(あえて)見た目で惑わす。前提として、ミズノの「ES21」ウェッジにはこれがある。

会社でもゴルフコースでも実際に身につけられる服。南国で行われる仕事の会議。マレットヘアー。自分たちが願ったように見られて、必要な時に役に立つものは、全て本当に貴重なものだ。

これが多機能性の優れたところだろう。

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実のところ…

ミズノでは、「ES21」が初心者向けウェッジではないということに頑なだ。もう一度言うと、この新作はビギナー向けではないという。

これは、バックフェースからの見た目が「トラディショナル(伝統的)じゃない」ので、伝えておかなければならないことだ。

私の直感では、ユーザーのほとんどが「ES21」を一目見て、クリーブランドの「スマートソール」やキャロウェイの「シュアアウト」と同様のウェッジと捉えるはず。しかし今回の「ES21」は、そうじゃない。

言い方を変えよう。ミズノが、CM契約をするためにすぐにアーロン・オバーホルザー(TV通販番組に出演する元プロ)に連絡することはないということ。今回は「C3i」ウェッジ(TV通販で売られている“お助けウェッジ”)のミズノ版TV通販などではないのだ。

逆にミズノでは、この「ES21」ウェッジにはより多用性があり、パッと見たその見た目よりも上級者に向いているとしている。

そしてテクノロジー面では、重心位置とスピン性能、そしてこのウェッジデザインで新機軸を打ち出すことが話の中心となっている。



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もう少し続きを…

サンドアイアン。サラゼンウェッジ。サンドウェッジ。どう呼ぼうが、ウィルソンの「R90」ウェッジが誕生してからというもの、ウェッジのデザインは他のクラブカテゴリーに比べて一番進化していない。

本当に玉砕覚悟で言うなら、現代のウェッジデザインがパフォーマンスを向上させるどころか制限していると言ったってよいだろう。

ミズノはこれまで交互にウェッジをリリースしている。ある年がティアドロップデザインで上級者向けの「T」シリーズなら、翌年は大型ヘッドで寛容性があり中・初級者が好みそうな特徴を持つ「R」や「S」シリーズを発売してきた。

しかし、ゴルファーが引きつけられていたのは「T」シリーズだったため、ミズノは「R」と「S」シリーズの発売を中止。これにより(楽天家ならチャンスと言うだろうが)ラインナップに空白が生まれたのだ。

そこで誕生したのが「ES21」ウェッジだ。

ミズノでは、業界初の重心がど真ん中にある軟鉄ウェッジとアピール。

「ES」は、「Enhanced Spin(スピン量アップ)」のことで、「21」はディオン・サンダース(メジャーリーグとNFLでプレーした元二刀流選手)に敬意を表しているのでなければ2020年ですべきことはほぼ終了したということを示唆しているのだろう。

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ミズノ「ES21」ウェッジの素材

ミズノの「ES21」ウェッジ は、「MP-20HMB」アイアンの構造をヒントにしている。ミズノ的に言うと、中空グレイン・フロー・フォージド構造を採用。

具体的には、ホウ素を注入した1025グレイン・フロー・フォージド・フェース/ネックを431ステンレススティールのボディに溶接している。

これにより生まれた余剰重量が、トゥ側高部に再配分されている。案の定、重量が増えるとその部分が大きくなるわけで現行の「T20」ウェッジと比べると、「ES21」のトゥは明らかに高くなっている。

キャロウェイの「PMグラインド」やテーラーメイドの「ビッグフット」ほど見た目はおかしくないが、トラディショナルなデザインと感じることもないだろう。

そして、この形状になったことでミズノでは重心をクラブの幾何学的中心に配置することが可能になった。真ん中に近かったり、クラブフェースの真ん中寄りということではなく、正に真ん中。

なんとも皮肉なことに、多くのゴルファーがそこにスイートスポットがあると考えている正にその場所だ。

ホーゼルは重いため、従来のウェッジだとそこまで周辺重量配分を実現できず、結果として重心がわずかながらヒール寄りになる。

スイートスポットがヒール側にある場合、上級者はフェースセンター寄りで打つものなのでパフォーマンスを犠牲にすることになるというわけだ。おかしな話だろ?


ミズノ「ES21」ウェッジの見た目

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ミズノの「ES21」ウェッジは、ちょっとした錯覚により、アドレスで「T20」のトップラインよりも薄く見える。

とはいえ、見た目にこだわるゴルファーの多くが「T20」のトップラインを不快に感じているわけでもないのだが。

いずれにせよウェッジの世界において、分厚いトップラインは不人気なのだ。

「ES21」のヒールからトゥまでの長さは「T20」と同じで、「ES21」の薄いソールは「T20」のローバウンスグラインドのような働きをする。

店頭に「T20」と「ES21」が並んでいたら、間違える人もいないだろう。しかし見た目はさておき、「ES21」は大なり小なり「T20」の高重心モデルのように感じる。

「ES21」の特徴はブラックイオン仕上げとブラックの「KBS Hi-Revシャフト」(110g)、そしてブラックのラムキンの「ST Hybridグリップ」であり、とにかく、黒のオンパレードだ。


