・タイトリストから新作「Pro V1」、「Pro V1x」ゴルフボールが発売

・2023年モデルは『ハイグラディエントコア』を備え、飛距離に加えロングゲームのスピン量を減らし、方向性を改善する

・価格は、54.99ドル(アメリカ) ※日本での価格は、1箱¥7,150(税込)

・発売日は、1月25日(アメリカ) ※日本での発売日は、23年2月3日


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2023年モデルの「Pro V1」、「Pro V1x」ゴルフボールの内容は比較的簡単だ。

しかし、改良点を知る前に、一方(「Pro V1」)に当てはまることは基本的にもう一方(「Pro V1x」)にも共通しているということを伝えておきたい。

つまり、両モデル共にスピン特性が変更されているが、両者の関係性が変わることはない。

「Pro V1」は「中弾道」、「中スピン」、「Pro V1x」は「高弾道」、「高スピン」特性として以前と変わらず、また「コンプレッション(硬度)」も変わっていない。「Pro V1」のコンプレッションは80台後半だが、より硬い「Pro V1x」は90台前半と以前と同じ。

どちらのモデルも、「Pro V1x Left Dash(プロV1xレフトダッシュ)」から得た教訓によって生まれた、柔軟性の高い高弾性ケース層が引き続き採用されている。機能的には初速性能の向上に役立つのだが、テクノロジーとしては現モデル(2021年モデルと同等レベル)と変わらず。

また、「Pro V1」と「Pro V1x」のカバーは、従来の2021年モデル同様ソフトウレタンカバーを採用。「テトラヘドラルディンプル」の球形パターンも変更されていない。


タイトリスト「PRO V1」「PRO V1x」ハイグラディエントコア

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今回の改良点は、新開発の『ハイグラディエントコア』だ。

「段階的コア」、つまり『グラディエントコア』については以前に説明したことがある。大袈裟な例だが、新「Pro V1」の中心部は液体とまでは言わないが、“チョコレート・ラバ・ケーキ”のようなもの。

コアは中心部が最も柔らかく、外側にいくにつれて硬くなる。

高弾性ケース層と同様に、『ハイグラディエントコア』は、同社のカスタム・パフォーマンスオプションである「(Pro V1x) Left Dash(レフトダッシュ)」と「(Pro V1) Left Dot(レフトドット)」から引き継いでいる。

「Pro V1」のような3ピース構造では、『ハイグラディエントコア』を採用することにより『デュアルコア』のボールと同じような性能が得られる。一方「Pro V1x」のような真の『デュアルコア』設計のボールでは、『ハイグラディエントコア』がさらなるスピン性能を生み出すという。


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さて、「性能」の話に移る前に巷に広がる偽りに触れておこう。多くのゴルファーが、こう信じているに違いない。

「高コンプレッション」ボールは「高ヘッドスピード(47m/s以上)向け」のボールで、「低ヘッドスピード」のゴルファーは「低コンプレッション」ボールを使うべきだと。

これについては以前にも取り上げたので、今回はタイトリストに限定してお話しよう。彼らは、パフォーマンスボールの中でも(これには低コンプレッションの「AVX」も含む)、特に「Pro V1x」を一般的なアマチュアゴルファーに合うように作っている。

大抵の場合、ヘッドスピードの遅いゴルファーは、ボールを高く打ち出すのに苦労し、どんなクラブでも十分なスピンをかけることができない。

この問題は、ストロングロフト化が進むアイアンではさらに顕著となるため、ひとまず「打感」の好みはさて置き、スピン量が少ないソフトボールよりもより「高弾道」、「高スピン」の恩恵が受けられるボールを使う方が良いだろう。ソフトボールの「打感」は素晴らしいが、スピン性能が劣るのが欠点だからだ。

では、「性能」の話に移ろう。


「PRO V1」の性能

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私たちが望むのは、グリーン周りでのスピン量を減らすことなく、ロングゲームでのスピン量を少なくすること。この低スピン特性は、「飛距離」だけでなく(特にアイアンで顕著になるはず)、「方向性」にも影響を与えるはずで、間違いなくこれが新ボールの主な強みになるはずだ。

その証拠に、「Pro V1」は21年モデルと比較して12%方向性が改善されるという。これは、わずかな低弾道&低スピン特性から得られるエアロダイナミクス(空力特性)的なメリットの結果だと言える。弾道が低いと、ボールは風の影響をあまり受けず、一般的に低スピンボールはより真っ直ぐに飛ぶ。

これらすべてを考えると、新「Pro V1」がより「レフトドット」寄りだと仮定するのは理にかなっている。


タイトリスト「PRO V1x」ゴルフボール

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ほとんどのメーカーが『デュアルコア』から製造しやすい『デュアルマントルデザイン』に移行したため、「Pro V1x」は市場ではやや異例の存在になりつつある。

