・本間の「T//World GS」フェアウェイウッドとハイブリッド

・主なテクノロジーは、「ドローバイアスウエイト」、「クランクスリット」、「中級者向けグラフィック」など

・小売価格は249ドルから


本間の「T//World GS」シリーズは、北米のゴルファーに向けた主力製品の中で、最も重要なものだと言ってよいだろう。

理由は簡単。ほとんどのゴルファーはいわゆるアベレージだ。そして、もし(製品の)広がりを最大化したいのであれば、最も人数が多い顧客層にアピールする製品を持つことは理にかなっている。

クラブメーカーはこの層を礼儀正しく「中級者」と呼ぶことが多い。ゴルフは非常に難しい(時折不可能にも思える)ゲームだ。そして、ゴルフをする我々の多くは、ミスを晒すのではなくミスを軽減するための道具を必要としているのだ。


本間ゴルフ,T//WORLDGS,フェアウェイウッド,ハイブリッド,ゴルフクラブ,ゴルフ

多くのゴルファーは、本間といえば、金メッキを施したきらびやかで派手な「Beres(ベレス」」シリーズを思い浮かべることだろう。1本4,500ドルもするクラブなのだから当然その印象は強いはずだ。

そして、もし脳裏に浮かぶのが「Beres」でないとすると(本間はきっとそうでないことを望んでいるだろうが)、次に多い答えは「ジャスティン・ローズ」とくるだろう。

「Beres」の話は別の機会にするが、「T//World」は別会社の製品といってもいいほど大きく異なる。基本的には、見た目から価格帯、そしてターゲットとなる顧客まで全部だ。


ともかく「GS(Gain Speed=ゲイン・スピードの略)」の話に戻すと、北米市場での本間の主力商品は「T//World(ツアーワールド)」だ。「T//World」が木だとすると、「TR」と「GS」はその枝にあたる。

本間の「TR」は、より完成度の高い(というか上手い)プレーヤー向け。かたや「GS」は、中級ゴルファーをターゲットにしている。

繰り返しになるが、この層のゴルファーは、理論上ベルカーブの最大数だ。別の表現をするなら「Joe 3-putt and Susie 7-hybrid」といったところだろうか。多くの場合、中級者向けクラブには幅広いパフォーマンスの目標が含まれる。また、この手の製品は、上級者向けと初級者向けの中間的な役割を果たしている。


「T//WORLD GS」フェアウェイウッドとハイブリッド

本間の「GS(Gain Speed)」シリーズは、従来の「XP(Extreme Performance)」シリーズに代わるものだ。しかし、日本の伝統に根ざしたブランドらしく、ほとんどの変更点は繊細なものだ。形状や光沢の仕上げも同様。

また、本間はフェアウェイウッドとハイブリッドの両方で「固定ロフト(調整不可)」のホーゼルを採用した。

その上で、特徴はゴルフを向上させる3つの重要なテクノロジーが中心となっている。


本間ゴルフ,T//WORLDGS,フェアウェイウッド,ハイブリッド,ゴルフクラブ,ゴルフ

中級者向けの「GS」

ほとんどの場合、フェアウェイウッドの技術的な話を同シリーズのハイブリッドの説明にコピー&ペーストして使い回すことができる。

そして本間の「GS」フェアウェイウッドとハイブリッドの場合、それはまるでコピー機を使ったかのように似通っている。形状の違い以外は、ほとんどがコピペだといえる。ロフトを増やし、長さを短くすれば、それだけで完成。

本間の「GS」フェアウェイウッドとハイブリッドには、3つの主要テクノロジーが採用されている。『設計理念』という表現の方が正しいかもしれないが、言っている意味はわかってもらえるだろう。


1つ目は、「ドローバイアスウエイト」だ。これは簡単に言うと、ヒールに向かって追加のウエイトを配置するクラブ設計になっているということ。質量特性に関する考察は、真の意味での「技術」とは感じられないかもしれない。

