2025年は20モデルのソフトスパイクシューズをテストした。2025年のテストでは、ソフトスパイクシューズを20モデル徹底検証した。
1足あたりの鋲は平均で約7個──テスト全体では、100個以上の鋲があらゆるライや傾斜、コンディションで踏み込まれてきたことになる。ただし、重要なのは「数」ではない。ソフトスパイクシューズの本質は、「グリップ力」と「安定性」。この2つが噛み合ったとき、スイングにパワーと再現性が生まれる。快適性重視のスパイクレスとは設計思想が異なり、スパイクシューズは「強く踏み込めること」「下半身がブレないこと」を最優先に設計されている。鋲の配置や効き方は、ティーショットや傾斜、雨や朝露の場面で、足元の安心感を大きく左右する。そして2025年の『ベストソフトスパイクシューズ』は、その完成度が一段違う。パワーと安定性を備えながら、履いた瞬間から快適──たとえ前のラウンドで109を叩いていても、「今日は振れそうだ」と思わせてくれる一足だ。ここから先は、データと実戦感覚の両面から、あなたに合うソフトスパイクシューズを絞り込んでいく。
2025年版 『ベストソフトスパイクシューズ』
「ソフトスパイク」か、「スパイクレス」か。多くのゴルファーが一度は迷う選択だ。
だが、ツアープロの足元を見れば答えは明確。勝負どころでは、「スパイク」シューズが選ばれている。「スパイクレス」も年々グリップ性能を高めている。ただし、パワーと安定性を数値で積み上げていく領域では、「ソフトスパイク」シューズの優位性は今なお揺るがない。強く踏み込んだときに足元が逃げない。体重を乗せた瞬間、地面からの反力をしっかり受け取れる。その差が、ヘッドを振り切れる安心感につながり、結果としてショットの再現性を高めていく。「もっと強く振れたら──」「ここ一番で、足元がブレなければ──」「18ホールの終盤でも、前向きに構えられたら──」そんなゴルファーにとって、2025年の『ベストソフトスパイクシューズ』は、プレーを底上げする現実的な選択肢だ。「総合」第1位 アディダス「TOUR360 24」
こんなゴルファーにおすすめ
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スパイクの安定感は欲しいが、履き心地には妥協したくない人:
ソフトスパイクシューズでありながら、足を入れた瞬間の感触がとにかく柔らかい。ミッドソールはクッション性に優れ、アッパーにはしなやかなレザーを採用。いわゆる“スパイク特有の硬さ”を感じにくく、自然な履き心地が続く。「スパイクは気になるけど、硬そうで敬遠してきた」というゴルファーにこそ、まず試してほしい。
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足元の安定感を最優先したい人:
アディダス「TOUR360 24」は、硬い「TPUソール」により優れた安定性を発揮。フィット感も秀逸でそれがシューズ全体の安定した履き心地につながっている。
こんなゴルファーにはおすすめしない
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足幅が広めの人:
アディダス「TOUR360 24」は、やや細めのフィットで、特につま先周りがタイトに感じられる。足幅が広い場合は、購入前に必ず試着することをおすすめする。
最終評価
アディダス「TOUR360 24」は、2025年のテストにおいても総合評価トップに立ち、2年連続で『ベストソフトスパイクシューズ』の座を守った。安定性、グリップ力、快適性──どれか一つが突出しているというより、すべてが高いレベルでバランスしているのが最大の強みだ。スイング中の安心感と、18ホールを通して続く履き心地。この2つを同時に求めるゴルファーにとって、大きな弱点が見当たらないという事実は、それだけで大きな価値になる。「まず失敗しないソフトスパイクシューズを選びたい」そう考えるなら、「TOUR360 24」は最有力候補のひとつだ。
テスターたちの声
テスターから特に評価が高かったのは、かかと部分の「BOOST(ブースト)」によるクッション性に優れたミッドソール素材と、足当たりの良いレザーアッパーの質感だ。また、足全体を包み込む「TOUR360 Wrap」システムについても、スイング時の安定感につながる設計として好意的に受け止められた。その一方で、フィット感に関しては意見が分かれた部分もある。全体的にやや細めに感じるという声が一部のテスターから挙がっており、足幅によってはタイトに感じる可能性がある点は留意したい。
専門家の視点
アディダス「TOUR360 24」は、2年連続で『ベストソフトスパイクシューズ』に選ばれた。あらゆるカテゴリーでこれほど高いパフォーマンスを発揮するモデルは、そう簡単には見つからない。それほど完成度の高い一足だ。
第2位 ペインター「Eighty-Seven SC」
