2024年のテーラーメイド「TP5/TP5x」ゴルフボールにはある意味での“こだわり”が詰まっている。それはゴルフボール市場において、今まで以上に“大きな存在”になるということ。

しかし、それにはとても大きな代償を伴う。その代償とは、ゴルフボール事業への1億ドルという巨額の投資だ。

その巨額の大部分は、「韓国のナッソーボール工場」を買収するために使われた。この買収でテーラーメイドのゴルフボール製造工程にかなりの生産能力が追加されることになる。

ナッソー製のコアにキャストウレタンのカバーを装着する「サウスカロライナ州の工場」もある。さらにテーラーメイドは「台湾のフォアモストボール工場」の主要株式も所有している。

また、同社は過去3年間にわたってゴルフボールの研究開発に巨額の投資を行っており、カリフォルニア州カールスバッドの本社には、最先端の屋内テスト練習場を建設した。

さらに、屋外テストエリアを全面改装し、ボールの弾道のあらゆる軌道における性能データを収集するために、トラックマンユニットをズラリと並べた。


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なぜこれほどまでに投資をするのか?その主な理由は2つある。

まずテーラーメイドは、ゴルフボールの市場シェアで、トップのタイトリストにかなり離されているとはいえ三番手につけている。

キャロウェイの後塵を拝し、タイトリストから見たら全くの問題外。そして、市場シェアというものは、リッキー・ボビーの言葉を借りれば「1位でなければビリも同然」なのだ。

※全米ストックカーレース協会、NASCAR(ナスカー)の歴史に残るドライバー、世界一速い男リッキー・ボビー。

しかし、おそらく最も重要なことは、テーラーメイドが2024年モデルの「TP5/TP5x」ゴルフボールに大きな期待を寄せているということ。

少なくともMyGolfSpyの性能テストを見る限り、前作の出来はあまり良くなかった。2021年モデルの「TP5」は、ドライバーテストの3つのカテゴリー(低・中・高ヘッドスピード)全てにおいて飛ばなかったボールの一つとなっている。

これがこの1億ドルの投資で、果たしてどの程度の変化をもたらすことができるのか?すべては、テーラーメイドが“ソフトな打感”でありながら“初速を出せるボール”を作る方法を本当に解明したかどうかにかかっている。


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2024年テーラーメイド「TP5/TP5x」ゴルフボール〜その誕生秘話

テーラーメイドがゴルフボールへの1億ドルの投資を成功させるには、「ステルス」の真っ赤なカーボンフェースを世に送り出した時のように、劇的変化を示すような衝撃的なストーリーが必要だ。だが幸いなことに、それはテーラーメイドが最も得意とすることでもある。

そもそも、技術と性能については当然備わっている。しかし、テーラーメイドが語るストーリーの良し悪しと、それをどれだけうまく伝えられるかで、キャロウェイやタイトリストに追いつくことができるか、あるいは差を縮めることができるかが決まるだろう。

テーラーメイドのボール売上は劇的に増加しているが(ゴルフデータテックによると、2017年から2021年の間に176%増)、キャロウェイとタイトリストのシェアにさらに食い込むのは難しい相談だろう。

ブリヂストンやスリクソン、ウィルソン、その他の従来のボールメーカーから市場シェアを奪う方がよっぽど簡単かもしれない。


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間違いなく、テーラーメイドはそうしてくるだろう。そして、語るべき物語がある。

そしてこの物語は、形状や機能が、性能や個性と交わるところから始まる。


打球音、打感と初速

「ゴルフボールは単に白くて丸くて地面に置ければいいと思われがちだ」と、テーラーメイドのゴルフボール製品開発担当シニアディレクター、マイケル・フォックス氏。「しかし、市場は変化している。性能を犠牲にすることなく、使用する“すべての製品”で自分自身を表現したいとゴルファーは考えている」。

