グラファイトデザインの主要モデルであるTOUR ADシリーズにニューモデルが追加されるとなれば、その特性を語らないわけにはいかない。

TOUR AD XCはどんなシャフトかといえば、同社の人気シャフトTOUR AD BBの「刷新」モデルだ。

TOUR AD BBのデビューが2012年まで遡ることを考えれば、このAD XCが理屈抜きにAD BBの後継シャフトと考えて良いようにも思える。とはいえ、「後継」という言葉はTOUR AD XCには当てはまらない。

ゴルフ用品のスタンダードからするとやや息が長いと言えるが、発売から7年(そしてそれ以上)も経つAD BBは今でもフィッターの間で人気がある。

その証拠に、このシャフトは同社のラインナップでまだ売上本数第4位に収まっているのだ。

フィッター(シャフトメーカーにとっての主要顧客)があるシャフトに満足し、信頼し、そして多く販売しているという状況は、そのシャフトを廃盤にするのはビジネス的には最良とは言えない。特に他の選択肢があるなら、なおさらそうだろう。


 

TOUR AD BBの刷新モデル

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グラファイトデザインは、TOUR AD XCをTOUR AD BBの「刷新」モデルとしている。つまり、AD XCは再設計というよりも、より良いシャフトにするために進化した素材を組み合わせたシャフトということ。

今回の新シャフトにおいての最大の改良点は、炭素繊維プリプレグ「トレカM40X」をシャフトの先端部から中間部に採用したことにある。

シャフト素材を深堀しすぎるリスクを承知で言うと、「トレカM40X」は高弾性と高抗張強度が特徴。

例えば「T1100G」のような素材は、群を抜く高弾性力があるものの高抗張強度はそこまでではない。「トレカM40X」は、その両方を合わせ持つ。

結局のところ、素材の話は強度を取るか重さを取るかということに要約されるが、AD XCにおいてグラファイトデザインは、「トレカM40X」により、強度がある一方でウェイトを数グラム削ぎ落としたシャフトを実現した。

「トレカM40X」に強度があるため、シャフトを何層にもする必要がなく、ゴルファーがしばしば訴える「硬い」フィーリングを抑えることが可能。

そして先端部には「T1100G」を採用し低・中スピンの弾道を実現した。たわみとともに素材を組み合わせることで、グラファイトデザイン曰くタメを作りやすく、ボールにエネルギーを伝えやすいシャフトとなったのだ。

そして、どのゴルフギアにおいても、スピードは欠かせない要素ではあるが、グラファイトデザインによればゴルファーはバラつきの少なさも同時に求めているとのこと。いつもながら、要求は多種多様というわけだ。

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TOUR AD XCラインナップ

グラファイトデザインのTOUR AD XCは、47gのR2(Lite/Senior)から85gのXまで豊富な重量帯とフレックスがラインナップしている。

50g未満の重量帯があるだけではなく、XCには58gのXフレックスと67.5gと76.5gのTour Xフレックスも用意。Tour Xフレックスはスイングスピードが49.7m/s以上のゴルファーをターゲットにしている。

こうしたスペックがラインナップに加わったということは、プロとエリートアマのヘッドスピードがアップしているということなのだろう。

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TOUR AD XCのデータと比較

我々は、シャフトの記事が読者にとってより良い(そして役立つ)ものにするため、カスタムフィッティングで業界を牽引しているクールクラブスと提携し、同社のシャフト・シミュレーション・システム(S3)によるシャフト調査を実施した。

なぜ我々が、S3をシャフト性能に対する最高の知見を導き出すシステムとして信頼しているかは、別の記事をチェックしてほしい。

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「S3テクノロジーでは、業界で最も進化したシャフトテスト・テクノロジーを導入。2013年に誕生したシャフト・シミュレーション・システム(S3)は、完全自動の一体型シャフト分析システムで、約数分でシャフトの真直精度、一貫性、EI(剛性)、CPM(振動数)分析、トルクという仕様を計測できる。こうしたスペックはシャフトメーカーからも入手できるが、業界での基準が乏しく同一条件での比較を正確に行うことができない。そこでS3テクノロジーが、S3により自社で全シャフトをテストしこの課題を解消。S3テクノロジーを使うことで、シャフトの品質と性能について独自の深い理解を得ることができるようになった」。

クールクラブスのS3システムにより、テストされるシャフトの標準化された数値情報が得られるだけでなく、共有されるデータにより、テストされるシャフトが現在市場にある類似スペックのシャフトとどのように比較されるのかがより良く理解できるようにというわけだ。

今回我々は、S3のデータを使いグラファイトデザインのTOUR AD XCとAD BB、AD IZを比較検証。それぞれ60g台のSフレックスで比べることにした。

シャフト業界での測定機器は異なるため、S3の数値はメーカー発表のデータと合致しない可能性もあるが、S3の数値を用いることで、我々はシャフトレビューの全データを共通化できる。


 

弾道特性

グラファイト,TOUR AD XC,TOUR AD BB 6S,TOUR AD IZ 6S,TOUR AD XC 6S,シャフト,ゴルフ 上記画像:<S3弾道グラフ> TOUR AD BB 6S、TOUR AD IZ 6S、TOUR AD XC 6S、ニュートラル(中弾道)

 