また公平を期すと、これは可変ウエイトやその他の目に見えるウエイトシステムとは対照的な内部ウエイトのことを指す。


それはさておき、ヒールへの重量配分が増えれば増えるほど、インパクト時にフェースをスクエアにすることが楽になる。どれぐらい?その答えは、プレーヤーによって異なる。

しかし、多くのアベレージゴルファーがそうであるように、スライスに悩まされがちならば、ドローバイアスのウエイト位置が答えの一つになるかもしれない。


本間ゴルフ,T//WORLDGS,フェアウェイウッド,ハイブリッド,ゴルフクラブ,ゴルフ



「クランクスリット」という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。「スリット」についてはわかりきっている。ウッドの設計では、ソールのリーディングエッジの下に何らかのスリットやギャップがあるのが一般的だ。主な目的はフェースをたわませてボール初速を上げること。

また、本間はクランクスリットによってスピン量が減るだけでなく「寛容性」が増すと主張している。理論的には、「クランクスリット」が「CG(重心)」を低くし、少しでも前に押し出すのに役立つのであれば、それは理にかなっている。

では「クランク」についてはどうだろう。悩ましいじゃないか。もしかしたら、ヒールとトウに向かって少し大きくなっている2つの部分が、これまでの設計とは「反転」しているのかもしれない。あるいは共通のデザイン上の利点を生かして、差別化を図っているのかもしれない。


3つめにして最後の特徴は、完全に目に見えるものだ。「ゲームインプルーブメント・グラフィックス」という言葉を本間は使っている。

「GS」フェアウェイウッドとハイブリッドにおいて本間が最も重要だと考えているのは実は「グラフィック間のスペース」だ。アドレス時にゴルファーが目にするのは、クラウン後部に沿って配置された「2つの三角形」のグラフィック。

このグラフィックの切れ目は、はっきりとヒールを指している。本間によると、このヒールバイアスのクラウングラフィックの目的は、「インパクト時にクラブフェースをスクエアに戻すことをゴルファーに促すため」ということらしい。

線や形、色は、ゴルファーが重要な情報を認識する際に大いに影響を与える。パターやボールに視覚技術が使えるなら、ウッドに使ったっていいじゃないか。


本間 「T//WORLD」のシャフトおよびスペック

本間ゴルフ,T//WORLDGS,フェアウェイウッド,ハイブリッド,ゴルフクラブ,ゴルフ

本間は基本的に、意味のない「専用設計」シャフトを出して、はるかに高価なカスタム用のシャフトと(ほぼ)同じように塗装し、消費者が気づかないよう願うようなブランドではない。その最大の理由は本間が自社でシャフトを設計、製造しているためだ。

本間の「GS」フェアウェイウッドとハイブリッドの純正シャフトは「SPEEDTUNED GRAPHITE(スピードチューン グラファイト)」、日本の酒田工場で設計されている。

これは同じく日本で設計、製造されている「VIZARD(ヴィザード)」シリーズのシャフトの改良版とは大きく異なる。本間は、「SPEEDTUNEDシャフト」の製造地を明確にしてはいないが、コストが重要であると考えるのが妥当だろう。

本間の「GS」フェアウェイウッドには、3/15°、4/16.5°、5/18°、7/21°の4種のロフトがある。「GS」ハイブリッドは、3/18°、4/21°、5/24°の3種。


じっくり考えるべきこと

本間ゴルフ,T//WORLDGS,フェアウェイウッド,ハイブリッド,ゴルフクラブ,ゴルフ

「TR20/21」を担当したデザインチームは、「T//World GS」のブレーンでもある。しかし、様々な理由でそのチームはもう存在しない。「TR20」シリーズが成功したのは、日本の伝統的な見た目とアグレッシブな技術の融合が、北米のゴルファーにとって魅力的に映ったせいもある。

だからこそ次の展開が気になるところだ。「GS」シリーズが従来の「XP」シリーズに比べて大幅に改善されているのであれば、本間はまた何か別のものを用意しているのだろうか。

予報は曇りかなんて誰にも分からない。皆の意見を聞きたいところだ。