そして、これに対してテーラーメイドは、新しい「TP5/TP5x」シリーズには語るべき非常に説得力のあるストーリーがあると考えている。


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完璧な世界があるとしたら、我々は皆、マシュマロのような“ソフトな打感”でありながら“弾丸のように飛んでいく”ゴルフボールを使うことができるだろう。ただし、「ソフトな打感」と「飛距離」は相反するものだ。柔らかい打感を望むなら、コンプレッション(硬度)を下げればいい。

ただし、打感は素晴らしいかもしれないがボール初速は落ちる。ボール初速を取り戻すには硬くすればいいだけなのだが、そうすると今度は打感が岩のようになってしまう。

簡単に言うと、一方の犠牲なくしてもう一方の改善は望めないということ。

しかしテーラーメイドは、『スピードラップコア』と呼ばれるもので、その暗号を解読したと考えている。

「我々はこれまでゴルフ業界で採用されたことのない新技術と新素材を開発した」とフォックス氏。「これにより、より優れた、より柔らかい打感を実現し、初速も格段に出る製品を作ることができた」。

『スピードラップコア』素材は、テーラーメイドとダウ・ケミカルの共同開発で生まれた。簡単に言えば、テーラーメイドはこの素材のおかげで初速に影響を与えることなく打音をコントロールできるようになり、よりソフトな打音やフィーリングを損ねずにしっかりとした打感が得られることとなった。


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「コアの密度を変えている」とフォックス氏は言う。「この新しい素材でコアの密度が低くなると、音が伝わる距離が長くなり、より低い音で聞こえるようになる」。

実際、2024年「TP5/TP5x」ゴルフボールは、2021年モデルと同様のコンプレッション(硬度)それぞれ「88」と「93」でありながら、音がより静かになったため、よりソフトに感じられる。


5層の防音構造

ホーガンが上手く表現したものだが(「…シャフトを駆け上がり、手を通って心臓に届く感覚」)、打感とは実際には「打音」を指す。カチッ、カタッ、グシャッという音だろうが、脳はそのフィーリングを「聞く」のだ。

テーラーメイドは、2011年の「ペンタ」以来、5ピースのウレタンボールを製造してきた。これらのボールは、コア、3つのマントルレイヤー(層)、そしてウレタンカバーを特徴としていた。

ただし、この3つのマントルレイヤーは非常によく似たコンプレッション(硬度)と剛性勾配を有しており、実際には3倍の厚さの1つのレイヤー(層)となっていた。


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「我々は今回、これらのレイヤー(層)をそれぞれ“完全に異なるもの”にした」とフォックス氏。「現在、これらの素材はそれぞれ、コアコンプレッションが『5』から、硬さのコンプレッションが『90』台にまで変化している。これほど大きな初速の勾配があると、それぞれのレイヤー(層)はまったく異なる製品のような性能を発揮する」。

3つのマントルレイヤー(層)はそれぞれ徐々に硬くなっていく。よりソフトでスピンの「TP5」においてその差は「53」コンプレッションポイントだが、より硬い「TP5x」では、レイヤー間の差は「71」コンプレッションポイントとなる。

つまり理論的には、ドライバーを打ってそのコアを「コンプレッション5」で活性化させると、高打ち出しで低スピン気味のショットを実現することになる。低コンプレッションの「ツアーレスポンス」ほど低スピンではないが、2021年の「TP5」よりは低くなる。


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「ウェッジでは、非常に硬い外側のマントルと非常に柔らかいキャストウレタンのカバーにしか作用しない」とフォックス氏。「そうすることで、溝の相互作用が増大し、グリーン周りでのスピン量も増す」。


その違いを実感できるのか?

