ゼクシオ(XXIO)というブランドは、ゴルフクラブの中でも少し特別な存在だ。

飛距離競争や最新トレンドの中心にいるわけではない。それでも、確実に選ばれ続けている。

その理由は明確だ。

ゼクシオは最初から、すべてのゴルファーに向けたクラブではない。

グリップからシャフト、ヘッド設計に至るまで、軽さと振りやすさを最優先に考え、ヘッドスピードが落ちてきたゴルファーが「もう一度、楽に飛ばせる」ことを目的に作られている。

シニア層や女性向け──そう語られることが多いが、実際にはそれだけではない。

「若い頃のように振れなくなったが、ゴルフはまだ楽しみたい」

「力で振るより、効率よくボールを運びたい」

そう考えるゴルファーは想像以上に多く、その層こそがゼクシオを選び続けている。

価格は決して安くない。

ドライバーは800ドル前後(101,200円 税込)、フェアウェイウッドでも450ドル(64,900円 税込)近い。

数字だけを見れば、高すぎると感じるのも無理はない。

だが実際の使用者データや市場動向を見れば、この価格設定は“強気”ではなく“現実的”だ。

対象が明確で、必要としているゴルファーが確実に存在する──その市場は、決して小さくない。


XXIO 14 ドライバーを手に取ったシーン。大きめのヘッド形状と高い寛容性をイメージしやすい。

そんなゼクシオが送り出す最新作が、「XXIO 14(ゼクシオ 14)」シリーズだ。

これまでの“軽くてプレミアム”という軸はそのままに、設計や素材を見直し、従来よりも幅広いゴルファーを視野に入れた構成へと進化している。

ドライバーからアイアンまでフルラインアップで展開される「XXIO 14」。

このシリーズがどんなゴルファーにとって価値を持つのか──

注目すべきポイントを、5つに絞って見ていこう。


XXIO 14 アイアンのヘッドデザイン。軽量構造と低重心設計により、ミスヒット時でも安定した弾道を実現する。

#1:今回は本物の刷新 ─ 「ゼクシオ 14」は“名ばかりの新作”ではない

ここ数年のゼクシオは、「軽くて高級」という明確な立ち位置を保ちつつも、モデルチェンジごとの変化はやや控えめに映っていた。

正直に言えば、「また同じ方向性か」と感じたゴルファーがいたとしても不思議ではない。

だが「XXIO 14」は、その流れとは一線を画している。

メーカー自身が、今回は従来の延長線ではないと明言している点からも、その本気度が伝わってくる。

「これまでのような小さな改良ではなく、今回はまったく新しい提案です」そう語るのは、ゼクシオ副社長の チャック・サイリー 氏だ。

「シニアや女性ゴルファーが、これまで以上に速く振れて、まっすぐ飛ばし、よりゴルフを楽しめること。それが今回の開発コンセプトです」


XXIO 14シリーズのドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンを並べたカット。シリーズ全体の構成が分かる。

この言葉を裏付けるように、「XXIO 14」にはシリーズ全体で明確な設計変更が加えられている。

ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンに共通して感じられるのは、“やさしさの質”が変わったという点だ。

その中心にあるのが、新素材『VRチタン』の採用。 これはゼクシオが独自に開発した新合金で、従来使用されてきた『Super TIX-51AFチタン』よりも軽量で、なおかつ高い強度と耐久性を備えている。

素材が変われば、設計の自由度も変わる。

「XXIO 14」ではフェースをより薄く、より大きくたわませることが可能になり、ヘッドスピードが遅めのゴルファーでも安定して高いボール初速を得やすい構造へと進化した。

さらに注目すべきなのが、『UltiFlex(アルティフレックス)』と呼ばれる新構造だ。

これはスリクソンの『リバウンドフレーム』思想をベースにしつつ、ゼクシオ用に最適化された三層構造。

薄い『VRチタン』フェースの背後に硬いリム、その後方にたわみやすいボディ部を配置することで、インパクト時のエネルギーをより効率よくボールへ伝える設計となっている。

