コブラゴルフの「OPTM(オプティム)」シリーズで、最も重要なキーワードは素材でも構造でもない。
注目すべきは、新たに打ち出された POI(ピーオーアイ) という考え方だ。ここ数年、ドライバー選びの基準は 「MOI(慣性モーメント)」 一色だった。
「10K」という言葉が象徴するように、数値が大きいほど「寛容性」が高く、ミスヒットに強い──そんな図式が、半ば常識として定着している。だがコブラは、その前提に疑問を投げかける。
MOI、しかも合算MOI(ヘッド全体のMOI)だけを見ても、実際の直進性や安定性は測りきれないというのが彼らの主張だ。つまり、「数値が大きければ必ず曲がらない」という単純な話ではない、ということ。
ヘッドがどの方向に、どのようにブレようとするのか──そこまで踏み込まなければ、ショット結果は正しく評価できない。その視点から導き出されたのが「POI(新たな安定性指標)」であり、「OPTM」シリーズはこの考え方を軸に設計されている。MOI全盛の時代だからこそ、あえて別の角度から「直進性」を定義し直す。コブラのこのアプローチは、単なる数値競争に疑問を感じてきたゴルファーにとって、無視できない提案と言えるだろう。
MOI vs POI|「正確性」は“ブレにくさ”だけでは語れない
MOI(慣性モーメント) を正しく理解するには、「なぜミスヒットで弾道が変わるのか」を知る必要がある。
その根本にあるのが、慣性=回転しようとする力への抵抗 という考え方だ。芯を外した瞬間、クラブヘッドは必ず“回ろう”とする。ミスヒット時、ヘッドは当たり所に応じて、次のような回転を起こす。・トゥ寄りで当たれば、フェースは開こうとする
・ヒール寄りで当たれば、フェースは閉じようとする
・フェース上部で当たれば、ヘッドは後方に回転し、打ち出し角が高くなる
・下部で当たれば、その逆の回転が起きる
つまり、ミスヒット時のショット結果は、
「どこで当たったか」+「その回転をどれだけ抑えられるか」で決まる。MOIとは、その“回ろうとする動き”にどれだけ抵抗できるかを示す指標だ。
ただし重要なのは、回転の方向は1つではないという点。左右だけでなく、上下方向にもフェースは動く。ここを正しく捉えなければ、「MOIが高いのに思ったほど真っすぐ飛ばない」という違和感は解消できない。
そして、この“回転の質”に踏み込もうとしているのが、次に語られる「POI」という考え方だ。
「MOI(慣性モーメント)」は、クラブがインパクト時にどれだけ回転しにくいかを示す指標だ。
左右(X軸)や上下(Y軸)のミスに対して、ヘッドの姿勢をどれだけ保てるか──そこまでは、MOIで説明できる。だが、スイングは単純な2次元運動ではない。実際のインパクトでは、フェースはねじれながら回転している。この“ねじれの挙動”に踏み込んだ指標が POI(プロダクト・オブ・イナーシャ) だ。
POIは、インパクト中にフェースが“ねじれる方向”へ、どのように動こうとするかを数値化した指標だ。
重要なのは、POIが低い=悪いではない、という点。POIが低いほど、クラブヘッドは不自然に固定されず、ゴルファーの動きに対して 自然に回転しやすくなる。その結果、フェース向きが過度に暴れにくくなり、飛距離方向でのショット範囲(左右のばらつき)が小さくなる──これが、コブラが描くPOIの考え方だ。整理するとこうなる。
• MOI=安定性(ブレにくさ)
• POI=操作性・コントロール(回り方の質)
そしてコブラは、本当の「正確性」はMOIだけでも、POIだけでも成立しないと考えている。
高MOIでヘッドを安定させつつ、POIによってフェースの回転をコントロールする。この2つが噛み合ったとき、初めて“曲がらないだけではない、狙える直進性”が生まれる──それが「OPTM」シリーズの設計思想の中核だ。
コブラゴルフ「OPTM」フェアウェイウッド|馴染みの技術を“結果重視”で再定義
コブラゴルフ「OPTM(オプティム)」フェアウェイウッドは、新しいPOI理論だけに頼るモデルではない。実績のあるコブラの中核テクノロジーを、しっかりと組み合わせている。
• 『FutureFit33 ホーゼル(フューチャーフィット33)』
• 『Adaptive POI ウエイト設計(アダプティブ・ピーオーアイ・ウエイト)』
• 『H.O.T. Faceテクノロジー(ホットフェース・テクノロジー)』
まず注目したいのが 『FutureFit33ホーゼル』。