これぞ1億ドルの質問だろう。

弾道測定器で判断できる違いはあるが、コースにおいて0.45~0.89m/sのボール初速の違いを数値化することや、ましてやそれに気づくことは難しいだろう。それが、ゴルファーが結局は「打感」に頼るようになる主な理由の1つだ。それなら積極的に体験できるものだから。

「『著しく優れている』ということは、製品を設計する際に我々が自らに課した非常に高い基準だ」とフォックス氏。「新しいテーラーメイドのボールを使うと、それまで6番アイアンでグリーンを狙っていたのが、番手を下げて7番アイアンを使うようになる。番手が変わるのだ」。

「これを『著しく優れた』製品と言わずになんと言う」。


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テーラーメイドは、ゴルファーが自分のゴルフに適したゴルフボールを手に入れることができるよう努力を続けている。「TP5」はよりソフトだが、ドライバー、アイアン、ウェッジのスピン量が多くなる。

一方、「TP5x」は「TP」よりも硬いが、全体的にスピン量が少ない。新しい2024年の「TP5/TP5x」のパッケージには、小さなQRコードが記載されている。これを読み取ると、12の質問からなる簡単なアンケートが表示され、どのボールが自分に適しているかがわかる。

さらに、テーラーメイドが“キャストウレタンだがツアーレベルには達していない”「ツアーレスポンス」ゴルフボールをフィッティングの方程式に組み込んでいるのがわかるだろう。

「ツアーレスポンス」は、MyGolfSpyの『2023年ボールテスト』でテーラーメイドの最高性能を発揮したボールだった。「TP5/TP5x」に代わるよりソフトな打感と低スピンで、価格もお手頃だ。


すべての「pix」が物語を語る

2024年の「TP5/TP5X Pix」ボールも少し改良されている。テーラーメイドは、同社で最も「Pix」を使用しているPGAツアープロ、トミー・フリートウッドとリッキー・ファウラーも「Pix」の大ファンだと言っている。

2024年の大きな変化は、「Pix」の模様が、テーラーメイドがオレンジと黒のモーショントライアングルと呼ぶものから、中がシルバーグレーに塗りつぶされたオレンジと黒のモーションダイヤモンドに変わることだ。黒いアラインメントラインもかなり長くなった。


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「製品により多くのオレンジを配することで見やすくなった」とフォックス氏。「また、ダイヤモンドの外側の黒と中心線の黒の間がさらに広がっていることで、製品が転がるときのフィードバックがより簡単かつ明確になる」。

「我々にとって、ビジュアルテクノロジーは、ゴルフに感情をもたらすだけでなく、ゴルファーがより良いプレーをするための大切な要素なのだ」。

そして、この方程式にもっと楽しみをもたらすために、テーラーメイドは、赤、白、青の「pix USAモデル」や、最大22種類となる大学のロゴをあしらったものなど、年間を通して限定版を展開する予定だ。

また、「MySymbol」を通じてパーソナライズされたオプションが表示されるため、独自のものを作ることも可能だ。


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2024年テーラーメイド「TP5/TP5x」ゴルフボール: 価格と発売時期

テーラーメイドは暗号を解読し、打感と飛距離を切り離したのだろうか?行間を読む限り、彼らが音と距離の暗号を解読したことは間違いない。

しかし、実際それで十分なのかもしれない。昨年の『MyGolfSpyボールテスト』における前モデルの結果を考えると、テーラーメイドにはかなりの伸びしろがあり、ボールプログラムへの1億ドルの投資に、ある種の緊急性を与えている。

まださらなるテストが必要とはいえ、少なくとも、より硬く、より速く、より空気力学的に優れ、よりソフトに感じられる(聞こえる)ボールは、確かに正しい方向に進んでいる証拠のように思える。


<2024年テーラーメイド「TP5/TP5x」ゴルフボール(日本)>

「TP5Pix」と「TP5x Pix」は現在発売中で、価格は7,150円(税込)

「TP5 Pix YELLOW (日本のみ)」と「TP5x Pix YELLOW(日本のみ)」のイエローボールは2024年5月発売で、価格は7,150円(税込)となっている。

さらに、現在前モデルの「TP5/TP5x」は価格が安くなり提供されている。


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※下記はアメリカの情報

これらの2024年テーラーメイド「TP5/TP5x」ゴルフボールは、本日より、ホワイトとイエロー、そして刷新された「Pix」モデルが、1ダース54.99ドルで店舗とウェブにて購入可能。