メーカーによれば、

・COR0.8以上の高初速エリアは前作比151%

・COR0.82以上の“超高反発ゾーン”は183%に拡大

数値だけを見ると派手だが、重要なのはその意味だ。


XXIO 14 ドライバーの内部構造イメージ。ULTIFLEXフェースにより高初速と効率的なエネルギー伝達を追求している。

つまり「XXIO 14」は、芯を外したときでも初速が落ちにくいエリアが大きく広がったということ。

これは、ヘッドスピードが速くないゴルファーほど恩恵を感じやすい進化と言える。


#2:ゼクシオ(XXIO)は誰のクラブか? ─「14+」が示す新しい答え

ゼクシオは、これまで低ヘッドスピードのゴルファー向けプレミアム軽量クラブとして確固たる地位を築いてきた。

しかし新しい「XXIO 14+」は、従来よりも速く振れるゴルファー層も視野に入れたモデルだ。

ターゲットは約40〜45m/sのヘッドスピードを持ちつつ、軽量設計の恩恵を求めるゴルファー。

基本となるテクノロジーは、標準モデルの「XXIO 14」と共通している。

ただし>「XXIO 14+」では、まだヘッドスピードに余力のあるゴルファーに向けて、細部が最適化されている点が大きく異なる。

その象徴が、ドライバー・フェアウェイウッド・ハイブリッド・アイアンすべてに採用された『VRチタン』フェースだ。

標準モデルではハイブリッドに「HT 1770ステンレススチール」フェースが使われているが、「14+」では一貫して高強度・軽量素材が採用されている。

アイアンでは、さらに踏み込んだ設計変更が加えられている。

ヒールおよびネック部の重量を削減する新キャビティ構造に加え、トゥ側には「高比重タングステンニッケルウエイト」を配置。

これにより、重心はより低く、かつフェース中央寄りへと移動している。


XXIO 14+ アイアンのバックフェースデザイン。XXIO 14よりも軽量化を重視した設計が特徴。

また『可変肉厚フェース』は、標準モデルよりも高いヘッドスピードに対応する設計だ。

トゥ側の広い範囲を薄肉化することで、オフセンターヒット時のボール初速低下を抑えつつ、余剰重量を生み出し、さらなる低重心化を実現している。

なお、ゼクシオが「まだヘッドスピードを維持しているゴルファー」に向けたモデルを展開するのは、今回が初めてではない。

2020年に登場した「XXIO X」も、50代〜60代前半で十分なスピードを持つゴルファーをターゲットにしていた。

ただし当時は、シリーズ構成やネーミングの分かりにくさから、立ち位置が十分に伝わらなかった側面もある。

「XXIO 14+」は、その反省を踏まえ、より明確な役割を与えられているように見える。

実際、「XXIO 14+」ドライバーには軽量の『可変ホーゼル』を採用。

さらに今回、標準モデルの「XXIO 14」メンズドライバーにも可変ホーゼルが搭載されたことは、ゼクシオの設計思想が一段進んだことを示している。

「XXIO 14+」は、ゼクシオにとって単なる派生モデルではない。

軽量設計という強みを保ったまま、“どこまで振れるゴルファーを取り込めるか”を試す、極めて戦略的な一本だ。

このモデルが、ゼクシオの支持層をどこまで広げるのか──

その答えは、実際のプレーの中で見えてくるはずだ。


XXIO 14+ ドライバーのヘッド形状。軽量設計と高初速性能を重視したモデルであることが分かる。

なお「XXIO 14+」は、一部の認定フィッターおよび正規取扱店のみで展開される限定モデルとなっている。

誰でも手に取れる存在ではない点からも、このクラブが明確なターゲットを想定して設計されていることがうかがえる。

また「XXIO 14+」には、ゼクシオ史上初となる共同開発シャフトが採用されている。

それが、軽量設計のフジクラ「Speeder NX DST」だ。


#3:女性向け“流用設計”ではない、ゼクシオ(XXIO)の本気

ゼクシオは、自社ユーザーの約40%を女性ゴルファーが占めている。この数字が示しているのは、単なる販売比率ではない。

ゼクシオが、女性向けクラブを独立したカテゴリーとして本気で設計してきたという事実だ。

ゼクシオは、「サイズを小さくして色を変えただけ」のクラブを作るブランドではない。

「XXIO 14」レディスシリーズは、すべて女性ゴルファーのスイング傾向を前提に、最初から専用設計されている。

レディスドライバーには「VRチタン」フェースと『UltiFlex』構造が採用されているが、注目すべきは素材や構造だけではない。

ヘッド形状そのものが、女性ゴルファーのプレー特性に合わせて最適化されている点だ。


ロフト12.5度のXXIO 14 ドライバー。高弾道でキャリーを伸ばしやすい設計が特徴。

ゼクシオの分析によれば、女性ゴルファーはインパクト時の打点がヒール寄りになりやすい傾向がある。

そのため「XXIO 14」レディスドライバーでは、ヒール側のフェースをより薄く設計し、そのエリアでの反発性能を高めている。

さらに、丸みを帯びたヘッド形状を採用することで、重心(CG)をより低く配置。

女性専用に開発された「MP 1400L」シャフトと組み合わせることで、自然にドローバイアスがかかる設計となっている。

その結果、ゼクシオによれば「XXIO 14」レディスドライバーでは、非常に高い反発性能(COR)を発揮するエリアが、2年前の「XXIO 13」と比べて202%拡大したという。