ロフト角(打ち出し角)とライ角(クラブの傾き)をそれぞれ独立して調整できる構造で、設定数は 33通り。弾道調整の自由度は非常に高く、フィッティング前提の現代クラブとしては理想的な仕様だ。この仕組みは、正直なところ他メーカーにも見習ってほしいレベルにある。そこに組み合わされるのが 『Adaptive POI ウエイト設計』。フェースのねじれ挙動(POI)を意識したウエイト配置によって、単なる「安定」ではなく、インパクト中のフェースコントロールを狙っている。さらに 『H.O.T. Faceテクノロジー』 が、ミスヒット時でもボール初速の低下を抑える役割を担う。フェース全面で反発効率を最適化する設計で、フェアウェイウッドに求められる“安定した距離感”を支えている。つまり「OPTM」フェアウェイウッドは、調整機能・初速性能・フェース挙動コントロールという3つの要素を、POIという新しい視点でまとめ上げたモデルだ。派手な新素材を前面に出すのではなく、「どう当たり、どう曲がるか」という結果に直結する部分を磨き込む。そこに、このフェアウェイウッドの設計意図がある。
中でも『H.O.T. Faceテクノロジー』は、コブラゴルフのクラブ作りを語る上で外せない存在だ。
AI(機械学習)を用いてフェースの厚みを細かく変化させることで、ミスヒット時でもボール初速を維持しやすい設計となっている。ここで重要なのは、この効果が MOIによる「ブレの抑制」とは別のアプローチ だという点だ。ヘッドを安定させるだけでは守れない初速を、フェース構造そのもので補っている。だが「OPTM」シリーズが本当にユニークなのは、テクノロジーそのものよりも、性能の測り方にある。
コブラは、「初速が何m/s伸びたか」「打ち出し角やスピンがどれだけ変わったか」といった単発の数値比較に重きを置かない。
代わりに重視しているのが、「フェアウェイをどれだけキープできたか」「グリーンをどれだけ捉えられたか」そして、「ミスをしても 次につながる“プレー可能なショット”だったか」という視点だ。これは、非常にゴルファー目線の評価基準だ。
なぜなら、私たちがクラブの良し悪しを実感するのは、計測器の前ではなく、18ホールを回り切ったあとだからだ。「OPTM」は、「どれだけ速いか」ではなく、「どれだけスコアにつながるか」 を基準に性能を語ろうとしている。その姿勢こそが、このシリーズ全体を貫く設計思想と言えるだろう。
「OPTM」フェアウェイウッド|3モデル、それぞれ明確な役割
コブラゴルフ「OPTM(オプティム)」フェアウェイウッドは、3モデルそれぞれに明確な役割 を与えたラインアップになっている。
注目すべきは、単なるロフト違いではなく、重心位置とフェース深さをセットで変えている点 だ。• 「OPTM LS」
前方に重心を配置し、32mmのディープフェース を組み合わせた低スピン設計。
強い弾道で、吹け上がりを抑えたいゴルファー向けのモデルだ。
• 「OPTM X」
29mmのフェース深さ を採用したバランス型。
操作性・安定性・飛距離のバランスを重視する、シリーズの中心的な存在となる。
• 「OPTM Max」
重心を後方かつヒール寄りに配置し、26.5mmのシャローフェース を組み合わせることで、
つかまりと直進性を高めた設計。スライス傾向のゴルファーを明確に意識している。
ウエイト構成も非常に理にかなっている。
• 「OPTM LS」は ヒール・トゥ・後方の3ウエイト によって、左右・高さ・スピンの調整を幅広くカバーする。
• 「OPTM X」は トゥと後方の2ウエイト で、必要十分な調整幅を確保しつつ、扱いやすさを優先。
• 「OPTM Max」は ヒール+後方固定配置により、ドローバイアスと安定性を最初から狙いにいく。
中でも評価したいのが、「OPTM LS」の 3ウエイト構成。
調整幅は大きいが、複雑すぎない。実戦で意味のある重心調整ができる点で、完成度の高い設計だと感じる。この3モデル構成は、「OPTM」シリーズが「誰にでも合う1本」を狙ったのではなく、それぞれのミス傾向と弾道イメージに正面から向き合った結果 と言えるだろう。
コブラのテストが語る“実戦での違い”
コブラゴルフのテストで印象的なのは、初速・打ち出し角・スピン量といった単独データに依存していないという点だ。
評価の軸は、あくまでスコアにどう影響したかに置かれている。その姿勢は、結果にもはっきり表れている。「OPTM LS」 は、従来のモデルと比較して、1ラウンドあたり約0.5ストローク改善。
さらに、パーオン率が33.1%から44.5%へ大きく向上しており、低スピン設計が“飛ぶだけ”で終わっていないことが分かる。一方で、より興味深いのが「OPTM X」だ。
前方に重いウエイトを配置したセッティングでは、プレー可能なショット率95.2%という非常に高い数値を記録。さらに、ティーショットで+1.21ストロークと、実戦で明確なアドバンテージを示している。
この結果を見る限り、「OPTM X」は、派手さはないが、最も完成度の高い“実戦型”モデルと言っていい。
