「1」は、タイトリストの軽量ドライバーを象徴する数字だ。その伝統は「GT1」にも引き継がれているが、このモデルにはそれ以上の価値があるとみている。

「GT1」は「汎用性」を大きく向上させることで、幅広いゴルファー層に対応する1本に仕上がっている。

幅広いヘッドスピードやスイングタイプにフィットする設計は、これまでのタイトリストに無い新しいプレーヤー層にも応える可能性を秘めている。

「GT1」はこれまでタイトリストを使ったことがないゴルファーにとって、新たな選択肢として注目されるべきモデルだ。

その詳しい話は後ほど触れるとして、まずは「GT1」が他の「GTドライバー」シリーズと差別化されつつも、一体感を持たせるデザイン要素について見ていこう。


タイトリスト「GT1」のデザイン

タイトリスト『GT1』ドライバーのロゴデザイン|高級感あるメタル仕上げ

「GT1」ドライバーのソール部分に注目すると、その基本構造に軽量なコンポーネントが採用されていることがわかる。この点に関してはこれまでと変わらない。

ヘッドが軽いのはもちろん、標準シャフトやグリップも軽量化されており、全体として扱いやすい設計になっている。

「GT1」は、他の「GT」モデルの標準仕様と比べて、およそ50グラム軽量化されている。

形状に関して言えば、「GT1」は「GT」シリーズの中で最もヘッドの前後幅が広いデザインになっている。

そのため、「GT2」から「GT4」の伝統的な洋ナシ型とは異なり、「GT1」はタイトリストが新たに提案する現代的なフォルムを備えたモデルだ。

この大きなヘッド形状は、構えたときに安心感を与える一方で、空力面での課題を生むこともある。

そこでタイトリストは、クラウンとソールの形状を調整し、より滑らかな曲面を採用することで空気抵抗を軽減し、ヘッドスピードを向上させる工夫を施している。

空力性能の向上は主に競技志向者(上級者)にとって大きなメリットとなるが、タイトリストは、ヘッドスピードが35.8m/s前後のゴルファーでも、この改良された形状の恩恵(=空力性能によるヘッドスピードアップ)を十分に受けられると考えている。


タイトリスト『GT1』ドライバーのソールデザイン|空力性能とMOI向上設計

もしあなたのヘッドスピードがめちゃくちゃ速くなくても、「GT1」にはメリットがあるということだ。軽量化された設計は、ヘッドスピードの向上を助け、新たな可能性が広がるゴルファーを多数生み出すはずだ。

「GT1」のデザインにおけるその他の要素は、他の「GT」ドライバーシリーズとしっかり一致している。

「GT1」には、タイトリスト独自の『シームレス サーモフォーム クラウン』が採用されている。この素材は、重要な軽量化を実現しながら、洗練された見た目も兼ね備えている。

また、ポリマーを混合したこの素材が、タイトリストのドライバーに求められる音と打感を生み出す大きな要因となっている。

他の「GT」ドライバーと同様に、「GT1」には『スピードリング VFTフェース』が搭載されており、「GT1」専用に最適化されている。これが、フェース部分で初速を生み出す要素だ。

タイトリストの開発チームは、PGAツアープレーヤーからの様々なフィードバックを最重視しているが、「1」はこれまでツアーでの使用例が少ないため、やや例外的な存在となっている。

ただし、マスターズでは「GT1」が使用される可能性が高いと予想されており、現時点ではフィードバックの大半がフィッティングセッションを通じて得られたものだ。

よく寄せられる要望の一つが、「スピン量を増やすことなく打ち出し角を高めてほしい」というものだった。その要望に応える形で開発された「GT1」。次は、このモデルがターゲットとするプレーヤー層についてもう少し掘り下げてみよう。


タイトリスト『GT1』ドライバー&専用ヘッドカバー|2025年新作モデル

タイトリスト「GT1」ドライバーはどんなゴルファーを助ける?

こういった話では広い視点で考える必要があるが、基本的なアドバイスとして次のドライバーを選ぶ際には、しっかりとフィッティングを受けるべきだ。それを踏まえた上で、「GT1」が最もフィットしやすいゴルファーのタイプは3つに分類できる。


ヘッドスピードが遅めのゴルファー

「GT1」は進化を遂げてきたものの、タイトリストのラインアップの中で、失ったヘッドスピードを取り戻したいゴルファーに最適な選択肢であるというポジションは変わらない。

初期の「1」モデルは、日本仕様のドライバーに近い特徴を持っていた。軽量でシャフトが長く、高弾道でスピン量も多めだった。

これらの特徴は「GT1」にも引き継がれている(少なくとも、そのように設定可能だ)。標準仕様では、「GT1」には9グラムのウエイトが搭載されている。

また、標準シャフトには40グラムのフジクラ「Air Speeder」が採用され、グリップにはゴルフプライドの「Tour Velvet 360 Lite」を装備。

こうして、先に触れた50グラムの軽量化が実現しているのだ。

そのため、「GT1」は、高い打ち出し角ともっと速いヘッドスピードを必要とするゴルファーにとって、引き続き理想的な選択肢となっている。


タイトリスト『GT1』ドライバーのクラウンデザイン|落ち着いたブラック仕上げ

スピン量に課題を抱えるゴルファー

「TS」シリーズ、そして現在の「GT」シリーズとともに「1」が進化する中で、タイトリストは「1」をあまりに特定のニッチな用途に限定しすぎたことで、結果的にターゲット層を狭めてしまった可能性があると考えるようになった。

