MyGolfSpy 『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの「品質」と「一貫性」の調査、数値化を行っており、価格に見合う最適なボール選びに役立てもらいたいと考えている。


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キャロウェイ「Chrome Soft X LS」について

キャロウェイ「Chrome Soft X LS」について


キャロウェイの「Chrome Soft」シリーズ3モデルの中でも「高コンプレッション」の部類に入る「Chrome Soft X LS」は、最も初速が速く、最も高弾道で、最も低スピンを誇るボールだと言われている。

これらの性能は、私にとって非常に魅力的に映る。さらに、同社が継続的に行ってきたボール工場の改革が完成品にどのように反映されているか、「品質の向上」を明らかにする良い機会にもなった。

標準の「Chrome Soft X」と同じように、「X LS」は332個のディンプル搭載した4ピースの「デュアルマントル設計」だ。ただし今回のディンプル形状は、パフォーマンスを最適化するために多少調整が加えられている。

また、ご存知の通り製造はマサチューセッツ州チコピーにあるキャロウェイのボール工場だ。


キャロウェイ「Chrome Soft X LS」-コンプレッション(硬度)

キャロウェイ「Chrome Soft X LS」-コンプレッション(硬度)


私たちの測定によると、キャロウェイ「Chrome Soft X LS」のコンプレッションは100だった。これには、いくつかの注目点がある。

まず、このボールのコンプレッション(硬度)は、硬度範囲の中で最も硬い方の端に位置する。データベースの中では2番目に硬いボールであることは確かだし、「X-Firm」の範囲内にしっかりと収まっている。これは決して悪いことではない。さらにコンプレッション(硬度)とボール初速は密接に関係しているため、テーラーメイド「TP5x」やタイトリスト「Pro V1x Left Dash」と張り合うことが目的であれば、高コンプレッションは必須条件だ(今回のテーラーメイド「TP5x」 は柔らかく改良されているのだが)。

要するに、多くのゴルファーにとって「Chrome Soft X LS」が同社ラインナップの中で「最も飛ぶボール」という位置づけになるはずだ。

同社によると、「X LS」のターゲットコンプレッションは「Chrome Soft X」と同じだと言う。しかし、モデルごとのコンプレッションは5~10ポイントずつ高くなっている。繰り返しになるが、決してネガティブなことではないが、今後購入する人は、標準「Chrome Soft」 との「コンプレッション差」がかなりあることを理解しておく必要がある(正確には25ポイント)。

「Chrome Soft X」は決して柔らかいボールではない。「X LS」 はさらにそれを上回る硬さだということだ。


キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」-直径サイズと重量

キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」-直径サイズと重量


他のブランドほどではないが、同社は「重量の一貫性」に劣る傾向がある。軽度ではあったものの、「Chrome Soft X LS」の場合USGA の最大重量基準を超えるボールが1個見つかった。

通常、同社ツアーボールには真円度の問題が確認されることはない。「Chrome Soft X LS」も例外ではなく、真円度チェックに引っかかったボールは皆無で、サンプルボールは一貫して丸いことが証明された。



キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」-インスペクション(検査)

キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」-直径サイズと重量


中心性と同心性

これまでの経緯を考えると (「Chrome Soft」が品質を調査する『Ball Lab』のきっかけになったと言える)、このセクションこそキャロウェイにとって肝心な部分だと言える。では、核心に迫ってみよう。

今回は、コアが中心から外れている、レイヤー層に欠陥が見られるといった問題は確認されなかった。

今回注目したいのは、キャロウェイが「デュアルコア構造」から最新設計である「デュアルマントル構造」に移行したこと。同社はおそらく独自の判断なのだろうが、4ピースで「デュアルコア設計」を使い続けているメーカーは最高の性能をもたらし、一方で「デュアルマントル設計」は、より一貫性のある生産が可能になる。

また、レイヤー層が侵入している例 (外側のマントルが内側のマントルに侵入する) が複数見つかり、それが目立つものもあったが、最終的にはそれらがパフォーマンスの問題を引き起こすレベルではないと判断した。完璧とは言い難いボールはあったが、「欠陥品」としてマークしたボールはない。


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コアの一貫性

「Chrome Soft X LS」のコアは、おおむね一貫していた。大きな破片の塊も、従来のキャロウェイボールで一般的だった渦巻き状のコア (不適切な混合) も見つからなかった。

Box2(2箱目)の中には、きらきらした小さなフレーク素材を含むボールがあったが、その素材は浸透しておらず、データを見る限り重大な問題を示唆するものは何もなかった。





カバー

サンプルボール1個にカバーの欠陥が確認された。おそらくボールが金型から出るときに発生したと見られる小さな隆起部分だ。やや目立っていたが、比較的軽微な問題だったため欠陥とは見なさなかった。

最終的に、多数のボールにあてはまる欠陥の有無に注目して調査した結果、目視検査で「不適格」とした欠陥は1つもなかった。


キャロウェイ「Chrome Soft X LS」-一貫性

このセクションでは、キャロウェイ「Chrome Soft X LS」の「一貫性」について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。

キャロウェイ「Chrome Soft X LS」- 一貫性


「Chrome Soft X LS」では「一貫性」に劣るボールも確認されたが、今回の測定で得られたデータはキャロウェイが正しい方向(品質の向上)に向かっていることを示している。


2021年キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」

2021年キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」


重量の一貫性

・「重量の一貫性」に欠けていることは、グラフから明らかだ

・「Box 1」 は平均して重く、「Box 2」 は軽めだった。「Box 3」 は適度にバランスが取れていた。しかし、USGA の最大重量を超えていたボールが1個確認された


直径サイズの一貫性

・「Chrome Soft X LS」の「直径サイズの一貫性」は、平均範囲内だがやや低いレベル

・サンプルボールはやや大きめだった


コンプレッションの一貫性

・「X LS」の「コンプレッションの一貫性」は平均範囲内

・サンプルボール内のコンプレッション差は8.5ポイントで、データベースの平均を上回り、これまで測定したキャロウェイボールの中では最も優れている

・各ボールで測定した3点間の平均コンプレッション差も平均範囲内にあった。3.5 ポイント以上の変動は見られなかった



TRUE PRICE-ボールの真の価格-

「True Price」は、ゴルフボールの「品質」を独自に数値化した指標だ。これは、「優良ボール1ダース(12個)の対価として必要な金額」を表す。

「Ture Price」は常に「小売価格以上の金額」になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。



キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」-まとめ

詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義、「True Price」の測定については、MyGolfSpy 『Ball Lab』ページを参照いただきたい。

キャロウェイ「CHROME SOFT X LS」-まとめ


良かった点

・「平均コンプレッション」と「直径サイズの一貫性」に優れている

・目視検査では、明らかな欠陥は見つからなかった


悪かった点

・「重量の一貫性」は、改善の余地がある


最終スコア

キャロウェイ「Chrome Soft X LS」の総合スコアは72。

今回の測定結果は、キャロウェイの「品質」に関してはまだ改善の余地があるものの、「Chrome Soft」ラインは全体的に「品質」と「一貫性」が向上していることを示している。

「Chrome Soft X LS」の「TRUE PRICE(真の価格)」は 49.32 ドル。小売価格に対して3%オーバー(増加率)という結果だ。