YouTubeには、今見返しても価値のあるレッスン動画が、静かに埋もれていることがある。
コリン・モリカワが約5年前に公開したドライバーレッスンも、そのひとつだ。この動画で語られている核心は、驚くほどシンプル。ティーショットを安定させたいなら、使える弾道はひとつでは足りない。
モリカワが示しているのは、すべてのゴルファーが実戦で使い分けられるようになりたい、3つのドライバー弾道だ。
・風に負けず、フェアウェイを突き抜ける低く強い弾道
・基準となる、再現性の高いスタンダードな弾道
・キャリーを稼ぎ、障害物を越えるための高弾道
重要なのは、これらが別々のスイングを身につける話ではないという点だ。
モリカワが強調しているのは、セットアップや打ち出しの意識を少し変えるだけで、弾道はコントロールできる、という現実的なアプローチ。狭いホールで確実にフェアウェイをキープしたい場面。
向かい風の中で、ランを抑えたティーショットが必要な状況。あるいは、キャリーで距離を稼ぎたいパー5のティーショット。こうした場面ごとに「同じ弾道で打つ」のではなく、意図を持って弾道を選べるかどうかが、ティーショットの安定感を大きく左右する。大がかりなスイング改造は必要ない。必要なのは、「この場面では、どの弾道を使うか」という判断力だ。
この短いレッスンが示しているのは、ティーショットの上達は、力ではなく選択肢の数で決まるという、実戦的な真実である。
👉① 低く強い弾道でフェアウェイを捉えるティーショット
このショットは、モリカワが「とにかく曲げたくない」場面で選ぶ弾道だ。
飛距離よりも、まずフェアウェイに置くことを最優先する──そんな状況で真価を発揮する。フェアウェイが硬く、少しの曲がりがそのまま大きなトラブルにつながるコース。あるいは、落としどころが狭く、左右に逃げ場のないティーショット。こうした場面では、無理に飛ばすよりも、フェアウェイを確実に捉えるティーショットを選ぶほうが、結果としてスコアを守ってくれる。さらに、風が強い日のティーショットでもこの弾道は有効だ。高さを抑えることで風の影響を受けにくくなり、左右のブレもコントロールしやすい。重要なのは、このショットが特別なスイングを必要としない点だ。狙いと弾道をはっきり決め、「フェアウェイに置く」という目的に集中する。その判断こそが、難しい状況でティーショットを安定させる最大の武器になる。飛ばすべきか、刻むべきか。その判断に迷ったとき、フェアウェイに置くための選択肢を持っているかどうか。それが、このショットが持つ本当の価値だ。🎯低く強い弾道を打つためのセットアップポイント
この低く強い弾道を打つために必要なのは、スイングを変えることではない。
ポイントは、アドレスの作り方だ。🔹 ティーの高さは、いつもより明確に低く、フェースからボールが大きくはみ出す高さは不要。
ティーを低くすることで、自然と入射角が緩やかになりすぎるのを防ぎ、低めで強い打ち出しが作りやすくなる。
🔹 ボール位置は、ほんの少しだけ中央寄りに大きく動かす必要はない。
わずかに戻すだけで、インパクトが安定し、叩き込みすぎによるカット軌道も避けやすくなる。
🔹 肩のラインは「水平」を意識する。
打ち上げを意識したアドレスではなく、下り傾斜から打つような感覚で肩を構える。
これにより、過度なアッパーブローを抑え、風に負けにくい低い弾道につながる。
この3つは、どれもその場ですぐ試せる調整だ。
飛距離を削るためのセットアップではない。曲がりを抑え、フェアウェイを確実に捉えるための準備である。👉 なぜ効果があるのか
ティーを低くし、ボール位置をほんのわずかに戻す。
それだけで、ドライバー特有の強いアッパー軌道は自然と抑えられ、打ち出しは低く、前に強く伸びる弾道になる。モリカワがこのショットを「バレット(弾丸)」と呼ぶ理由は明確だ。低く出て、ラインを外さず、早めに地面に落ちる。キャリーで飛ばすための弾道ではなく、方向性と再現性を最優先したティーショットである。このとき意識したいのは、力ではない。体の軸を安定させ、肩のラインをできるだけ水平に保つこと。スイングのイメージは、ドライバーを振っていても、6〜8番アイアンをコンパクトに振る感覚に近い。無理にアッパーに振らず、無理に叩きにいかず、低い打ち出しを「選ぶ」。それによって、ドライバーの特性を飛距離重視からコントロール重視へ切り替えることができる。飛距離を捨てるショットではない。
スコアを守るために、ドライバーを“フェアウェイに置くクラブ”として使う──それが、この低く強い弾道の本質だ。
👉 ② 基準となるスタンダードなドライバー弾道
これは、モリカワが基準として使っているドライバー弾道だ。
特別な操作を加えるショットではなく、ラウンド中に最も多く選ぶ、いわば“ストック”となる一本である。狙っているのは、高く打ち上げる弾道でもなければ、低く抑え込む弾道でもない。必要な高さだけを確保し、安定して前に運べる弾道。この弾道があるからこそ、風やホールレイアウトに応じて、低い弾道や高い弾道を使い分ける判断が生きてくる。多くのゴルファーにとっても、この考え方は重要だ。まずは「自分にとって基準となるドライバー弾道」を持つこと。それが定まっていれば、飛ばすべきか、抑えるべきかの判断もブレにくくなる。低弾道でもなく、高弾道でもない。いつものティーショットとして信頼できる高さと方向性。それが、このストックドライバーの役割だ。🎯 セットアップのポイント
