・PXG が「0311 GEN5」フェアウェイウッドとハイブリッドを発売

・新ラインナップは2モデル(「0311」、「0311XF」)

・小売価格は各379ドル


PXG「0311 GEN5」フェアウェイウッドとハイブリッドの新モデル発売について、この記事では必要な機能とその恩恵を中心に展開していく。新素材や前作とは異なるウエイト配置、改良された形状など。その類いのことだ。しかし、PXGの場合は常に他の何かがある。

かつて、PXGの創設者であるボブ・パーソンズは、彼の新興ゴルフブランドを高級自動車メーカーのフェラーリに例えた。しかし、それはパンデミック以前の話だ。

ここで、PXGが価値主導ブランド(「0211」ドライバー価格229ドル)とプレミアム価格ブランド(500ドルのミルドウェッジ)の両方を持つメーカーとして存在できるかどうかを検討する必要がある。否定論者と批評家の答えはすでに出ているが、彼らは以前は見誤っていた。とりあえず今はこれを「別の日に考えるお題」タブにファイルしておく。

それはそれとして、PXG「0311 GEN5」フェアウェイウッドとハイブリッドについて詳しく見ていこう。


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名前に込められた意味

これについてはPXG「GEN5ドライバー」の記事でも説明したが、PXGは製品のモデル番号を簡素化している。「0211」シリーズは価格重視のゴルファーに焦点を当てたエントリーレベルの製品。そして最高級の「0311」シリーズは、最新技術と最新素材を搭載したPXGの稼ぎ頭だ。


PXG「0311 GEN5」新機能

「何が違うのか、自分に利益はあるのか?」

これは新しい道具を手にしたとき、ほとんどの人が最初にする質問だ。そして、どのメーカーにとっても、その新製品が今まで使っていたものより明らかに優れていると主張する最初の機会となる。

PXG「0311 GEN5」フェアウェイウッドとハイブリッドでは、「周辺ウエイト」と「打音/打感」という2つの側面がテクノロジーの中心命題となっている。


PXG「0311 GEN5」精密ウエイト技術

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PXGはこれを『エクストリーム・ペリメーター・ウエイト』と呼んでいる。他に何を期待するというのか。そこそこの周辺ウエイト?とにかく、要点は、PXGのエンジニアが「クラブヘッドの重心」と「3つの可変ウエイト」間の距離を最大化するために取り組んだ、ということ。

“回転半径”に焦点を当てたコブラの「RADSPEED」シリーズのように、重心から遠くに余剰重量を配置することには2つの主な利点がある。1つ目は、「MOI(寛容性)」の向上。「GEN4 0341 X」および「XF」と比較して、「0311 GEN5」フェアウェイウッドのMOIはそれぞれ34%、37%高くなっている。

一方、「0311 GEN5」ハイブリッドのMOI増は7〜11%と比較的控えめだ。

「GEN5」ドライバーの記事を読んだなら、次の一文は聞き覚えがあるはずだ。ここでは、Mygolfspyのトニーの言葉を言い換えるのではなく、該当箇所をそのまま引用しよう。

「『GEN4』でPXGは3ウエイトシステムを導入した。『GEN5』ドライバーも3つのウエイトを備えている。ただし、PXGはウエイトの配置に大幅な変更を加えた」。

「後方ウエイトは現在の技術で可能な限り後ろに固定されているが、『GEN4』ドライバーの前方センターウエイトは極端にトウ側に配置した。ヒールウエイトも前方かつ外周ギリギリに配置されている」。

「通常、ヒールあるいはトウ側のウエイトポジションは、リアポジションよりもかなり低いMOIになる。これは論理的には正しいが、この場合どの配置でも重心距離は変わらないので、MOI値も似通った(そして十分に高い)ものになる」。

「純正のセッティングでは、10グラムのウエイト2つと2.5グラムのウエイト1つが付属する。(純正セットアップのように)10グラムのウエイトを後方とヒールに用いれば、「0311」フェアウェイウッドとハイブリッドには多少のドローバイアスがかかる”





