多くのゴルファーはツアーレベルのボールでプレーすべきだろう。ツアーレベルのボールとはプロのプレーに通用するような高品質なボールのことだ。

どんなものかと言えば、3ピース以上でカバーはウレタン(あるいはそれに近いもの)、スネルゴルフのような直販ブランドを除き価格が1ダース40ドル以上のボールだ。これが基準となる。

これはメーカーが様々な発想をゴルファーに浸透させるために十分な努力をしていないと言うわけではない。

どういうことかと言えば、耳当たりの良い売り文句でパフォーマンスが購入の決め手とならない製品にそもそも備わっている欠点をごまかす巧妙な話を作っているということだ。

トップメーカーに50%以上のシェアがあると、差別化だけが望みだ。もちろん差別化にもいろいろある。

フィーリングやペイント、そしてとりわけ「違うこと」が「優れていること」にはならないような「パフォーマンスの質」など様々だ。

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メーカーの方針

パフォーマンスを最大化することに真剣な全てのゴルファーはツアークオリティのボールを使うべきだとタイトリストは考えている。

それがその人にとって最高のゴルフボールになるからだ。タイトリストでは、ターゲットにしていないニッチな部分にも対応できるほど様々なモデルを用意した上で、熱心なゴルファーはPro V1かPro V1xを使うべきだと考えている。

明確にタイトリストを勧めはしないが、基本的な部分ではその通りだと思う。熱心なゴルファーはツアーレベルのボールを使うべきだが、その一方でそうしたゴルファーがツアーボールを使わない、そして今後も使わない理由がいくつかある。

・たいていの場合、価格が大切。

・多くのゴルファーはソフトな打感を好むが、そのボールの価格を理解していない。

・ゴルファーの中には、カラーボールやラインがあったりパターンの印があるボールが好きな者もいる。

・ゴルファーは自分が信頼できるものだけを固く信じていることが多く、それ以外には容易に流されない。

要するに、タイトリストの考えや私が言ったことに関係なく、ゴルファーはトータルで途方もない金額をツアーボール以外に費やすことになる。

これは私もタイトリストも分かっていることだ。というわけで、そういうニーズがあるところで勝負すべきという考えの元、タイトリストでは、好みを重視するゴルファーに向けて、改良した2種類のボールを2020年モデルに追加した。

どちらのボールも、ダースで40ドル以下におさめたいという希望に沿ったものだ。

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TOUR SOFT(ツアーソフト)

タイトリストの、巧妙な戦略として初代TOUR SOFTをキャロウェイのクロームソフトの競合としていた。

当時は2ピースのアイオノマーボールとキャロウェイの主力ウレタンボールを比較するなんて馬鹿げたことのように見えたが、今思えばそこには十分な根拠があったように思う。

ブランドメッセージを考えなければ、タイトリストはTOUR SOFTで「全然ツアーボールではない」分野へ進出したといえる。

ブリヂストンのE12やテーラーメイドのProject A(ウレタン)が脇を固め、QStar TourやERCソフトと同じカテゴリーに並ぶものとなっている。

ゴルファーの中には上記のボールを好む人もいるだろうが、このようなボールはパフォーマンスの点ではツアーレベルの水準には達していない。それが低価格である大きな要因だ。

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Pro V1とPro V1xに比べて(特にグリーン周りでの)パフォーマンスは劣るものの、Tour Softのセールスポイントは、その名前が示す通りソフトなフィーリング、そして40ドル以下という価格にある。

TOUR SOFTの2020年モデルは、タイトリストのボールの中で最大となるラージコアが特徴。

これにより多くのゴルファーが望むソフトな打感だけでなく、フルスイング時のショットでのボールスピードもややアップする。

コアが大きくなっているため、レイヤーは薄く(ボールが大きくなっていることはない)、TOUR SOFTではレイヤーはカバーのみ。利点としてカバーが薄いと基本的にグリーン周りでスピンがかかる。

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最新のモデルでは、グリーン周りの操作性を犠牲にすることなく飛距離を性能にとって必要な要素を全て兼ね備え、事実上、それを実現している。

とはいえ、TOUR SOFTがタイトリストのツアー向けボールと同じグリーン周りのスピンを実現しているかと言えばそれは違う。しかし両ボール(Pro V1、Pro V1x)とのギャップは縮まっているはずだ。

また新ボールでは、タイトリスト曰く前作よりも直進性が増すように改良されたディンプルパターンも特徴。となると、前作よりも弾道がやや低くなるのだろうと想像できる。

実際に見える部分として一番注目されるのが、パッティング時のターゲットラインに対するアライメントに役立つ「Tサイドスタンプ」だ。今の時代にとって、サイドスタンプはボールの特徴でありプラス要素なのだ。

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そしてそれにはいつくかの理由がある。

キャロウェイの特徴的なトリプルトラックもそうなのだが、毎年、それまで以上の性能アップを図ることはより難しくなっており、メーカーでは小さなことにも目を向けるようになってきている。

ゴルファーがどのようにマークをしているのかという調査や、自前のカスタムやgolfballs.comのような別の流通でのカスタムオーダーの調査もその一環。ペンでマークする必要がなくなれば、皆さんにとっても嬉しいだろう。

タイトリストのTOUR SOFTボールの価格は1ダース34.99ドル。発売は1月22日からとなっている。


 

VELOCITY(ヴェロシティー)

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リリースのタイミングを考えると、VELOCITYはTOUR SOFTとは逆の特徴があるように思えるが、比較対象になるのはTrueFeelといえる。

昨年9月のリリースしたTrueFeelはフィーリングがほぼ全てだが、今回のVELOCITYはティーショットのスピードが話にほぼ終始する。名前を見れば分かるはずだ。

タイトリストによれば、VELOCITYはティーショットの飛距離だけに拘っており、スクランブルのようなチーム戦では人気となるだろうが、グリーン周りのパフォーマンスについては期待しない方が良い。

グリーン周りではスピンがあまりかからないという事の裏返しだ。それでも良いなら、VELOCITYはおすすめと言えそうだ。

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その辺りを頭に入れて置けば、タイトリストが飛距離優先でボールを見直したことは当然だろう。

新たに球状に並べられた350の8面体ディンプルパターンにより高弾道と飛距離アップを実現する一方、ラージLSXコアが、飛距離向上のためフルショット時のスピンを大きく減らし素晴らしい初速を生み出す。

ここでお気づきだろう。

TOUR SOFTと同様、大きなコアだとカバーは薄くなる。

タイトリストによると、今回はグリーン周りでのスピンが多少はかかるようだが、はっきり言うと、Pro V1のホップして止まるパフォーマンスをVELOCITYやアイオノマー/サーリンカバーのボールから期待しない方が良い。

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今回のVELOCITYは改良されているものの大きく変化したわけではない。

その他の注目としては、このタイトリストの主力ディスタンス系ボールにマットグリーン、マットオレンジ、マットピンクがラインナップしたことが挙げられるだろう。

フィーリングも好み。カラーも好みだ。もう一度言うが、ニーズがあるところで勝負すべきなのだ。

今回のマットカラー(グリーン、オレンジ、ピンク)のオプションでも物足りないという人のために、グリーンとオレンジには00、11、22、33のナンバリングも用意。良くも悪くもホワイトとマットピンクには従来通りの番号(1、2、3、4)が描かれている。

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Velocityの価格は27.99ドルで発売は1月22日から。