ドライバー選びで欠かせないのがフィッティング。実際に受けてみると、数字やクラブ同士での違いに圧倒されてしまうこともある。

アメリカでは有料が当たり前だが、日本では量販店を中心に無料で受けられるケースも多い。

それでも有料フィッティングは、専門的なデータや比較をじっくり得られるため、投資する価値は十分にある。

だからこそ「限られた時間でどれだけ成果を得られるか」が重要になる。

今回は、そのフィッティングをより充実させるために知っておきたい5つのカギを紹介する。これを押さえれば、自分に合った一本と出会える可能性がぐっと高まるだろう。


1.さまざまなシャフトを試してみよう

同じドライバーのヘッドでも、装着するシャフトによってまったく違うフィーリングと結果になる。

だからこそ、シャフトは1本だけに絞るべきではない。自分に合うと感じるシャフトのタイプを見つけたら、そのシャフトを複数のヘッドで試してみよう。

試打を繰り返す中で重要なのは、「本当にヘッドを比べているのか、それともシャフトを比べているのか」を見極めることだ。

自分では候補にすら入れなかったシャフトが驚くほどの変化をもたらすこともある。

「硬めのシャフトだけ」「低スピンヘッドだけ」と決めつけてフィッティングに臨まないこと。計測データは、意外な結果を示してくれるかもしれない。


フィッティングルームの壁一面に並ぶクラブヘッドとシャフト。最新のフィッティング機器とゴルフバッグが整然と配置されている。

2.「標準」的な長さにとらわれない

ドライバーの長さは「万人に共通する正解」があるわけではない。

自分の場合、基準より長めのドライバーをずっと使ってきたが、それで問題なくプレーできている。短めを試すと飛距離が落ち、長めを試すとコントロールが難しくなる。

つまり大切なのは「標準的な長さだから」「身長に合わせた長さだから」と決めつけないこと。

実際にいろいろな長さを試して、自分のゴルフにどう影響するかを確認することだ。


3. 打点位置とライ角に注目する

弾道計測器の画面に表示される飛距離に目を奪われがちだが、実際に最も重要なのはボールをフェースのどこで打っているかだ。

意外だったのは、ライ角が打点に大きく影響するという事実だ。

あるドライバーでは打点がセンターに集まり、別のドライバーではトウ寄りやヒール寄りに外れてしまうこともあった。

フィッティングでは、このわずかな違いを見逃さないことが大切だ。必ずしも最大飛距離に表れるわけではないが、コースでのショットの安定性には確実に影響してくる。


ゴルファーがテーラーメイド「R7 Quad Mini」ミニドライバーを手に持ち、フェース面を確認している。コンパクトヘッドと上質な仕上げが特徴的。

4. スピン量を比較する

フィッティングで特に重要なのがスピン量のデータだ。スピンがかかりすぎると飛距離をロスし、逆に少なすぎるとボールは十分に浮かず、キャリーの飛距離が伸びない。

最適なスピン量を見極めることが、ドライバーを活かす大きなカギになる。

スピン量を調整するときに役立つのが、トラックマンが示す基準値だ。ドライバーのスピンは、この目安にどれだけ近づけるかが大切になる。


トラックマン推奨スピン量の目安

ドライバーフィッティングでは、ヘッドスピードに応じた適正スピン量を把握しておくことが重要だ。以下はトラックマンが示す目安値だ。


トラックマン推奨スピン量の目安

ヘッドスピード (m/s)
適正スピン量 (rpm)
46.9以上
2,000~2,500
42.5~46.9
2,200~2,700
38.0~42.5
2,400~2,900
38.0未満
2,600~3,200

自分の場合、今使っていたドライバーはスピン量が多すぎると分かっていて、それが買い替えを決めた大きな理由のひとつだった。

新しいモデルの数値と比較することで、どのヘッドとシャフトの組み合わせがその問題を解決してくれるのかを明確に把握できた。


◆適正スピン量に近づけるための調整方法

自分のヘッドスピードに合ったスピン量を目安にしながら、クラブやボールを調整していくことが大切だ。特に以下の要素が大きく影響する。


1. ロフト角の調整

スピン量が多すぎる場合:ロフト角を立てる(ロフトを減らす)ことでスピンを抑えやすい。

スピン量が少なすぎる場合:ロフト角を寝かせる(ロフトを増やす)ことでスピンを増やせる。


2. シャフト選び

高スピン傾向:先調子のシャフトはスピンが増えやすいため、手元調子や中調子に切り替えると抑えやすい。

低スピン傾向:先がしなりやすいシャフトを選ぶとスピンが入りやすくなる。


3. ボール選び

低スピンモデル:ディスタンス系ボールはスピンが少なくなりがち。

高スピンモデル:ツアーボール系は適度にスピンが入るため、キャリーの飛距離を確保しやすい。


4. 打ち出し条件の見直し

アッパー軌道で打つとスピンが減りやすく、ダウンブロー気味だとスピンが増えやすい。

自分のスイングタイプに合わせて、ティーの高さやアドレス位置を調整するのも効果的。


5. 一本に絞ることで見える成果

「一度で全部解決したい」と思ってフルバッグフィッティングを受けたくなるが、ドライバーのフィッティングだけでも十分に奥深い。

僕も最初はドライバーとミニドライバーを両方試すつもりだったが、実際はドライバーのシャフトとヘッド調整にセッションの全時間を使い切った。

それでも得られた成果は大きかった。

もし本気で結果を求めるなら、まずは一本に集中すること。そうすれば迷いが減り、納得できる成果を手にして帰れるだろう。


まとめ

ドライバーフィッティングは、数値やデータに圧倒されがちだ。しかし、目的を持って臨めばその時間は何倍も価値あるものになる。

シャフトを変え、打点をチェックし、スピン量を見極め、一本に集中して調整する──このプロセスこそが成果を引き出すカギだ。

「ただ一番飛ぶドライバーを探す」だけでは不十分。フィッティングの本質を見失わないことが、理想の一本と出会う近道になる。


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