・キャロウェイの「ビッグバーサB-21」アイアンとハイブリッドは、パフォーマンス向上を求める上でテクノロジーの進化を頼りにしている高ハンディキャップゴルファーをターゲットにしている。

・「ビッグバーサB-21」アイアンとハイブリッドの主要テクノロジーは、AIを活用した『SS21フェース』と『VTEC(ビジブルタングステンエナジーコア)』、そして振動を抑制する『ウレタン・マイクロスフィア』だ。

・「ビッグバーサB-21」は、アイアンとハイブリッドともに純正シャフトとして「X-14」アイアン(2000年発売)以来となる「RCH」カーボンシャフトを採用した。

・「ビッグバーサ」は、歴史的にキャロウェイのラインナップにおいて“使える最高のテクノロジー”を搭載した製品につけている。

今回の「B-21」アイアンとハイブリッドは、ゴルフ用品の初心者カテゴリーにおける同社の最新鋭クラブの役割を果たすクラブだ。

この製品のリリースは、製品デザインにおいては常に費用対効果分析がなされるということを窺わせる。今回の場合、メリットはキャロウェイが同社の主要テクノロジーをこのモデルに詰め込んだこと。

ではマイナス点は何だろうか?もし、「上級者向けっぽい」ルックスで初心者向けのパフォーマンスを求めているなら、今回はそれに当てはまらない。

キャロウェイが、この「ビッグバーサB-21」で堂々と分かりやすい手法を取ったことは、評価したいと思う。

今回のモデルは、初心者向けとして必要なすべての特徴を実現した初心者向けクラブであり、つまりトップラインが厚くソールも超ワイドで大型ヘッド、そしてオフセットも大きい。

キャロウェイの「ビッグバーサB-21」は、「見た目以上のもの」が備わっているわけではなく、テクノロジーの進化を通じて優れたパフォーマンスを得られる可能性が一番ありそうなゴルファーをターゲットにした用品にちゃんと見えるのだ。

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キャロウェイ 「ビッグバーサB-21」アイアン

数字と文字を組み合わせた商品名は“ゴルフ業界あるある”だ。しかし、なぜか「B-21」はなんとなくスターウォーズ的な感じがする。「ローグ」「エピック」「マーベリック」のようなネーミングの後に「B-21」なんて、平凡に感じるのだろう。

とは言え、「マーベリック」の次は何なら適当なのか?「ビッグバーサ・コンプリート・リベリオン(完全反逆)」か?「ビッグバーサB-21」アイアンにテーマ曲があるなら、リル・ジョンの「Shake what your momma gave ya.」だろう。

今回のアイアンはゴルフ用品の “お父さん体型”。意図的に分厚く、初心者向け要素が詰まっている。個人的には問題ない。

パフォーマンスという点では、「ビッグバーサB-21」は「マーベリックMAX」が比較対象となるだろう。「マーベリックMAX」も初心者向けカテゴリーのクラブと言えるので、これは肯けること。

「ビッグバーサB-21」は、「マーベリックMAX」よりも、より易しく、打ち出しも高く、よりスピードが出ると言えるだろう。

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「ビッグバーサB-21」の特徴

「B-21」アイアンでは、AIによる『フラッシュフェースカップ』により各番手でより安定したパフォーマンスが可能になる。

簡単なまとめ:キャロウェイの開発者たちは、様々なデザインと内部構造を構築するためにスーパーコンピューターを用いている。キャロウェイの公表によると、人工知能(AI)により従来の設計手法を取ることが少なくなったことが利点の一つということだ。

確かに、設計反復に関する重たい作業のいくつかを行う上でコンピューターに頼っているメーカーは、キャロウェイに限ったことではなく、実際のところ各メーカーもある程度、同様のことを実践している。

とは言え、キャロウェイは2019年の「エピックフラッシュシリーズ」以降、一貫して差別化のポイントとして「AI」を訴求しており、競合他社に勝るメリットになると信じているようだ。

そんな「AI」が可能にしたことの一つに、ロフトごとに異なるフェースデザインがある。「ビッグバーサB-21」の場合だと、ショートアインでは安定した打ち出しを、ロングアインでは高打ち出し、高スピンを実現することに主眼が置かれているのだ。

そして40g以上あるタングステンをトゥエリアに再配分することで、重心をフェースの幾何学的中心に寄せている他、『ビジブルタングステンエナジーコア(VTEC)』をキャビティの低・後部に配置し、セットを通じて打ち出しが高くなるようにしたという。

