10月からプロV1xの新モデル的なボールがお目見えする。

10月1日から、プロV1xボールの「レフトダッシュ」モデルが、タイトリストボール正規取扱店で発売されることが分かった。

タイトリスト,プロV1x,レフトダッシュ,ゴルフ,ボール

レフトダッシュってなんだ?

メーカーが一般向けには販売されていないボールを契約プロ向けに提供していることは、珍しいことではないということはご存知だろう。

これを悪徳なおとり商法だとか、ツアープロが高性能品を手にする一方で一般アマが粗悪品をつかまされると早合点されることもあるが、実際はそこまで悪質じゃない。

ツアー限定モデルは、マジックでもなければ特別だったり他よりも良いというわけでもない。その差はほんのちょっと。

実際のところ、タイトリストの契約プロのうち約85%は、みなさんがショップで購入しているプロV1やプロV1xと全く同じボールを使っている。

とは言え、競技ゴルファーが好みにうるさいことも事実。我々なら気にならないが、世界のトッププロたちは同じ弾道と同じスピン量による彼らなりの弾道を求めているからだ。

タイトリスト,プロV1x,レフトダッシュ,ゴルフ,ボール

そんな時、タイトリストではカスタムパフォーマンスオプション(CPOs)なるものを用意している。現在のCPOカタログには、小売りで販売されているものと少しだけ違うゴルフボールが3モデルある。

以前、このCPOを活用できたのはPGAツアーのプロだけだったが、欧州ツアー、Web.com/コーン・フェリーツアー、チャンピンズツアーとの線引きがぼやけてくると、タイトリストはCPOを全プロツアーで提供するようになった。

CPOが浸透してくると、タイトリストはアマチュアゴルファーからの増大するニーズ、特に「レフトダッシュ」プロV1xに対するニーズに気がつくようになった。

ここで言うニーズとは相対的なニーズであり、決して多くのゴルファーが求めているわけではないが、タイトリストはそのこととCPOの存在を隠そうともしないようだ。

「秘密のソースなんてない」と言うのはタイトリストのゴルフボールマーケティング・バイスプレジデントのマイケル・マホニー氏。「単なる別の選択肢だ」。

世界のプロツアーで、このCPOの活用は非常に限定的であり、それは小売市場でも同様だ。タイトリストでは、AVX、プロV1、プロV1xでアマチュアゴルファーの約95%をカバーしていると考えていると言う。


 

「レフトダッシュ」の性能

タイトリスト,プロV1x,レフトダッシュ,ゴルフ,ボール

「レフトダッシュ(サイドスタンプ左にある<->が名前の由来)」はプロV1xの低スピン版と言える。

現在のタイトリストのラインナップは、AVXが低弾道/低スピン。プロV1は中弾道/中スピン、プロV1xは高弾道/高スピンが特徴。

もちろんこれは双方で比べた時だが、興味深いのは「レフトダッシュ」が高弾道/低スピンという同社の他のツアーボールとは違う特徴を持っていることだろう。

タイトリスト,プロV1x,レフトダッシュ,ゴルフ,ボール

また「レフトダッシュ」はプロV1xより硬めだが、AVXの低スピン性能を持つ(マホニー氏によれば、AVXほど低スピンではないが、それに近いスピン量とのこと)。

つまり、AVXのソフトなフィーリングを好まず、またティーショットでボールスピードを落としたくないスピン量が多いゴルファーへの選択肢となるだろう。



 

「レフトダッシュ」はどこで手に入る?

4ピース構造の「レフトダッシュ」プロV1xが現行モデルと入れ替わるということはないし、追加モデルとなるわけでもない。近所のショップのカウンターに隠してあるわけでもない。

マイケル・マホニー氏によれば「このボールはファストフード店のシークレットメニューではない」という。

ゴルフ場のプロショップが、メンバー数名用に数ダースほどストックしておくことはあるかも知れないが、販売の大部分はカスタムオーダーとなりそうだ。

というよりも、圧倒的多数のゴルファーは「レフトダッシュ」の存在すら知ることはないだろう。

タイトリスト,プロV1x,レフトダッシュ,ゴルフ,ボール
 

CPOの他モデル

先に述べた通り、「レフトダッシュ」は、現在、タイトリストのツアープロが手にすることができるCPOの3種類のボールのうちの一つだ。

3つの中では一番人気もあり、それ故にカタログにも掲載されている。

他の2モデルがショップで購入できることはないようだが、こちらのパフォーマンスと特徴も気になると思うので、ここで紹介する。


 

「レフトドット」プロV1

3ピース構造の「レフトドット」プロV1は、プロV1の低弾道、低スピン版。

プロV1の2017年モデルとして市販される可能性もあった試作品で、コンプレッションを増やすことなくスピードアップを図ることをデザインコンセプトにしている。

ツアープロの多くがプロV1に移行したのは、この「レフトドット」が大きな要因。

以前はプロV1xの方がツアーで人気だったが、今はプロV1とV1xの使用率はほぼ同じとなっている。

また相対的に、この「レフトドット」の方がプロV1xよりもプロV1に近い。

現在のツアーにおける「レフトドット」の使用率は非常に低く、弾道の微妙な違いによって使い分けられているようだ。

リッキー・ファウラーがテーラーメイドと契約し、TP5Xを使う前は「レフトドット」を使用していたことは興味深い話だ。


 

プロV1★

タイトリストがCPOでラインナップした3つ目のボールが、3ピースのプロV1★(スター)だ。高スピン、ハイコンプレッションが特徴で、プロV1シリーズの中では一番スピン量が多い。

ツアーのニッチなニーズにおけるニッチなボールであり、この「スター」はCPOの中で一番、知名度が低い。ある意味、「レフトダッシュ」とは相反する。

「レフトダッシュ」がスピン量の非常に多いゴルファーに有効なら、スターはスピン量が少ないプレーヤーに向いている。

例えばジャスティン・トーマスは、スピン量を減らしたスイング改造に着手していた今年初めに「スター」を使用。それ以降は、またボールを変えていた。

そして、「レフトダッシュ」、「レフトドット」そして「スター」に共通することは、それぞれがタイトリストの次世代の商品に使われるテクノロジーの開発に一役買っているということだ。

タイトリスト,プロV1x,レフトダッシュ,ゴルフ,ボール


 

「レフトダッシュ」プロV1xボールの価格と発売時期

「レフトダッシュ」プロV1xボールは、10月1日より小規模のプロショップから量販店までタイトリスト公認の店舗でカスタムオーダーが可能となる。

イエローボールはなく、カスタムナンバーも現時点ではオーダー不可となっているが、「現時点では」ということは今後の予定はまだ分からないだろう。

メーカー希望小売価格は47.99ドルとなっているが、プロV1やプロV1xの現行価格程度になると思っておいた方が良いだろう。

 

※CPOカタログは日本にはなく、現段階で日本での「レフトダッシュ」を発売する予定はないが、今後の展開に期待したい。