テーラーメイドのフェアウェイウッドは、10年以上にわたってPGAツアーで“使われ続けてきた”存在だ。
そして、新たに投入されたテーラーメイド「Qi4D」フェアウェイウッドとユーティリティを見れば、2026年も同様の光景が続いても不思議ではない。この事実が示しているポイントは、実はとてもシンプルだ。
さらに重要なのは、近年のツアー事情だ。ブランドが契約や資金で使用率を“作る”時代ではなくなりつつある今、本当に信頼されているクラブだけが、契約外の選手のキャディーバッグに残る。
テーラーメイドのフェアウェイウッドは、そのハードルを越えてきた。そしてもうひとつ。ツアープレーヤーに評価される性能は、必ずしもプロ専用ではない。むしろ、その安定性や再現性は、競技志向のアマチュアや一般ゴルファーにとっても、確かなメリットとして機能する。
この点こそが、テーラーメイドのフェアウェイウッドが長く支持され続けている理由のひとつだ。
ここで求められる設計思想は、実に難しい。
「進化させるが、違和感は与えない」──言い換えれば、良くするのに“変えたと感じさせない”ことだ。そのためにメーカーが取るアプローチは明確だ。構えたときの見た目、打感、弾道のイメージといった、ゴルファーがすでに信頼している要素は一切いじらない。手を入れるのは、内部構造や素材配置など、プレーヤーの目には直接触れない部分、あるいは「ここを改善してほしい」とはっきり求められている点だけだ。長く支持されてきたフェアウェイウッドほど、このバランスはシビアになる。変えすぎれば評価を失い、変えなければ進化は止まる。その綱渡りの中で、“同じに見えて、確実に中身は進化している”──それが理想とされる設計の到達点だ。テーラーメイド「Qi4D」フェアウェイウッドは何が違う?競争優位性を整理
テーラーメイドのフェアウェイウッドが長年支持されてきた理由は、サイズ感やヘッド形状だけではない。その核にあるのが、同社独自の『貫通型スピードポケット』テクノロジーだ。
※『貫通型スピードポケット』:(フェース下部のたわみを最適化し、低打点時でもボール初速を維持しながら過度なバックスピンを抑えるスロット<切り欠き>構造)
「他社にも似た構造はあるのでは?」という疑問はもっともだ。
だが、決定的な違いはスロットをどの領域に、どのように作用させているかにある。
フェーススロット系の技術は、芯を外したときやフェース下部でのミスヒット時に、ソールとフェースの動きを最適化することが目的だ。
フェアウェイウッドにおいて重要なのは、完璧なセンターヒット時の性能ではなく、ミスヒット時にどれだけ性能を落とさずに済むかという部分にある。『貫通型スピードポケット』の強みは、ディープフェース(フェース高が高く、ティーショットで安心感のある形状)の安心感と、シャローフェース(フェース高が低く、フェアウェイから拾いやすい形状)の扱いやすさを同時に成立させている点だ。
通常であれば、ティーショット向きか、地面からのショット向きか──どちらかに寄せた設計になりやすい。だが、この技術があることで、その二者択一を迫られない。
「Qi4D」フェアウェイウッドは、まさに“両方取り”の設計だ。
ティーアップでもフェアウェイでも使いどころを選ばず、しかも「何かを犠牲にしている」感覚がない。このバランスこそが、テーラーメイドのフェアウェイウッドがツアーでもアマチュアでも信頼され続ける理由だろう。
テーラーメイド「Qi4D」フェアウェイウッドの3モデル構成とそれぞれの役割
テーラーメイドの「Qi4D」フェアウェイウッドは、モデルごとに明確な役割分担がなされている。
標準モデル「Qi4D」と「Qi4D MAX」は、設計思想を共有する王道の構成を担う2モデルだ。「軽量カーボンクラウン」による余剰重量を生み出し、「ステンレススチールボディ」の安定感、そして「C300フェース」には、『インバーテッド・コーン・テクノロジー(ICT)』を搭載している。
この組み合わせは、初速性能とミスヒット時の再現性を高い次元でまとめるための、完成度の高い構成と言える。補足『ICT』:(打点位置に応じてフェースの反発を最適化し、ミスヒット時の初速ロスを抑える設計)
一方で「Qi4D TOUR」は、より調整幅を重視した別路線のモデルだ。