簡単にわかる様に、グラフの端まで描かれているグレーの線は、クールクラブスのS3データベースのニュートラルなシャフトを表している。簡単に言えば、これが本当の意味での中弾道と考えることができる。

ご覧いただければお分かりの通り、XCとBBはグレーの線を跨いでいる。

一方、AD DIの刷新モデルと言われるAD IZは、明らかに弾道は高くなるようだ。TOUR AD BBとTOUR AD XCはともに中弾道と考えられているが、「T1100」を先端部に採用していることで、AD XCのスピン量は中程度か少ないと思われる。


 

剛性

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上記画像:<EI(剛性)プロフィール> TOUR AD BB 6S、TOUR AD IZ 6S、TOUR AD XC 6S、バット部からの長さ(インチ)

 

EI(剛性)チャートは、グラファイトデザインのデータと似ており、グラフの傾斜が示すとおり、中央部は比較的柔らかく、グラファイトデザインの設計哲学の特徴が見て取れる。

ご覧のように、S3システムでチェックすると、AD XCはAD BBと比べるとやや手元と先端部が硬いようだ。

つまり、全体的にBBよりも硬めになっているということ。一方、AD IZは、手元部分がやや硬めだが、高弾道になるよう先端部は柔らかめになっている。


 

剛性分布

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上記画像:<剛性分布>手元剛性、中央剛性、先端剛性、TOUR AD BB 6、TOUR AD IZ 6、TOUR AD XC 6

 

前のグラフを部分別にフォーカスしたようなものが、このチャートだ。

注目すべきは、手元部分と先端部分に剛性差があるのに対して、3シャフトの中央部の剛性はほぼ同じ硬さになっていること。

前述したように、これはグラファイトデザインの多くのモデルで見られることで、シャフトの両端で分析した一番大きな違いが見られる。


 

トルク

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上記画像:<トルク>TOUR AD BB 6、TOUR AD IZ 6、TOUR AD XC 6

 

OEMシャフトとアフターマーケット用シャフトの大きな相違点の一つがトルクだ。AD XCのようなアフターマーケット用シャフトは、ロートルクが売りになっており、シャフト先端部のトルクが大きなシャフトよりもねじれにくい。

他のフィッティングの数値同様、ロートルクなら良いというわけではなく、トルクの大きい方が合うゴルファーもいれば、ロートルクの方がメリットを得られるゴルファーもいる。特にアグレッシブに振っていく人にはロートルクが合っているだろう。

今回比較している全シャフトは、トルクの数値が3以下となっており、ロートルクモデルと言えるだろう。トルクの硬さはショットの正確性に影響するので、グラファイトデザインがXCはバラつきが少ないと説明していることも理解できる。

今回のネタに沿うと、XCはAD BBをやや進化されたシャフトと言えるが、トルクはほとんど変わっていないことがわかる。


 

バランスポイント

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上記画像:<バランスポイント>TOUR AD BB 6、TOUR AD IZ 6、TOUR AD XC 6

 

AD XCではバランスポイントがやや先端寄りに設定されている。誤解しないでほしいのは、カウンターバランスになっているわけではないということ。

このシャフトは、重めのスイングウェイトを好むゴルファーや、スイング中にヘッドを感じたいプレーヤーに向いている。

Golf Geeksのシャフトパフォーマンスコーナーを思い出すかもしれないが、バランスポイントが手元寄りだと、そこまでスイングウェイトに影響を与えることなくヘッド重量を重くすることができる。(しばしば正確性を犠牲にして)

飛距離を求めるゴルファーにとっては、ドライバーを長尺にすることができるということだ。

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クールクラブスのフィッティングチームから一言

グラファイトデザインの2020年モデルとなるTOUR AD XCのXCは、エクストラ(Xtra)キャリーを意味する。

重量帯は40g台、50g台、60g台、70g台、80g台。硬さはR1からTXまでラインナップしており、今回はXC 60Sにフォーカスして、TOUR AD BB 6S、TOUR AD IZ 6Sと比較することにした。

TOUR AD XC 6Sは、TOUR AD BB 6SとTOUR AD IZ 6Sよりも軽めで柔らかい一方、弾道は低い傾向にあるが、この軽さと柔らかさにより、より効率良くタメを作ることが可能になるゴルファーもいるだろう。

またTOUR AD XC 6Sには「トレカM40X」や「T1100G」の炭素繊維プリプレグを含めた様々な素材が採用されているため、シャフトの安定感が増し、弾道も簡単にコントロールすることができるだろう。

60g前半から70g台で中弾道/中・低スピンになるシャフトを求めているゴルファーにとっては、おすすめの選択肢となるはずだ。

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似た傾向のシャフト

お伝えしたとおり、グラファイトデザインのシャフトはよく似ている。S3のデータベースで似たシャフトを探してみると、以下がAD XCにそっくりなシャフトだ。

・グラファイトデザイン TOUR AD BB-6(写真上)

・グラファイトデザイン TOUR AD GT-6(バット部が硬く、チップ部が軽めでややロートルク)


 

TOUR AD XCの価格と発売時期

グラファイトデザイン TOUR AD XCはカスタムクラブフィッター在籍店とその他のグラファイトデザイン公認店で購入可能。

メーカー希望小売価格は500ドルだが、店頭では400ドルを少し切るくらいになりそうだ。


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