PXG「0311 GEN5」モード解析

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『ペリメーター・ウエイト』のもうひとつの利点についてはどうなんだ?と思っている頃だろう。

前モデルでは、PXGがさまざまな『可変ウエイト』を格納すべく選択した構造により、望ましくない振動が大量に発生していた。

そこで、振動を抑え、好ましい打音/打感をもたらすために、『TPE(熱可塑性エラストマー)』を使用する必要があった。ただし、今回のウエイト配置では同じような構造は必要ない。これは、『TPE』が不要になるということを意味する。

最終的に、PXGの「モード解析」のおかげで異なる打音と打感が得られた。モード解析とはつまり、構造の重量と剛性を用いて、構造が自然に共振する振動の周期を見つけ出す研究のこと。

この研究結果に基づき、PXGのエンジニアは設計に変更を加え、クラブが製造される前の段階で打感を合理的に予測することが可能になった。

言い換えると、「GEN5」メタルウッドはこれまでのどの世代とも異なる打感を有する。正確にそれが何を意味するかは解釈次第だが、少し打ってみた感じでは、弾きすぎもせず鈍くもなく、軽快でピリッとしていた。


PXG「0311 GEN5」フェアウェイウッドとハイブリッドの構造

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一般的に、フェアウェイウッドとハイブリッドでは構造に若干の違いがあるものだが、今回はそうでもない。

PXG「0311」および「0311 XF」のフェアウェイウッドとハイブリッドはどちらも、『AM355ステンレスボディ』と『HT1770スチールフェース』を採用している。このフェース素材は初代から使われ続けており、したがってエンジニアは素材の利点と限界を理解している。

しかし、これはつまりPXGが他の選択肢をまだ見つけられていないということを示唆している。なぜならPXGは、明確な性能上の利点がある場合、コスト度外視で新しい材料を採用することを恐れないからだ。

「GEN5」ドライバー同様、PXGは『フルAVカーボンクラウン』構造を採用した。アルミニウムの蒸気(略して『AV』)は、重量を追加することなく剛性を高める。また、カーボンを使用することで、設計者が3つの『可変ウエイト』に再配分するための余剰重量数グラムを生み出すことが出来た。


「GEN5」の四角いフェース

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改良されたカーボンクラウンよりさらに、最も顕著といえるデザイン上の変更は、より垂直になった外周スカートと四角いフェースだ。正面から見ると、削り取られたトウ側の形状は一目瞭然。ただし、そのメリットはそこまで明確ではない。

四角くなったトウ部分は、クラブの総体積を増やすことなく、より多くのフェース表面積を作り出す。これにより打点エリアは広くなり、スカートを高くすることでMOI(寛容性)も向上する。


PXG「0311 GEN5」可変スリーブ

既存のPXGスリーブを装着したシャフトをたくさんお持ちの皆さんに朗報がある。「GEN5」は以前と同じ±1.5度アダプタを採用している。

フェアウェイウッドとハイブリッドがアップライトすぎると思ったら、3つの“PXG”設定でよりフラットなライ角調整が可能になる。“PXG”設定なら、規定ロフトを維持しながら3度フラットにできる。“PXG”設定に隣接する設定だと、2度フラットかつ規定ロフトから±1度となる。


「0311 GEN5」双頭の怪物

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PXG「0311 GEN5」ドライバー同様、PXGには2種類のフェアウェイウッドとハイブリッドのヘッドがある。「0311」と「0311 XF」だ。標準の「0311」は「XF」に比べるとより上級者向けっぽい佇まいだが、だからといって上級者にしか扱えないという意味ではない。

「GEN5」フェアウェイウッドとハイブリッドのいずれにおいても、「0311 XF」はわずかに大きめの形状で、ヒールからトウまで少し長くなっている。また、2つのモデルでは「XF」のほうが寛容性は高い。


「0311 GEN5」フェアウェイウッドの性能

PXGのロボットテストを引用すると、「GEN5 0311 XF」フェアウェイウッドは、標準の「0311」よりも約400〜500 rpm多いスピン量で打ち出し角はおよそ1度高くなる。ただし、「GEN5 0311」はスピン量が少ないおかげで、ヘッドスピードがわずかに上がり(0.27m/s)、飛距離も5ヤード増となっている。