「チタンフェース」を採用し、重心を低く設計することで、高打ち出しを前提とした弾道を作りやすくしている。フィッティング前提、あるいは弾道を細かく調整したいゴルファー向けの仕様だ。すべてのモデル共通で「インフィニティカーボンクラウン」を採用し、多くのモデルには±2°のロフト調整が可能な『可変スリーブ(ロフトやライ角を調整できるホーゼル機能)』を装備している点も評価したい。
正直なところ、標準モデルであってもロフトやライ角を調整できる余地を用意しないメーカーがあることには疑問が残る。
もっとも、コストを抑えるという観点に立てば、『接着式ホーゼル(調整機能を持たない固定式構造)』を選ぶ判断自体は、決して的外れではないのだが。「Qi4D」フェアウェイウッド(標準モデル)|サイズ感と形状の進化
ヘッド体積185ccの「Qi4D」標準モデルは、投影面積が適度に抑えられた扱いやすさと安心感のバランスが取れたサイズ感に収まっている。
長く支持されてきたモデルだけに、今回の進化は大きく変えるのではなく、細部を丁寧に整える方向に定められている。ヘッドをよく観察すると、ヒールとトゥの外周部の膨らみがわずかに抑えられ、見た目の収まりが良くなっていることが分かる。
加えて、アドレス時にはフェースがわずかにオープンに見える設計となっており、ライ角も「Qi35」の標準モデルより1.2度フラット。左へのミスを嫌うゴルファーにとって、構えた瞬間から安心感を得やすい調整だ。
「Qi4D MAX」/「MAX LITE」|寛容性と高弾道を重視した2モデル
「Qi4D MAX」と「Qi4D MAX LITE」は、シリーズの中でも「寛容性」と「高弾道」を最優先に設計されたモデルだ。
ヘッド体積200ccというサイズが生み出す大きめの投影面積によって、重量を外周部にしっかりと配分できる。この設計は、慣性モーメント(MOI)を高め、打点がズレた際でもヘッド挙動を安定させる効果が大きい。
「Qi4D MAX」は、フェアウェイウッドに安心感と直進性を求めるゴルファーに向けた、王道のやさしさ重視モデルと言える。
一方の「Qi4D MAX LITE」は、その設計思想を継承しつつ、軽量化による振りやすさを前面に押し出した仕様だ。
ヘッド、シャフト、グリップまでトータルで重量を抑えることで、無理に力を入れなくてもヘッドスピードを引き出しやすくしている。
飛距離性能を「パワー」ではなく「振りやすさ」で補いたいゴルファーにとって、「MAX LITE」は非常に現実的な選択肢になるだろう。
テーラーメイド「Qi4D TOUR」思想を刷新したツアーモデルの重心設計
テーラーメイドの「Qi4D TOUR」は、前作「Qi35」と比べても、最も大胆に思想を切り替えたモデルと言っていい。
ヘッド体積175ccというコンパクトなサイズ感はそのままに、内部構造は大きく見直されている。最大の変更点は、これまでTour系モデルの象徴でもあった『スライディングウエイト(ガレージ構造)』を完全に廃したことだ。軽量カーボンクラウンとチタンフェースによって生まれた余剰重量を、今回は「動かす」ことよりも、フェース直後(裏側)に集中配置するという選択をした。チタンフェースの真裏に置かれた65gのタングステンがその象徴だ。
過去のモデルでは、重心を操作するために調整可能なスライド機能を優先してきたが、その代償として構造が複雑になり、どうしても重心位置が高くなる傾向があった。
「Qi4D TOUR」ではそこを割り切り、重心位置を可能な限り低くすることを最優先。その結果、高打ち出しで、スピン量もわずかに増えた、実戦向きの弾道特性を手に入れている。
それでいて、操作性を犠牲にしていない点がこのモデルの巧みなところだ。
調整可能な『スライディングウエイト』を外したスペースには、3つの可動式「TASウエイト(15g×1、4g×2)」を配置。ドロー/フェードのバイアス調整はしっかり確保されており、競技志向者(上級者)が求める細かな弾道コントロールにも応えてくれる。「動かす重心」から「位置で効かせる重心」へ──。「Qi4D TOUR」は、ツアーモデルとしての思想を一段アップデートしたフェアウェイウッドだ。テーラーメイド「Qi4D」レスキューの設計思想とモデル構成
テーラーメイドの「Qi4D」レスキューは、基本的な考え方がフェアウェイウッドとほぼ共通している。