フェアウェイウッドとハイブリッドも、同様に女性ゴルファー向けに最適化されている。

「HT 1770」フェースは下部をより薄く設計することで、ボールを拾いやすくし、フェースサイズもメンズモデルよりわずかに大きく設定されている。

これにより、フェアウェイウッドとハイブリッドは、より楽に打ち出せて、高さを出しやすいクラブに仕上がっている。


XXIO 14 アイアンのバックフェースデザイン。打ちやすさを意識した形状と洗練された外観が特徴。

「XXIO 14」レディスアイアンも同様だ。

フェースはやや浅め、トップラインは丸みを帯びた形状で、全体としてドローバイアス寄りの設計が施されている。

これは、ヘッドスピードが比較的ゆっくりなゴルファーほど、インパクトでフェースが開きやすい傾向があるためだ。

設計そのものが、その動きを前提に作られている。

なお、「XXIO 14」レディスドライバーには『可変ホーゼル』は採用されていない。

その代わり、ロフト違いのモデルを4種類用意している。

軽量設計を突き詰める上では、1グラム単位の重量配分がクラブ挙動に大きく影響する。

可変ホーゼルを採用しなかったのは、その思想に基づく合理的な判断と言える。


XXIO 14 フェアウェイウッドの複数番手を並べたカット。番手ごとのサイズ感と形状の違いが確認できる。

#4:誇張しない ― ゼクシオ(XXIO)は“正直な数字”を語る

「10ヤード伸びる」──

この言葉に、私たちは何度も期待し、そして裏切られてきた。

正直なところ、今どき、そんな約束を本気でしているメーカーはない。

その点でゼクシオは、少し異なる立ち位置にいる。

同じグループのスリクソンやクリーブランドと同様、数字を盛らず、現実的な差だけを示す。

これは、派手さはないが、ゴルファーにとっては誠実で信頼できる姿勢だ。

ゼクシオの社内テストによれば、新しいドライバーは「XXIO 13」と比べてキャリーで約2.9ヤード向上しており、フェアウェイウッドのキャリーも前作比で約1.5ヤード伸びているという。

この差は決して大きなものではなく、「XXIO 13」から買い替える決定打になるほどではない。 しかし、そもそも「XXIO 14」は「XXIO 13」からのアップグレードを目的として作られたモデルではない。

このモデルが向いているのは、「昔より飛ばなくなった」「振っているつもりでも初速が出なくなった」

──そう感じ始めた、次の世代のゴルファー。

時間には誰も勝てない。

だからゼクシオは、飛距離を誇張するのではなく、失われつつある部分を静かに補うという選択をした。

「XXIO 14」は、派手な進化ではない。

だが、年齢と向き合いながらゴルフを続けるための、現実的で誠実な最新版だ。


XXIO 14 アイアンのフェースとバックデザイン。打ち出しやすさと直進性を重視した設計が特徴。

これこそが、ゼクシオのビジネスモデルの真の強みなのかもしれない。

価格設定は誰にでも手が届くものではないが、ゼクシオは自らのターゲット層を非常によく理解している。

加齢とともにヘッドスピードが落ちていくことは、誰にとっても避けられない現実だ。

それでも、「静かに衰えていくことを受け入れたくない」と考える、経済的に余裕のあるゴルファーに対して、XXIOは“希望”を提示する。

ゼクシオのクラブは、グリップからシャフト先端、ヘッドに至るまで一貫して振りやすさを重視して設計されており、ヘッドスピードが落ちてきたゴルファー向けの飛距離テクノロジーも実効性が高い。

その組み合わせが、最終的にはゴルフというゲームを、より楽しいものにしてくれる。

そして結局のところ、楽しさこそが、私たちがゴルフをプレーする理由なのだ。


XXIO 14 アイアンの番手別バックフェース。番手ごとの形状と一貫したデザインが確認できる。

#5:価格は高い?─ ゼクシオ(XXIO)が“価値”で勝負する理由

「高いか、安いか」。

クラブ選びにおけるこの問いほど、答えが人によって変わるものはない。

だが、正直に言って、「XXIO 14」は高価格帯のクラブだ。

「XXIO 14」ドライバーは101,200円(税込)、フェアウェイウッドは1本(#3、4、5、7、9) 64,900円(税込)、ハイブリッドは1本(H3、H4、H5、H6、H7) 50,600円(税込)。