また、『ウレタンマイクロスフィア』をフェース背部、キャビティ内部に配置。この素材により、“ハイスピード・極薄フェース”で起こる“不要な振動”を抑制することが可能だ。

弾性ポリマーは完全に固まっているわけではないので(マイクロスフィアは基本的に極小の気泡の集まりである)、“フェースのたわみ”に抵抗することはない。

分かりやすく言うと、これはインパクト時の打感が良くなることに加え、ボールスピードを最大化させる上で“必要な分だけフェースがたわむ”ことを意味している。


「ビッグバーサB-21」ハイブリッド

ハイブリッドは、アイアンよりもヘッド体積が大きいため、開発者の設計自由度が高いことが特徴となっている。

そして、「ビッグバーサB-21」はハイブリッドの構成を見てみると、ロングアイアンの代わりというより小型版フェアウェイウッドに近い。要するに、テクノロジー系の話は、最近のキャロウェイ・フェアウェイウッドに似たもとなる。

今回のキャロウェイ「ビッグバーサB-21」ハイブリッドは、『AIフェース構造』と『ジェイルバック・テクノロジー』、『メタルインジェクション製法』によるタングステンウェイト、そして『T2Cカーボンクラウン』が特徴だ。

またアイアン同様、『SS21』のAIフェースは、ボールスピードを最大化することに着目し“フェースの厚み”に特化している。

「ビッグバーサB-21」ハイブリッドでさらに注目すべき点は、できるだけ余剰重量を取り出しヘッドの低/後部に再配置したこと。重心が低/後部にあると、理想的な打ち出しができるほどのスイングスピードを持たないプレーヤーが、高く打ち出せるという利点があるのだ。

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クラブ設計において、「重量」はある種の“通貨”のような役割を持つ。クラブヘッド内でウェイトを再配置すると、ヘッドの特性が変わりパフォーマンスも変化する。

通常ヘッドが軽くなればなるほど動かせる重量を獲得することは難しくなるわけで、200g以下・460ccのドライバーより圧倒的に重いフェアウェイウッドやハイブリッドの方が、ウェイトシフトは圧倒的に簡単というわけだ。

とはいえ、キャロウェイでは、タングステンウェイトを使用するために約70gの余剰重量を編み出し、できるだけ重心を低/後部に設定することに成功している。

では、この「余剰重量」はどこから生まれたのだろうか?

『T2Cカーボンクラウン』は前作よりも5、6gほど軽量化されている。今回キャロウェイは、『アジャスタブルホーゼル』を採用するのではなく、番手ごとのロフト角を増やすことにした。

その理由として、2つの要素が挙げられる。一つは、アジャスタブルホーゼルは重たいので、この重量を他の場所に活用した方が良いと考えたから。

もう一つは、オフセットを増やすかアジャスタブルホーゼルを採用するかのどちらかを選択することはできるが、両方は無理だから。結局、キャロウェイとしては、対象ゴルファーは調整機能よりも“オフセットを増やす”ほうがメリットを得られると考えたというわけだ。


スペックとシャフト

スペックで見ると、今回の「ビッグバーサB-21」アイアンは、基本的にキャロウェイの主力初心者向けアイアンシリーズ「マーベリック」のオーバーサイズアイアンと言える。

大きなオフセット、厚めのトップライン、ヒールからトゥまでが長い、ヘッド全体の投影面積が大きい、など「マーベリック」との差は見た目で十分判断できるだろう。

そしてロフト角だ。

静的ロフトは単なるスペック表の数字に過ぎない。というか、デザインの基準としては重要ではない数値だろう。究極を言えば、ゴルファーはそれぞれの番手によるショットタイプ(打ち出し、スピン、入射角、キャリー、合計飛距離)に注目した方が良いはずだ。

それはさておき、「ビッグバーサB-21」のPWのロフトは43度で、同じカテゴリーの他のアイアンほどストロングロフトではない。実際のところ、「マーベリック」のPWはこれよりも2度ストロングだ。

私は、ロフトなんてどうでも良いと言っているわけではない。というよりも、一部の人が考えているほど重要ではないということ。一般的に、スペック上の一つの数値ではなく基本的なショット特性(打ち出し角、スピン量、入射角、キャリー/合計飛距離)に注意を払った方が良いだろう。