こんなゴルファーにおすすめ
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素材感や作りの良さにもこだわりたい人:
ペインター「Eighty-Seven SC(エイティー・セブン・エスシー)」は、履いた瞬間に作りの違いが伝わってくるモデルだ。素材の質感、足当たり、全体の仕上げ──どれを取っても、価格帯に見合った完成度がある。単に高価という意味ではなく、長く使うことを前提に選びたくなる“プレミアム感”が、このシューズの本質だ。機能だけでなく、「良いものを選んでいる」という満足感も重視したいゴルファーに向いている。
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快適性が最優先の人:
ペインターが採用する「PMX NITRO+ フォーム(クッション性と反発感を両立したミッドソール素材)」は、私がこれまでテストしてきた中でも最高レベルのフォームだ。反発力が高く快適で、足の疲労も軽減してくれる。
こんなゴルファーにはおすすめしない
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価格を抑えたい人:
ペインター「Eighty-Seven SC」は、これまでテストしたシューズの中でも高価格帯に入る。とはいえ、ただし、ソフトスパイクシューズの中でもトップクラスの性能を求めるのであれば、その価格に見合う価値はある。
最終評価
ペインター「Eighty-Seven SC」は、これまでテストしてきたプレミアムゴルフシューズの中でも、最も完成度が高いモデルのひとつかもしれない。非常に快適で、トラクション(グリップ力)性能にも優れ、主張しすぎない洗練されたデザインも魅力だ。
テスターたちの声
テスターからは、「PMX NITRO+ FORM」のミッドソールが高く評価され、歩行時の快適性が非常に高いという声が多く挙がった。一方で、一部のテスターからは、ミッドフット(足中央部)の剛性がやや足りず、ねじれを感じやすいという意見もあった。
専門家の視点
履いた瞬間に“恋に落ちた”シューズはそう多くはない。ペインター「Eighty-Seven SC」はまさにそんな一足だ。しかし、価格は220ドルと決して安くはない。ただし、「快適性と作りの良さ」、そしてソフトスパイクシューズとしての「基本性能を重視する」のであれば、その対価として納得できる内容であることは確かだ。
第3位 ペインター「Moving Day SC」
こんなゴルファーにおすすめ
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とにかく歩きやすさと快適性を重視したい人:
ペインター「Moving Day SC(ムービング・デイ・エスシー) 」は「PMX NITRO+ FORM」によって、歩行時の「快適性」が際立つモデルだ。
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グリップ力を重視する人:
スパイクと補助的なトラクション突起(歩行や安定性を支えるラバー製の突起)を組み合わせたアウトソール構成により踏み込み時の安定感が高い評価を得ている。強く振りにいった場面でも、足元がズレにくく、地面を捉え続けやすい。結果として、安心してスイングに集中できる感覚につながる。
こんなゴルファーにはおすすめしない
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足幅が広い人:
ペインター「Moving Day SC」には現時点で、足幅が広いモデルがない。標準幅は比較的ゆとりがあるものの、すべての足型やサイズに対応できるわけではない。
最終評価
ペインター「Moving Day SC」は「Eighty-Seven SC」をベースに、仕様と価格を整理したモデルだ。素材や仕上げはシンプルになっているが、「グリップ力」や「安定性」といった“プレーに直結する部分”の設計思想は共通している。プレミアム感を最優先するなら「Eighty-Seven SC」。一方で、パフォーマンス重視の「履き心地」を、より現実的な価格で求めるなら、「Moving Day SC」は有力な選択肢だ。
テスターたちの声
テスターからは、快適なミッドソールと優れたトラクション(グリップ力)性能が高く評価された。一方で、ワイド(幅広)仕様が用意されていない点を残念に感じたという声も一部で見られた。「快適性」と「グリップ力」に対する評価は高いだけに、足幅が合えば、満足度の高い一足になりやすい──。
専門家の視点