アイアンは、XXIO独自の軽量「MP1400」カーボンシャフトを装着し、1本(#5、AW、SW) 30,800円(税込)。5本セット(#6〜9、PW)で154,000円(税込)。

一方、「XXIO 14+」アイアンも1本あたり(#4、#5、AW、SW) 30,800円(税込)で、共同開発されたフジクラ「Speeder NX DST」シャフトが装着される。

なお、「XXIO 14+」はカスタムフィッター限定展開となるため、スチールシャフト仕様(#4、#5、AW、SW) 28,600円(税込)も用意されており、これは他の主要OEMと同水準の価格設定となっている。


XXIO 14 ドライバーのソール形状。空力性能と重量配分を最適化し、高い初速と方向安定性を追求している。

どの業界でも共通しているが、本当の意味で取りこぼされがちなのは、プレミアム層だ。

お金がないわけではない。むしろ逆で、「良いものだと納得できれば、きちんとお金を払う」人たち。

ゴルフで言えば、その中核を占めるのが、「ヘッドスピードが落ちてきたシニアゴルファー」「体力やパワーに合わせたクラブを求める女性ゴルファー」この層は決して小さくないが、多くのメーカーは十分に向き合えていない。

ゼクシオが期待しているのは、そうしたゴルファーが実際にXXIOを試したとき、価格に納得し、喜んでその価値を受け入れてくれることだ。

そして、その期待を裏付けるだけの十分な実績と歴史が、ゼクシオ(XXIO)にはある。


「XXIO 14」スペック・ラインアップ・販売情報まとめ

※本記事は米国向けの情報サイトをもとに執筆しているため、日本仕様のスペック詳細については『XXIO公式ウェブサイト』でご確認ください。


メンズ向けの「XXIO 14」シリーズでは、「可変ホーゼル付き」ドライバーが用意されており、ロフト角は9.5度、10.5度、11.5度(左利き用は10.5度のみ)となっている。

フェアウェイウッドは3番、4番、5番、7番、9番の5モデルで、ロフトは15度から23度までをカバーする。

ハイブリッドは5モデル構成で、新たに30度の7番ハイブリッドが追加された。

なお、左利き用が用意されるのは、3・5・7番ウッドと4・5番ハイブリッドのみとなる。

アイアンセットは5番アイアンからサンドウェッジまで(左利き用は6番アイアン〜PW)。

シャフトにはXXIOの軽量「MP 1400」カーボンシャフト、グリップも軽量仕様が標準装備されている。


ロフト10.5度のXXIO 14 ドライバー。高い寛容性と安定した弾道を狙ったヘッド設計が分かる。

「XXIO 14+」は右利き専用で、「可変ホーゼル付き」ドライバーは2ロフト(9.5度、10.5度)が用意される。

フェアウェイウッドは15度と18度の2モデル、ハイブリッドは18度、20度、23度の3モデルをラインアップ。

アイアンは5番アイアンからギャップウエッジまでで、ロフト設定は「初・中級者向け」アイアンとして一般的な範囲に収まっている。

「XXIO 14+」には、共同開発されたフジクラ「Speeder NX DST」カーボンシャフトが標準装着される(スチールシャフトはカスタムフィット経由で選択可能)。

このシャフトは「MP1400」と比べて中間部と先端部がしっかりした設計となっており、高めのヘッドスピードでも安定性を高める狙いがある。

それでも軽量設計は維持されており、重量はドライバー用で42g、アイアン用で59g。

グリップはゴルフプライド「Tour Velvet 360」が標準装備となる。

一方、「XXIO 14」レディスシリーズは非常に充実している。

「接着式ホーゼル」のドライバーが4ロフト(10.5度、11.5度、12.5度、13.5度)用意され、フェアウェイウッドとハイブリッドはいずれも5モデル構成。

新たに35度の8番ハイブリッドも追加された。

アイアンは5番アイアンからサンドウェッジまで展開され、シャフトにはレディス用「MP1400」シャフト、グリップにはXXIOレディス軽量グリップが標準装備されている。


キャディバッグに収まるXXIO 14 アイアン。軽量設計とやさしさを重視したシリーズ共通のデザインが分かる。

レディスシリーズは右利き専用となっている。

XXIOは、「XXIO 14」メンズおよびレディス、さらに「XXIO 14+」に対応したオンラインのクラブ構成シミュレーションを提供している。

ゼクシオ14シリーズは2025年11月22日から販売、レディースモデルは2025年12月6日からの販売されている。

詳細については、『XXIO公式ウェブサイト』をご確認ください。