たとえばトラックマンで1球打てば、これだけ多くのデータをすぐに確認できる。
▪ ボール初速:ボールが飛び出す速さ
▪ ヘッドスピード:クラブヘッドの速さ
▪ 打ち出し角:ボールが飛び出す高さの角度
▪ スピン量:ボールの回転数
▪ アタックアングル:ヘッドが上向きか下向きか
▪ クラブパス:インパクト時にヘッドが進む方向
▪ フェースアングル:インパクト時のフェースの向き
▪ フェーストゥパス:クラブの軌道に対するフェースの向き
▪ ダイナミックロフト:インパクト時の実際のロフト角
▪ スピンロフト:クラブの動きとフェースの向きの角度差
▪ スイングディレクション:スイング全体が向いている方向
▪ キャリー:着地までの飛距離
▪ トータル飛距離:ランを含む総飛距離
もちろん、どれも価値のある情報だ。問題は、ほとんどのゴルファーにとって、これらすべてを同時に見る必要はないということ。
「見なくていい」=「意味がない」ではない
ここで、ひとつ重要なことをはっきりさせておきたい。
これから紹介する数値が「役に立たない」と言っているわけではない。
フィッターやインストラクターは、ダイナミックロフト、スピンロフト、スイングディレクションをはじめ、さまざまなデータからスイングで何が起きているのかを分析する。また、ゴルファー自身にとっても、状況によってはこれらの数値が重要になることがある。
ただし、それと「1球打つたびにすべての数値を確認すること」は別の話だ。
情報が多すぎれば、かえって練習を難しくする。
たとえばスイングを変えようとしているときに、クラブパス、フェースアングル、アタックアングル、ダイナミックロフト、スピンロフト、打ち出し角、スピン量、ボール初速まで同時に追いかけていたら、何を改善しようとしているのか分からなくなってしまう。
弾道測定器をうまく活用するポイントは、まず「何を改善したいのか」を決めること。
そして、その変化を確認するために必要な2〜3個の数値に絞って見る。
それ以外の数値は、いったん後回しでいい。
普段の練習では「優先順位を下げてもいい」5つの数値
では、弾道測定器に表示される数値の中で、一般的なゴルファーが普段の練習で毎ショット追いかけなくてもいいものは何なのか。
ここでは5つを挙げてみよう。
1. スピンロフト(Spin Loft)
スピンロフトは、クラブがどのように動き、インパクトでフェースがどのようにボールへ入っているか、その関係を見るための診断データだ。
スイングを詳しく分析するうえでは役立つが、一般的なゴルファーが普段の練習で「スピンロフトをこの数値にしよう」と追いかける必要はない。
要するに:診断には役立つ。でも普段の練習で目標値として追う必要はない。
2. スイングプレーン(Swing Plane)
スイングプレーンは、クラブがどのような軌道で動いているかを確認するためのデータ。コーチがスイングの状態や、取り組んでいる動きに変化が出ているかを確認する際には役立つ。
ただし、「すべてのゴルファーがこの数値を目指すべき」という共通の正解があるわけではない。
1球打つたびにスイングプレーンの数値を確認していると、スイングを理解するどころか、かえって混乱する可能性がある。
要するに:全員が目指すべき共通の正解はない。毎ショット見る必要はない。
3. スイングディレクション(Swing Direction)
スイングディレクションは、スイング全体がターゲットラインに対してどの方向を向いているかを示す数値だ。
ここで注意したいのが、「クラブパス」とは同じではないこと。
クラブパスは、インパクト時にクラブヘッドがどの方向へ動いているかを示す。つまり、スイングディレクションとクラブパスは異なる数値になることがある。
この違いがあるため、両方を追い始めると話は一気に複雑になる。
一般的なゴルファーが普段の練習で確認するなら、クラブパスの方が分かりやすく、活用しやすいだろう。
要するに:クラブパスとは別物。普段の練習なら、クラブパスの方が分かりやすい。
4. ダイナミックライ(Dynamic Lie)
ダイナミックライはフィッティングでは重要になることがあり、インパクト時のクラブの入り方に関する特定の問題を分析する際にも役立つ。
ただし、一般的なゴルファーが通常の練習で1球ごとに確認する必要性はそれほど高くない。
「今のショットはダイナミックライが何度だったか」を毎回追いかけるより、練習の目的に直結する数値を優先した方がいい。
要するに:フィッティングでは重要になることもあるが、通常の練習で毎回見る必要はない。
5. スピンアクシス(Spin Axis)
スピンアクシスは、ボールがなぜ、どのように曲がったのかを理解するのに役立つデータだ。
ただ、一般的なゴルファーには、フェースアングル、クラブパス、フェーストゥパスといった、より改善につなげやすい情報がすでにある。
たとえば、実際にボールが右へ曲がっていることが確認でき、さらにフェースの向きとクラブパスがどうなっているかまで分かっているなら、その曲がりを説明するためにもうひとつ数値を増やす必要はないだろう。
要するに:球筋とフェース、クラブパスの関係が分かっているなら、さらに別の数値として追いかけなくてもいい。
結局、弾道測定器では「何を見ればいい」のか?
ここまで5つの数値を紹介してきたが、この記事で伝えたいのは「この5つのデータは必要ない」ということではない。
弾道測定器をうまく使うというのは、たくさんの数値を見ることではなく、「今の自分に必要な数値」を選べることだ。
だから、画面に並ぶ数値を見る前に、まずひとつ考えてみてほしい。
今日は何を良くするために練習しているのか?
飛距離を伸ばしたいのか。球の曲がりを改善したいのか。それとも、取り組んでいるスイングの変化を確認したいのか。
目的が決まれば、その変化を確認するために見るべき数値も絞りやすくなる。
弾道測定器に表示されるすべての数値を追いかける必要はない。
大切なのは、数値をたくさん見ることではなく、目的に合った数値を見ることだ。