軽量カーボンクラウンと「450ステンレススチール」ボディを土台に、『ツイストフェース(バルジ&ロール)』を組み合わせ、すべてのモデルに『可変スリーブ』を装備──「Qi4D」シリーズらしい、完成度の高い設計だ。
フェアウェイウッドと明確に異なるのは、ツアー専用モデルが存在しない点だろう。
ただし、「Qi4D」レスキュー(標準モデル)はトップラインがやや薄く、構えたときの印象はシャープ。ロングアイアンの代わりとして、見た目や操作性も重視したい競技志向者(上級者)にとって、違和感の少ない選択肢になっている。この標準モデルは、8gの「TASウエイト」を備え、弾道バイアスはニュートラル。クセが少なく、番手間の流れを重視するゴルファーにも扱いやすい特性を持つ。
一方で、「やさしさ」と高弾道をより重視するなら「Qi4D MAX」が本命だ。投影面積が大きく、重心位置も深めに設定されており、ミスヒット時の安定感とボールの上がりやすさを明確に高めている。さらに「Qi4D MAX LITE」は、その「MAX」の特性をベースに、ヘッド・シャフト・グリップを軽量化した構成。フェアウェイウッド同様、力に頼らず、振りやすさでヘッドスピードを引き出したいゴルファーに適した選択肢と言える。フェアウェイウッド/ユーティリティにおけるシャフト選びの考え方
ドライバーのシャフトフィッティングでは、「フェースの返り(クロージャーレート)」を軸に語られることが多い。
だが、その考え方をフェアウェイウッドやユーティリティにそのまま当てはめるのは危険だ。理由はシンプルで、ボールが地面にあるかどうかで、ゴルファーの動きは大きく変わるからだ。ティーアップされたドライバーとは違い、フェアウェイやラフから打つ場面では、スイング中のフェース挙動が安定しにくい。実際、ボールが地面にある状況では、フェースの返りが強くなるゴルファーもいれば、逆に返りが弱くなるゴルファーもいる。しかも、その変化に明確な共通パターンは見られない。将来的に、フェアウェイウッドやユーティリティでもフェースの返りを重視したフィッティングが主流になる可能性はある。しかし現段階では、ドライバーと同じ理屈でシャフトを選ぶのではなく、実際の打ち方や弾道を見ながら判断するほうが現実的だ。「Qi4D」が示す、テーラーメイド・メタルウッドの現在地
テーラーメイドのフェアウェイウッドは、流行や話題性に左右されず、純粋な性能で評価され続けてきた稀有な存在だ。
ドライバーが「STEALTH(ステルス)」以降、カーボンフェースという大胆な挑戦に踏み切り、世代ごとに賛否を巻き起こしてきた一方で、フェアウェイウッドは一貫してツアーと市場の支持を失わなかった。そこが、このブランドの強さでもある。「Qi4D」の登場によって、テーラーメイドはついに、ドライバー・フェアウェイウッド・ユーティリティのすべてが噛み合ったメタルウッド構成を完成させたと見ることができる。
もしドライバーがフェアウェイウッドやユーティリティと同じレベルで結果を出せるなら──。
テーラーメイドが再び、「このカテゴリーを牽引する存在」であることを、データと実績の両面から証明する一年になる可能性は高い。価格と発売情報
日本国内での最新情報、製品仕様、標準装備シャフトやロフト設定などの詳細は、テーラーメイド公式サイトで確認できる。
※ 価格や発売時期は市場や仕様によって異なる場合があるため、最新情報は公式サイトを参照してほしい。
以下は米国市場における価格および発売情報です。
「Qi4D」フェアウェイウッドおよびユーティリティは、すでに予約受付が始まっており、1月29日から店頭販売がスタートする。価格設定は以下のとおりだ。
・「Qi4D」フェアウェイウッド:379ドル
・「Qi4D Tour」フェアウェイウッド:449.99ドル
・「Qi4D」レスキュー(全モデル共通):299.99ドル
注目したいのは、新作の投入と同時に、前世代モデルである「Qi35」「Qi10」のフェアウェイウッド/ユーティリティが最大70ドル引きで販売されている点だ。
最新モデルにこだわらないゴルファーにとっては、性能と価格のバランスを重視した“狙い目”のタイミングと言える。スペックの詳細や標準仕様、各モデルの在庫状況については、テーラーメイド公式サイトで確認しておきたい。




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