「GT1」では、その独自のフィッティング性能を強調することで、より幅広いゴルファー層に対応できる可能性を打ち出したのだ。

その目的は、「GT1」の標準仕様をより効果的にプロモーションすることだ。

そのために、ウエイトを6グラム重くし、標準装備のシャフトとグリップを組み合わせることで、まったく異なるタイプのプレーヤー向きの、まったく別物のドライバーが完成する。

「GT1」の標準仕様は、スピン量を増やすことで飛距離を伸ばせるゴルファーに最適だ。

「スピン量が最も多いドライバーです」といった主張を目にすることはまずない。しかし、実際にはどのラインアップにもスピン量が多めのモデルが存在している。そして、それを選ぶゴルファーがいるだけでなく、スピン量が増えることでメリットを得られるプレーヤーも確かにいるのだ。


タイトリスト『GT1』ドライバーのソールウェイト調整機構|弾道調整が可能

重めのバックウエイトを採用することで、「GT1」はいわゆるタイトリストのクラブの中での標準仕様として設定可能となり、スピン量に課題を抱えるゴルファーにとって理想的な選択肢にもなりえるのだ。


その代表的な例が、タイトリストの「Most Wantedテストプログラム」を担当しているMyGolfSpyのフィリップ・ビショップだ。

フィルは非常にアッパーな入射角でスイングするスタイルが特徴的で、ボールに対して8〜10度ほどアッパーブローで打ち込む(測定器によって多少の違いはある)。その結果、スピン量を生み出すのに苦労している。

MLBで例えるなら、フィリップはティム・ウェイクフィールドのようにスローボールを巧みに操るタイプで、僕はドワイト・グッデンのように速球で勝負するタイプといったところだ。

NPBでいうと技巧派の山本昌と速球派の藤川球児ってとこかな。

先日、「GT1」の紹介イベントでタイトリストのフィッティング施設「TPI(Titleist Performance Institute)」を訪れた際、僕は「GT3」が自分に合うモデルだと判定された。

一方で、フィルに関しては、ヘッドスピードが約44.7m/sにもかかわらず「GT1」が最適という結果だった。

彼は決してヘッドスピードが遅いタイプではないが、それでも「GT1」が合うタイプのゴルファーだ。そして、もしかすると、あなたもその一人かもしれない。

バックウエイトを6グラム追加することで、タイトリストによれば打ち出し角が通常約0.5度上昇し、スピン量が約100rpm増加するという。この調整は、ターゲットとなるプレーヤーにとって大きなメリットとなる。

また、標準仕様に設定した場合、「GT1」はタイトリストのドライバーの中で最も深い重心位置を持ち、それに伴い最高のMOI(慣性モーメント)を実現している点も注目に値する。

タイトリストは、すぐに10,000超えの慣性モーメント(MOI)を目指す予定はないとしながらも、もしMOIを重視するなら、「GT1」はタイトリストのラインアップの中で最も高い数値を提供するモデルだ。


タイトリスト『GT1』ドライバーのフェースデザイン|ボール初速を向上させる溝構造

ドローを求めるゴルファー向け

はっきり言っておくと、タイトリストには市場で最もドローバイアスが強いモデルと競合するようなモデルは用意されていない。

とは言え「GT1」は、タイトリストのラインアップの中で最もつかまりが良く、ドローショットを打ちやすいドライバーという位置づけ。

本格的なドローバイアスドライバーとは異なり、「GT1」にはヒール寄りの重心位置は採用されていない。

それでも、「スライスを軽減したい」ゴルファーに向けて、ドローを促進する(もしくはフェードを最小限に抑える)いくつかの設計要素が組み込まれている。

『SureFitホーゼル』を「A1」ポジションに設定すると、「GT1」は「GT」シリーズの中でフェースが最もニュートラルな向きになる。また、最も深い重心位置を持つため、インパクト時にフェースをスクエアにしやすい設計だ。

さらに、ホーゼルを標準設定にした場合、タイトリストのドライバーの中で最もアップライトなライ角となる。

改めて強調しておくが、「GT1」が、このカテゴリーで№1のドローバイアス性能を持つドライバーと言うつもりはない。

ただし、重心位置をフェース中央からずらさず、ボール初速を損なうことなく、ドローを打ちやすい条件を整える仕掛けはばっちり施されているというわけだ。


タイトリスト『GT1』ドライバーのフェース&サイドデザイン|寛容性と操作性を両立

最終的なまとめ

言うまでもないが、「GT1」は既存の「GT」ラインアップのどれかを置き換えるためのモデルではない。

このモデルの目的は、「GT」シリーズに4つのドライバーを揃え、それぞれ独自の重心位置を持たせることで、ほぼすべてのゴルファーにフィットする性能のバリエーションを提供することにある。


スペック、価格、発売日

タイトリスト「GT1」ドライバーは、ロフト角が9度、10度、12度がラインアップ。シャフトは、フジクラ「Air Speeder Next Gen」40g(R, S, X)。グリップはゴルフプライド「TV 360 LITE FLAT CAP GRIP」。価格は¥107,800(税込)。発売日は2025年2月21日(予定)。

詳細は、タイトリストホームページで。


※下記はアメリカのスペック

タイトリスト「GT1」ドライバーは、ロフト角が9度、10度、12度がラインアップ。シャフトは、フジクラ「Air Speeder Next Gen」40g(R, S, X)、35g(レディースR3、ジュニア/ユース用)プロジェクトX「Denali Red」50g(5.0, 5.5, 6.0)、三菱ケミカル「Tensei 1K Blue」55g(R, S)。

希望小売価格は649ドル。先行予約は2月2日から開始され、一般発売は2月21日からスタート。


「TSR1」をお得に

新しい「GT1」に注目すべき点が多いのは確かだが、「TSR1」も在庫限りで449.99ドルに値下げされていることをお知らせしておきたい。