今回発表されたミズノの2020年モデルとなるST200ドライバーシリーズは、キャッチフレーズが重要だ。

それは「Tour Ready/World Ready」となっており、本リリースの重要性を理解するには説明が必要だろう。

そして間違いなくミズノにとって一番大切なことになるだろう。

ミズノは、日本、欧州、そして北米に支社がある一企業ではあるが、3つの別会社のように機能していることがある。

大シスマ(ローマカトリック教会の歴史的な大分裂)のような組織的な問題ではないが、コミュニケーションと一体的な成長計画を遂行するために生じた課題は厄介なことでもあった。

成長とは、厳しい現実に立ち向かう気持ちがあるときだけのみ可能であるし、ミズノがアイアン偏重のメーカーに甘んじてきた(甘んじし過ぎたと思う人もいるだろう)というのは間違いない。

つい最近まで、ミズノの内部には、ウッドは必要ではあるがオマケに過ぎないという声も挙がっていたほどだ。

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今のミズノはこうした認識を変えようとしているが、それを実現するには2つの目標を達成する必要がある。

まず、その製品がカテゴリーを牽引するドライバーとまではいかないまでも同様の性能を発揮すること。そして、契約プロに自社のフラッグシップドライバーを試合で使ってもらうことだ。

2019年のホンダ・クラシックで、キース・ミッチェルが契約上の縛りはなかったもののST190ドライバーを使い優勝したことは注目に値するが、これら2点は密接に関係している。

ミズノが今後も成長するためには、契約プロ全員に自社のドライバーを使わせる必要があるだろう。これは多くのメーカーでは一般的なことだ。

「Tour Ready」についてはこれが説明となる。

「World Ready」とは、一元化され一貫性のあるネーミングの用品提案を実行することだ。

2019年はミッチェルが優勝したことで、ST190は切望していた注目モデルと評価を受けた。しかしそれと同時にMP 435 Type-1、MP 460 Type-2、MX-330、GX、そしてMizuno Pro MODEL-Sといくつものモデルのドライバーがプロツアーで使用された。

アイアン、ウェッジ、フェアウェイウッド、ハイブリッドについては言うまでもない。これではユーザーが混乱するだけではなく、ブランドマネージメントという視点で見れば最悪。

ゴルファーが、そのモデルが現行品か前作シリーズか、日本限定モデルか地元の試打会で体験できるのかをある程度判断できない場合、ツアーでの使用率から市場の信頼性を確立することは事実上不可能だからだ。

また、これはミズノ自身が説明できないほどに、各プロツアーでミズノのウッドが使われていた(優勝者も使用していた)ことを意味する。

それ故、ミズノは前に進むために、全世界で統一の単一的なネーミングや番号にこだわっていくだろう。


 

モデルは3つ

ミズノが、目標を実現するために(時間、素材、開発などの)必要なリソースを用いて、初めて本格的に統一感を持って発表されたドライバーが昨年のST190と言える。

愛情を込めてあやしげな青と呼んでいた色に変わり、よりクラシックなブラックを採用。

またMost Wanted(MyGolfSpyが独自に行う厳格なテスト)では、ボールスピード、寛容性、全体的なストロークス・ゲインド値ではトップ3に入った。

ミズノのドライバーが、オールラウンドのテストで実績を残したのは2年連続のことだ。

ミズノとドライバーの大手メーカーとの差を埋めることは簡単ではないが、重要な改良をいくつか実施しており、今回のST200シリーズでは3モデルをラインナップ。それぞれが異なる性能を発揮している。

以前もお伝えしたが、プロダクトデザインにおいてウェイトは非常に重要だ。ST200シリーズでは、(2g)軽量化したカーボンクラウンとコンパクトになったウェブチャンネルにより余剰重量を創出。

この重量を、各モデルで実現したいパフォーマンスと具体的な特徴を考慮して再配分している。

ST200では、そのウェイトの大部分が重心位置を低く、より後ろにするために使われている一方で、ST200Gでは極限のアジャスタビリティがメインテーマとなっている。

ST200Xについては、軽量化全てが注がれた。そう簡単な話ではない。

さらにST200シリーズは3モデルともにミズノのアジャスタブルホーゼルを搭載しており、ロフトを±2度調整できる。

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ST190は、アドレスでソールするとフェースが閉じる傾向があり、特にツアープレーヤーには好まれなかった。

ミズノではこれを改善するため、ソールのヒール近くにVFA(ビジュアルフェースアングル)ブリッジを配置し、その結果フェースがスクエアからややオープンになるようにしている。

素材に関して魅力的なことは、フェースをSP700 Tiから鍛造SAT2041にしたことだ。

映画「スター・ウォーズ」のキャラクターのようだが、フェースはボールが実際に当たる部分であり、チタンの品質とフェースの構成は、CTやCOR値、そしてボールスピードの結果と深い関係があることは間違いない。 ミズノ,ドライバー,ST200,ST200G,ST200X