このスタンダードなドライバー弾道は、ごく基本的なセットアップから生まれる。
🔹 ティーの高さは、ボールの半分がクラウンの上に見える程度
打ち出しが高くなりすぎず、安定した弾道を作りやすい。🔹 ボール位置は、左かかとの内側
多くのゴルファーにとって再現性の高い基準位置だ。🔹 フェース向きは、自分の持ち球に合わせる
モリカワはフェードヒッターのためわずかにオープンに構えるが、ここは真似をする部分ではなく、自分の弾道に合わせて調整する。このショットで最も大切なのは、
🔹 テンポを保つこと。
スイングの強さを上げようとせず、振り急がない。それだけで、打ち出しの高さは自然と安定する。モリカワが強調しているのは、スイング前に「どんな弾道を打つか」を明確に思い描くこと。インパクトや細かな動きを管理しようとせず、イメージした弾道に対して、いつものリズムで振る。この弾道は、
🔹 スイングに迷いがないとき
🔹 まずは安全にティーショットを打ちたいとき
🔹 その日のゴルフの基準を作りたいとき
に選ぶ、ベースとなる一本だ。
低く抑える必要もなければ、高さで攻める必要もない。「いつものテンポ」で振ったとき、最も再現性が高い弾道。
それが、このスタンダードなドライバーショットの役割である。👉 ③ キャリーを稼ぐための高弾道
モリカワが高弾道のセットアップを選ぶのは、明確な理由がある場面だけだ。
追い風が吹いていて、キャリーで距離を稼ぎやすいティーショット。池やバンカーを越えなければならない、キャリーが前提となるホール。あるいは、普段の弾道では少し届かない場面で、キャリーの飛距離を数ヤード上積みしたいとき。こうした状況では、無理に振りにいくのではなく、セットアップを変えて打ち出しを高くするという選択を取る。重要なのは、飛距離を力で作ろうとしないこと。
弾道を高くする役割をセットアップに任せることで、スイング自体はいつものテンポとリズムを保ったまま、必要なキャリーを確保する。高弾道は「常に使う武器」ではない。状況が揃ったときに選ぶ、明確な目的を持った選択肢── それが、モリカワのハイローンチ・セットアップの位置づけだ。🎯 セットアップのポイント
キャリーを稼ぐ高弾道は、スイングを変えず、セットアップで作る。
🔹 ティーの高さは、普段より明確に高く
ボールを上げることで、インパクト時に自然と高い打ち出しが生まれる。叩きにいく必要はない。🔹 ボール位置は、リード足のつま先付近まで前へ
ここまで前に置くことで、打ち出し角をしっかり確保できる。無理にアッパーに振らなくても、高さは出る。🔹 肩のラインは、わずかに上向きに
体を反らすのではなく、トレイル側の肩が少し下がるように構えるのがポイントだ。これにより、入射角が自然と緩やかになり、高弾道につながる。重要なのは、高さをスイングで作ろうとしないこと。
キャリーを稼ぐ役割は、あくまでセットアップに任せる。振り方はいつもと同じ。テンポも、リズムも変えない。「高く打ち出せる構え」を作り、いつものスイングをする。それが、必要な場面で確実にキャリーを伸ばすための、最も再現性の高い方法だ。👉 なぜ効果があるのか
この高弾道用セットアップが機能する理由はシンプルだ。
アドレスの段階で入射角が緩やかになり、打ち出しは高く、スピンは過剰になりにくい状態が作られる。ポイントは、振らなくていいという点。飛距離を上積みしたい場面でも、スイングの強さを上げる必要はない。
セットアップが仕事をしてくれるため、いつものテンポのままでキャリーの飛距離を伸ばせる。ただし、注意点は体重配分だ。「高く上げたい」という意識が強すぎると、体が後方に流れたり、トレイル側に残ったりしやすくなる。その結果、インパクトが不安定になり、手前を打つミスが増える。モリカワが強調するのは、体はあくまでセンター寄りに保ち、構えで高さを作るという考え方。スイングで操作しようとしないことが、安定感を保つコツだ。この高弾道は、🔹 グリーン周りの条件などでランが出にくい状況
🔹 追い風のパー5でキャリーを最大限に活かしたい場面
で使うべき選択肢になる。常用する弾道ではない。だが、条件が揃ったときに迷わず選べるようになれば、距離の取り方に幅が生まれ、攻め方が一段広がる。
👉 最後に──ティーショットの考え方を変える
多くのアマチュアゴルファーは、「いつものドライバー弾道」ひとつで、すべてのホールに向き合っている。
だが、ティーショットの安定感を一気に引き上げたいなら、弾道を増やすことほど即効性のある方法はない。モリカワが示しているのは、難しい操作ではない。用意するのは、たった3つだ。🔹 低く抑える弾道
🔹 基準となるスタンダードな弾道
🔹 キャリーを稼ぐ高弾道
この3つを、スイングではなくセットアップで打ち分ける。
練習では、それぞれの構えをあえて大げさに作ってみる。「この構えだと、こういう高さになる」その感覚を体に覚えさせることが目的だ。そうすると、ラウンド中に迷いが減る。狭いホールでは低く。迷ったら基準の弾道。越えたいときは高さを使う。弾道を打ち分けられるようになる=選択肢が増えるということ。 それは、ミスを減らし、スコアを守る力につながる。ドライバーは、飛ばすためだけのクラブではない。ホールに合わせて弾道を「選べる」ようになったとき、ティーショットの景色は、確実に変わってくる。



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