「高コンプレッションボールで最適な性能を実現するためには、デュアルコアが非常に重要な設計だと信じており、力を注いでいる。」とはマイケル・マドソン氏。

というのは、同社はボール事業へ1億ドルもの投資を行っている。昨今の需要から予想されるように、その多くは製造キャパシティの拡大に充てるものだが、デュアルコアの開発を追求する目的でかなりの研究資金が投入されている。

同社はすでにどこよりも優れたデュアルコアを実現しており、競合他社のようにデュアルマントル構造に移行することなく、デュアルコアの改善に向けて努力を重ねていることがお分かりいただけるだろう。

将来がさらに楽しみだ。


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「PRO V1x」の改良

2023年モデルの「Pro V1x」のインナーコア体積は40%増加している。インナーコアが大きくなったことで、『ハイグラディエントコア』をよりうまくコントロールできるようになったという。

「Pro V1x」も「Pro V1」同様、『ハイグラディエントコア』を採用。

「Pro V1」と同様に、結果としてアプローチショットでのスピンを犠牲にすることなく、ロングゲームでのスピン量を低減し(「Pro V1」よりスピン量はやや多い)、ボール初速の向上とショットの方向性が良くなるという。

最初に言ったように、一方のボールに当てはまることは、もう一方にも共通しているというのはこのことだ。

「Pro V1x」のショットでの方向性の改善は、「Pro V1」ほど多くはない(9%対12%)。これは、「Pro V1x」の高弾道、高スピン特性により、環境要因に対してわずかに弱くなった結果だ。

どれも革命的な改善とは言えないって?確かに、その通り。同社はどちらのモデルにも大きな確約はしていないし、前モデルから大幅に改善されたわけでもなく、わずかな改良に留めている。


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タイトリスト「PRO V1」「PRO V1 x」ゴルフボール – その他

色、デザイン、パターンなど – ルックスやオプションの変更は特にない。

ホワイトまたはイエローボールに、好きなパターンを印刷することができる。

同社にライン(線)やパターン(模様)などを印刷する技術がないわけではないが、現時点ではそのリソースを、レーダー反射マークが印刷されたトラックマン用の「RCT(レーダー・キャプチャー・テクノロジー)」ボールに使用している。

最終的にはいくつかの選択肢が追加されることになるだろうが、どのような形であれ、まずはPGAプレーヤーによってお披露目されるだろう。

タイトリストは、他のブランドで見られるような「好み」重視のデザイン (キャロウェイのTruvis、テーラーメイドのPixなど) も検討するかもしれないが、近い将来の話ではないだろう。


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「Left Dot(レフトドット)」と「Left Dash(レフト ダッシュ)」– この2モデルがすぐにアップデートされることはないだろう。

まだ早い段階だが、同社ツアースタッフの多くが新ボールに移行しており、新「Pro V1x」は「ザ・RSMクラシック」においてNo. 1ボールとしての地位を獲得した。おそらく、2025年モデルが登場するまでこの流れは続くだろう。

ツアーが本格始動したら、「Left Dot」を愛用しているプロが、どれだけ新「Pro V1」に移行するか同社が調査するに違いない。

「Pro V1」のエアロダイナミクス(空力特性)設計、ソフトカバーにより、「Left Dot」から移行する選手がいると考えられるが、「Left Dot」は「Pro V1」よりも「低弾道」、「低スピン」である点は変わらない。

ツアー需要がこのまま高ければ、「Left Dot」の販売が拡大する可能性もある (現在のeBayでの取引価格はよろしくない)。または「Left Dot」の人気が低下し、「Pro V1 Star」のようなニッチな商品になったら終焉を迎える頃だ。


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同様に「Pro V1」、「Pro V1x」と並んで新たな「Left Dash(レフトダッシュ)」 が発売されることはない。確実なことは分からないが、何かが進んでいる可能性はなくはない。個人的にはソフトカバー寄りだが、「Left Dash」の現在のディンプルパターンは、USGA規定を超えた飛距離が出る可能性があることに言及しておこう。

「Left Dash」の愛用者として、(再び)新作が発売されないことは正直残念だ。これで終わりにならないことを願うばかり。


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販売予定と価格

タイトリスト新「Pro V1」および「Pro V1x」は2023年1月25日に発売で、価格はどちらも54.99ドル(アメリカ)。

レーダー用「RCT」モデルも同時期に発売される。また、イエローは、2月17日に登場予定だ(アメリカ)。

※タイトリスト2023モデル「Pro V1」および「Pro V1x」の日本発売は、23年2月3日。価格は1箱¥7,150(税込)となっている。