「GEN4 0341X」と「GEN5 0311」を比較すると、後者は0.54m/sのボール初速増、打ち出し角は0.7度減、バックスピン量が450 rpm近く減っている。最終的な結果として、トータル7.7ヤードの飛距離アップを実現している。

「GEN4 0341XF」と「GEN5 0311XF」を見ると、PXGのテストではトータル5.7ヤードの飛距離増となっている。これは、わずかに軽減したスピン量(-136 rpm)に加え、ボール初速増(+0.58)と打ち出し角増(+0.9度)によって実現されている。

PXG「0311 GEN5」フェアウェイウッドのロフト角は、#2/13度、#3/15度、#5/18度、#7/21度。

PXG「0311 GEN5 XF」フェアウェイウッドのロフト角は、#3/16度、#4/17度、#5/19度、#7/22度。


「0311 GEN5」ハイブリッドの性能 PXG,0311_GEN5,0311_XF_GEN5,フェアウェイウッド,ハイブリッド,ゴルフ,ゴルフクラブ

こちらもまたPXGのロボットテストを参照すると、「GEN5 0311」と「0311 XF」ハイブリッドは、数値的にはほぼ同じ打ち出し角(13.9度vs 13.8度)とボール初速(57.9m/svs 57.8m/s)になる。トータル飛距離の差(「GEN5 0311」は「GEN4 0311 XF」より3.6ヤード増)は、主に「GEN5 0311」のスピン量が約300rpm少ないことによる。

「GEN4 0317X」と「GEN5 0311」を比較すると、後者はボール初速が0.447m/s増、打ち出し角は0.6度増、バックスピン量は500rpm以上少なくなる。最終的には、トータル8.4ヤードの飛距離アップを実現している。

「GEN4 0317XF」と「GEN5 0311XF」を見ると、PXGのテストでは3.4ヤードの総飛距離増となっている。これは、わずかに多いスピン量(160 rpm)に加え、ボール初速増(+0.85m/s)と打ち出し角増(+1.0度)によって実現されている。

ロボットテストはプレイヤーテストではない。したがって、そのすべてについては要検討だが、理論上この数値は比較検討の材料としては有用だ。しかし、最終的に最も重要なのは、実際にゴルファーが手にしたときにどれがどう機能するかなのだ。

PXG「0311 GEN5」ハイブリッドのロフト角は、#2/17度、#3/19度、#4/22度、#5/25度。

PXG「0311 GEN5 XF」ハイブリッドのロフト角は、#3/19度、#4/22度、#5/25度、#6/28度、#7/31度。


私見

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企業は進化する。そしてパーソンズ氏は、すべてのブランドは定期的に自己改革をおこなうべきだという考え方を好む。そして市場力学は変化する。PXGは販売目標に基づいて構築された会社ではないが、我々が目の当たりにしているのは、新しい、そして敢えて言うなら予測可能な戦略の発現なのだ。

PXGは、3世代の主力製品を継続的にサポートしており、ここでは「GEN3」、「GEN4」および「GEN5」のことだ。既存製品の大幅な値引きが見込まれるが、とはいえ、リリースサイクルは未だ謎に満ちている。「GEN5」の登場は早くても2022年後半と予想していたのに、まさかこのタイミングだとは。

「0311」と並んで、「0211」シリーズはおそらく市場平均を下回る価格設定で、より買い求めやすい製品という位置づけになると思われる。

そしてPXGは、「GEN5」はブランドが市場に参入して以来、最も進歩を遂げたモデルチェンジであると言う。

さて、それを信じられるかどうか?


価格と発売時期

PXG「0311」フェアウェイウッドとハイブリッドの小売価格は379ドル。単品でもフルバッグパッケージとしても(クロームアイアンとのセットで4,599ドル、ブラックレーベルエリートアイアンで5,599ドル)購入できる。

現在発売中。