テーラーメイドが、「Pシリーズ」アイアンに新たな仕上げ“バトルウォーン”を追加した。

公式から詳細な説明はまだ出ていないものの、そのヴィンテージ感漂う風合いは、一目で惹きつけられる存在感。見た瞬間に「これは知っておくべき」と思わせる、新しい提案だ。

「バトルウォーン」仕上げは、「P790」「P770」「P7CB」アイアンで選択可能だ。

テーラーメイドはこれを「洗練された美しさと、控えめな上品さを併せ持つ仕上げ」と表現している。いかにもマーケティング的な言い回しで、全てを語っているようで実は何も語っていないんだけど…。

とはいえ、控えめに言って、見た目は確かにバ・ツ・グ・ンにカッコいい!

近年の仕上げアップグレードはブラックやカッパーが主流だったが、“バトルウォーン”はその流れに一石を投じる存在だと思う。

見慣れたカラーから離れ、新鮮な印象を与えてくれる仕上げだ。


キャディーバッグに収まったテーラーメイド「P770」アイアン ブラック仕上げと「MG5」ウェッジ

「バトルウォーン」とは一体何なのか?

ここから先は、少々もどかしい話になる。

テーラーメイドは技術的な詳細をほとんど明かしておらず、詩的な説明以上に、この“バトルウォーン”が実際には何を意味するのかを自分たちで読み解くしかないのだ。

見た目はノーメッキに近いが、あくまで完全なノーメッキではない。

ニッケルとブラックの中間色となるガンメタル調に、深みのあるスクラッチ加工を加え、一本ずつ個別に仕上げることで、同じ表情の仕上げは存在しない。

まるで“バブアーのレザージャケット”のように、使い込まれた風合いを計算して作り込み、高級感を保ちながら独自の存在感を放つ。

狙いは、近年主流のブラック仕上げを超える上質なルックスだ。

仕上げは、タフさとほどよい経年感を演出しながらも、しっかりとした“洗練さ”をキープ。

本物のヴィンテージではないが、その雰囲気を楽しめる。そして性能的には、そのほうがむしろプラスに働くはずだ。


芝生に置かれたテーラーメイド「P7CB」アイアン ブラック仕上げとゴルフボール、ブランドロゴ入りタオル

不完全さが生む個性

クラブに“歴史”や“味わい”を求めるゴルファーは少なくない。 テーラーメイドがこの考えを取り入れたのは初めてではなく、これまでも酸化加工やエイジング風、ユーズド調の仕上げが登場してきた。

どれも「長年のプレーを経たような風格」を、実際に何年も凡庸なゴルフを重ねることなく手に入れられる。そんな魅力を売りにしてきたのだ。

“バトルウォーン”仕上げは、テーラーメイドが進める「高級感のあるデザイン展開」の新たな一手。

限定ドライバーや特別カラーなどで見せてきたアプローチを、今度はアイアンにまで広げ、唯一無二の外観を提案している。

“バトルウォーン”が他と違うのは、仕上げのアプローチ。

全クラブを一律に加工するのではなく、一本一本に個性を与えることで、同じモデルでも異なる表情を生み出している。

もちろん手間はかかるが、標準クロムよりセット価格で100ドル上乗せなら、むしろ納得できる範囲だ。


芝生の上でゴルフボールに構えるテーラーメイド「P790」アイアン ブラック仕上げ

全体像で見れば

“バトルウォーン”仕上げは、Pシリーズを手に取るようなプレミアム志向のゴルファーが、性能だけでなくクラブ全体の価値や雰囲気まで重視している。そんなテーラーメイドの理解を形にしたものだ。

求められているのは、スペックだけではなく“クラブとしての風味”なのだ。


芝生の上に並べられたテーラーメイド「P770」アイアン ブラック仕上げとゴルフボール、ブランドロゴ入りタオル

最後に

“バトルウォーン”仕上げでスコアが劇的に伸びるわけではない(当たり前だ)。

それでも、クラブを手にした瞬間に「うまくなった気がする」そんな高揚感を与えてくれるかもしれない。性能差がヤードの小数点単位で語られる世界では、見た目がグッとくるってことが想像以上に大きな意味を持つ。

大事なのは、クラブの性能そのものだけじゃない。 そのクラブでスイングする自分が、どんな気持ちになれるか…そこに価値がある。

そして時には、それこそが十分な理由になる。

テーラーメイド「バトルウォーン」アイアンは、すでに販売中。

※現在日本発売の情報はないものの、ここ最近の動向を見ると、おそらく9月頃には発売されるだろう。乞うご期待!