ペインター「Moving Day SC」は、価格を抑えたモデルでありながら、プレーに直結するパフォーマンス面では妥協が少ない。クッション性、トラクション(グリップ力)、安定感──これらの基本性能は、上位モデルと同じ設計思想に基づいている。そのため、「価格を下げた代わりに性能も落としている」という印象は受けにくい。プレミアムな素材感や仕上げに強くこだわるなら上位モデル。一方で、実戦で必要な性能を重視し、コストとのバランスを取りたいゴルファーにとって、「Moving Day SC」は非常に合理的な選択肢になる。
「快適性」NO.1シューズ スケッチャーズ「Go Golf Elite Vortex Rival」
こんなゴルファーにおすすめ
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予算を抑えたい人:
スケッチャーズ「Go Golf Elite Vortex Rival(ゴーゴルフ エリート ボルテックス ライバル)」は、価格と履き心地のバランスに優れたモデルだ。コストを抑えつつ満足度を得やすい一足と言える。
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とにかく快適性を最優先したい人:
2025年のテストにおいて、「快適性」の評価が最も高かったソフトスパイクシューズのひとつだ。履き心地を重視するゴルファーにとって、有力な選択肢になる。
こんなゴルファーにはおすすめしない
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強烈なグリップ力が必要な人:
「Go Golf Elite Vortex Rival」は、「快適性」の評価が高い一方で、トラクション(グリップ力)性能は控えめという結果だった。
最終評価
スケッチャーズはゴルフシューズにおいても「快適性」を軸に評価を積み重ねてきたブランドであり、この分野では毎年トップクラスの存在だ。「Go Golf Elite Vortex Rival」も例外ではない。「グリップ力」や「剛性」を最優先するモデルではないが、履き心地を何より重視するゴルファーにとって、このシューズはスケッチャーズらしい安心感のある選択肢だ。
テスターたちの声
テスターから特に好評だったのは、ミッドソールの快適性とアーチサポート(土踏まずの支え)だ。歩行時の安定感が高く、長時間履いても足裏が楽だという評価が多く挙がっている。一方、トラクション(グリップ力)については一部から不満の声もあった。
専門家の視点
正直なところ、多くの人がスケッチャーズのゴルフシューズを履いていないのが不思議でならない。「快適性」という点では、もっと注目されていい存在だ。もし自分の意見を受け入れてくれるなら、ぜひ一度このモデルを試して欲しい。
「安定性」NO.1シューズ フットジョイ「HyperFlex」
こんなゴルファーにおすすめ
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安定性を重視の人:
フットジョイ「HyperFlex(ハイパーフレックス)」は、新しく搭載された「PowerPlate」により非常に高い安定性を実現している。
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安定性だけでなく、快適性も重視したい人:
「HyperFlex」は硬さも感じられるものの、「StratoFoam」クッションにより快適性もしっかり確保している。
こんなゴルファーにはおすすめしない
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足の動きにしっかり追従する柔らかさを求める人:
「PowerPlate」によって高い安定性を確保している一方、アウトソール全体の柔軟性は控えめだ。
最終評価
フットジョイ「HyperFlex」は、2025年で最も「安定性」に優れたゴルフシューズだ。新たに採用された「PowerPlate」が圧倒的な安定性を実現しており、さらには「快適性」も大きく損なわないように仕上がっている。
テスターたちの声
テスターたちは総合的な安定性を高く評価し、歩行時の快適性も想像以上に高いという声が多かった。また、トラクション(グリップ力)性能も、強みのひとつとして挙げられている。
専門家の視点
これまで履いてきたシューズの中で、「HyperFlex」ほど「安定性」と「快適性」を両立しているモデルはそう多くない。ペインターやスケッチャーズの快適性には及ばないものの、安定性は非常に優れている。
ベストバリュー アンダーアーマー「Drive Fade」
こんなゴルファーにおすすめ
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履き心地の良さを重視しつつ、コストも抑えたい人:
アンダーアーマー「Drive Fade(ドライブ フェード)」はクッション性に優れたフォームミッドソールによって、歩行時の快適性がしっかり確保されたモデルだ。
