上がりすぎ、落下角度が急になって飛距離をロスしている

・ ダウンブローが強すぎる/浅すぎるなど、打ち込み角が適正でなく、スピン量や打ち出し角に問題がある

・ 今使っているシャフトが、自分のスイングに合っていない

・ 今のクラブが、自分のレベルに対して“寛容性”が足りない


ウェッジで大切なのは、「どれだけ遠くに飛ばせるか」ではなく、「狙った距離を打ち分けられるか」だということを忘れてはいけない。

サンドウェッジでただ遠くに飛ばしても、スコアにはまったくつながらない。


最後にひとこと

あとは、練習場で自分だけのウェッジの飛距離を確認するだけだ。

ゴルフに「標準値」なんて存在しない。今回紹介したのはあくまで平均値にすぎず、あなたのパーソナルなデータはきっと異なるはずだ。

「サンドウェッジは80ヤード」「ギャップウェッジは90ヤード」と、思い込みで番手を選んではいけない。

より多くのバーディチャンスを作るためには、自分のウェッジの飛距離を正確に把握すること。 それが鍵だ。