ミズノ 「ES21」ウェッジの性能

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念のために言っておくと、まだ私たちは「ES21」をテストしていない。しかし、ミズノは普段からパフォーマンスをでたらめにPRすることはないので、現時点ではミズノの情報からお伝えしても良いだろう。

今回の「ES21」は「重心位置」が決定的な特徴だ。重心位置を語る上でつきものなのが、それが(モデルによって)「変動する」ということ。

このモデルの重心位置が“特筆すべきこと”であるなら、それは前作の重心位置がどうであったか?ということにも関係してくる。

今回の場合、重心は高くて深い。具体的に言うと、今回のウェッジは3.5〜4mm深く2mm高く設定されている。

豆知識:従来のウェッジだと、厳密に言うと重心はクラブヘッドの外(前側)にある。数字オタクなら、重心位置はマイナスの数字になるということだ。

また今回のミズノ 「ES21」ウェッジでは、重心がシャフトから(トゥ側に)11mm離れている。この程度の重心の横方向への移動であれば、クラブヘッドがそれに比例して大きくなる限りデザインも簡単だ。

しかし、ミズノではヒールからトゥまでの長さが「T20」と同じにもかかわらず、11mmも重心をトゥ側にシフトさせているのだ。開発目線で言うと、これはすごいことだ。


ミズノ 「ES21」ウェッジの重心

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重心位置は、ショットの打ち出しとスピン量を語る上で欠かせない。一般的に、高重心だとよりスピンがかかり打ち出し角は低くなる。理論的には、これにより上級者が、精度が重要となる場面でショットをよりコントロールすることができる。

さらに話を進めると、重心位置は、ヘッドローテーションと縦方向のギア効果によるスピン量の増減にも影響する。簡単に説明しよう。

全ての条件が同じ場合、ヒール寄りに重量があるクラブはインパクトに向けて「早めにフェースを閉じる」傾向がある。これは、スライスを軽減させたい方や、ドローを打ちたいゴルファーにとってはメリットだ。

しかし、スイートスポットがより中央にあると、オフセンターヒット時のヘッドのブレは小さくなりフェースからの球離れが遅くなるため、結果としてスピンを最大化させることが可能になる。

また、深いラフからチップショットやピッチショットをするときにはフェースを「開いたままに」しておくこともできるのだ。

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最適なインパクトは最適な打ち出し角とスピン量を生み出す。しかしこれは、私たちがそこまで上手ければという話。現実は違うのだ。

ミズノによると、高重心はオフセンターヒット時により良いスピン特性を発揮するという。

これは、重心の少し下に当たる(トップする)とよりスピンがかかり、フェースの上部に当たってもスピンロスはそこまでではないということだ。

これは、フェースのどこに当たっても素晴らしい結果になるという意味ではない。

悪いショットが、そこまで悪い結果にはならないということ。時として、“良くなる”ということは、つまり“そこまで悪くはならない”ということと同義なのだから。でしょ?


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ご想像通り、ミズノは、「ES21」にも溝の深さを調整した独自のクワッドカットグルーブとハイドロフロー・レーザーミルド加工を採用。

現時点で業界標準となっているが、ロフトが立ったウェッジでの深くて狭い溝と、ロフトが寝ているクラブでの幅広でシャローな溝により、番手ごとにさらに理想的なスピン量/打ち出し角を実現させている。

ミズノの「T20」ウェッジは、2019年Most Wantedテストの「濡れた状況vs乾いた状況」において、そのパフォーマンスにより他を圧倒した。その要因となったのが、「ハイドロフロー・マイクログルーブ」。

濡れた環境でのウェッジのパフォーマンスはスピンを保つことが全てであり、溝と溝の間にレーザーミルド加工を施すことで、水分とゴミをフェースから取り除き、さらに安定したボールとフェースのコンタクトを可能にしているのだ。

ウェッジとタイヤには、共通点が多いなんてだれが想像しただろうか?

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バウンスオプション

「ES21」ウェッジには、「ノーマル」と「ワイド」という2つのソールオプションがある。「ノーマルソール」は「T20」のローバウンスに相当するもので、上級者をターゲットにしており、より多用性がある。

「ワイドソール」はソールが「T20」よりも10〜15%ほど幅広だが、リーディングエッジの高さはほぼ同等だ。全ての条件が同じなら、計測上のバウンスは2度少ないものの、「ES21」の方がより効果的にバウンスを使えるようだ。

つまりこう考えると良いだろう。「ノーマルソール」は程度の差はあるが、ほとんどの上級者に合う万能ウェッジで、「ワイドソール」は脱ザックリのデザインで、ハイバウンスウェッジで当たり前のメリットが全て搭載されているクラブなのだ。

見た目に惑わされるかもしれない。しかし、繰り返すがそれはあなたの見方次第。今回ミズノは、「ES21」ウェッジで全く新しいウェッジカテゴリーを創造し始めた。

そのミッションは達成されたのか?あるいは、まだやるべきことあるのだろうか?

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ミズノ「ES21」ウェッジの価格と発売時期

ミズノの「ES21」ウェッジは、右利き用のみで価格は200ドル。

プレセールは8月31日にスタートし店頭に並ぶのは9月17日からだ。


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