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優れたグリップ性能が必要な人:
「Drive Fade」のトラクション(グリップ力)には、ほぼ欠点が見当たらない。
こんなゴルファーにはおすすめしない
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足幅が広い人:
アンダーアーマー「Drive Fade」の標準幅はやや細め。足幅が広いゴルファーの場合、前足部で窮屈さを感じたり、足が外側に乗るような感覚が出る可能性がある。試着を前提に検討するか、ワイド展開のあるモデルを選ぶほうが安心だ。
最終評価
アンダーアーマー「Drive Fade」は、2025年で最も「コストパフォーマンス」に優れたスパイクシューズだ。テストで1位となったモデルより70ドル安い価格ながら、はるかに高価なシューズと同等のパフォーマンスを発揮している。
テスターたちの声
テスターは、快適なミッドソールと優れたトラクション(グリップ力)性能を高く評価した。一方で、フィット感については、やや幅が狭く感じられたという意見も一部で見られた。
専門家の視点
アンダーアーマー「Drive Fade」は、上位モデル「Drive Pro」の設計思想を引き継ぎつつ、仕様と価格を現実的なラインにまとめたモデルだ。「グリップ性能」や「履き心地」といった、プレーに直結する基本性能はしっかり確保されており、価格帯を考えると完成度は高い。プレミアムモデルほどの作り込みや存在感は求めないが、性能面では妥協したくない。そんなゴルファーにとって、「Drive Fade」は安心して勧められる選択肢と言える。
その他のトップモデル
20モデルをテストした中から、特定の数モデルだけを取り上げるのは簡単ではない。ここでは、上で紹介したソフトスパイクシューズとは少し違った特性を持つ、その他の注目モデルを紹介する。
ソフトスパイクシューズの選び方
何十年にもわたってゴルフシューズをテストしてきて、ひとつだけはっきりしていることがある。それは、どのシューズも同じように作られているわけじゃないということだろう。
カタログや広告には、魅力的な言葉や最新テクノロジー名が並ぶ。だが、それだけで「良いシューズ」かどうかは判断できない。実際のプレーで差が出るのは「安定性」、「トラクション(グリップ力)」、「快適性」こうした基本性能が、どれだけ高いレベルで噛み合っているかだ。テストを重ねるほど、本当に優れたモデルと、見た目や言葉だけで評価を集めているモデルの差は、はっきりと浮かび上がってくる。この先では、その“差を生むポイント”をひとつずつ整理しながら、なぜ一部のシューズだけがトップに残るのかを解説していく。
快適性
「ゴルフシューズ」のテスト方法
2025年『ベストスパイクゴルフシューズ』|ランキング結果
(Adidas)
(Payntr)
(Payntr)
(Skechers)
(FootJoy)
(Under Armour)
(Sqairz)
(Puma)
(Under Armour)
(Sqairz)
(Sunday Red)
(FootJoy)
(TravisMathew)
(New Balance)
(Asics)
(FootJoy)
(Sqairz)
(Callaway)
(Nike)
(Duca Del Cosma)
🔗関連記事
◆2025年版 ベスト「スパイクレス」ゴルフシューズランキング
2025年『ベストソフトスパイクシューズ』Q&A
Q.「スパイクレス」と「スパイクシューズ」、どちらを選ぶべき?
A.好みによる。一般的ではあるが、「安定性」と「グリップ力」を求めているなら、「ソフトスパイクシューズ」が選ぶべきだろう。
Q.プロはスパイクゴルフシューズを履いているのか?
A.現在のツアーシーンを見渡しても、プロゴルファーの大半は、いまだに「ソフトスパイクシューズ」を選んでいる。理由はシンプルだ。強い踏み込みと回転が求められるプロのスイングでは、最大限のトラクション(グリップ力)と安定性が、結果に直結する。中には、今なお金属製スパイクを使う選手もいる。数こそ少ないが、それだけ足元のグリップを重視するプレーヤーが存在するという証でもある。
Q.スパイク(鋲)は交換できるのか?
A.ほとんどのソフトスパイクシューズは、鋲の交換が可能だ。ただ、独自規格のスパイクを採用しているモデルの中には交換できないものもある。
Q.スパイク(鋲)を付けずにソフトスパイクシューズを履けるのか?
A.結論から言えば、その使い方はおすすめできない。たとえアウトソールの補助的なトラクション(グリップ力)が機能していたとしても、鋲が装着される受け口部分に土や芝、砂が詰まってしまえば、本来のグリップ性能は発揮されにくくなる。




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