前方にウエイトを配置した「OPTM X」は、ツアーレベルの競技者だけでなく、一般ゴルファーのラウンドでも頼れる存在になるだろう。「OPTM」シリーズが狙っているのは、測定器上での“ボール初速の速さ”ではない。18ホールを終えたときに、「結果が良かった」と実感できるクラブ──その方向性が、このテストデータからははっきりと読み取れる。コブラゴルフ「OPTM」ユーティリティ(ハイブリッド)|1モデル構成で、幅広いゴルファーに対応
「OPTM(オプティム)」ユーティリティ(ハイブリッド)が1モデルのみという点からも、コブラの意図は読み取れる。
尖った性能を狙うのではなく、幅広いゴルファーに対応できる完成度を重視した設計だ。その方向性は、搭載テクノロジーにも表れている。
『FutureFit33』ホーゼル による33通りの調整機能、そして 『H.O.T. Faceテクノロジー』によるミスヒット時のボール初速維持。いずれも「扱いやすさ」を重視した選択だ。中核となるのが、新設計の『PWR Bridge(パワー・ブリッジ)』。
AIによって最適化されたウエイトと重心配置により、POI(フェースのねじれ挙動)を整えながら、低スピンと十分なボール初速を両立させている。ユーティリティにありがちな「上がるが吹ける」「強いが扱いにくい」といった極端さを避ける狙いが見える。ヘッドはやや大きめの投影面積を持ち、後方に配置された単一ウエイトによって重心をわずかに下げ、自然と高めの打ち出し角を生み出す設計。
構えた印象は、いわば “小さなフェアウェイウッド” に近い。
結果としてこのユーティリティは、寛容性・安定性・汎用性 を高いレベルでバランスさせた1本に仕上がっている。対象を絞り込むのではなく、「できるだけ多くのゴルファーが安心して使えること」を最優先にした。それが、「OPTM」ユーティリティの明確な設計思想だ。結論として
コブラゴルフは、「OPTM」でMOIの数値競争に加わることを選ばなかった。
彼らが狙ったのは、「正確性とは何か」という問いそのものを見直すことだ。そのための新しい切り口が「POI」という考え方にある。POIが今後、業界標準になるかは未知数だ。
だが、「ミスを抑え込む」のではなく、「ミスをコントロールする」という発想は、ゴルフという競技の感覚にしっかり合っている。ショット範囲(左右のばらつき)が小さくなり、“次につながるショット”が増える。それは数値ではなく、ラウンド中の安心感として残る違いだ。何より評価したいのは、コブラが結果を基準に語っている点。
フェアウェイを捉えたか。グリーンに乗せられたか。ミスをしてもプレーが成立したか。それこそが、ハンディキャップを動かす本質だ。価格帯は他ブランドと横並びだが、469ドルの「OPTM LS」 は、単なる新製品ではなく、設計思想への理解と納得 をゴルファーに求めてくる。
もし、この性能がテスト環境だけでなく、実際のラウンドでも同じように発揮されるなら──
「OPTM」は今年のフェアウェイウッドの中で、派手ではないが、最も“本質的に面白い1本” になる可能性がある。
価格と発売時期
日本仕様・最新情報について
日本国内での最新情報、製品仕様、標準装備シャフトやロフト設定などの詳細は、コブラゴルフ日本公式サイトで確認できる。
※ただし、公式サイトに掲載されているスペックや価格情報の一部は、米国仕様をベースにした内容となっている点には注意したい。
日本仕様の細かな違いや、実際の販売価格については、国内流通情報をあわせて確認するのがおすすめだ。その点で参考になるのが、国内ゴルフ専門店がまとめている解説ページだ。中でも、「POI」の考え方や各モデルの立ち位置、スペック概要、在庫情報まで整理されているサイトがあるため、あわせてチェックしておくと理解が深まる。参考リンク(国内情報)
※ページ中盤以降に、POIの説明やモデル別の特徴が掲載されている
各モデル個別ページ(国内流通)
発売は2026年1月17日予定
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◆コブラゴルフ「KING TEC-MD」ミニドライバー解説|実戦で効く調整幅
※これより以下は米国市場における価格および発売情報です。
コブラゴルフ「OPTM」シリーズは、1月13日から先行販売がスタートし、1月20日より一般販売 が開始される。
価格設定は以下の通り。
• 「OPTM」フェアウェイウッド
• 「OPTM LS」価格: 469ドル
• 「OPTM X」/「OPTM Max」価格:369ドル
• 「OPTM」ユーティリティ(ハイブリッド)
• 価格329ドル
価格帯は主要ブランドと同水準で、特に「LS」モデルは、単なる構造や性能だけでなく、POIという設計思想への理解も含めて選びたい1本と言える。
各モデルの詳細スペックやカスタムオプションについては、COBRA Golf 公式サイトで確認できる。



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