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「RCH」復活

今回のアイアンの標準スチールシャフトは「KBS CT80」だ。しかし、注目すべきは古すぎてほぼ忘れ去られた名前を復刻させたカーボンシャフトだろう。

20年間。これはキャロウェイが、最後に自社のクラブに独自の「RCH」カーボンシャフトを装着してからの月日だ。実際、「RCH99」カーボンシャフトが採用されたのは、2000年ごろに発売された「スティールヘッドX-14」アイアンが最後となっている。

アフターマーケットのシャフトがゴルフ界で認知される前の1990年代は、キャロウェイの各クラブシリーズに「RCH」シャフトが装着されていた。当時は、主流のシャフトメーカー(アルディラ、三菱レイヨン、グラファイトデザイン)が、クラブメーカー向けに自社ブランド品としてシャフトを製造していたのだ。

で、そのシャフトが復活したというわけ。そして、表向きは良くなったように思える。

20年が経ち、自社シャフト市場は控えめに言っても“ごちゃ混ぜ”状態だ。本当の普遍的な定義のない用語が出回っているのが実情で、「〜〜用」「本格派」「自社製」「共同デザイン」「アフターマーケット」はその一部。特定のシャフト同士で全然違うときもあるし、コスメとマーケティング上の難解な表現の差だけに過ぎないこともよくある。

ともかく、「ビッグバーサB-21」アイアンとハイブリッドに「RCH」シャフトが装着されたということを押さえておこう。

「B-21」アイアンには「RCH」シャフト(55g、65g、75g)が標準で装着可能、ハイブリッドには65gが装着されている。


なぜ今なのか?

キャロウェイからのリリースによると、「ビッグバーサのヘッドと完璧に機能するシャフトシリーズが欲しかった」ことを理由に、異なる方向に進むことを決定したとのこと。「社内にはたくさんのシャフトに関する知識があり、設計について何年もシャフトメーカーと取り組んできた実績もある」としている。

コメントの最初の部分は、多くのメーカーがいわゆる自社シャフトの必要性を伝えるものとして使われる言葉だ。「それ用」に製造されたシャフトは、多くの場合、高価なアフターマーケット版のようなコスメになっており、大抵のゴルファーは(違いが)わからない。

一方で、後半部分には私の好奇心も刺激された。キャロウェイにはシャフト知識が豊富な内部スタッフがたくさんいることは間違いないだろう。まず間違いない。

しかし、大手シャフトメーカーが、シャフト設計に関してキャロウェイと情報交換しているとは思えない。少なくとも、シャフトメーカーが大手用品メーカーとそんなことをするはずはないだろう。

一般的に、自社シャフトだろうが、「そのクラブ用のシャフト」だろうが、「シリーズ」に特化したシャフトだろうが、一番重要なことはコストであってパフォーマンスではないのだ。

キャロウェイは、機密保持契約を理由に、「市場で最も有名で高評価を得ているシャフトメーカーの一つ」ということ以外、どのメーカーが「RCH」シャフトを製造しているのかを明らかにしていない。

この情報がなければ、多くのゴルファーは「RCH」シャフトと言えば、フジクラやアルディラ、あるいは三菱レイヨンではなくキャロウェイを連想するだろうし、キャロウェイは恐らくそれが狙いなのだろう。

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最後に

1991年、キャロウェイはドイツ製の「ビッグバーサ榴弾砲」に敬意を表した190ccのドライバーを発表した。

それ以来、「ビッグバーサ」という呼称は、キャロウェイが革新的で影響力があると考える主要テクノロジーを打ち出す際に用いられており、同社ではその一例として『タングステンウェイト』と『カップフェース・アイアンテクノロジー』を挙げている。

さて、あなたの感想は?「ビッグバーサB-21」は、ゴルファーが初心者向けクラブに求めるニーズを見直すようなクラブと言えるだろうか?


キャロウェイ「B-21」の価格と発売時期

キャロウェイ「B-21」アイアンは#4-PW、AW(ギャップウェッジ)、SW、LWがラインナップ。

純正スチールシャフトはKBS CT80でカーボンシャフトはキャロウェイRCH(55/65/75)だ。価格は7本セットで899.99ドル(スチール)か999.99ドル(カーボン)。

キャロウェイ「B-21」ハイブリッドは、3、4、5、6、7、8番がラインナップ。調整機能はついていない。純正シャフトはキャロウェイRCH(65)で価格は249.99ドル。

発売日は9月10日。


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