新しいSAT2014フェース素材は、βリッチチタン合金だ。

αとβは、異なる原子配列により明らかになっているチタンの相で、βチタンは非常にしなやかな特性を持ち、強度を合わせ持てば大きなアドバンテージを持つ素材だ。

結果として、SP700と6-4Tiを含む他の金属よりも早く変形から元に戻るというわけだ。

要するに、SAT2014フェースだと定められたCT値においてより大きなCORが得られるということ。

念の為に伝えておくと、全く同じCT値のドライバーが2つあっても必ずしも同じCORになるということはないということ。

全てが同条件であれば、COR/CT比が高い方が一般的にはボールスピードは若干速くなる。



 

ST200(399ドル)

3モデルの中でST200が最もバランスが取れており、幅広い層が使える高MOI、中/低スピンのドライバーだ。

そのため、ミズノではこのモデルが大多数のゴルファーにベストマッチすると考えているようだ。

ロフト/ライ角の調整機能は別として、ST200には(可変ウェイトなど)余計なものがなくシンプルな仕上がりになっている。

こうした構造における主なメリットは、スピン量が多くなり過ぎずにMOIが向上すること(一般的により寛容性がアップすることを意味する)。

ST200のヒールトゥと上下の合計MOIは、ST190と比べて15%ほど大きくなっている。

これは11.6gのウェイトプレートを固定しヘッドの低/後部に余剰重量を再配分したことで実現している。

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結果としてST190に比べるとスイートスポットがわずかに低く設定されている。

重心が中立軸よりも約1mmほど上にあることが予測されるが、これは高MOIのドライバーとしては非常に低い位置である。


 

ST200G(499ドル)

ST200Gは、余剰重量を配分せずそのままキープし、自由に扱えるようにしている。

重心位置と弾道/スピンの調整可能範囲を考えると、このモデルがミズノ史上最も調整可能で低スピンのドライバーだろう。

競合他社のドライバーを含めても、最も低スピンだ。

しつこいようだが、それ程こいつがとんでもない低スピンドライバーっていうこと伝えておこう。

2本のウェイトトラックと2つの個別ウェイトで様々なセッティングが可能。

両ウェイトを一番後部に配置(最も寛容性が出る配置)することで、ST200Gは低スピンながらST190と同等のMOIを実現する。

一方、両ウェイトを前部に配置することでスピンは大幅に減少するが、それでもヒールトゥのMOIは4000よりもやや多いレベルをキープしている。

以前は、低スピンは寛容性の少なさに繋がっていたが、エンジニアがこれを解消した結果、ターゲットゴルファーにとっては非常に良い仕上がりになっていると言える。

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両ウェイトを片方のトラックに配置して極度なヒール、またはトゥバイアスにすることも可能で、率直に言えば、誰かがこれを試してもらえればと思う。

そして調整の許容が非常に高いデザインとなっているため、ウェイトトラックとウェーブ・チャンネルの間にエクスターナル・サウンドリブを配置している。

サウンドリブがないと、ウェイトが前部にある時に音が悪くなる(大き過ぎてガチャンという音がする)ようだ。

前作のウッドにおいては、この手のことはないがしろにされ考慮もされなかったが、今回はミズノがパフォーマンスだけでなく感覚的な部分も両立する完璧なドライバーを作ろうとしていることがわかる。


 

ST200X(300ドル)

これはアジア市場で一般的なニーズを満たす日本モデルのドライバーだ。

前作ではST190の10.5度が事実上の日本モデルだったが、正式なものではなく一時しのぎに過ぎなかった。

しかしST200Xは、(世界第2位と第3位のゴルフ市場である)日本と韓国におけるミズノの知名度を考えると、「World Ready」への要となる可能性を秘めている。

日本モデルは一般的に、軽量でライ角がアップライト、ウェイト位置はドローバイアスで、標準シャフトが長いという特徴がある。そのため、ST200Xも1つのモデルとしてデザインされている。

ST200Xの特徴は、ミズノ M Fusionシャフトを装着し標準の長さが45.75インチであること。

ターゲットゴルファーが似ているキャロウェイのエピックスター(286g)やXXIO 11(280g)と比べると、ST200Xは軽量(272g)で価格も非常にお手頃だ。

カスタムフィッティングも可能ではあるが、このモデルについてはあまりお勧めしない。

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今回のST200シリーズでは、ST200Xを除き、ディアマナシリーズが標準シャフトとして採用されている。

皆さんが混乱しないように、「*」マークはなく、このモデル専用に設計、開発されたシャフトではない。同じ名前のアフターマーケット用のシャフトと同じだ。

・D+(白マナ)は低弾道/低スピン

・S+(青マナ)は中弾道/中スピン

・M+(赤マナ)は高弾道/中・高スピン

加えて、ミズノでは魅力的なラインナップも展開(追加料金はモデルによる)。

その中には三菱レイヨンのTensei CK Pro Orange/White、フジクラのVentus Blue/Black、グラファイトデザインのTour AD-DI/X、そしてProject X HZDRUS SMOKE Yellow/Green(スモールバッチではない)が含まれている。

ミズノのST200ウッドシリーズは2020年2月7日から発売開始予定。


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